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夏休み
都市伝説 ※ホラー要素注意
しおりを挟む自動車よりも速い速度で移動し、中にいる盗賊たちを次々と倒していく。
すると奥まで来たのか、檻みたいなところに閉じ込められていた女たちのところに到着した。
そして鉄格子の前にいた見張り二人。その内一人の首を即手刀で刎ね、恐怖で強ばったもう一人の元へと走る。
「ギィヤァァァァァッ!?」
すでに失禁していた男は俺が来ると分かった途端に奇声を発し、膝を突いて気を失ってしまった。
しかしそれが普通だろう。
上半身しかない女が腕だけで移動し、しかもそれが自動車並の速さで襲って来るのだから。
もちろん俺がしているこのモチーフは「テケテケ」という都市伝説を元にしている。
だがこの世界にはそんな都市伝説などない。まぁ、七不思議くらいはあるかもしれないが。
だからこの世界の住人からしたら今の俺は厄介な魔物という事になる。
ただ、正直言ってコレ・・・楽しいです。
人を殺す事がじゃないよ?人を驚かす快感というやつだ。
お化け屋敷のおばけ役に就いてる人とかってこういうのが好きでやってるんだろうなと思う。
そんな俺の姿を見た閉じ込められている女たちは壁の端に集まり、怯えた目でこっちを見ていた。
遊びでやったとはいえ申し訳なく思いつつ、しょうがないと諦めて鉄格子の錠だけ壊して去ろうとした。
すると女たちの中から一人の少女がこっちに走って来た。
「ダメッ、戻って来なさい!?」
恐らく母親であろう女の制止も聞かずに鉄格子前まで来てしまった。
「助けてくれてありがと・・・髪の長いお兄ちゃん!」
「「・・・え?」」
女たちと一緒に俺も抜けた声を出してしまった。
一応顔はウィッグで隠してある筈なのに男だとバレてしまった。
もしかしたら子供特有の勘で偶然当てただけなのかもしれないが。
そして俺が声を出してしまったために女たちの警戒心も少しだけ薄らいで近付いて来た。
「あの・・・魔物の方、ですか?」
「・・・・・・」
魔物がここで「はいそうです」なんて言うわけがない。
だがさっきの声を聞かれたかもしれないので、それを誤魔化すために無言を貫いたまま鉄格子を手刀でバラバラにし、悲鳴が上がったのを確認してその場を去る。
気絶した盗賊は証人のためにそのまま放置しておく。
ーーーー
「ボス、マズいですぜ!仲間がどんどんやられてる!!」
アヤトが捕虜を解放した後、撹乱のためか派手に暴れ回り大混乱となっていた。
「落ち着けてめえら!所詮相手は魔物一匹!戦える奴らを前に出して数で押せえ!!」
本人すらも焦りながら指示を出す大柄の体をした盗賊たちの頭領。
そんな慌ただしい中、扉が勢い良く音を立てて開かれた。
「ボス!!」
「なんだうるせえ!!」
パニック状態の頭領は突然部屋に入って来た下っ端の男に怒鳴り散らした。
しかし怒鳴られた男は動じるどころか、徐々に目から生気が消えていった。
「全員全、滅・・・化け物、が・・・すでに・・・」
遅くなる言葉と共に知らせに来た男の上半身が横にズレていく。
上半身と下半身が綺麗に斬られたように分断され、べチョリと下半身が力無く地面に倒れると、後ろには女の姿をした上半身だけのアヤトがいた。
軋むような音を鳴らしながら腕を足代わりにして前に出る。
「なんだ、あの魔物は・・・?なんで俺たちを襲う!?」
「あ・・・あぁ・・・」
その場にいた男の一人が目に怯えを宿し、腰を抜かして地面に尻餅をつく。
「あああアイツは・・・まさか・・・!?」
「なんだ鬱陶しい!見覚えでもあんのか!?」
「・・・俺たちが犯した女の中に、あんな風貌の女が・・・まさかその女の・・・亡霊!?」
ソレがただアヤトが変装した姿だと知らない盗賊たちは見当違いの予想をする。
「バカを言うな、死人が動くかよ!」
否定した頭領も覚えがあったのか、その目が弱々しくなっていく。二人の会話に周囲の不安も募っていく。
「だって!その女は最後にボスが!・・・ボスが遊び半分で体を半分に裂いたじゃないッスーー」
言い合いで完全に自分から意識が外れたアヤトは走り出し、話している最中の下っ端の上半身を切り飛ばした。
「ーーか・・・?」
下っ端の体は宙を舞いながらどこかへ飛んで行き、上を失くした下半身は他の者と同様に膝から崩れ落ちていった。
その光景を見せられた頭領は目を見開き言葉を失う。
その後もその場にいた他の盗賊たちも数人斬り殺され、生き残った者たちも恐怖で逃げ出して残るは頭領だけとなってしまった。
その頭領の元にアヤトが凄まじい速度で向かう。
「ま、待て!謝る!この通りだった!!自主もする!もうこれからは真っ当に生きる!だから許してくれぇ!!」
土下座の姿になった頭領の目の前でアヤトがピタリと止まる。
アヤトの行動に頭領はニヤリと笑みを浮かべた。
「なんて言うと思ったかバカが!そんな事するわけねえだろ!油断しーー」
懐から取り出した剣を振り下ろす。
しかしその剣はアヤトがいる場所の横にズレたところに下ろされた。
「た?・・・あ・・・レ・・・・・・?」
疑問を口にしようとする頭領の耳が落ちる。
指、腕、足、胴、頭の体の至る場所がバラバラになっていく。
(知ってたよ。最初から)
人の悪意を読み取れるアヤトに直接的な不意打ちや騙し討ちが効かない事を知らない盗賊の頭領は、あっけなくただの肉塊へと変貌した。
ーーーー
☆★アヤト★☆
「いやー、本当に良いものを見せてもらったヨ♪」
大体全ての場所を見て捕虜の見落としがないか確認し終わり、そろそろお暇しようとしたところでここの情報をくれた情報屋がやって来て上機嫌にそう言った。
後ろには何故か逃がした筈の女たちが付いて来ていた。
ちなみに白い服とウィッグの変装は元に戻している。
「情報はもういいのか?」
「アア。欲しいものは手に入った。お前さんの情報もナ。もはやなんでもアリダナ」
「そーかい。それで後ろの女たちは?」
「お礼と、言いたい事があるそうだヨ?」
「言いたい事?」と女たちの方を向くと、俺を男だと一番に見破った少女が駆け寄って来た。
「さっきはありがと、髪の短くなったお兄ちゃん!」
「ねえ、この子なんなの?見破りスキルでも持ってるの?」
「いや、本当二。オイラもさっき似たような感想を漏らしたゼ」
この情報屋の正体も口にしたのか。
どうせならその場にいて聞きたかったな。
そして少女に続いて他の女たちも近付いて来る。
「本当にさっきの方・・・なんですよね?助けていただき、本当にありがとうございます」
「感謝するなら俺に依頼した子供にしとけよ。じゃなかったらこんな盗賊共の事なんて知りもしなかったんだから」
「依頼した子供・・・?あの、どんな子供でしたか・・・?」
「ん?確か・・・」
ギルドにやって来た少女の風貌のを思い出す。
「三つ編みにした赤毛に身長は膝よりちょっと大きめなくらいだったな。あとは赤と白の波模様をした服にサンダルを履いた・・・」
俺がそこまで特徴を言うと女たちの中の一人が泣きながら地面に崩れて座ってしまった。
そしてもう一人の若い女もポロポロと涙を流し始めた。
急な事に驚いてしまってただ見てるしかできなかったが、慰めている他の女から真実を聞く事になった。
「すいません・・・あの村にいた者はここにいる者で全てなのです。他の者たちは全員盗賊に殺されてしまい・・・」
「そうだったか・・・だが・・じゃあ、あの子供は?」
俺のその質問に泣きじゃくっていた女が嗚咽漏らしながら口を開く。
「私の・・・盗賊に殺された娘、なの・・・!」
死んだ・・・娘・・・?
ゾクリと背筋が凍る感覚がした。
「私はあの子の姉、です・・・あぁ、神様・・・こんな事って・・・!」
姉だと言った女も未だに涙を流しながらも天井を向いて微笑んだ。
そんな筈はない。だってあの少女を見たのは俺だけではなく、ギルド全員が目撃しているのだ。
いくらファンタジーとはいえ・・・いや、ファンタジーだからこそと理由をこじ付けてしまえば納得もできるが・・・まさか本当に・・・?
《ありがと、おにーさん》
「ッ!?」
突然どこからともなく頭に直接声が響いた。
他の奴には聞こえていないようだったが、ハッキリと聞こえた。
すると情報屋たちが入って来た出入り口に、ギルドにやって来て俺に依頼した幼い少女が見えた。
気配はある。しかしそこに存在しない。そんな魂だけの少女。
その少女は自分を不幸だと微塵も思っていない満面の笑みを浮かべ、静かに消えていった。
「どうしたんダ、そんな幽霊でも見たような顔をしテ?」
あまりの出来事に呆然としていた俺が気になったのか、情報屋が話し掛けて来た。
俺はそんな事もあるかと頭を切り替えて軽く笑って答える。
「いや・・・ハッピーエンドは迎えられなかったが、少なくともバッドエンドは避けられたみたいだからさ」
「アアン?」
何の事か分からない情報屋は首を傾げる。
なんとなくだが、さっきの少女はちゃんと成仏したんだろうと思った。
ーーーー
「これからあんたらはどうするんだ?」
「「・・・・・・」」
女たちに問うと全員が俯いて黙ってしまう。
男たちが殺され、帰る村を失くしたコイツらをどうするか。
一応案がないわけではないが、コイツらが自分で何とかすると言い出せば俺は何もしない。
「悪いが案ならもうオイラが出しちまっタ」
「ああ、そうか。なら俺の出番はーー」
「この子たちを君の空間魔術の中でお世話してあげたらどうカナ?って」
情報屋は何の躊躇もなく俺の個人情報をバラしやがった。
確かに俺の案はソレだったが、情報屋が人の情報を無断でバラまいてどうすんだよ・・・。
そして女たちが目の前で土下座をし始める。
「お願いします。領主も存在しない女だけの私たちでは村の復興は難しいのです。たとえ数ヶ月を私たちだけでやって行けたとしても、いつかその土地の税が払えなくなり使えなくなってしまいます。しかしこの方が貴方様なら何とかしてくれるとの事。私たちにできる事なら何でもします。ですので、どうか・・・!」
どうやら情報屋は抽象的な事を言っただけで空間魔術の事を言ってないらしい。しかし人任せも甚だしい。
すると「何でも」という言葉を聞いた他の数人がピクリと反応し、震え始める。
無責任に「何でも」とは言ってほしくないのだが、それでも頭を上げたり文句も言わないという事はそこまでして生きたいという事なのだろうか・・・。
「・・・しょうがない、なら条件付きだ」
「・・・!!大丈夫です!」
早い早い早い、返事早過ぎる。
俺がここの盗賊みたいなゲスな人間だったらどうするつもりだよ、コイツら?
「一つ目はここにいる奴ら以外との接触はほとんどできなくなる。もちろん俺のとこにいる仲間を除いてな。その了承だ」
「はぁ・・・?」
どういう意味か理解できないようだった。
「つまりもしここ以外に家族が居ても、もう会えなくなるって事だ。それが嫌ならーー」
「「構いません!!」」
「構いませんー!」
女たちが気合いを入れて答え、後から遅れて少女が面白そうに復唱する。
あまりの勢いにちょっと後ずさりする。
「そ、そうか・・・んじゃ、二つ目。亜人魔族に偏見や敵意を持たない事。それができなきゃ海の真ん中に突き落とす」
「わ、分かりました」
最後の脅し文句に少し怖気付いていたが、他の女たちと一緒に頷いて承諾する。
なりふり構っていられないようだが、ヤケになっているわけではなさそうだった。
一応ここは信用しておこう。
「最後に三つ目。自給自足だ。たまに俺と会う事はあるかもしれないが基本的にあんたらだけで何とかしてくれ。一応これからあんたらの仲間になる奴が取って来たりすると思うが、ある程度は自分たちで生きろ」
「「はい!!」」
「はーい!」
「ハァーイ♪」
シリアスな場面をぶち壊すかのように少女と情報屋が抜けた返事をする。
お前は関係ないだろ、情報屋。
その後は女たちを魔空間に招待し、ナルシャを連れて来てお互い紹介させる。
情報屋はここの情報も知っていたようなのでついでに連れて来た。
「ほほゥ♪アレもコレも見た事ない草木ばかり!情報が沢山あり過ぎてオネーサン感激だゼ!」
フラフラ~とあっちこっち見る情報屋。
そんなに違いがあるのかと疑問に思いつつ、情報屋に口止めの話をする。
「口止め料はくれるかイ?」
「・・・ここの出入りって俺ともう一人しか作れないんだよなぁ・・・」
「アァ、そんナ・・・知ってはいけない事を知られてしまイ、誰の目にも届かない場所に監禁して口では言えないアンナ事やコンナ事ヲ・・・この鬼畜メ!」
「うるさいよ」
二ヒヒと笑いからかっているだけだと分かるので、一言ツッコむだけにしておく。
するとナルシャが向こうから嬉しそうにやって来る。
「なぁなぁ、アイツらを子分にしていいのか!?」
「なんでそんな話になった?上下関係なく仲良くやれ」
「そうか・・・でもアイツらが・・・」
ナルシャが女たちの方を見て、釣られて俺も見ると女たちが不安そうにしていた。
やはり口では何とでも言えても、実際に魔族を目の前にすると感情を優先してしまうのだろう。
「気兼ねなく接してやってくれ。そうすればいつか打ち解けるだろうから。あ、暴力は無しだからな?」
「分かったよ」と返答したナルシャは女たちの元へと戻って行った。
成人の女たちはギクシャクした感じだが、幼い少女は「お腹減ったー!」と言い、ナルシャが「んじゃ飯にしようぜ!」と軽く打ち解けている。
やはり余計な知識が身に付いてない子供の時は色々と受け入れ易いみたいだ。
「ほんジャ、オイラも他の情報を探すからここらで元の場所に戻してくれるとありがたイ」
「分かった。次はいつ会えるか分からんが、そん時に欲しい情報があったら買わせてもらうよ」
「アイヨ。・・・ま、もしかしたら近いうちにすぐ会えるかもだけどナ♪」
空間の裂け目を作り、情報屋がその中に潜る最中に意味深な事を呟いて行ってしまった。
その姿が見えなくなって一息吐くと同時に色んな疑問が浮かび上がってくる。
アイツは俺が空間魔術を使う事を知っていた。
どんな方法で俺に知られずに俺の周囲にある情報を集めたのか気になる。観察している奴がいれば分かる筈なんだがな・・・。
もしかしたらスキルに千里眼みたいなのがあるのかもしれない。
本人がいなくなり聞く事ができなくなった尽きる事のない疑問。
だがとりあえず、「近いうちにすぐ会える」というその言葉を信じて今はその疑問の数々を頭の隅に置いておく事にした。
・・・とりあえず、今は先にこの女たちの住む家を作ってやるとするか。
その後逃げ出した盗賊たちは全員御用となった。
盗賊の証言から盗賊のアジトに調査員が派遣され、あまりにも衝撃的な惨状を目撃したために信憑性が高まり、下半身の無い女の形をした新しい魔物が誕生したと話題になった。
ちなみに俺は「着いた頃には人気が無かったから帰って来た」と伝えた。
多少疑惑の目を向けられたが、流石に空間魔術の事を知らない奴らはその「下半身の無い女の形をした魔物」を俺だと思う筈もなく、頷いて納得していた。
これからも信憑性を高めるために盗賊はこの手段で相手しようと思う。
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