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建国編
第15.5話 皇都名物『千代古』
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瑞穂、千代、藤香、ローズ、ユーリ、凛、小夜。
この日、珠那の甘味屋に瑞穂たち女性陣の姿があった。彼女たちがいるのは厨房。ここに目当ての品がある。
「こ、これが…」
彼女たちの目の前に置かれているのは、大量の黒い豆。詠の舟商人が遠くから仕入れてきたチョコレートの原料であるカカオ豆であった。
そう、この日は新たな甘味の開発のために、料理自慢の女性陣が集結している。
発起人は千代である。千代がローズからチョコレートの話を聞き、ぜひ作ってみたいと瑞穂に進言した。
皇国一の甘味好きである瑞穂がその誘いに乗らないはずもなく、私財と人員を投入し、今日に備えていた。
「ローズ、これが例のかかおって豆?」
「え、えぇ。まさか、本当にこれを取り寄せるとは思ってなかったわ…」
「じゃあ、早速取り掛かかりましょう!」
ローズの指示に従い、瑞穂たちはカカオ豆を何度も水で丁寧に洗う。何度洗っても水が濁るが、それでも根気よく豆を洗い続ける。
洗い続けた結果、先ほどまで濁っていた水が濁らなくなった。
次に、洗い終わった豆を火で焙煎していく。千代の呪術によって火をおこし、鉄鍋の中でゆっくりと転がしていく。
「皮が弾けたら、少し熱を加えて。焙煎が長いと苦味が増すから、少しだけよ」
しばらくすると、焙煎していたカカオ豆の皮が弾ける。そこに少しだけ熱を加えたあと、鍋から豆を取り出して豆の皮を剥いでいく。
この作業がなかなか面倒なのである。
「結構大変なのです…」
「みんなでやれば早いですよ。ほら、ミィアンさんもつまみ食いしてないで手伝ってください」
「何やこれ、えらい苦いぇ…」
「当たり前よ。カカオ豆は本来苦いものなの。甘くするには、細かく砕いたカカオ豆に砂糖をありったけ加えないと、豆本来の味は苦すぎて食べられたもんじゃないわ」
「つまみ食いに罰が当たりましたね」
ローズは慣れた手つきで皮を剥いた豆をすりつぶしていく。隣にいた小夜がそれに負けじと皮を剥く。
「さて、それじゃあ豆をすり鉢でありったけ細かくするわよ」
全員ですり鉢を使い、カカオ豆を細かく砕いていく。これがなかなか根気が必要で、大量の豆を砕くのに一刻以上掛かった。
そして、その砕いた豆をすり鉢ごと薄く張ったお湯に湯煎し、温度で溶かしていく。
「すごく滑らかになってきたわ」
「香りも良くなってきましたね」
それから昼にかけて、砂糖と乳を加えつつひたすらかき混ぜる。
出来上がったのは、滑らかにとろける甘いチョコレートだった。
「ふぇ、疲れました瑞穂様…」
「千代、あともう一息よ。これを呪術で冷やして固めて頂戴」
「ふぁい…」
千代が大鍋に入れられたチョコレートに、術式を描く。
「氷符、凍結」
すると、とろとろに溶けていたチョコレートが固まる。その塊を珠那が包丁のみねで叩き、一口大の大きさに砕いた。
女性陣はそれを手でつまみ、各々が自分の口の中に入れる。
結果、絶品。
「ホントに美味しい…あむ…」
「うちも貰うぇ!」
「どれだけ食べても飽きませんね」
そのとろける様な甘さに、女性陣は誰もがやみつきになる。
「まさか、本当に作っちゃうなんて…はは」
皇国女子の甘味に対する執着に、ローズは脱帽した。
ここで瑞穂が、あることを閃く。
「さてと、今ので作り方も分かった訳だし、これを新しい皇都名物にしてみないかしら?」
「皇都の名物に?」
瑞穂の思いつきに、千代たちは驚く。
「そう。皇都でしか食べることのできない代物にすれば、皇都に訪れた者はみなこれを食べに来る。希少性と新感覚の味を売りにする」
「生産と販売が安定した軌道に乗りさえすれば…いける」
珠那も乗り気であった。
「じゃあ、名前を決めない?」
「そうね。ちょこれぃとって言いにくいし」
「じゃあ、最初のちょこの部分をとって、千代古はどうかしら?」
瑞穂は、千代の名を冠した当て字を書く。
「今回、千代が一番頑張ってくれたし、読み方も同じだからいいんじゃないかしら」
「え、えっ、でも」
「千代古、とても素敵なのです」
「え、えっ!」
「それじゃあ、改めてこれは千代古に決定!」
こうして、皇都名物『千代古』が完成し、皇都民をはじめ千代古は様々な場所へと行商人によって運ばれ、国内外に広く知られる様になった。
この出来事がきっかけとなり、皇国で年に一度、女性から男性に千代古が贈られる習慣が出来たのは、もう少し後の話…
この日、珠那の甘味屋に瑞穂たち女性陣の姿があった。彼女たちがいるのは厨房。ここに目当ての品がある。
「こ、これが…」
彼女たちの目の前に置かれているのは、大量の黒い豆。詠の舟商人が遠くから仕入れてきたチョコレートの原料であるカカオ豆であった。
そう、この日は新たな甘味の開発のために、料理自慢の女性陣が集結している。
発起人は千代である。千代がローズからチョコレートの話を聞き、ぜひ作ってみたいと瑞穂に進言した。
皇国一の甘味好きである瑞穂がその誘いに乗らないはずもなく、私財と人員を投入し、今日に備えていた。
「ローズ、これが例のかかおって豆?」
「え、えぇ。まさか、本当にこれを取り寄せるとは思ってなかったわ…」
「じゃあ、早速取り掛かかりましょう!」
ローズの指示に従い、瑞穂たちはカカオ豆を何度も水で丁寧に洗う。何度洗っても水が濁るが、それでも根気よく豆を洗い続ける。
洗い続けた結果、先ほどまで濁っていた水が濁らなくなった。
次に、洗い終わった豆を火で焙煎していく。千代の呪術によって火をおこし、鉄鍋の中でゆっくりと転がしていく。
「皮が弾けたら、少し熱を加えて。焙煎が長いと苦味が増すから、少しだけよ」
しばらくすると、焙煎していたカカオ豆の皮が弾ける。そこに少しだけ熱を加えたあと、鍋から豆を取り出して豆の皮を剥いでいく。
この作業がなかなか面倒なのである。
「結構大変なのです…」
「みんなでやれば早いですよ。ほら、ミィアンさんもつまみ食いしてないで手伝ってください」
「何やこれ、えらい苦いぇ…」
「当たり前よ。カカオ豆は本来苦いものなの。甘くするには、細かく砕いたカカオ豆に砂糖をありったけ加えないと、豆本来の味は苦すぎて食べられたもんじゃないわ」
「つまみ食いに罰が当たりましたね」
ローズは慣れた手つきで皮を剥いた豆をすりつぶしていく。隣にいた小夜がそれに負けじと皮を剥く。
「さて、それじゃあ豆をすり鉢でありったけ細かくするわよ」
全員ですり鉢を使い、カカオ豆を細かく砕いていく。これがなかなか根気が必要で、大量の豆を砕くのに一刻以上掛かった。
そして、その砕いた豆をすり鉢ごと薄く張ったお湯に湯煎し、温度で溶かしていく。
「すごく滑らかになってきたわ」
「香りも良くなってきましたね」
それから昼にかけて、砂糖と乳を加えつつひたすらかき混ぜる。
出来上がったのは、滑らかにとろける甘いチョコレートだった。
「ふぇ、疲れました瑞穂様…」
「千代、あともう一息よ。これを呪術で冷やして固めて頂戴」
「ふぁい…」
千代が大鍋に入れられたチョコレートに、術式を描く。
「氷符、凍結」
すると、とろとろに溶けていたチョコレートが固まる。その塊を珠那が包丁のみねで叩き、一口大の大きさに砕いた。
女性陣はそれを手でつまみ、各々が自分の口の中に入れる。
結果、絶品。
「ホントに美味しい…あむ…」
「うちも貰うぇ!」
「どれだけ食べても飽きませんね」
そのとろける様な甘さに、女性陣は誰もがやみつきになる。
「まさか、本当に作っちゃうなんて…はは」
皇国女子の甘味に対する執着に、ローズは脱帽した。
ここで瑞穂が、あることを閃く。
「さてと、今ので作り方も分かった訳だし、これを新しい皇都名物にしてみないかしら?」
「皇都の名物に?」
瑞穂の思いつきに、千代たちは驚く。
「そう。皇都でしか食べることのできない代物にすれば、皇都に訪れた者はみなこれを食べに来る。希少性と新感覚の味を売りにする」
「生産と販売が安定した軌道に乗りさえすれば…いける」
珠那も乗り気であった。
「じゃあ、名前を決めない?」
「そうね。ちょこれぃとって言いにくいし」
「じゃあ、最初のちょこの部分をとって、千代古はどうかしら?」
瑞穂は、千代の名を冠した当て字を書く。
「今回、千代が一番頑張ってくれたし、読み方も同じだからいいんじゃないかしら」
「え、えっ、でも」
「千代古、とても素敵なのです」
「え、えっ!」
「それじゃあ、改めてこれは千代古に決定!」
こうして、皇都名物『千代古』が完成し、皇都民をはじめ千代古は様々な場所へと行商人によって運ばれ、国内外に広く知られる様になった。
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