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美月~ルナの冒険者養成スクール生活
ep29:美月視点⑲
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私は、できれば攻略対象たちとは顔を合わせたくなかった。
迂闊に知り合って、好感度が上がりでもしたら困るもの。
でも、アランを置いて帰るなんてことはしたくないから、私はやむなく岩陰から出た。
「アラン、大丈夫だった? なんかいつものコウモリより大きかったけど」
いつもここに来てる冒険者ですアピールをしつつ、アランたちの方へ歩いていく。
レグルスとアルデバランが、キョトンとして私を見た。
私は平民から貴族への挨拶として、お腹の前辺りで右手を左手で覆うようにしながら一礼する。
大丈夫、私が聖女であることはバレてはいない。
「大丈夫だよルナ、父さんの霊が、また力を貸してくれたみたいだ」
アランが眩しい笑顔を向けてくる。
身体強化中の感覚に慣れたアランには、自分の能力の変化がいつもより大きく感じられたんだろう。
それが私の光魔法であることは、誰にも言っていない。
無詠唱だし、エフェクトなんて無いし。
属性チェックを受けない限り、私が光属性をもつことに気づく人はいない。
「うん、そうみたいだね」
私も微笑んで応える。
本当は、守護霊パワーじゃなくて聖女パワーだけど。
私たちの会話を、レグルスとアルデバランは、なんのことだろう? というように首を傾げて聞いていた。
「殿下にお怪我が無くて良かったです。新たなコウモリが湧く前に、ダンジョンの外に出た方がいいですよ」
アランが丁寧な口調でレグルスたちに言う。
レグルスが王太子だと分かっているけど、アランは冷静だった。
「救援感謝する。俺たちがここに入ったことは、他の者には内緒にしてもらえるか?」
「はい、誰にも言いません」
レグルスは今回のことを隠しておきたいらしい。
適正でないダンジョンに入ったのがバレたら、国王陛下に大目玉を食らうものね。
ゲームではルナが新たな聖女の力に目覚めたことを報告するときに、なんでそうなったかってバレちゃうけど。
私は報告しないから、レグルスたちが怒られることはない。
「アランだったかな? もしかして、3年くらい前にならず者を成敗したっていう【小さな英雄】かい?」
「えっ?」
アルデバランに聞かれて、アランはキョトンとした。
隣で私も目を丸くした。
アランにそんな二つ名がついてたなんて、知らない。
「警備兵たちが稽古場で話してるのを聞いたんだ。女の子を護るために乱暴な大人相手に戦って勝利した男の子がいる、ってね」
「そういえば、言っていたな。一度会ってみたいものだと思ったが、まさか今ここで会うとは思わなかったぞ」
レグルスとアルデバランは、アランに興味津々だ。
私に興味をもたれるよりはいいので、黙って話を聞いておこう。
「ここでのことは内緒だが、礼はしておきたい。孤児院へ食材を差し入れるから、皆で食べてやってくれ」
「え、いいんですか?」
「ついでに城の料理人も派遣して、腕を振るってもらおう」
「「ありがとうございます!」」
レグルスの美味しい話に、アランも私も食いついた。
だって、宮廷料理だよ?
平民が口にすることなんて無いもの。
「ではわたくしは、当家御用達のスイーツを差し上げますわ」
「お貴族様のスイーツ……」
すると、更なる美味しい話が、レイカから出た。
まだ見ぬ豪華スイーツを想像して目を輝かせる私たちを、レグルスたちが笑って眺めていた。
迂闊に知り合って、好感度が上がりでもしたら困るもの。
でも、アランを置いて帰るなんてことはしたくないから、私はやむなく岩陰から出た。
「アラン、大丈夫だった? なんかいつものコウモリより大きかったけど」
いつもここに来てる冒険者ですアピールをしつつ、アランたちの方へ歩いていく。
レグルスとアルデバランが、キョトンとして私を見た。
私は平民から貴族への挨拶として、お腹の前辺りで右手を左手で覆うようにしながら一礼する。
大丈夫、私が聖女であることはバレてはいない。
「大丈夫だよルナ、父さんの霊が、また力を貸してくれたみたいだ」
アランが眩しい笑顔を向けてくる。
身体強化中の感覚に慣れたアランには、自分の能力の変化がいつもより大きく感じられたんだろう。
それが私の光魔法であることは、誰にも言っていない。
無詠唱だし、エフェクトなんて無いし。
属性チェックを受けない限り、私が光属性をもつことに気づく人はいない。
「うん、そうみたいだね」
私も微笑んで応える。
本当は、守護霊パワーじゃなくて聖女パワーだけど。
私たちの会話を、レグルスとアルデバランは、なんのことだろう? というように首を傾げて聞いていた。
「殿下にお怪我が無くて良かったです。新たなコウモリが湧く前に、ダンジョンの外に出た方がいいですよ」
アランが丁寧な口調でレグルスたちに言う。
レグルスが王太子だと分かっているけど、アランは冷静だった。
「救援感謝する。俺たちがここに入ったことは、他の者には内緒にしてもらえるか?」
「はい、誰にも言いません」
レグルスは今回のことを隠しておきたいらしい。
適正でないダンジョンに入ったのがバレたら、国王陛下に大目玉を食らうものね。
ゲームではルナが新たな聖女の力に目覚めたことを報告するときに、なんでそうなったかってバレちゃうけど。
私は報告しないから、レグルスたちが怒られることはない。
「アランだったかな? もしかして、3年くらい前にならず者を成敗したっていう【小さな英雄】かい?」
「えっ?」
アルデバランに聞かれて、アランはキョトンとした。
隣で私も目を丸くした。
アランにそんな二つ名がついてたなんて、知らない。
「警備兵たちが稽古場で話してるのを聞いたんだ。女の子を護るために乱暴な大人相手に戦って勝利した男の子がいる、ってね」
「そういえば、言っていたな。一度会ってみたいものだと思ったが、まさか今ここで会うとは思わなかったぞ」
レグルスとアルデバランは、アランに興味津々だ。
私に興味をもたれるよりはいいので、黙って話を聞いておこう。
「ここでのことは内緒だが、礼はしておきたい。孤児院へ食材を差し入れるから、皆で食べてやってくれ」
「え、いいんですか?」
「ついでに城の料理人も派遣して、腕を振るってもらおう」
「「ありがとうございます!」」
レグルスの美味しい話に、アランも私も食いついた。
だって、宮廷料理だよ?
平民が口にすることなんて無いもの。
「ではわたくしは、当家御用達のスイーツを差し上げますわ」
「お貴族様のスイーツ……」
すると、更なる美味しい話が、レイカから出た。
まだ見ぬ豪華スイーツを想像して目を輝かせる私たちを、レグルスたちが笑って眺めていた。
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