転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

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美月~聖女の力はひたすら隠す

ep33:美月視点㉓

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 ミサンガに追加付与した魔法は、それからすぐに役立つことになった。

「ごめんね。先輩たちが入院したから、来週はここに来れなくなっちゃった」
「「「え~っ」」」

 セアンヴレからの残念なお知らせに、孤児院の子供たちがガッカリしながら声を上げる。
 そんな中、私だけがその先輩たちに何が起きたか察していた。

「先輩の人たち、どうしたんですか?」
「まかないに何か悪いものが入ってたみたいで、お腹を壊しちゃったんだよ」
「作った人は、材料をよく確認しなかったんですか?」
「そうみたいだね。作った人たちが当たって寝込んでるから、料理長は『自業自得だ』って言ってたよ」

 入院の原因は、食中毒かな。
 食中毒は重症化すると治るまで1週間、下手すると1ヶ月以上かかる。
 忙しいだろうけど、その間はセアンヴレにとっては平和といえるかもしれない。

 戦闘時に使われる反射系の魔法とは違い、日常生活での悪意ある行為を反す魔法は、ひっそりと発動するので気付かれない。
 因果応報(ル・カルマ)によって自ら盛った何かで食中毒に罹った先輩料理人たちは、何故そうなったかなんて分からないでしょうね。

「寝込んだ奴らは自業自得だが、そのせいで忙しくなるセアンヴレたちは災難だな」

 苦笑しながら、お玉を片手に赤毛の少年が言う。
 うん、確かにその通りだけど、どうしてまたここに来てるの? レグルス……

「それなら、手伝いに行くか?」
「いいですね。僕も芋の皮むきくらいはできますし」

 アルデバランとアランは何故か意気投合してるし。
 お城の調理場なんて、子供が入っていいのかしら?

「よし、王太子として俺が許可する。ルナも行こう!」
「えっ、私もですか?」
「アランが行くんだから、ルナも行くだろう?」
「……そ、そうですね」

 なんだかレグルスには、私がアランの付属品みたいに思われてるような……。
 まあ、ヒロイン認識されて迫られるよりはいいけど。

 こうして、私とアランは孤児院で昼食をとった後、レグルスたちと一緒に馬車に乗ってお城へと向かった。
 私たちは平民だけど、レグルスが「俺の友人たちだ」と宣言しただけで、普通に城内に入れてもらえた。
 エトワール城のセキュリティ、大丈夫?

「料理長、助っ人を連れてきたぞ。俺も手伝うから安心しろ」
「で、殿下?!」

 エプロンつけた王太子に、料理長が目を真ん丸にして驚いてるよ。
 一方で、セアンヴレと一緒に調理場に入ったアルデバランとアランは、慣れた手つきで芋の皮むきを始める。

「ルナはキャベツを切ってくれるか?」
「ここまで来たら、何でも手伝いますよぉ」

 レグルスに頼まれて、私はキャベツの千切りに取り掛かった。
 私の前世は食堂育ちだから、高速切りができる。
 軽快な音を立てながら、私はキャベツを切り続けた。
 大きなボウルに、あっという間に千切りキャベツの山ができていく。

「おお、嬢ちゃん凄いな」
「野菜を切るのは得意よ。なんでも任せて」

 なんか気がついたら前世の調理補助スイッチが入ったらしく、私は次々に野菜の下ごしらえを済ませていく。
 料理長も料理人たちも、レグルスやアルデバランも驚いている間に、下ごしらえは全て終わってしまった。

「ありがとう、嬢ちゃん!」
「ぜひまた来てくれよ!」

 料理長も料理人たちも大喜びだけど。
 王太子に連れられてお城に来て、野菜切って帰るヒロインってどうなの?
 まあ、シナリオ改変した今、私はヒロインから外れている筈だけどね。
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