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総撃編
第48話 根の国、黄泉の国
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葦原村 明風神社
唐突すぎる別れを経験した瑞穂たちは、結界によって守られた明風神社の中で後発部隊が到着するまでの間を過ごすことになった。
境内の一画に敷かれた茣蓙の上には、犠牲になった者の亡骸が寝かされている。犠牲になった者たちは村人たちから別れを告げられたあと、境内を上った先にある墓に埋葬されることになった。
「千代、これを」
瑞穂はそう言って、千代に七葉さんの使っていた大幣を手渡す。しかし、千代はなかなかそれを受け取ろうとしなかった。
「瑞穂様…」
「どうしたの?」
「私は、これを持つ資格があるのでしょうか…?」
自信なさげに答える千代に、瑞穂は有無を言わさずに大幣を手渡す。
「自分の価値は他人が決めることではないわ。千代、自分のことは自分にしか分からない、その価値は自分で決めなさい」
「………」
「ただ、強いて言うのであれば、私はあなたを最高の斎ノ巫女だと思っているわ」
「最高の…」
「そして、私が七葉さんの大幣を渡したのは、あなたに七葉さんの願いを紡いでほしかったからよ」
千代が大幣を見つめると、それ以上、瑞穂は何も語らなかった。
「あ、あの、瑞穂様!」
千代は拝殿へと向かう瑞穂を呼び止める。
そして、両膝を地面につき、目の前で両手を握る。その目には涙が浮かんでいるが、その目は力強く、そして真っ直ぐに瑞穂を見つめていた。
「母上は、とても偉大なお方でした。私はようやく、その母上が残したものに気づくことができました!」
千代は立ち上がり、大幣を握りしめる。
「それは、平和への願いにございます。私はその託された願いを叶えるため、この身、そしてこの命尽き果てるまで、斎ノ巫女として大御神様、否、瑞穂様に仕えさせていただきます!!」
その言葉を聞いた瑞穂は、着物をなびかせて背中越しに口を開く。
「私に仕えることになったあの時から、あなたは私の斎ノ巫女よ。ついて来なさい千代、私たちにはやることが残っているわ」
「はい!」
◇
拝殿では、すでに山を越えた沿岸部の橋頭堡に撤退した宇都見国軍に対する、反抗作戦の軍議が行われていた。
私たちがここに来るに当たって引き連れて来たのは、先発部隊たる騎兵約100と歩兵約200。ミィアンと龍奏が率いる5千の後発部隊が葦原村へと向かっている。
少数の皇国軍と敵とでは、圧倒的人数差があった。
「ミィアンたちが到着するのは、おそらく明日の明朝。御前、敵の総数は約1万と言っていましたね?」
「その通り、敵は皇都からの増援が来る前に葦原村より撤退した。おそらく、態勢を整えてから進軍するつもりだったのだろう」
戦力の差には不安を覚える。
「単純に見積もっても、5千と1万。大きな差ね…」
「東部の沿岸は広いが、そのほとんどが崖や入り江になっていて、大軍の上陸は困難だ。しかし、すでに他の村が蹂躙されているとすると、敵は上陸地点を一つに絞らずに、あえて複数の上陸地点を確保していると見るべきだろう」
御剣の言うことが正しければ、敵はいくつかの集団に分かれ、道中の村を侵略しながら皇都へと進んでいる。
ならば、私たちが取るべき行動は、敵が合流し約1万の軍勢になるよりも前に、個々の集団を叩くことだ。
「明日、ミィアンの後続部隊が到着した後、沿岸部へと進軍を開始する。作戦は後続部隊と合流後、説明する。各位、準備を怠ることなる備えるよう、以上、解散」
軍議を終えた私は、御剣を呼び止めた。
「どうした、瑞穂?」
「御剣、あなたにどうしても話しておきたいことがあるの。ついて来て」
御剣を連れてやって来たのは、本殿の裏手にある洞窟を、さらに奥に降りたあの祠。先代になる大御神のカミコが眠っている場所だ。
「こんな所があるなんて、知らなかった」
「ごめん、何も言わずに急に連れて来て…。ここは大御神の祠。あなたをここに連れて来た理由、分かる?」
御剣は首を横に振る。
「すまんが、検討がつかない」
「私は宇都見国との戦いが終われば、正式に大御神であることを皇民に表明するつもりよ」
「本当に良いのか?」
「えっ?」
予想外の反応に、私は一瞬どうしていいか迷ってしまった。
「それをすれば、もうお前は普通の人間として生きていけない。名実共に、大御神という別の存在になるんだぞ?」
「私だって、出来ることなら普通の人として過ごしたい。でも、どれだけ人として過ごそうが、私は所詮は大御神、運命は変えられない。だからね、御剣」
私は御剣に抱きついた。すると御剣は、私を優しく抱きしめ返してくれた。
「御剣は私のことを、ずっと人として見てほしい。大御神じゃなくて、瑞穂という葦原村の一人の人間として」
「もちろん。そして俺はお前の決意を心から尊敬し、約束してやる」
私は御剣から離れると、薄く張られた水面を歩いて祠へと向かう。
「私は大御神として生き、千代は斎ノ巫女として仕える。御剣、あなたは私の神器であり従者。あとはあなただけよ」
すると突然、私が触れた祠が光を放ち、眩しい閃光が辺りを包んだ。
◇
???
俺は目を覚ますと、一面が灰色の世界にいた。
「ここは…」
光はない。しかし、ぼやける様に視界は明るく、目の前にあるものをぼんやりと写し出していた。
そこは、灰色の雪が降る闇の世界。
天地が逆転した様な灰色の空からは、感覚を開けて木の根のような物が突き出し、地面に向けて伸びている。
地面には灰色の雪、もとい砂が積もり、さながらその光景は砂漠の様であった。
「そ、そうだ。刀…」
周りを見渡す。どうやら刀は無事の様だった。刀だけじゃない。身体も、服も、目も、全てが無事だった。
”あれは、木?”
視線の先には、空から地面に向けて生える様に伸びる大木。兎にも角にも、俺はその大木を目指して歩く事にした。
「ドウイウコトダ、ナゼ…」
突然の声に驚き、背後を振り返る。しかし、そこにいたのは人ではなく、人と全く同じ形をした影であった。
それらは影にしては虚で、目を凝らせば人の顔をしているのが見える。
影は何もないところから現れては、大木を目指して足を引きずる様に歩き出す。そのまま歩き続ける影もいれば、途中で力尽きて倒れる影もいる。
「シニタクナイ、シニタクナイ…」
「ワタシ、ダレダッケ…」
意思があるのないのか、よく分からない。しかし、影が向かう先の大木には、何かがあると考えた。俺は影の間を縫う様に歩き、大木へ向けて歩き始めた。
しばらく歩き続けると、目の前に大きな門が現れる。影たちはその門を透けて中へと入って行くが、俺は透けることができず中へと入ることができなかった。
「ウ、ウゥ…」
「ッ!?」
その場に立ち往生していると、背後にいた影の1人が唸り声をあげて、周りにいた何人かの影を触手で絡め取り、自分の影へと吸収する。やがてその影は、人の形とはかけ離れた形へと変貌する。
「何だこいつは!?」
触手を自在に動かした影は、俺を狙って攻撃を繰り返してくる。俺を捉えられなかった触手が門に激突する。そのおかげで門は破壊されたが、この影からは安易と逃げることはできそうになかった。
動きが予測しづらく、影の触手は刀で斬るには硬い過ぎる。
万策尽きたと思った時だった。
「それを使え」
先ほどまでとは違い、人の声がする。すると、立っていた場所のすぐ近くの地面に、一振りの剣が突き刺さる。それは刀とは違い反りはないが、刀身は磨き上げられ輝きを放ち、手に持った瞬間に不思議な力を感じる。
そして、不思議なまでに手に馴染んだ。
“これは…”
「傀儡に普通の武器は通用しない」
剣を手にして影へと斬りかかる。業火では斬り落とせなかった影の触手が、剣ではいとも容易く叩き斬ることができた。残る触手の攻撃を掻い潜りながら、最後の触手を断ち切ったところで影は崩壊していく。
「その剣は草薙の剣、手に馴染むのもおかしくはない。それは、お前のために生み出された剣なのだからな」
「俺のために…?」
男はそう言って俺の目の前へとやってくる。
その男の顔を見た俺は驚愕する。
なぜなら俺と瓜二つの顔をしているのだ。
「お前、一体何者だ?」
「俺か、俺も奴らと同じ存在さ。ただ、奴らとは少し造りは違うがな」
奴ら、おそらくこの男が傀儡と呼んだ影のことだろう。それならば尚更この男のことは信用できない。
「誤魔化すな。お前は明らかに奴らとは違う。それに、俺と同じ顔であるのがどうも気に食わん」
「案ずるな、俺はお前の味方だ。そうだな、今は案内人とでも名乗っておくか」
案内人と名乗った男は、影の攻撃によって崩れた門の向こう側へと歩いていく。俺は状況が掴めず困惑するが、男の後ろをついていくことにした。
「目的地にたどり着くまでに、お前が聞きたい質問にいくつか答えてやろう」
灰色の砂から石畳に変わった地面を歩きながら、案内人はそう言い出した。
「ここはどこなんだ」
「根の国だ」
「根の国だと!?」
「さっきお前がいたのは根の国の入り口、黄泉の門。あれを抜けることが出来るのは善行を積んだ死者のみであり、悪しき魂を持つ死者は通ることができない」
「壊れてしまったが、良いのか?」
そう言うと、案内人は来た方向を指差す。
「見ろ。門は勝手に修復されるんだ。まだ遠く離れていないから見えるだろう」
振り返ると、傀儡の攻撃によって破壊された門がいつの間にか元どおりになっていた。
「傀儡の中には、お前が倒したやつみたいに現世への思い入れが強く、死を受け入れようとしない者がいる。傀儡はもともとは現世を生きた人なんだ。人は死ぬと傀儡となり、一度根の国へと堕ちる。そして黄泉の門をくぐり、あの大木へと向かい、初めて亡者となり常世へと召される」
「なら、なぜお前があそこにいた」
「暴れるやつを倒すのが俺の役目だ。今回はお前が倒してしまったがな」
「あの大木にたどり着かなければどうなる?」
「あの大木は常世と根の国をつなぐ唯一の道。つまり、あそこにたどり着かなければ死者の肉体は死せどその魂は死なず。永遠にこの薄暗い世界を彷徨うことになる。あの大木に辿り着けないのは、生への執着を失った者くらいだ」
今度は案内人から質問が投げられる。
「なら、俺から一つ質問だ。なぜお前みたいな奴がここにいる?」
「俺は、さっきまで明風神社にいた。主が祠に触れると、気がつけばこの世界にいたんだ」
「なるほどな。全ては運命の通りだな、神器御剣」
俺は、案内人が自分の素性を知っていることに驚いた。
「お前、なぜ俺のことを…」
「全て知っているさ。葦原村のことも、瑞穂之命や斎ノ巫女のこともな。ほら着いたぞ、目的地の大木だ」
俺は逆さまに生えた大木の幹へと近づく。そこには人が入れるほどの大穴が空いており、先は見えないが暗い入り口になっていた。
「その穴を進めば根の国から常世へと行ける。俺の役目は終わりだ。その剣は持って行くと良い、なにせお前のための剣だ。大切に使え。あぁ、そうだ…。一つ言伝を頼まれてくれないか?」
「誰に対してだ?」
「常世にいるカミコと言う女だ。たまには会いに来いってな」
「…承知した」
俺は剣を腰に差し、穴の中を進んだ。
◇
「あれが、今代の御剣か。驚いたな、俺と全く同じ顔じゃないか。驚くだろうな、カミコのやつ…」
案内人はそう呟くと、来た道を引き返して行く。
「必ず主を守れよ、御剣」
◇
常世 黄泉比良坂
根の国の大木に開いた穴の中進むことしばらく、御剣は開けた場所へ出る。そこは根の国とは違い明るく、まるで自然に囲まれた森の様な場所だった。
その森の中に続く一筋の坂道を進んだ。
俺と同じ様に、根の国からやってきた傀儡たちが、同じように坂道を登っている。驚いたのが、先ほどまで影と称した傀儡たちが、常世に来てから人と変わらぬ姿へと変貌していたのだ。
「小生、永らくこの黄泉比良坂にて選別をしてきたが、生者がここに来たのは初めてだな」
坂の中腹に差し掛かったところで、女性が御剣に声をかける。女性の名は菊利乃命。大神の一柱であり、ここ黄泉平坂において魂の選別を行う大神であった。
「ん?其方、その剣は…」
「草薙剣のことか?根の国で俺と瓜二つの案内人に貰ったんだが…」
「なるほど、そういうことか…。ヒメ」
「はい、何でしょうかキクリ様」
「少しここを離れる、その間選定を任せた」
「畏まりました」
「ついてくるといい。其方に会わせたい御方がいる」
キクリはそう言うと、御剣を連れて黄泉比良坂を上っていく。
「小生はキクリ、真名は菊利乃命。ここ黄泉比良坂にて魂の選定を任されている。先ほどの子は夜津国映命、ヒメと呼んでいる。彼女は魂を司る大神だ。其方、名は?」
「御剣。豊葦原瑞穂皇国皇、瑞穂之命が従者、御剣だ」
「左様か。して御剣、其方は自身のことをどこまで存じている?」
その答えに、御剣は自身が大御神の神器であることを説明する。
「それだけか?」
「恥ずかしながら…」
「相分かった。して、これから向かうのは、大御神殿の屋敷だ」
黄泉比良坂を上り切り、川を越えた先にある屋敷の近くへと到着する。御剣は、その屋敷に見覚えがあった。
その屋敷は、葦原村にある瑞穂の屋敷とそっくりだったのだ。
「あら、キクリ。どうしたの?」
屋敷の門に、着物姿の女性と巫女服姿の少女が立っていた。
「み、瑞穂?千代?」
◇
常世 カミコの屋敷
彼女たちは俺のよく知る2人に似ていた。しかし、彼女たちは全く別人であり、そしてその正体も屋敷に招かれてから露わになった。
瑞穂に似たカミコと名乗る着物の女性は、大御神。
そしてもう一人、金髪の巫女は千代の先代にあたる白雪舞花と名乗った。彼女は初代斎ノ巫女であり、自らの死後も主である大御神のカミコに仕えているのだと言う。
「訳がありお茶も出せませんが、お許しください」
巫女殿の言うのも無理はない。ここは常世、別名は黄泉の国。聖者が亡者の世界である黄泉の国の物を口にすると、その魂は亡者と等しくなり現世に戻ることができなくなる。黄泉戸喫、随分と前に千代に聞いたのを思い出した。
そもそも、人でない神器の俺が黄泉の国の物を口にして、人と同じようになるのだろうか。ふと疑問に感じたが、あえて確かめる必要もないので考えないことにした。
「さてと、ここに来たってことは、瑞穂の力が発現されたのかしら」
「瑞穂の力だと?」
「えぇ、彼女の大御神としての力よ」
その意思と大御神である瑞穂の力が共鳴し、祠に触れた時に俺が根の国に飛ばされたという。
「そうか。しかし、驚いた。目を覚ませば急に見知らぬ土地にいたのだからな」
「そう言っても内心は、この状況を楽しんでいるでしょう?」
「よく分かっている」
どうやら、俺はカミコと名乗る大御神に腹の内を見透かされていたらしい。
「貴女には、話したいことが沢山ある。何よりもまずは、根の国の案内人と名乗った男から言伝から伝えたい」
俺は、案内人と名乗った男が言っていた事を思い出す。奴はカミコという人物に伝えるように言伝を頼んでいた。
カミコ、おそらく目の前の大御神のことで間違いないだろう。
「たまには会いに来い、そう言っていた」
「そう、あいつがねぇ…」
「次に、俺が根の国に飛ばされ、常世へとやってきた本当の理由を知りたい」
「私の創り出した神器は、生まれ変わりである瑞穂にそのまま引き継がれているわ。勾玉、鏡、そして剣。その剣だけが他の2つと違って人の形をしている。何故かわかるかしら?」
生憎、自分のことであっても、俺にはなぜそうなったのか理由は分からない。
「心の拠り所とでもえば良いかしら、大御神である私が人としての心を保つために、剣だけは人の姿として創り出したの。剣は若き武人の魂に代々宿る。私に仕えた初代御剣の剣の魂は脈々と受け継がれ、いつしか生まれ変わる私に仕えるために武人の魂に宿るの」
「それが、俺なのか?」
「えぇ、そうよ。そしてあなたは2代目御剣。あなたが根の国で出会った案内人こそ、初代御剣、私の従者だった剣史郎よ」
カミコと巫女殿は、俺と初代御剣である剣史郎の顔が瓜二つであることに驚いていた。
「ふふ、御剣様は本当に剣史郎さんそっくりですね」
「そんなに似ているのか?」
「堅物なところ、忠義に厚いところが特に」
巫女殿にそう言われると、少し恥ずかしくなる。
「どうして、奴は根の国にいるんだ?」
「彼が望んでのことよ。根の国には、唯一絶対の大神として黒国主がいる。黒国主には先の大戦で迷惑をかけてしまったから、剣史郎が根の国の傀儡の管理をしているの」
「だから、あそこにいたのか…」
俺は案内人と名乗った初代御剣が、根の国にいる理由を理解できた。
「さてと、そろそろ本題に入ろうかしら。ここに至るまでの経緯は概ね分かっているつもりよ。葦原村の件、本当に残念だったわ…」
どうやら、カミコは葦原村が蹂躙されたことを知っているらしい。隣に座る巫女殿も同じ顔をする。
「この一件で、瑞穂は内外に自身の存在を露わにする。皇国の皇が、大御神の生まれ変わりだと知った時、世界はどうなると思う?」
「二分化するだろうな。大御神を信仰する者たちと、大御神を認めない者たち」
「えぇ、その答えは間違いではないわ。でも、人の心はもっと複雑よ。それを妄言と受け取る者や、混乱に乗じて漁夫の利を得る者諸々。そういった者たちから瑞穂を守るには、斎ノ巫女と、神器として覚醒したあなたが必要なの」
「この命に代えてでも守るつもりだ」
すると、隣に座っていた巫女殿がゆっくりと頭を下げた。
「これより私、白雪舞花が秘術、神威神凪真天理を行います。この呪術には対象に想像を絶するほどの精神的、肉体的負担を与えますが、耐えきった暁には己の潜在能力を全て引き出され、大いなる力を得ることができます」
「どうする、今代の御剣よ」
「無論、断る理由はない」
「一度神器として覚醒すれば、二度と人として生きることは出来ないわよ?」
迷いなどなかった。
「承知の上だ」
唐突すぎる別れを経験した瑞穂たちは、結界によって守られた明風神社の中で後発部隊が到着するまでの間を過ごすことになった。
境内の一画に敷かれた茣蓙の上には、犠牲になった者の亡骸が寝かされている。犠牲になった者たちは村人たちから別れを告げられたあと、境内を上った先にある墓に埋葬されることになった。
「千代、これを」
瑞穂はそう言って、千代に七葉さんの使っていた大幣を手渡す。しかし、千代はなかなかそれを受け取ろうとしなかった。
「瑞穂様…」
「どうしたの?」
「私は、これを持つ資格があるのでしょうか…?」
自信なさげに答える千代に、瑞穂は有無を言わさずに大幣を手渡す。
「自分の価値は他人が決めることではないわ。千代、自分のことは自分にしか分からない、その価値は自分で決めなさい」
「………」
「ただ、強いて言うのであれば、私はあなたを最高の斎ノ巫女だと思っているわ」
「最高の…」
「そして、私が七葉さんの大幣を渡したのは、あなたに七葉さんの願いを紡いでほしかったからよ」
千代が大幣を見つめると、それ以上、瑞穂は何も語らなかった。
「あ、あの、瑞穂様!」
千代は拝殿へと向かう瑞穂を呼び止める。
そして、両膝を地面につき、目の前で両手を握る。その目には涙が浮かんでいるが、その目は力強く、そして真っ直ぐに瑞穂を見つめていた。
「母上は、とても偉大なお方でした。私はようやく、その母上が残したものに気づくことができました!」
千代は立ち上がり、大幣を握りしめる。
「それは、平和への願いにございます。私はその託された願いを叶えるため、この身、そしてこの命尽き果てるまで、斎ノ巫女として大御神様、否、瑞穂様に仕えさせていただきます!!」
その言葉を聞いた瑞穂は、着物をなびかせて背中越しに口を開く。
「私に仕えることになったあの時から、あなたは私の斎ノ巫女よ。ついて来なさい千代、私たちにはやることが残っているわ」
「はい!」
◇
拝殿では、すでに山を越えた沿岸部の橋頭堡に撤退した宇都見国軍に対する、反抗作戦の軍議が行われていた。
私たちがここに来るに当たって引き連れて来たのは、先発部隊たる騎兵約100と歩兵約200。ミィアンと龍奏が率いる5千の後発部隊が葦原村へと向かっている。
少数の皇国軍と敵とでは、圧倒的人数差があった。
「ミィアンたちが到着するのは、おそらく明日の明朝。御前、敵の総数は約1万と言っていましたね?」
「その通り、敵は皇都からの増援が来る前に葦原村より撤退した。おそらく、態勢を整えてから進軍するつもりだったのだろう」
戦力の差には不安を覚える。
「単純に見積もっても、5千と1万。大きな差ね…」
「東部の沿岸は広いが、そのほとんどが崖や入り江になっていて、大軍の上陸は困難だ。しかし、すでに他の村が蹂躙されているとすると、敵は上陸地点を一つに絞らずに、あえて複数の上陸地点を確保していると見るべきだろう」
御剣の言うことが正しければ、敵はいくつかの集団に分かれ、道中の村を侵略しながら皇都へと進んでいる。
ならば、私たちが取るべき行動は、敵が合流し約1万の軍勢になるよりも前に、個々の集団を叩くことだ。
「明日、ミィアンの後続部隊が到着した後、沿岸部へと進軍を開始する。作戦は後続部隊と合流後、説明する。各位、準備を怠ることなる備えるよう、以上、解散」
軍議を終えた私は、御剣を呼び止めた。
「どうした、瑞穂?」
「御剣、あなたにどうしても話しておきたいことがあるの。ついて来て」
御剣を連れてやって来たのは、本殿の裏手にある洞窟を、さらに奥に降りたあの祠。先代になる大御神のカミコが眠っている場所だ。
「こんな所があるなんて、知らなかった」
「ごめん、何も言わずに急に連れて来て…。ここは大御神の祠。あなたをここに連れて来た理由、分かる?」
御剣は首を横に振る。
「すまんが、検討がつかない」
「私は宇都見国との戦いが終われば、正式に大御神であることを皇民に表明するつもりよ」
「本当に良いのか?」
「えっ?」
予想外の反応に、私は一瞬どうしていいか迷ってしまった。
「それをすれば、もうお前は普通の人間として生きていけない。名実共に、大御神という別の存在になるんだぞ?」
「私だって、出来ることなら普通の人として過ごしたい。でも、どれだけ人として過ごそうが、私は所詮は大御神、運命は変えられない。だからね、御剣」
私は御剣に抱きついた。すると御剣は、私を優しく抱きしめ返してくれた。
「御剣は私のことを、ずっと人として見てほしい。大御神じゃなくて、瑞穂という葦原村の一人の人間として」
「もちろん。そして俺はお前の決意を心から尊敬し、約束してやる」
私は御剣から離れると、薄く張られた水面を歩いて祠へと向かう。
「私は大御神として生き、千代は斎ノ巫女として仕える。御剣、あなたは私の神器であり従者。あとはあなただけよ」
すると突然、私が触れた祠が光を放ち、眩しい閃光が辺りを包んだ。
◇
???
俺は目を覚ますと、一面が灰色の世界にいた。
「ここは…」
光はない。しかし、ぼやける様に視界は明るく、目の前にあるものをぼんやりと写し出していた。
そこは、灰色の雪が降る闇の世界。
天地が逆転した様な灰色の空からは、感覚を開けて木の根のような物が突き出し、地面に向けて伸びている。
地面には灰色の雪、もとい砂が積もり、さながらその光景は砂漠の様であった。
「そ、そうだ。刀…」
周りを見渡す。どうやら刀は無事の様だった。刀だけじゃない。身体も、服も、目も、全てが無事だった。
”あれは、木?”
視線の先には、空から地面に向けて生える様に伸びる大木。兎にも角にも、俺はその大木を目指して歩く事にした。
「ドウイウコトダ、ナゼ…」
突然の声に驚き、背後を振り返る。しかし、そこにいたのは人ではなく、人と全く同じ形をした影であった。
それらは影にしては虚で、目を凝らせば人の顔をしているのが見える。
影は何もないところから現れては、大木を目指して足を引きずる様に歩き出す。そのまま歩き続ける影もいれば、途中で力尽きて倒れる影もいる。
「シニタクナイ、シニタクナイ…」
「ワタシ、ダレダッケ…」
意思があるのないのか、よく分からない。しかし、影が向かう先の大木には、何かがあると考えた。俺は影の間を縫う様に歩き、大木へ向けて歩き始めた。
しばらく歩き続けると、目の前に大きな門が現れる。影たちはその門を透けて中へと入って行くが、俺は透けることができず中へと入ることができなかった。
「ウ、ウゥ…」
「ッ!?」
その場に立ち往生していると、背後にいた影の1人が唸り声をあげて、周りにいた何人かの影を触手で絡め取り、自分の影へと吸収する。やがてその影は、人の形とはかけ離れた形へと変貌する。
「何だこいつは!?」
触手を自在に動かした影は、俺を狙って攻撃を繰り返してくる。俺を捉えられなかった触手が門に激突する。そのおかげで門は破壊されたが、この影からは安易と逃げることはできそうになかった。
動きが予測しづらく、影の触手は刀で斬るには硬い過ぎる。
万策尽きたと思った時だった。
「それを使え」
先ほどまでとは違い、人の声がする。すると、立っていた場所のすぐ近くの地面に、一振りの剣が突き刺さる。それは刀とは違い反りはないが、刀身は磨き上げられ輝きを放ち、手に持った瞬間に不思議な力を感じる。
そして、不思議なまでに手に馴染んだ。
“これは…”
「傀儡に普通の武器は通用しない」
剣を手にして影へと斬りかかる。業火では斬り落とせなかった影の触手が、剣ではいとも容易く叩き斬ることができた。残る触手の攻撃を掻い潜りながら、最後の触手を断ち切ったところで影は崩壊していく。
「その剣は草薙の剣、手に馴染むのもおかしくはない。それは、お前のために生み出された剣なのだからな」
「俺のために…?」
男はそう言って俺の目の前へとやってくる。
その男の顔を見た俺は驚愕する。
なぜなら俺と瓜二つの顔をしているのだ。
「お前、一体何者だ?」
「俺か、俺も奴らと同じ存在さ。ただ、奴らとは少し造りは違うがな」
奴ら、おそらくこの男が傀儡と呼んだ影のことだろう。それならば尚更この男のことは信用できない。
「誤魔化すな。お前は明らかに奴らとは違う。それに、俺と同じ顔であるのがどうも気に食わん」
「案ずるな、俺はお前の味方だ。そうだな、今は案内人とでも名乗っておくか」
案内人と名乗った男は、影の攻撃によって崩れた門の向こう側へと歩いていく。俺は状況が掴めず困惑するが、男の後ろをついていくことにした。
「目的地にたどり着くまでに、お前が聞きたい質問にいくつか答えてやろう」
灰色の砂から石畳に変わった地面を歩きながら、案内人はそう言い出した。
「ここはどこなんだ」
「根の国だ」
「根の国だと!?」
「さっきお前がいたのは根の国の入り口、黄泉の門。あれを抜けることが出来るのは善行を積んだ死者のみであり、悪しき魂を持つ死者は通ることができない」
「壊れてしまったが、良いのか?」
そう言うと、案内人は来た方向を指差す。
「見ろ。門は勝手に修復されるんだ。まだ遠く離れていないから見えるだろう」
振り返ると、傀儡の攻撃によって破壊された門がいつの間にか元どおりになっていた。
「傀儡の中には、お前が倒したやつみたいに現世への思い入れが強く、死を受け入れようとしない者がいる。傀儡はもともとは現世を生きた人なんだ。人は死ぬと傀儡となり、一度根の国へと堕ちる。そして黄泉の門をくぐり、あの大木へと向かい、初めて亡者となり常世へと召される」
「なら、なぜお前があそこにいた」
「暴れるやつを倒すのが俺の役目だ。今回はお前が倒してしまったがな」
「あの大木にたどり着かなければどうなる?」
「あの大木は常世と根の国をつなぐ唯一の道。つまり、あそこにたどり着かなければ死者の肉体は死せどその魂は死なず。永遠にこの薄暗い世界を彷徨うことになる。あの大木に辿り着けないのは、生への執着を失った者くらいだ」
今度は案内人から質問が投げられる。
「なら、俺から一つ質問だ。なぜお前みたいな奴がここにいる?」
「俺は、さっきまで明風神社にいた。主が祠に触れると、気がつけばこの世界にいたんだ」
「なるほどな。全ては運命の通りだな、神器御剣」
俺は、案内人が自分の素性を知っていることに驚いた。
「お前、なぜ俺のことを…」
「全て知っているさ。葦原村のことも、瑞穂之命や斎ノ巫女のこともな。ほら着いたぞ、目的地の大木だ」
俺は逆さまに生えた大木の幹へと近づく。そこには人が入れるほどの大穴が空いており、先は見えないが暗い入り口になっていた。
「その穴を進めば根の国から常世へと行ける。俺の役目は終わりだ。その剣は持って行くと良い、なにせお前のための剣だ。大切に使え。あぁ、そうだ…。一つ言伝を頼まれてくれないか?」
「誰に対してだ?」
「常世にいるカミコと言う女だ。たまには会いに来いってな」
「…承知した」
俺は剣を腰に差し、穴の中を進んだ。
◇
「あれが、今代の御剣か。驚いたな、俺と全く同じ顔じゃないか。驚くだろうな、カミコのやつ…」
案内人はそう呟くと、来た道を引き返して行く。
「必ず主を守れよ、御剣」
◇
常世 黄泉比良坂
根の国の大木に開いた穴の中進むことしばらく、御剣は開けた場所へ出る。そこは根の国とは違い明るく、まるで自然に囲まれた森の様な場所だった。
その森の中に続く一筋の坂道を進んだ。
俺と同じ様に、根の国からやってきた傀儡たちが、同じように坂道を登っている。驚いたのが、先ほどまで影と称した傀儡たちが、常世に来てから人と変わらぬ姿へと変貌していたのだ。
「小生、永らくこの黄泉比良坂にて選別をしてきたが、生者がここに来たのは初めてだな」
坂の中腹に差し掛かったところで、女性が御剣に声をかける。女性の名は菊利乃命。大神の一柱であり、ここ黄泉平坂において魂の選別を行う大神であった。
「ん?其方、その剣は…」
「草薙剣のことか?根の国で俺と瓜二つの案内人に貰ったんだが…」
「なるほど、そういうことか…。ヒメ」
「はい、何でしょうかキクリ様」
「少しここを離れる、その間選定を任せた」
「畏まりました」
「ついてくるといい。其方に会わせたい御方がいる」
キクリはそう言うと、御剣を連れて黄泉比良坂を上っていく。
「小生はキクリ、真名は菊利乃命。ここ黄泉比良坂にて魂の選定を任されている。先ほどの子は夜津国映命、ヒメと呼んでいる。彼女は魂を司る大神だ。其方、名は?」
「御剣。豊葦原瑞穂皇国皇、瑞穂之命が従者、御剣だ」
「左様か。して御剣、其方は自身のことをどこまで存じている?」
その答えに、御剣は自身が大御神の神器であることを説明する。
「それだけか?」
「恥ずかしながら…」
「相分かった。して、これから向かうのは、大御神殿の屋敷だ」
黄泉比良坂を上り切り、川を越えた先にある屋敷の近くへと到着する。御剣は、その屋敷に見覚えがあった。
その屋敷は、葦原村にある瑞穂の屋敷とそっくりだったのだ。
「あら、キクリ。どうしたの?」
屋敷の門に、着物姿の女性と巫女服姿の少女が立っていた。
「み、瑞穂?千代?」
◇
常世 カミコの屋敷
彼女たちは俺のよく知る2人に似ていた。しかし、彼女たちは全く別人であり、そしてその正体も屋敷に招かれてから露わになった。
瑞穂に似たカミコと名乗る着物の女性は、大御神。
そしてもう一人、金髪の巫女は千代の先代にあたる白雪舞花と名乗った。彼女は初代斎ノ巫女であり、自らの死後も主である大御神のカミコに仕えているのだと言う。
「訳がありお茶も出せませんが、お許しください」
巫女殿の言うのも無理はない。ここは常世、別名は黄泉の国。聖者が亡者の世界である黄泉の国の物を口にすると、その魂は亡者と等しくなり現世に戻ることができなくなる。黄泉戸喫、随分と前に千代に聞いたのを思い出した。
そもそも、人でない神器の俺が黄泉の国の物を口にして、人と同じようになるのだろうか。ふと疑問に感じたが、あえて確かめる必要もないので考えないことにした。
「さてと、ここに来たってことは、瑞穂の力が発現されたのかしら」
「瑞穂の力だと?」
「えぇ、彼女の大御神としての力よ」
その意思と大御神である瑞穂の力が共鳴し、祠に触れた時に俺が根の国に飛ばされたという。
「そうか。しかし、驚いた。目を覚ませば急に見知らぬ土地にいたのだからな」
「そう言っても内心は、この状況を楽しんでいるでしょう?」
「よく分かっている」
どうやら、俺はカミコと名乗る大御神に腹の内を見透かされていたらしい。
「貴女には、話したいことが沢山ある。何よりもまずは、根の国の案内人と名乗った男から言伝から伝えたい」
俺は、案内人と名乗った男が言っていた事を思い出す。奴はカミコという人物に伝えるように言伝を頼んでいた。
カミコ、おそらく目の前の大御神のことで間違いないだろう。
「たまには会いに来い、そう言っていた」
「そう、あいつがねぇ…」
「次に、俺が根の国に飛ばされ、常世へとやってきた本当の理由を知りたい」
「私の創り出した神器は、生まれ変わりである瑞穂にそのまま引き継がれているわ。勾玉、鏡、そして剣。その剣だけが他の2つと違って人の形をしている。何故かわかるかしら?」
生憎、自分のことであっても、俺にはなぜそうなったのか理由は分からない。
「心の拠り所とでもえば良いかしら、大御神である私が人としての心を保つために、剣だけは人の姿として創り出したの。剣は若き武人の魂に代々宿る。私に仕えた初代御剣の剣の魂は脈々と受け継がれ、いつしか生まれ変わる私に仕えるために武人の魂に宿るの」
「それが、俺なのか?」
「えぇ、そうよ。そしてあなたは2代目御剣。あなたが根の国で出会った案内人こそ、初代御剣、私の従者だった剣史郎よ」
カミコと巫女殿は、俺と初代御剣である剣史郎の顔が瓜二つであることに驚いていた。
「ふふ、御剣様は本当に剣史郎さんそっくりですね」
「そんなに似ているのか?」
「堅物なところ、忠義に厚いところが特に」
巫女殿にそう言われると、少し恥ずかしくなる。
「どうして、奴は根の国にいるんだ?」
「彼が望んでのことよ。根の国には、唯一絶対の大神として黒国主がいる。黒国主には先の大戦で迷惑をかけてしまったから、剣史郎が根の国の傀儡の管理をしているの」
「だから、あそこにいたのか…」
俺は案内人と名乗った初代御剣が、根の国にいる理由を理解できた。
「さてと、そろそろ本題に入ろうかしら。ここに至るまでの経緯は概ね分かっているつもりよ。葦原村の件、本当に残念だったわ…」
どうやら、カミコは葦原村が蹂躙されたことを知っているらしい。隣に座る巫女殿も同じ顔をする。
「この一件で、瑞穂は内外に自身の存在を露わにする。皇国の皇が、大御神の生まれ変わりだと知った時、世界はどうなると思う?」
「二分化するだろうな。大御神を信仰する者たちと、大御神を認めない者たち」
「えぇ、その答えは間違いではないわ。でも、人の心はもっと複雑よ。それを妄言と受け取る者や、混乱に乗じて漁夫の利を得る者諸々。そういった者たちから瑞穂を守るには、斎ノ巫女と、神器として覚醒したあなたが必要なの」
「この命に代えてでも守るつもりだ」
すると、隣に座っていた巫女殿がゆっくりと頭を下げた。
「これより私、白雪舞花が秘術、神威神凪真天理を行います。この呪術には対象に想像を絶するほどの精神的、肉体的負担を与えますが、耐えきった暁には己の潜在能力を全て引き出され、大いなる力を得ることができます」
「どうする、今代の御剣よ」
「無論、断る理由はない」
「一度神器として覚醒すれば、二度と人として生きることは出来ないわよ?」
迷いなどなかった。
「承知の上だ」
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