最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし

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特別編 バレンタイン

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 「チョコ」

 「・・・は?」


 修行が終わったある日の事、あーしさんがポツリと呟いた。
 あまりにも脈略がなく突然だったため聞き逃しそうになってしまったが、今確かにチョコと言ったと思う。


 「この世界さ、甘いもん少なくね?」

 「まぁ・・・魔法だけが広がって技術が発展してないからかもしれないが・・・」

 「あんたらはこの世界が楽しいとか思ってるから気にしてないんだろうけど、あーしらからしたら枯渇問題だし」

 「それでチョコが食いたいと?」

 「本当ならもうちょっと凝った物がいいけど・・・でもそんなのあるわけないって期待してないし。だけどせめて簡単なチョコとか甘いもんが食いたいなって・・・」

 「・・・・・・そうか」


 ーーーー


 ~ 数日後 ~


 「とか言ってたから作ってやったぞ」

 「・・・は?」


 厨房の机に、大量に作ったチョコレートをどっさりと置いた。
 形は四角い板状のものから丸いものまで様々に作っておいた。


 「はぁぁぁ!?なっ、作ったって・・・どうやって!?」

 「大変だったぞ・・・カカオ豆潰したり精錬するための機械を作るの」

 「機械まで作った!?なんだコイツ!?」


 せっかく要望に答えたのになんだコイツ呼ばわりされるとは思わなかった。
 ・・・いやだが、確かにカカオを探すだけならまだしも、その機械まで作られたら流石に引かれるか?


 「なんでそこまでして・・・」

 「食いたいもんを食えないって辛いだろ?だから作れる技術がある俺が作ったんだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 「なんでチョコでそんなイケメンになれんだし・・・まーいいや。今日も修行とかやるんでしょ?」

 「ああ、やる。それがどうした?」

 「今日だけ女の子たちを免除してくんない?」

 「いいけど・・・なんでか聞いていいか?」

 「ダメ」

 「・・・そうか」


 なんとなく分かっていたが、キッパリと即答されると少し悲しくなる。
 この大量のチョコで女子会でも開くのかと多少の邪推をしながら、あーしさんのところに行くようメアたちにも伝えた。
 そうなると相手がカイトだけになってしまうので、修行をいつもより簡単に短縮して終わらせる事にした。


 ーーーー


 ☆★エリ★☆


 アヤトにはメアたちを呼んでもらうついでに男共々を屋敷から出て行ってもらうよう言った。
 それから厨房で待っているとすぐにメアたちが不思議そうな顔をしてやって来る。


 「ちょっと待て!何故我まで連れて来られているのだ!?」

 「まぁまぁ。女性全員と言ったら貴女も含まれるでしょう?」


 ランカに連れられてリアナさんも渋々とやって来ていた。
 その後に続いてペルディアさんやチユキも物珍しそうに厨房に入って来た。


 「どうしたんだ急に?今日は修行やめてまで集まれなんて・・・?」

 「うわっ、何コレ!?何この・・・えっ、泥?」

 「流石に泥を室内に持ち込まないでしょ・・・違う、わよね?」


 みんな初めて見たチョコレートに戸惑っている。
 フィーナでさえ少し疑っていた。


 「ちげーし!チョコだし!」

 「チョコ?」


 まさに「何それ」という顔を全員がしていた。


 「チョコレートって言ってアヤトに作ってもらったやつなんだけど、甘いお菓子だよ。ちょっと食ってみ?」


 大量にあるチョコの中の板状のやつを割って、それぞれに配った。
 みんな眉をひそめてマジマジと見つめてから口に運んだ。


 「ッ!?」

 「甘い!甘いよコレ!!」

 「凄く美味しいの!」

 「です!」

 「・・・ペッ」


 ほぼ全員が驚いた表情と称賛をする中、ミーナ一人だけがチョコを吐き出してしまっていた。


 「無理。マズ」

 「えぇ・・・あ、そういえばミーナって猫か。猫にチョコはダメみたいだけど、ミーナもそうなんだ?」

 「ん。だから見てるだけにする」


 ミーナはそう言って近くの椅子にちょこんと座った。

 甘くて美味しいものを食べれないってのは辛いだろうなー・・・。

 なんて事を考えながら、


 「それで・・・コレで何するんだ?」


 メアの質問にニッと笑う。


 「コレでチョコを作り直す!・・・アレ?」

 「・・・ごめん、よく分かんない」


 自分で言ってても「何言ってるんだろう、あーし?」みたいな感じになっていたところにフィーナに追撃される。
 頭では分かっていても言葉に出せないというものだった。


 「・・・つまり、ブレゼント用に型を作り直すって事だし!」

 「「プレゼント用に?」」


 みんなの声が重なる。
 その中の何人かは「それに何の意味が?」という表情をしていた。


 「まぁ、見てて?」


 言葉で理解できなくても実践して完成した物を見せれば理解してくれる筈。
 まずはチョコを湯煎で溶かした後、ハートや星を型取った小さな容器に入れる。

 本当ならデコレも欲しかったんだけど・・・。

 そう思っていると、大量にあるチョコの横にメモ書きと共に何かカラフルなものが置いてあった。


 【多彩な色の砂糖が売ってたから、コレをデコレーションにでも使っとけ】


 アイツはぁぁぁ!
 なんでこういう気を回せんのよ!?
 そりゃメアやミーナが惚れるわけだし!!

 叫びはしなかったけど、思わず机を叩いてしまいウルやルウを驚かせてしまった。
 そして若干何するかバレてるっぽいのにも腹が立った。
 他の人たちにも心配されてしまったので気を取り直す。
 アヤトが用意してくれたデコレのをまぶせば大体完成。


 「おお、なんかさっきのチョコレートとは違ってなんか・・・オシャレ?」

 「形を変えるだけで随分華々しくなるのだな」

 「更に手を加えればもっと可愛くできんだけどね。今はとりあえずコレでいいや。あとは冷蔵庫に寝かせれば完成だし!」

 「ほぉ・・・ですが、プレゼント用とはどういう意味ですか?」


 感心して見てたランカが首を傾げて聞いて来る。


 「あーしたちの世界には「バレンタインデー」ってのがあんだけど、その日は女が日頃お世話になってる人にあげたり、好きな人にあげたりする日なんだ」

 「好きな人に・・・」

 「ああ、なるほど。だから女性だけを呼んだんですね」

 「そゆこと!特にメアとミーナには必要かと思って。そう思って誘ったんだけど・・・まぁでも、ミーナが味見できなくても一緒に作ればいいじゃん?」

 「ん。そういう事ならやる」

 「よし!んじゃ、早速作るし!」


 あーしがそう言うとノリの良い奴らが「おー!!」と拳を上に掲げて声を上げる。
 チョコレート自体を知らないこの子たちには簡単なものから教えてあげる。
 だけど、やっぱり簡単なものでも失敗する人はいる。


 「「・・・・・・」」

 「アハ・・・アハハハハ・・・」


 ランカ、リアナさん、ラピィ、イリーナさんの四人だ。
 それぞれの手元には、元はチョコであろうものは黒い暗黒物質ダークマターが仕上がっている。
 そして意外な事に不器用そうなメアやヘレナっちは綺麗に出来上がっていた。


 「な、なぁ、コレで大丈夫か?」

 「問。仕上がりの審議を問います」

 「・・・え?ああうん、大丈夫。大丈夫だけど・・・」


 ヘレナっちはともかく、メアが作ったチョコの形が全てハート型になっていた。

 コイツ・・・アイツの事好き過ぎじゃね?

 あーしが溜息を吐くと、同時にフィーナも溜息を吐いていた。
 どうやら同じ事を思ったらしい。
 お互い目が合い、ついクスリと笑ってしまった。


 「なんですか!?笑うならもういっそ笑い飛ばしてもらった方が気が楽になりますよ!!」

 「いや、別にランカの事で笑ったんじゃ・・・プッ!な、何コレ・・・潰れたカエルみたいな形に・・・」

 「やっぱり笑ってるじゃないですか、もー!!」


 ランカの作ったチョコの中にあまりにもそれらしい形があったから結局笑ってしまった。


 ーーーー


 「カーイトくーん!コレあげる♪」

 「え?は、はい・・・ありがとう、ございます・・・?」

 「か、カイト君・・・私も、作った、よ・・・?」

 「あ、ああ、ありがとう。どうしたんだ、急に?」


 チョコ作りが終わるとすぐにチユキさんが突進するように走り、カイトへチョコを一番に渡してしまった。
 だけど何よりも驚いたのはレナも一緒に飛び出した事。
 一番オドオドしていそうな子だったのに。
 そしてそれがスイッチになったようにみんな各自それぞれが渡しに行った。


 「アヤト、コレ!エリに教えてもらって作ったんだぜ!」

 「ん、私も。味見はできなかったから保証はないけど・・・」


 メアとミーナの二人はやっぱりアヤトに渡す。
 ミーナの少し照れているのが見れたのはレアだと思う。


 「おう、ありがとう。・・・こういうのって結構照れ臭いもんなんだな」

 「私も勿論渡しますよ!普段何から何までお世話になっていますからね」


 ランカは言葉通り義理としてアヤトに渡した。
 続いてウルとルウもアヤトに恥ずかしがりながら渡す。


 「ルウたちもお世話になってるのです。でもそれ以上に兄様の事が大好きです!」

 「なの!だからウルたちも大好きな兄様にあげるの!」

 「お前らもありがとな」


 そう言ってアヤトは三人の頭を撫でた。
 ウルとルウはともかく、ランカは子供扱いされて何とも思わないのかと疑問に思う。


 「私も作ってみたぞ。フィーナとアヤト、受け取ってくれるか?」

 「えっ、私にもですか!?」


 フィーナがあまり聞かない敬語を使って驚いていた。


 「勿論だよ。普段お世話になっている者というのであれば女同士でも良いだろう?」

 「まぁ、友チョコなんてのもあるらしいからな。別にあげたい奴にやればいいだろ」

 「・・・というわけだ。受け取ってくれるか、フィーナ?」

 「は、はい!ありがたく!」


 ペルディアさんからチョコを受け取ったフィーナはそのチョコをギュッと胸に抱き締めた。
 なんとも百合百合しい光景だ。


 「・・・・・・」


 リアナは失敗した自分のチョコを見つめたまま固まっていた。
 それをグレイがニヤニヤとして見ていた。


 「おやぁ?随分黒いじゃないか?」

 「・・・うるさい。こんなもの我が子に与えるわけにはいかない・・・だから代わりに貴様が食え」


 そう言って差し出した・・・というより押し付けた形に近い。
 リアナさんはムッとしてそのままどこかへと行ってしまった。
 グレイさんは「マジか・・・」と悲しそうな顔をして押し付けられた暗黒物質を見つめた。


 「告。ヘレナもチョコを送りたいと思います。アヤトと・・・ノワールに」


 二人にそれぞれ差し出されたチョコを見てノワールさんが目を見開いてヘレナっちを見た。


 「貴様が・・・私に?どういう風の吹き回しだ?」

 「解。いつも美味しい食事のお礼です」


 そう答えたヘレナっちは真剣な顔をし、流石のノワールさんも戸惑ってアヤトに視線を向けて助けを求めているように見えた。


 「受け取ればいいだろ。損をするわけでもないんだし」

 「・・・ですね。良いでしょう、受け取ってあげますよ」


 アヤトに聞きながらもノワールさんが素直に受け取ると、ヘレナっちが微かに笑った気がした。
 なんだか、こういうところは異世界でも元の世界でも変わらないなと思う。


 「はぁ・・・アヤトはいいよな、モテて」

 「・・・・・・」


 あーしの隣で嘆くユウキ。
 そう、こういうところも変わらない。
 男の僻みほど醜いものはないのだ。


 「だったら・・・コレやるし」

 「・・・え?いいのか?」

 「あーしは別にあげる相手いないし。だから義理でもいいならあげるし・・・」

 「・・・う・・・うぉっしゃぁぁぁ!!」

 「「!?」」


 あーしがあげたチョコを掲げて叫んだユウキ。
 その声で全員が注目する。


 「っつ・・・なんでチョコ一つでそこまで喜ぶんだし!?あんたなら向こうでいくらでも貰ってたっしょ!!」

 「それとこれとは別だっての!そもそもあっちじゃ外面を作って愛想振り撒いてたんだから、そんなんで貰っても嬉しくねえよ!」

 「あんた本当に最低だし・・・って事はアレ?あーしのただの義理チョコが嬉しかったってわけ?」


 からかうつもりで笑いながら言った言葉だった。
 だけどユウキから返ってきた返事は思っていたものと違うものでーー


 「ああ、嬉しいね。外面だけしか見てない奴らから貰う本命よりよっぽど嬉しいわ」

 「・・・あっそ」


 さっきの表情とは違う、はにかむような笑顔でそう言われたあーしは思わず胸がギュッとなってしまう。
 惚れるなんて事にはならないけど、コイツは外見だけじゃなくて中身もちゃんとイケメンなんだなと思った。


 ーーーー


 少し遅めのバレンタインネタです。
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