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詠嘆編
第95話 禍ツ祟神威大神
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「この刻を、どれ程待ったか…」
真白くなっていた視界が元に戻ると、舞台全てを覆っていた黄泉喰らいの大水晶は跡形もなく無くなっていた。代わりに、その舞台に立つのは雰囲気が一変した男がいた。
「何だ、その姿は…」
「何だとは失礼だな。これが僕の本当の姿さ」
黒かった髪色は真白に染まり、顔つきも鋭くなる。何よりも信じられないのが、瑛春から感じられる呪力のそれが、明らかに神力と呼べるほどの性質に変化しているということ。
理由はどうであれ、俺は人が大神になる瞬間に立ち会ったのだ。細かく言えば、瑛春を人と表現するのは妥当ではないかもしれないが、少なくとも、今目の前で起こった光景は信じられないものであった。
そして、その手には大和での戦いの折、タタリと共に夢幻の狭間へと封印されていた黒い神滅刀が握られていた。
「さて…」
「逃げろ‼︎」
「………かっ、は」
俺は本能的に叫んだが、時すでに遅かった。神滅刀を持った瑛春は、レイセンの背後に一瞬で接近すると、背中から心の臓目掛けて神滅刀を突き刺したのだ。
突き刺した傷口から神滅刀を引き抜くと、レイセンは血を口から流して前のめりになって膝をつく。
「な……何を…するの…じゃ」
「君はもう用済みなのさ、禍霊仙命」
「用済み…じゃと」
「そうさ。君の役目はタタリ本体の保全。そして僕とタタリを引き合わせること。それを完遂できた今、君はもう必要ないんだよ」
「約束を…破るか」
「約束?そんなもの、君とした覚えはないね」
傷口から黒く変色していくレイセンの元に、瑛春が神滅刀を持って歩み寄る。
「下郎が…後悔するぞ…」
「五月蝿いよ」
瑛春はレイセンの首に神滅刀を振り下ろす。神滅刀の刀身はレイセンの首を刎ね、その身体は黒い灰となって四散する。
「神滅刀で斬った大神は神性そのものを消失させる。何とも儚いねぇ」
「味方を…狂ったか、瑛春」
狂った、その言葉を聞いた瑛春はひくつくように笑う。
「狂う?何を言っているんだ神器御剣。僕は正気さ!正気じゃなければ、こんな事しないさ!」
「それを狂気だと言っているんだ!」
俺は草薙剣を構え、瑛春に斬りかかる。しかし、瑛春は斬りかかった俺の草薙剣を、片手で握った神滅刀で弾く。
一瞬、ほんの一瞬だけだったが、隙を作ってしまった。目が合った時の瑛春は、不敵な笑みを浮かべていたように見えた。
「神術、乱稲妻」
その瞬間、身体中に猛烈な痺れが走る。
「く、ぐぁああっ⁉︎」
まるで稲妻の中に放り込まれたかのように、衝撃が走り、四肢の感覚が失われる。羽織りは焦げ、痺れて動けなくなる。身体の自由は奪われ、敢えなく地面に伏せてしまう。
「所詮、神器といえどこの程度か。期待させてくれた割には、大したことないね」
"なんて力だ…出鱈目もいいところだぞ…"
神力によって発現させる呪術は、五行やそれらを組み合わせた通常の呪術とは明確に異なる。人が持つ呪力とは一切性質の異なる大神自身の力、即ち神力によって発現させられるからだ。
人の力の枠に留まる呪力に比べ、神力は圧倒的な力を誇る。それはまるで天変地異、計り知れないほど強力なもの。
さっきの攻撃を受けて、身体の自由が効かなくなる程度で済んだのも、己の体が人ではなく神器という特別なものであった故だ。これが人なら、間違いなく消し炭にされるか、体が稲妻の衝撃に耐えられず四散していただろう。
「く…そ」
何とか立ち上がろうとする。鞘を杖のように立て、そしてそれを支えにして体を起こす。神器であり、呪詛痕を持っていたおかげで、これだけの攻撃を受けてもすぐに立ち上がるまで癒えた。
再び瑛春に向けて草薙剣を構える。
次に同じ攻撃を受ければ、間違いなく体が保たない。
「さぁ、続きだ」
◇
「ッ⁉︎」
瑛春が神滅刀を振り上げて御剣に迫る。さっきの攻撃は一瞬だったが、瑛春が瑛春の体に手を触れていた。
体に触れた時、瑛春は御剣に神術を放った。御剣は神術を受けた際、その動きを見逃してはいなかった。
瑛春に己の体に触れさせないよう、一定の距離をとって戦う。瑛春が迫れば、一撃を弾いて下り、逆に瑛春が下がれば、斬撃を与える。
「炎符、焔纏‼︎」
神滅刀を上方へ弾くと、素早く腰に差していた業火を抜く。そして、がら空きになった胴に向けて、豪炎を纏わせた刀身を滑らす。
「残念」
「ッ⁉︎」
しかし、その斬撃は瑛春がもう片方に握られていた錫杖によって防がれる。ある種の二刀流ではあるが、その技量は一刀流のそれに引けを取らない。
むしろ、今の瑛春は明らかに御剣を凌駕していると言わざるを得ない。
更なる追撃も防がれる御剣。一撃一撃に力が籠り、刀の柄を握る手の皮が裂け、血が滲む。
執拗に胴を狙う御剣の背中に、瑛春は神滅刀の頭を叩きつける。そして、御剣の胴に蹴りを放ち、回転するように神滅刀を横に振るう。
御剣はこの時を待っていた。
「魂斬、一閃」
右手に持った業火で神滅刀を弾き、左手に持った草薙剣で下から斬り上げる。かつて、迦ノ国との戦の最中、二刀流を極めた敵将泰縁が得意とした技だった。
「かっ!はっ⁉︎」
油断しきっていた瑛春は、胴に草薙剣の斬撃を受ける。魂斬は呪力の刀身で魂を斬る技ゆえ、生身の体に傷を与えることはないが、瑛春の魂に深い傷を負わせる。
「くっ」
傷跡のない傷口を押さえて、瑛春は後ろへと退がる。御剣はこの隙を狙って追撃を行おうとするが、彼の本能が咄嗟に警告したため足を止める。
「何を考えている、貴様」
「………お見通しだったとは」
瑛春は錫杖を眼前で振るう。すると、再び地面が術式に覆われる。術式から現れたのは、幾つかの黄泉喰らいの大水晶で出来た柱。
「僕が怯めば、追ってくると思ってね。此処に誘い込んで君を閉じ込めようと考えていたのさ」
「手の内を明かすとは、腐っても武人の端くれだな」
「僕はただ戦いを楽しんでいるだけさ。世の理をひっくり返す前の前座として、君には舞台を賑やかにしてもらう必要がある」
「無駄口を叩くな」
「まぁ、それにしても、さっきの攻撃は結構良かった。魂斬、覚えておこう」
地面から突き出た大水晶の柱から、輪のように衝撃波が広がる。御剣は己に迫る衝撃波の輪を掻い潜り、瑛春の元へと駆ける。
「前鬼、後鬼」
「「グルゥァァ‼︎」」
術式の中から、新たに二体の妖が現れる。片方は赤い体に二本の角、金棒を持った鬼、前鬼。もう一方は青い体に一本の角、斧を持った鬼、後鬼。
どちらも名ありの妖である鬼、それも上位種でもある。
「奴を倒せ」
二体の鬼は瑛春に指示されると、武器を手に御剣へと駆け出す。衝撃波の輪を避けつつ、大水晶を足場としながら飛び、まずは先に金棒を振るった前鬼に斬りかかる。
前鬼の金棒が足場にしていた大水晶を粉々に吹き飛ばす。飛び上がり、宙で体を捻って金棒を持つ前鬼の腕に斬りかかる。
しかし、前鬼の腕に食い込んだ刀身は浅く、反撃を躱すために傷口からすぐに引き抜く。御剣の想定通り、もう片方の手の拳が迫る。
振るわれた拳を宙に飛び上がり避けるが、今度は着地と同時に後鬼が振るった斧の刀身が迫っていた。
横から迫る斧の刀身に全力で業火を叩きつける。甲高い金属音が鳴り響くと同時に、後鬼の斧は衝撃に負けて地面に叩きつけられる。
「グルァッ⁉︎」
「魂斬」
得物を失った後鬼の胴に向けて、業火を振るう。
「一閃‼︎」
後鬼の胴は炎を纏った業火によって両断される。体を真っ二つに切り裂かれた後鬼は、断末魔を上げながら灰となって消え去る。
「グガァァ‼︎」
相方を失った前鬼は雄叫びを上げ、御剣に向けて何度も金棒を振り下ろす。しかし、大きな体と得物から繰り出される攻撃は、威力が絶大な反面、動きの速さで小柄な対象に劣る。
速さを生かして、振り下ろされた金棒を避けると、御剣は前鬼の体に張り付き、隙のできた部位を斬りつける。
何度も斬りつけられた前鬼は、頭を抱えて怯む。その隙に御剣は前鬼の肩に飛び移り、背後に回って首筋へと登る。
逆手持ちで握った業火の剣先を、前鬼の頸に突き立てる。首筋から脊椎にかけて食い込む刀身に、前鬼はさらに悶え苦しむ。
そして頭に登り、再び業火を上段に構える。
「魂斬、不死断ち」
以津真天の首を斬った動作と同様に、撫でるように前鬼の首を斬る。
「神術、霏霏」
前鬼の首を撫で斬った御剣に、瑛春の神術で発現した氷柱の雨が降り注ぐ、巨大な氷柱は前鬼の体に突き刺さるが、何とか御剣は落ちてくる氷柱を避けることに成功する。
「火符、火柱」
「神術、水面流水」
足元から湧き出た火の柱を、水を創り出して相殺する。大水晶の柱に守られているため、御剣は瑛春に近づくことができず、呪術による遠距離攻撃を強いられる。
業火に纏わせる呪術が主な御剣にとって、単純な呪術の撃ち合いは分が悪かった。
突然、背後に殺気を感じる。先ほど、御剣が不死断ちによって倒したはずだった前鬼が、首から上を失ってもなお、金棒を振り下ろしてきたのだ。
「くそっ⁉︎」
振り向きざまに業火で金棒を受け止める。その勢いは凄まじく、受け止めた際の衝撃で御剣の立つ足元は地面が隆起し、ひびが入る。
頭部を失った前鬼は暴れ狂い、縦横無尽に金棒を振り回す。地面は抉れ、大水晶の柱は粉々に粉砕される。
御剣はそこで、前鬼を上手く誘導することにした。前鬼の金棒で瑛春の周囲に突き出た大水晶の柱を粉砕させていく。
「ほぅ、上手く鬼を使うか。なら、こちらも黙って見ている訳にもいかないね」
瑛春はさらに錫杖を召喚すると、自身の周りを囲むように錫杖を宙に浮かせる。
「神術、反転地変」
術名を唱えると、御剣が前鬼を誘導していた大水晶が、前鬼と置き換わる。後ろから金棒を振りかぶっていた前鬼がいきなり前に現れ、御剣は慌てて防御の体勢を取る。
「がはっ⁉︎」
防御の体勢を取るも、真正面から金棒の一振りを受けた御剣は、腕を折られ後方へと吹き飛ばされる。
その上、さらに瑛春は神術を発動させ、後方の大水晶と前鬼の位置を入れ替えてくる。
"まずいっ⁉︎"
御剣は無理やり体勢を翻し、後方で待ち構えていた前鬼の金棒を避ける。同時に宙返りしながら前鬼の胴に渾身の蹴りを見舞う。呪力によって強化された体術によって、前鬼の体は後方へと倒れる。
着地と同時に素早く呪力を高めて砕けた左腕を元通りの戻す。追い打ちをかけるように迫っていた衝撃波を避けて、倒れた前鬼の胴へと飛び乗る。
「魂斬、不死断ち」
頭部の切り取られた胴の首に、草薙剣を真下に突く。すると、切り口から黒い呪力が吹き出し、剣にまとわりつくように黒い筋が中から引き抜かれる。
左手で筋を掴んだ御剣は、立ち上がろうとした胴から飛び降り、引き出した筋を草薙剣で叩き斬る。すると、先ほどまで手がつけられないほど暴れ回っていた首無しの鬼の体が、一切動くことなく再び地面に倒れ込んだ。
前鬼の体は後鬼と同様に灰となって消える。
「はぁ、はぁ、かはっ」
「いやぁ、お見事お見事。一人であれだけ戦えるのは流石神器と言ったところかな」
「次はお前だ、瑛春」
「そんな状態で勝てるとでも?」
「やってみなきゃ、分からねぇだろ‼︎」
御剣は地面を蹴り、瑛春に向けて飛び出す。瑛春は残っていた大水晶の柱の影に隠れるよう移動しながら、御剣の動きを正面から捉えないよう立ち回る。
「うるぁぁぁあ‼︎」
御剣は一心不乱に剣を振り上げ、渾身の一撃をお見舞いしようと瑛春に振り下ろす。しかし、瑛春は周囲に展開させていた錫杖を使って目の前に星のような形を作り、御剣の草薙剣が交わると同時に、御剣自身に対して剣を弾き返す。
その勢いは凄まじく、体は後ろに仰け反り、手にしていた草薙剣は上段へと弾かれる。
"し、しまっ⁉︎"
「終わりだよ、御剣」
瑛春が手にしていた神滅刀が御剣の胴へと迫る。その瞬間は、とてつもなく遅く感じられた。
"……こんな……ところで"
御剣は死の間際に後悔した。かつて、命を賭してでも救うと誓った人。己に名を授け、神器としての力を与えてくれた恩人。その誓いを果たせぬまま、ここで果てることの悔しさが胸を満たしていく。
後悔も反省も追いつかぬうちに、御剣は目を閉じた。しかし、一向に死が訪れることはない。
"……なんだ?"
目を開ける。そこには、神滅刀の刃が迫っていたはずの光景が広がっていた。しかし、目の前には剣を振り下ろした瑛春の姿があるだけであり、御剣の体には傷一つついていない。
"俺は……生きている?"
前を見ると、瑛春ですら戸惑っている。確かの感じた手応えはあったはずだった。しかし、御剣自身にその実感はまるでない。
次の瞬間、御剣は前方から膨大な呪力を感じる。その呪力の源へと視線を動かすと、草薙剣が一人でに瑛春の神滅刀を防いでいた。
「っ!?」
その剣は、草薙剣に相違ない。しかし、それは御剣が手にしていたものとはまるで別物だった。刀身は細く鋭く尖り、切れ味を増しているように見える。そして、鍔や柄の部分には銀色に輝く勾玉のような宝石がいくつも埋め込まれていた。
"草薙剣が……"
「なんだ、この呪力は!?」
変化した草薙剣に驚いているのは、瑛春だけではなかった。神滅刀の柄を握る瑛春の手は震えており、額からは汗が流れる。
神刀『天叢雲剣』、神滅刀として造り出された草薙剣が、神器である御剣の呪力と融合を果たしたことで変化した姿。
御剣の呪力は際限なく膨れ上がっていく。その力に圧倒されてなのか、それとも何か別の理由があったのか、瑛春は後ろに飛び退く。そして再び錫杖を宙に浮かせると、そこから無数の小さな光弾が放たれる。
「神術、流星雨」
迫り来る光弾を天叢雲剣で切り払うと、瑛春はすぐさま別の術式を唱える。その背後では大水晶の柱が次々と形を変えていく。御剣は呪力の波を感じながら、上空へと飛び上がった。
真白くなっていた視界が元に戻ると、舞台全てを覆っていた黄泉喰らいの大水晶は跡形もなく無くなっていた。代わりに、その舞台に立つのは雰囲気が一変した男がいた。
「何だ、その姿は…」
「何だとは失礼だな。これが僕の本当の姿さ」
黒かった髪色は真白に染まり、顔つきも鋭くなる。何よりも信じられないのが、瑛春から感じられる呪力のそれが、明らかに神力と呼べるほどの性質に変化しているということ。
理由はどうであれ、俺は人が大神になる瞬間に立ち会ったのだ。細かく言えば、瑛春を人と表現するのは妥当ではないかもしれないが、少なくとも、今目の前で起こった光景は信じられないものであった。
そして、その手には大和での戦いの折、タタリと共に夢幻の狭間へと封印されていた黒い神滅刀が握られていた。
「さて…」
「逃げろ‼︎」
「………かっ、は」
俺は本能的に叫んだが、時すでに遅かった。神滅刀を持った瑛春は、レイセンの背後に一瞬で接近すると、背中から心の臓目掛けて神滅刀を突き刺したのだ。
突き刺した傷口から神滅刀を引き抜くと、レイセンは血を口から流して前のめりになって膝をつく。
「な……何を…するの…じゃ」
「君はもう用済みなのさ、禍霊仙命」
「用済み…じゃと」
「そうさ。君の役目はタタリ本体の保全。そして僕とタタリを引き合わせること。それを完遂できた今、君はもう必要ないんだよ」
「約束を…破るか」
「約束?そんなもの、君とした覚えはないね」
傷口から黒く変色していくレイセンの元に、瑛春が神滅刀を持って歩み寄る。
「下郎が…後悔するぞ…」
「五月蝿いよ」
瑛春はレイセンの首に神滅刀を振り下ろす。神滅刀の刀身はレイセンの首を刎ね、その身体は黒い灰となって四散する。
「神滅刀で斬った大神は神性そのものを消失させる。何とも儚いねぇ」
「味方を…狂ったか、瑛春」
狂った、その言葉を聞いた瑛春はひくつくように笑う。
「狂う?何を言っているんだ神器御剣。僕は正気さ!正気じゃなければ、こんな事しないさ!」
「それを狂気だと言っているんだ!」
俺は草薙剣を構え、瑛春に斬りかかる。しかし、瑛春は斬りかかった俺の草薙剣を、片手で握った神滅刀で弾く。
一瞬、ほんの一瞬だけだったが、隙を作ってしまった。目が合った時の瑛春は、不敵な笑みを浮かべていたように見えた。
「神術、乱稲妻」
その瞬間、身体中に猛烈な痺れが走る。
「く、ぐぁああっ⁉︎」
まるで稲妻の中に放り込まれたかのように、衝撃が走り、四肢の感覚が失われる。羽織りは焦げ、痺れて動けなくなる。身体の自由は奪われ、敢えなく地面に伏せてしまう。
「所詮、神器といえどこの程度か。期待させてくれた割には、大したことないね」
"なんて力だ…出鱈目もいいところだぞ…"
神力によって発現させる呪術は、五行やそれらを組み合わせた通常の呪術とは明確に異なる。人が持つ呪力とは一切性質の異なる大神自身の力、即ち神力によって発現させられるからだ。
人の力の枠に留まる呪力に比べ、神力は圧倒的な力を誇る。それはまるで天変地異、計り知れないほど強力なもの。
さっきの攻撃を受けて、身体の自由が効かなくなる程度で済んだのも、己の体が人ではなく神器という特別なものであった故だ。これが人なら、間違いなく消し炭にされるか、体が稲妻の衝撃に耐えられず四散していただろう。
「く…そ」
何とか立ち上がろうとする。鞘を杖のように立て、そしてそれを支えにして体を起こす。神器であり、呪詛痕を持っていたおかげで、これだけの攻撃を受けてもすぐに立ち上がるまで癒えた。
再び瑛春に向けて草薙剣を構える。
次に同じ攻撃を受ければ、間違いなく体が保たない。
「さぁ、続きだ」
◇
「ッ⁉︎」
瑛春が神滅刀を振り上げて御剣に迫る。さっきの攻撃は一瞬だったが、瑛春が瑛春の体に手を触れていた。
体に触れた時、瑛春は御剣に神術を放った。御剣は神術を受けた際、その動きを見逃してはいなかった。
瑛春に己の体に触れさせないよう、一定の距離をとって戦う。瑛春が迫れば、一撃を弾いて下り、逆に瑛春が下がれば、斬撃を与える。
「炎符、焔纏‼︎」
神滅刀を上方へ弾くと、素早く腰に差していた業火を抜く。そして、がら空きになった胴に向けて、豪炎を纏わせた刀身を滑らす。
「残念」
「ッ⁉︎」
しかし、その斬撃は瑛春がもう片方に握られていた錫杖によって防がれる。ある種の二刀流ではあるが、その技量は一刀流のそれに引けを取らない。
むしろ、今の瑛春は明らかに御剣を凌駕していると言わざるを得ない。
更なる追撃も防がれる御剣。一撃一撃に力が籠り、刀の柄を握る手の皮が裂け、血が滲む。
執拗に胴を狙う御剣の背中に、瑛春は神滅刀の頭を叩きつける。そして、御剣の胴に蹴りを放ち、回転するように神滅刀を横に振るう。
御剣はこの時を待っていた。
「魂斬、一閃」
右手に持った業火で神滅刀を弾き、左手に持った草薙剣で下から斬り上げる。かつて、迦ノ国との戦の最中、二刀流を極めた敵将泰縁が得意とした技だった。
「かっ!はっ⁉︎」
油断しきっていた瑛春は、胴に草薙剣の斬撃を受ける。魂斬は呪力の刀身で魂を斬る技ゆえ、生身の体に傷を与えることはないが、瑛春の魂に深い傷を負わせる。
「くっ」
傷跡のない傷口を押さえて、瑛春は後ろへと退がる。御剣はこの隙を狙って追撃を行おうとするが、彼の本能が咄嗟に警告したため足を止める。
「何を考えている、貴様」
「………お見通しだったとは」
瑛春は錫杖を眼前で振るう。すると、再び地面が術式に覆われる。術式から現れたのは、幾つかの黄泉喰らいの大水晶で出来た柱。
「僕が怯めば、追ってくると思ってね。此処に誘い込んで君を閉じ込めようと考えていたのさ」
「手の内を明かすとは、腐っても武人の端くれだな」
「僕はただ戦いを楽しんでいるだけさ。世の理をひっくり返す前の前座として、君には舞台を賑やかにしてもらう必要がある」
「無駄口を叩くな」
「まぁ、それにしても、さっきの攻撃は結構良かった。魂斬、覚えておこう」
地面から突き出た大水晶の柱から、輪のように衝撃波が広がる。御剣は己に迫る衝撃波の輪を掻い潜り、瑛春の元へと駆ける。
「前鬼、後鬼」
「「グルゥァァ‼︎」」
術式の中から、新たに二体の妖が現れる。片方は赤い体に二本の角、金棒を持った鬼、前鬼。もう一方は青い体に一本の角、斧を持った鬼、後鬼。
どちらも名ありの妖である鬼、それも上位種でもある。
「奴を倒せ」
二体の鬼は瑛春に指示されると、武器を手に御剣へと駆け出す。衝撃波の輪を避けつつ、大水晶を足場としながら飛び、まずは先に金棒を振るった前鬼に斬りかかる。
前鬼の金棒が足場にしていた大水晶を粉々に吹き飛ばす。飛び上がり、宙で体を捻って金棒を持つ前鬼の腕に斬りかかる。
しかし、前鬼の腕に食い込んだ刀身は浅く、反撃を躱すために傷口からすぐに引き抜く。御剣の想定通り、もう片方の手の拳が迫る。
振るわれた拳を宙に飛び上がり避けるが、今度は着地と同時に後鬼が振るった斧の刀身が迫っていた。
横から迫る斧の刀身に全力で業火を叩きつける。甲高い金属音が鳴り響くと同時に、後鬼の斧は衝撃に負けて地面に叩きつけられる。
「グルァッ⁉︎」
「魂斬」
得物を失った後鬼の胴に向けて、業火を振るう。
「一閃‼︎」
後鬼の胴は炎を纏った業火によって両断される。体を真っ二つに切り裂かれた後鬼は、断末魔を上げながら灰となって消え去る。
「グガァァ‼︎」
相方を失った前鬼は雄叫びを上げ、御剣に向けて何度も金棒を振り下ろす。しかし、大きな体と得物から繰り出される攻撃は、威力が絶大な反面、動きの速さで小柄な対象に劣る。
速さを生かして、振り下ろされた金棒を避けると、御剣は前鬼の体に張り付き、隙のできた部位を斬りつける。
何度も斬りつけられた前鬼は、頭を抱えて怯む。その隙に御剣は前鬼の肩に飛び移り、背後に回って首筋へと登る。
逆手持ちで握った業火の剣先を、前鬼の頸に突き立てる。首筋から脊椎にかけて食い込む刀身に、前鬼はさらに悶え苦しむ。
そして頭に登り、再び業火を上段に構える。
「魂斬、不死断ち」
以津真天の首を斬った動作と同様に、撫でるように前鬼の首を斬る。
「神術、霏霏」
前鬼の首を撫で斬った御剣に、瑛春の神術で発現した氷柱の雨が降り注ぐ、巨大な氷柱は前鬼の体に突き刺さるが、何とか御剣は落ちてくる氷柱を避けることに成功する。
「火符、火柱」
「神術、水面流水」
足元から湧き出た火の柱を、水を創り出して相殺する。大水晶の柱に守られているため、御剣は瑛春に近づくことができず、呪術による遠距離攻撃を強いられる。
業火に纏わせる呪術が主な御剣にとって、単純な呪術の撃ち合いは分が悪かった。
突然、背後に殺気を感じる。先ほど、御剣が不死断ちによって倒したはずだった前鬼が、首から上を失ってもなお、金棒を振り下ろしてきたのだ。
「くそっ⁉︎」
振り向きざまに業火で金棒を受け止める。その勢いは凄まじく、受け止めた際の衝撃で御剣の立つ足元は地面が隆起し、ひびが入る。
頭部を失った前鬼は暴れ狂い、縦横無尽に金棒を振り回す。地面は抉れ、大水晶の柱は粉々に粉砕される。
御剣はそこで、前鬼を上手く誘導することにした。前鬼の金棒で瑛春の周囲に突き出た大水晶の柱を粉砕させていく。
「ほぅ、上手く鬼を使うか。なら、こちらも黙って見ている訳にもいかないね」
瑛春はさらに錫杖を召喚すると、自身の周りを囲むように錫杖を宙に浮かせる。
「神術、反転地変」
術名を唱えると、御剣が前鬼を誘導していた大水晶が、前鬼と置き換わる。後ろから金棒を振りかぶっていた前鬼がいきなり前に現れ、御剣は慌てて防御の体勢を取る。
「がはっ⁉︎」
防御の体勢を取るも、真正面から金棒の一振りを受けた御剣は、腕を折られ後方へと吹き飛ばされる。
その上、さらに瑛春は神術を発動させ、後方の大水晶と前鬼の位置を入れ替えてくる。
"まずいっ⁉︎"
御剣は無理やり体勢を翻し、後方で待ち構えていた前鬼の金棒を避ける。同時に宙返りしながら前鬼の胴に渾身の蹴りを見舞う。呪力によって強化された体術によって、前鬼の体は後方へと倒れる。
着地と同時に素早く呪力を高めて砕けた左腕を元通りの戻す。追い打ちをかけるように迫っていた衝撃波を避けて、倒れた前鬼の胴へと飛び乗る。
「魂斬、不死断ち」
頭部の切り取られた胴の首に、草薙剣を真下に突く。すると、切り口から黒い呪力が吹き出し、剣にまとわりつくように黒い筋が中から引き抜かれる。
左手で筋を掴んだ御剣は、立ち上がろうとした胴から飛び降り、引き出した筋を草薙剣で叩き斬る。すると、先ほどまで手がつけられないほど暴れ回っていた首無しの鬼の体が、一切動くことなく再び地面に倒れ込んだ。
前鬼の体は後鬼と同様に灰となって消える。
「はぁ、はぁ、かはっ」
「いやぁ、お見事お見事。一人であれだけ戦えるのは流石神器と言ったところかな」
「次はお前だ、瑛春」
「そんな状態で勝てるとでも?」
「やってみなきゃ、分からねぇだろ‼︎」
御剣は地面を蹴り、瑛春に向けて飛び出す。瑛春は残っていた大水晶の柱の影に隠れるよう移動しながら、御剣の動きを正面から捉えないよう立ち回る。
「うるぁぁぁあ‼︎」
御剣は一心不乱に剣を振り上げ、渾身の一撃をお見舞いしようと瑛春に振り下ろす。しかし、瑛春は周囲に展開させていた錫杖を使って目の前に星のような形を作り、御剣の草薙剣が交わると同時に、御剣自身に対して剣を弾き返す。
その勢いは凄まじく、体は後ろに仰け反り、手にしていた草薙剣は上段へと弾かれる。
"し、しまっ⁉︎"
「終わりだよ、御剣」
瑛春が手にしていた神滅刀が御剣の胴へと迫る。その瞬間は、とてつもなく遅く感じられた。
"……こんな……ところで"
御剣は死の間際に後悔した。かつて、命を賭してでも救うと誓った人。己に名を授け、神器としての力を与えてくれた恩人。その誓いを果たせぬまま、ここで果てることの悔しさが胸を満たしていく。
後悔も反省も追いつかぬうちに、御剣は目を閉じた。しかし、一向に死が訪れることはない。
"……なんだ?"
目を開ける。そこには、神滅刀の刃が迫っていたはずの光景が広がっていた。しかし、目の前には剣を振り下ろした瑛春の姿があるだけであり、御剣の体には傷一つついていない。
"俺は……生きている?"
前を見ると、瑛春ですら戸惑っている。確かの感じた手応えはあったはずだった。しかし、御剣自身にその実感はまるでない。
次の瞬間、御剣は前方から膨大な呪力を感じる。その呪力の源へと視線を動かすと、草薙剣が一人でに瑛春の神滅刀を防いでいた。
「っ!?」
その剣は、草薙剣に相違ない。しかし、それは御剣が手にしていたものとはまるで別物だった。刀身は細く鋭く尖り、切れ味を増しているように見える。そして、鍔や柄の部分には銀色に輝く勾玉のような宝石がいくつも埋め込まれていた。
"草薙剣が……"
「なんだ、この呪力は!?」
変化した草薙剣に驚いているのは、瑛春だけではなかった。神滅刀の柄を握る瑛春の手は震えており、額からは汗が流れる。
神刀『天叢雲剣』、神滅刀として造り出された草薙剣が、神器である御剣の呪力と融合を果たしたことで変化した姿。
御剣の呪力は際限なく膨れ上がっていく。その力に圧倒されてなのか、それとも何か別の理由があったのか、瑛春は後ろに飛び退く。そして再び錫杖を宙に浮かせると、そこから無数の小さな光弾が放たれる。
「神術、流星雨」
迫り来る光弾を天叢雲剣で切り払うと、瑛春はすぐさま別の術式を唱える。その背後では大水晶の柱が次々と形を変えていく。御剣は呪力の波を感じながら、上空へと飛び上がった。
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