転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

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美月~ルナの冒険者養成スクール生活

ep28:美月視点⑱

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「……ダンジョンに入っちゃった……。あの3人、大丈夫かしら?」
「今の子たちが着ていた制服、あれって国立学園のだよね?」

 レグルスたちの姿が見えなくなった後、私とアランは茂みに隠れたまま小声で話す。
 初級ダンジョンの魔物は、冒険者養成スクールでしごかれた私とアランなら楽に倒せる。
 でも、貴族向けのゆっくりペースの授業を受けている8歳児たちには、支援魔法なしで戦うのは厳しい筈。

「適正レベルじゃないみたいなこと、言ってたわね」
「まずいんじゃないかな?」

 そう話していたところに、洞窟の中から3人分の悲鳴が聞こえてきた。
 私とアランは顔を見合わせて頷くと、それぞれ自分に身体強化をかけて洞窟の中へ駆け込んだ。

 初級ダンジョン【コウモリ洞窟】。
 入口から少し進んだところに、ゲームと同じイベントボス・オオコウモリがいた。
 一緒にいる雑魚コウモリがスズメくらいの大きさ、オオコウモリはカラスくらいのサイズだ。
 コウモリは攻撃や防御は大したことないけど、回避がとにかく高い。
 基礎能力値が高めのレグルスやアルデバランでも、イベント発生時の能力値では攻撃が当たらない。

「このっ! すばしっこいヤツめ!」
「攻撃は大したことないですが、この回避は厄介ですね!」

 レグルスが振るうショートソードを、コウモリたちはヒラリヒラリと躱している。
 その隣では、アルデバランが盾を構えてコウモリたちの攻撃を防いでいた。

「伏せて!」

 少女が短く叫ぶと、少年たちはサッと身を屈める。
 少年たちを飛び越えて、複数の氷の矢がコウモリたちに襲いかかった。

(あの子、攻撃を当ててる!)

 氷の矢はそれぞれ正確にコウモリの胸を貫き、氷結させる。
 ボトボトと落下するコウモリの群れを見て、私は少女がただの生徒ではないように感じた。
 初期ステータスが高めに設定されているレグルスやアルデバランが苦戦するコウモリたちを、あっさり撃墜してしまう少女は誰?
 思った直後、レグルスが少女の名を叫んだ。

「レイカ! 後ろ!」
「え? ……きゃあっ!」

 いつの間にか少女の背後に回り込んでいたオオコウモリが、体当たりを仕掛ける。
 転んでしまった少女にオオコウモリが足爪を振り下ろそうとしたとき、アランが飛び出して剣を振るった。
 普通のコウモリなら両断しているところだけど、イベントボスはヒラリと躱す。

「あなたは……?」
「割り込み失礼します、加勢させて下さい」

 助けられた少女に、アランが軽く一礼して告げる。
 レグルスやアルデバランもアランに注目している隙に、私はコッソリ聖女の支援魔法を使った。

 誰にって? 勿論、アランに。

 このイベントでルナが支援魔法をかけた相手の好感度が上がるんだもの。
 アラン推しの私が、レグルスやアルデバランに支援魔法を使うわけがない。

「次は当てます」

 オオコウモリに向けて剣を構えなおすアランの表情が、キッと鋭くなる。
 アランは地面を蹴って瞬時にオオコウモリに接近すると、素早い斬撃を浴びせた。

(やっぱりアランが一番だわ)

 推しのカッコイイ姿にときめいている私の存在は、岩に隠れているので誰にも気づかれない。

 オオコウモリは真っ二つに切り裂かれ、その場で消滅した。
 代わりに、ビー玉サイズの魔石がオオコウモリがいた空中に現れてポトリと落ちた。

「どうぞ」

 アランは魔石を片手でつまんで拾い上げると、レイカと呼ばれていた少女に差し出す。
 レイカは首を横に振り、受け取ろうとはしなかった。

「助けてくれてありがとう。それはあなたが持って帰るべきだわ」
「その通り。俺たちは攻撃を当てることすらできなかったからな」
「というか、そんな物を持ち帰って先生に見られたら怒られる予感しかないよ」

 無許可でダンジョンに入った証拠になるものを、持ち帰るわけにはいかないよね。
 ゲームではその場に置いて帰ってたし。
 受け取り拒否された魔石は、アランのベルトポーチに収まった。
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