転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

BIRD

文字の大きさ
31 / 57
美月~ルナの冒険者養成スクール生活

ep26:美月視点⑯

しおりを挟む
 冒険者養成スクールで学び始めて1年が経った。
 努力家のアランは孤児院に帰った後も自主トレしているらしく、2年目に入る頃には能力値がかなり伸びていた。
 アランが頑張ってるところを見たいけれど、邪魔するわけにはいかない。
 こんなとき、闇魔法の隠密が使えたらいいのにって思う。
 ルナは闇属性が無いので、その系統の魔法は使えない。

 7歳になったアランのステータスは、こんな感じ。

 体力 E
 魔力 E
 筋力 B
 知力 E
 命中 E
 速度 E

 筋力以外平均以下だったのに、全て平均より上になっている。
 もともと高かった筋力に至っては、その体格からは想像もつかない強さに育っていた。

「すげぇ、アランがまた一撃でサングリエを倒したぞ」
「森の暴走族が、子豚みたいにあっさり転がったな」

 森での実技、アランが片手で軽々と振るうのは、本来なら両手で扱う重い剣。
 脳天に剣の側面を叩きつけられたイノシシ系魔物が、白目を剥いて横に倒れた。

「アラン、かっこいい!」
「ありがとう!」

 私が褒めると、アランは嬉しそうに笑う。
 誇らしそうにする中に、ちょっと照れもある、その笑顔が大好き。
 孤児院に来たばかりの頃はガリガリに痩せて小さかった身体は、今では私よりも背が高くて、腕や足には筋肉もついてきてる。
 強く逞しくなってきたアランは、世界一かっこいい。

 筋力は、物理攻撃力に直結する。
 アランは、5歳の時点で成人男子を気絶させるくらいの攻撃力を持っていた。
 今や同期内トップクラスの物理攻撃力と言われるほどになっている。
 推しの成長が見られるだけでも、シナリオを改変した甲斐があったと思う。

「私だって、負けないよ~えいっ!」
「おお! ルナもサングリエを一撃だ!」
「強さは分かるが、残念な感じが漂うのは何故だろう?」

 私は、相変わらずメイスを武器にしている。
 額をメイスで殴られたイノシシ系魔物が、泡を吹きながらひっくり返った。
 見ていた同期の男子が何か失礼なことを言った気がするけど、気にしない。

 可憐な容姿で魔物を殴り倒す姿から、私には撲殺美少女という綽名がつけられた。
 ゲームのルナなら「殴り聖女」になるところだけど。
 相変わらず聖女の力は隠しているので、ゲームのような綽名は無かった。
 素の物理攻撃力はアランには及ばないけれど、身体強化の上昇率は同期の中でトップを誇る。

 7歳の私のステータスは、こんな感じ。

 体力 E
 魔力 C
 筋力 E
 知力 C
 命中 E
 速度 E

 F(-)からEまで上がったアランほどではないけれど、私も能力値が上昇してFからEになった。
 苦手だった魔法攻撃も命中率が上がり、的に当たるようになった。
 でも、確実に魔法を当てるなら、ゼロ距離発射が一番だ。

「確実に魔法を当てるなら、近距離一番ね!」
「いや、もうそれ物理だろ」

 私はメイスに石礫を纏わせ、次の魔物めがけて振り下ろす。
 ひっくり返ったイノシシ系魔物を前にドヤ顔していたら、ヒューゴ先生のツッコミが入った。

「メイスを石で覆って巨大化させる奴、初めて見たぜ」

 メガトンハンマーみたいな形になったメイスをコンコンと拳で叩きながら、リアム先生が興味深そうに呟く。
 炎や氷を武器に纏わせる魔法剣士なら、この世界でもたまにいる。
 でも、武器を石で覆って物理攻撃力を上げるっていう発想は無かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。  けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。  思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。  ──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……? ※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。

聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。

naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★ オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。 癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。 そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。 「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」 ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。

悪女として処刑されたはずが、処刑前に戻っていたので処刑を回避するために頑張ります!

ゆずこしょう
恋愛
「フランチェスカ。お前を処刑する。精々あの世で悔いるが良い。」 特に何かした記憶は無いのにいつの間にか悪女としてのレッテルを貼られ処刑されたフランチェスカ・アマレッティ侯爵令嬢(18) 最後に見た光景は自分の婚約者であったはずのオルテンシア・パネットーネ王太子(23)と親友だったはずのカルミア・パンナコッタ(19)が寄り添っている姿だった。 そしてカルミアの口が動く。 「サヨナラ。かわいそうなフランチェスカ。」 オルテンシア王太子に見えないように笑った顔はまさしく悪女のようだった。 「生まれ変わるなら、自由気ままな猫になりたいわ。」 この物語は猫になりたいと願ったフランチェスカが本当に猫になって戻ってきてしまった物語である。

処理中です...