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武人祭
王位の譲渡
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「ま、まさかこんなに早く来てくれるとは・・・・・・!」
驚きと感心が混じった声を発する老人、アクア・ルーク・ワンド。
現在、ラライナの王都、その王であるルークさんの所にメアとミーナを連れて帰ってきていた。
他の奴らはそのまま子守を続行してもらっている。
ルークさんが早いと言っているのは、俺がノワールから手紙を受け取り、読み終えてから五分も経たないうちに空間魔術でこの城に直接転移してきたからだろう。
転移先は書庫。ルークさんの許可を貰った者や、メア以外に立ち入りを禁止されているので、そこが一番都合がいいのだ。
ちなみに俺とミーナは、ルークさんからはいつでも閲覧していいと許可をもらっている。
アポ無しで来てしまったが、向こうから呼び出してきたのだからこれくらいは許してほしい。
という事で、秘書のフウに俺たちの事をルークさんに知らせてもらい、俺たちは先に応接間で待っていた、というのが一連の流れだ。
「馬車よりも便利な通行手段を持ってるからな。一々、学園からここまでの距離を半日かけるのも面倒だろ?」
「馬車以上の通行手段がないのが現状なのですが・・・・・・」
フウが呆れた様子でそう返してくる。
「『テイム』は?魔物を使役できるスキルがあるんじゃないのか?」
「テイム、か・・・・・・残念じゃが、そのスキルは今のところ魔族にしか現れていない。故にそれも魔族が嫌われている要因の一つなんじゃが・・・・・・」
「なんだ、嫉妬か?」
俺が冗談めかして言うと、ルークさんは真剣な顔で首を横に振る。
「研究者や学者の間で、魔族の祖先が魔物だった説があるのではという推測が出てきたのじゃ」
「魔族が・・・・・・魔物?」
今きっと俺は、何を言ってるんだという顔でこの人を見ているだろう。
そんな表情を見たルークさんは苦笑いをする。
「まぁ、研究者の考える突拍子もない考えじゃ。わしは違うと考えておるがな?君が学園内の屋敷で魔族を数人匿っていると知っておるし」
フィーナや他の魔族の事を知っている?俺は言った覚えがないんだが・・・・・・
ルークさんの言葉に眉をひそめていると、申し訳そうにする。
「すまん、実はミラが口を滑らせてのう・・・・・・『この事はどうかご内密に!代わりに私をどうしようと構いませんので』と言っておった」
なんとなく、その場であいつが頬を赤らめながらそのセリフを口にしているのが容易に想像できた。
あいつ・・・・・・これでフィーナの身に何かあったら、本当にどうしてくれようか。
そんな事を考えていると、ルークさんが俺の様子に気付いたらしく、言葉を続ける。
「安心していい。ミラが口を滑らせた時にはわしとフウしかおらんかったし、誰にも話していない。ミラにも、今後このような事がないよう厳重注意をしておいた。大丈夫じゃろう」
「ルークさんたちの前で口を滑らせた前科がある時点で、信用ならねえんだけどな・・・・・・家族とかにもポロッと言ってそうで怖い」
あとついでに言うなら、妹のアルニアもどこかでボロが出るんじゃないかと心配してしまう。
二人共、「見た目だけは」しっかりしてるのになぁ・・・・・・
と、ルークさんも魔族の事を気にしてはいないようだし、その話もそこそこに本題へ移させてもらう。
「んで、この手紙にあった内容・・・・・・詳しく聞かせてもらえるか?」
そう言ってポケットから一枚の手紙を取り出す。
それはルークさんから届いたもので、内容は『メアの事で急ぎ相談したい事があるので、王城に来てほしい』と短く書かれていた。
「ああ、そうじゃったな・・・・・・いや、どこから話そうか・・・・・・」
顎の髭に手を置いて唸るルークさん。そんなに話す事があるのか?
すると話す順序が決まったのか、顔を上げた。
「ではまず、アヤト君たちがこの前来た時の話からしよう」
「この前、っていうと・・・・・・」
たしか俺がルークさんにメアを付き合う事になった報告をしに行った時の事か。
他にもグウェントとかいう大国の王様と喧嘩したりとかあったな・・・・・・おかげでそいつの国と戦争する話に発展しちまったんだが。
でもそれは半年後という話のはずなのだが・・・・・・まさか?
「もしかして戦争の期限が早まったとか?」
俺よりも先に、メアが質問する。俺も同じ事を考えていた。
だが、ルークさんは首を横に振る。
「いいや、それはない。いくら準備が整ったからと言っても、宣告した期限を変更する事はできない。もちろん、準備が整っていなくともな」
ルークさんの言葉にメアがホッとする。
じゃあ、何の話だ・・・・・・?
「メアとの婚約についての話じゃが・・・・・・」
「「ぶっ!?」」
ルークさんの言動に、思わず俺とメアが吹き出してしまう。
ミーナも目を丸くし、フウも呆れた様子で頭を抱えていた。
「王・・・・・・」
「なんじゃ、全員でどうした?」
ルークさんはケロッとした表情で聞いてくる。素でそれを言っていたのか・・・・・・?
横にいるメアも顔を真っ赤にしていた。
「お、俺たちは婚約とか結婚とか・・・・・・まだそういうのは考えてねぇよ!」
恥ずかしさから強めに否定するメア。
たしかに付き合いはしたけど、その話は早い。しかし、しないのかと言われれば、メア次第ではやぶさかでもないのだが・・・・・・
そんな事を考えながらメアを一瞥すると、向こうも気になっていたらしく、お互い目が合うとメアが伏せてしまう。
本当、普段ガサツなのにこういうところで乙女だよな、こいつ。
と、ルークさんが大きな笑い声を上げる。
「ハッハッハッハ!メアがこんな顔をするなど、夢にも思わなんだわ!なるほどなるほど、好いた者が現れれば、やはり人は変わるものじゃのう!」
「うっせ、クソジジイ!さっさとくたばれ!」
からかわらたメアは近くにあったクッションを投げた。
ルークさんはそれを避け、後ろにいたフウが見事キャッチする。
「元気がいいのは相変わらずじゃな。まぁ、わしとしては付き合いだけではなく、夫婦になってもらいたいのだがな・・・・・・」
「夫婦、ね・・・・・・もしかして跡継ぎの話?」
「ああいや、そうではない。もちろん、そうしてもらった方が嬉しいというのはあるが・・・・・・今からする話は関係はあるが、別件じゃ」
すると少し深刻、というか、なんだか面倒そうな表情になるルークさん。
グウェントをメアが殴った時の事を思い出す。
たしかあの時、他にした話と言えば・・・・・・
「貴族たちの反発じゃ」
「ああ」
そういえばそんな話もあったなと思い出した。
「結局どうにもできなかったのか?」
「・・・・・・すまない。王とは言え、ジジイ一人。そして味方も少数・・・・・・頭の堅い奴らばかりで『王族としての責任は?』『国はどうなる?』『ただの平民ごときに』と文句を言う者ばかり・・・・・・挙句には『レギナンとの大きな戦争が近付いているというのに、何を悠長な』などと言いおった者も」
「・・・・・・まぁ、そもそも王族が追放以外で王族を抜けるとなったら、混乱して騒がしくもなるわな。しかもそれが恋愛沙汰なら尚更だろ」
しかもルークさんは、本来跡継ぎになるはずの息子夫婦、メアの両親を亡くしている。
高齢のルークさんが子を産むのは難しい・・・・・・であれば養子を取るか、俺が諦めて婿入りするか、もしくはーー
「王位を譲る、か・・・・・・?」
「「ッ!?」」
「アヤト君?」
俺の呟きにフウとメアが驚き、ルークさんが興味深そうにする。
「もしメアが王位を降りると言うなら、信頼できる奴に王位を譲るのがいいかと思ってな。養子を取るにしても、適当に変な奴を選ぶわけにはいかないし」
「いや、たしかにそれはわかるんじゃが・・・・・・下手に他の者を王に仕立て上げるとしても問題が起きるのではないか?」
「どの道、何かしらの問題はついてくる」
「じ、じゃあさ!」
すると俺とルークさんの会話に、メアが割り込んできた。
「俺が・・・・・・我慢するってのは、どうかな?」
らしくないモジモジとした言い回しで、そんな事を言い出した。
「・・・・・・『我慢する』ってのは、お前がこの人の跡を継いで王妃になり、知らない奴と添い遂げてこの国を支える、そういう事か?」
「っ!そ、それは・・・・・・そうだ!」
『知らない奴と添い遂げて』というところでメアの肩が跳ね上がり、何かを言いたそうにしていたが言葉を止め、頷いて肯定した。
「そうすれば王位を誰のものに、なんて言わなくなるだろうし、相手が決めた奴を旦那にすれば誰も文句を言わなくなるだろ?」
軽口にそう言って笑うメア。しかしその表情には、明らかに不安が現れていた。
『助けてほしい。誰の何を犠牲にしてでも』
まるでそう訴えかけているようで・・・・・・
俺は感情は読めても、何を思っているかまではわからない。
もしかしたら俺の妄想かもしれないし、メアがいつまでも振り向こうとしない俺に愛想を尽かしてそうしようもしているのかもしれない。
だが、たとえ後者だったとしても、その顔を不安にさせる事はしたくない。
「言っただろ、どの道問題は付いてくる。メアが王位に就いたとしても、今度は誰がその隣になるか、なんて争いを始めるに決まってるだろうしな。それにお前を犠牲にしなきゃ成り立たない国には、俺は遠慮なく文句を言うし、暴れちまうぞ?」
俺がそう言っている姿をポカンと見てくるメアの目を、俺は真っ直ぐに見つめ返して微笑む。
今抱いているこの気持ち・・・・・・これが恋心というやつかはわからないが、思った事をそのまま口にする事にした。
「お前を誰かに渡すなんて、考えたくねえしな」
そう言った瞬間、メアがパッと嬉しそうに表情を輝かせ、勢いよく俺に抱き付いてきてミーナ共々後ろに倒れてしまった。
驚きと感心が混じった声を発する老人、アクア・ルーク・ワンド。
現在、ラライナの王都、その王であるルークさんの所にメアとミーナを連れて帰ってきていた。
他の奴らはそのまま子守を続行してもらっている。
ルークさんが早いと言っているのは、俺がノワールから手紙を受け取り、読み終えてから五分も経たないうちに空間魔術でこの城に直接転移してきたからだろう。
転移先は書庫。ルークさんの許可を貰った者や、メア以外に立ち入りを禁止されているので、そこが一番都合がいいのだ。
ちなみに俺とミーナは、ルークさんからはいつでも閲覧していいと許可をもらっている。
アポ無しで来てしまったが、向こうから呼び出してきたのだからこれくらいは許してほしい。
という事で、秘書のフウに俺たちの事をルークさんに知らせてもらい、俺たちは先に応接間で待っていた、というのが一連の流れだ。
「馬車よりも便利な通行手段を持ってるからな。一々、学園からここまでの距離を半日かけるのも面倒だろ?」
「馬車以上の通行手段がないのが現状なのですが・・・・・・」
フウが呆れた様子でそう返してくる。
「『テイム』は?魔物を使役できるスキルがあるんじゃないのか?」
「テイム、か・・・・・・残念じゃが、そのスキルは今のところ魔族にしか現れていない。故にそれも魔族が嫌われている要因の一つなんじゃが・・・・・・」
「なんだ、嫉妬か?」
俺が冗談めかして言うと、ルークさんは真剣な顔で首を横に振る。
「研究者や学者の間で、魔族の祖先が魔物だった説があるのではという推測が出てきたのじゃ」
「魔族が・・・・・・魔物?」
今きっと俺は、何を言ってるんだという顔でこの人を見ているだろう。
そんな表情を見たルークさんは苦笑いをする。
「まぁ、研究者の考える突拍子もない考えじゃ。わしは違うと考えておるがな?君が学園内の屋敷で魔族を数人匿っていると知っておるし」
フィーナや他の魔族の事を知っている?俺は言った覚えがないんだが・・・・・・
ルークさんの言葉に眉をひそめていると、申し訳そうにする。
「すまん、実はミラが口を滑らせてのう・・・・・・『この事はどうかご内密に!代わりに私をどうしようと構いませんので』と言っておった」
なんとなく、その場であいつが頬を赤らめながらそのセリフを口にしているのが容易に想像できた。
あいつ・・・・・・これでフィーナの身に何かあったら、本当にどうしてくれようか。
そんな事を考えていると、ルークさんが俺の様子に気付いたらしく、言葉を続ける。
「安心していい。ミラが口を滑らせた時にはわしとフウしかおらんかったし、誰にも話していない。ミラにも、今後このような事がないよう厳重注意をしておいた。大丈夫じゃろう」
「ルークさんたちの前で口を滑らせた前科がある時点で、信用ならねえんだけどな・・・・・・家族とかにもポロッと言ってそうで怖い」
あとついでに言うなら、妹のアルニアもどこかでボロが出るんじゃないかと心配してしまう。
二人共、「見た目だけは」しっかりしてるのになぁ・・・・・・
と、ルークさんも魔族の事を気にしてはいないようだし、その話もそこそこに本題へ移させてもらう。
「んで、この手紙にあった内容・・・・・・詳しく聞かせてもらえるか?」
そう言ってポケットから一枚の手紙を取り出す。
それはルークさんから届いたもので、内容は『メアの事で急ぎ相談したい事があるので、王城に来てほしい』と短く書かれていた。
「ああ、そうじゃったな・・・・・・いや、どこから話そうか・・・・・・」
顎の髭に手を置いて唸るルークさん。そんなに話す事があるのか?
すると話す順序が決まったのか、顔を上げた。
「ではまず、アヤト君たちがこの前来た時の話からしよう」
「この前、っていうと・・・・・・」
たしか俺がルークさんにメアを付き合う事になった報告をしに行った時の事か。
他にもグウェントとかいう大国の王様と喧嘩したりとかあったな・・・・・・おかげでそいつの国と戦争する話に発展しちまったんだが。
でもそれは半年後という話のはずなのだが・・・・・・まさか?
「もしかして戦争の期限が早まったとか?」
俺よりも先に、メアが質問する。俺も同じ事を考えていた。
だが、ルークさんは首を横に振る。
「いいや、それはない。いくら準備が整ったからと言っても、宣告した期限を変更する事はできない。もちろん、準備が整っていなくともな」
ルークさんの言葉にメアがホッとする。
じゃあ、何の話だ・・・・・・?
「メアとの婚約についての話じゃが・・・・・・」
「「ぶっ!?」」
ルークさんの言動に、思わず俺とメアが吹き出してしまう。
ミーナも目を丸くし、フウも呆れた様子で頭を抱えていた。
「王・・・・・・」
「なんじゃ、全員でどうした?」
ルークさんはケロッとした表情で聞いてくる。素でそれを言っていたのか・・・・・・?
横にいるメアも顔を真っ赤にしていた。
「お、俺たちは婚約とか結婚とか・・・・・・まだそういうのは考えてねぇよ!」
恥ずかしさから強めに否定するメア。
たしかに付き合いはしたけど、その話は早い。しかし、しないのかと言われれば、メア次第ではやぶさかでもないのだが・・・・・・
そんな事を考えながらメアを一瞥すると、向こうも気になっていたらしく、お互い目が合うとメアが伏せてしまう。
本当、普段ガサツなのにこういうところで乙女だよな、こいつ。
と、ルークさんが大きな笑い声を上げる。
「ハッハッハッハ!メアがこんな顔をするなど、夢にも思わなんだわ!なるほどなるほど、好いた者が現れれば、やはり人は変わるものじゃのう!」
「うっせ、クソジジイ!さっさとくたばれ!」
からかわらたメアは近くにあったクッションを投げた。
ルークさんはそれを避け、後ろにいたフウが見事キャッチする。
「元気がいいのは相変わらずじゃな。まぁ、わしとしては付き合いだけではなく、夫婦になってもらいたいのだがな・・・・・・」
「夫婦、ね・・・・・・もしかして跡継ぎの話?」
「ああいや、そうではない。もちろん、そうしてもらった方が嬉しいというのはあるが・・・・・・今からする話は関係はあるが、別件じゃ」
すると少し深刻、というか、なんだか面倒そうな表情になるルークさん。
グウェントをメアが殴った時の事を思い出す。
たしかあの時、他にした話と言えば・・・・・・
「貴族たちの反発じゃ」
「ああ」
そういえばそんな話もあったなと思い出した。
「結局どうにもできなかったのか?」
「・・・・・・すまない。王とは言え、ジジイ一人。そして味方も少数・・・・・・頭の堅い奴らばかりで『王族としての責任は?』『国はどうなる?』『ただの平民ごときに』と文句を言う者ばかり・・・・・・挙句には『レギナンとの大きな戦争が近付いているというのに、何を悠長な』などと言いおった者も」
「・・・・・・まぁ、そもそも王族が追放以外で王族を抜けるとなったら、混乱して騒がしくもなるわな。しかもそれが恋愛沙汰なら尚更だろ」
しかもルークさんは、本来跡継ぎになるはずの息子夫婦、メアの両親を亡くしている。
高齢のルークさんが子を産むのは難しい・・・・・・であれば養子を取るか、俺が諦めて婿入りするか、もしくはーー
「王位を譲る、か・・・・・・?」
「「ッ!?」」
「アヤト君?」
俺の呟きにフウとメアが驚き、ルークさんが興味深そうにする。
「もしメアが王位を降りると言うなら、信頼できる奴に王位を譲るのがいいかと思ってな。養子を取るにしても、適当に変な奴を選ぶわけにはいかないし」
「いや、たしかにそれはわかるんじゃが・・・・・・下手に他の者を王に仕立て上げるとしても問題が起きるのではないか?」
「どの道、何かしらの問題はついてくる」
「じ、じゃあさ!」
すると俺とルークさんの会話に、メアが割り込んできた。
「俺が・・・・・・我慢するってのは、どうかな?」
らしくないモジモジとした言い回しで、そんな事を言い出した。
「・・・・・・『我慢する』ってのは、お前がこの人の跡を継いで王妃になり、知らない奴と添い遂げてこの国を支える、そういう事か?」
「っ!そ、それは・・・・・・そうだ!」
『知らない奴と添い遂げて』というところでメアの肩が跳ね上がり、何かを言いたそうにしていたが言葉を止め、頷いて肯定した。
「そうすれば王位を誰のものに、なんて言わなくなるだろうし、相手が決めた奴を旦那にすれば誰も文句を言わなくなるだろ?」
軽口にそう言って笑うメア。しかしその表情には、明らかに不安が現れていた。
『助けてほしい。誰の何を犠牲にしてでも』
まるでそう訴えかけているようで・・・・・・
俺は感情は読めても、何を思っているかまではわからない。
もしかしたら俺の妄想かもしれないし、メアがいつまでも振り向こうとしない俺に愛想を尽かしてそうしようもしているのかもしれない。
だが、たとえ後者だったとしても、その顔を不安にさせる事はしたくない。
「言っただろ、どの道問題は付いてくる。メアが王位に就いたとしても、今度は誰がその隣になるか、なんて争いを始めるに決まってるだろうしな。それにお前を犠牲にしなきゃ成り立たない国には、俺は遠慮なく文句を言うし、暴れちまうぞ?」
俺がそう言っている姿をポカンと見てくるメアの目を、俺は真っ直ぐに見つめ返して微笑む。
今抱いているこの気持ち・・・・・・これが恋心というやつかはわからないが、思った事をそのまま口にする事にした。
「お前を誰かに渡すなんて、考えたくねえしな」
そう言った瞬間、メアがパッと嬉しそうに表情を輝かせ、勢いよく俺に抱き付いてきてミーナ共々後ろに倒れてしまった。
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