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清美編
第2話 清美と 2
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「清美、7時半だよ。飲ませすぎちゃったかな?おうちに帰るかい?」とぼくは聞いた。
「明彦さん!明彦さんは中華料理だけじゃなく、『よければジャズでも聴きに行かないか?』と言ったよね?言った!明彦さんはそう言った!」
「あのね、ビールの半分以上はぼくが飲んだにせよ、清美もずいぶん飲んだよ、帰ろうよ、おうちへ?」
「え?明彦さんのおうちへ連れて行ってくれるの?明彦さんのお部屋に泊まっていいの?」酔ってるね?ぼくが実家住まいって知っているはずだけどね?
「ち、違うって。清美は清美のマンションに。ぼくはぼくの実家に帰るってことだよ、わかるかね?」
「ぜ~んぜん、わからない!ジャズ聴かせてくれるんじゃなかったの?」
「わ、わかった、わかりました。じゃあ、茶の水まで行こう、しょうがないなあ・・・」
「な、なにがしょうがないの?清美がしょうがないの?」
「清美がしょうがないわけないじゃないか?ぼくがしょうがない人間だってのがわかったってこと・・・これで許してくれるか?」
「許したくないもん!」
「そうか・・・もちろん、清美が魅力ある女の子だってのはぼくはわかるけど、でも、7時半で、これ以上飲むのは清美の許容量を知らないぼくとしては不安なんだよ。ぼくは清美と飲みたいけどね」
「だったら、飲みに行こうよ、明彦!」
おいおい、すでに明彦!になってしまった・・・
「わかりました、清美、わかりましたよ、行きましょう・・・」ぼくはマスターにお勘定して、飯田橋の駅へと清美と手をつないで歩いていった。手をつないできたのは清美だ。
御茶ノ水駅の水道橋よりの改札から出て、横断歩道を渡り、駿河台の坂をちょっとくだったところに地下に降りる階段があった。そこがジャズを聴かせるパブになっていた。時刻は8時を超えていた。
店内は暗く、客はちらほらいただけだった。ぼくらは、隅のテーブルに壁を背にして隣り合って座った。椅子ではなく壁に作り付けのソファータイプの席だった。テーブルも席も普通よりも十数センチ低く、ぼくは脚を投げ出した。彼女の向かいに座ってもよかったんだが、彼女が「明彦、壁側に一緒に座ろうよ」と言ったので、ぼくが壁側に座ると彼女がぼくの隣に座ったのだ。彼女はぴったり寄り添うようにして座った。
彼女はにじりよるようにして、ぼくの方に寄ってきた。太腿と太腿をこすり合わせるように密着させた。
「明彦?明彦は彼女がいないの?」と清美が言う。
「彼女っていってもなあ・・・」
「セックスした彼女、ということだけれども?」
「何年前までさかのぼるんだ?」
「まあ!明彦は22才じゃないの?そんなにさかのぼれるの?」
「う~ん、少なくとも5年前まではさかのぼれると思う」
「ちょ、ちょっとぉ~、17才か18才の時からしてたの?」
「清美、そういう清美はセックスしたことあるの?」
「あると言えばあるんだけど・・・」
「じゃあ、あるんじゃないか?」
「自分で選んだセックスじゃなかったから・・・」
「おいおい、それって、強姦されたってこと?」
「明彦、知りたい?」
「無理に話さなくっていいけどね。話してもよろしいが・・・」
「私の初体験の相手は・・・今まで、その初体験の相手しか経験がないのだけれど・・・」
「ふむふむ・・・」
「私の叔父、血の繋がった父の弟なのよね」
近親相姦は倫理的にも法的にも問題がある。遺伝子間の授受でも問題がある。ぼくは実家の近所の知恵たらずの姉弟が性的関係を持っているのは噂で聞いたことがあるが、実の叔父と関係を持った女の子本人からそういう関係を聞いたなどというのは生まれて初めてだった。いや、百人中一人でもいないだろうな。ぼくは驚いてしまった。
「明彦、顔がマカロニほうれん荘のトシちゃんになってるよ。口が菱形だぞ」
「なぜ、ぼくに話す?あまり親しくないだろう?ぼくらは?」
「そうだね。でも、明彦だから」
「理由になってないなあ」
「そうかしら?なんとなく信用できそうだし、お酒飲んじゃって、誰かに聞いてほしかったから。ねえ、もっと聞きたい?」
「清美が話したいならね」
「うん。あのね、叔父と父は10歳違いなの。だから、叔父というよりも年の離れたお兄さんって感じだった。実家にたびたび遊びに来ていた。1年前だったかな、私、まだ高校生だったけど、彼氏もいなくて、処女だった」
その日は家族がみんな出かけていて、家にいるのは私一人。夕方、叔父が来たの。ちょっとお酒を飲んでいた。息が酒臭かったんだ。今日はお父さんもお母さんも誰もいないよ、と言ったんだけど、別に叔父さんだから、全然警戒しなかった。
ダイニングに通したの。酒あるか?って聞かれたから、日本酒なら開けたのがあるって言って、お酒を出した。清美も飲めよって言われて私もお相伴した。二人共酔ってきてね、私も悪かったのかなあ、新しいジャズのアルバムあるよ、って言っちゃってね。私の部屋に聴きに行ったの。しばらく聴いていたら、叔父に押し倒されちゃって。
しばらく、私、泣いた。叔父は実の姪になんてことを、と謝ってくれた。だけどね、明彦、泣いてたんだけど、強姦されたという実感がわかなかった。あまり、痛くもなかった。それよりも、私、初めてなのに体の奥からジンジンしちゃって。
叔父さんに、もう1回も2回もおんなじなんだから、もっと抱いてよって言っちゃったんだ。え?血はちょっと出たよ。だけど、後でシーツ洗えばいいかな、なんて軽く思って。それで、叔父にまた抱かれた。
それから大学に入学した後も、叔父が上京するたびに抱かれたの。私、感じやすいのかな?淫乱の血でも流れているのかな?叔父が好きってわけじゃなくて、セックスが好き、逝くのが好きみたいなんだな。
でも、さすがにマズイ、これ近親相姦だよね?ということで、この前の試験が終わって、仙台に帰った時に、叔父にもうこの関係はマズイよ、別れよう、私、叔父さんに恋愛感情はないから。セックスがしたかっただけ、って言って別れてきたの。
「そういう話。どう、明彦、私のこと軽蔑する?汚れた女と思う?」
「う~ん、なんとも言えない。ぼくの姪っ子はまだ8歳だし、想像がつかない」
「例えば、明彦が後10年経ったら、明彦の姪っ子は18歳だよ。その時、思わずってなった場合、どうする?」
「わからないよ」
「この世界、エジプトの昔から、いいえ、そのずっと前のネアンデルタール人やクロマニヨン人の頃から、近親相姦ってあるんじゃないかと思う。クレオパトラだって、弟と結婚したじゃない?みんな内緒にしているけど、百人中二、三人はこの経験があるんじゃないかしら?」
「百人中二、三人?」
「そう、百人中二、三人。叔父と姪、母と息子、兄と妹、一番あるのが従兄弟と従姉妹」
「従兄弟と従姉妹は合法じゃないのか?」
「日本はそうだけど、海外ではそれも近親相姦なのよ」
「ふ~ん、だけど、手近で済ますっていう感じがする」
清美が苦笑いした。「言ってくれますね、明彦。『手近で済ます』なんてさ。もちろん、近親相姦なんて『手近で済ます』の最たるものだけどさ」なにかすごいことを平然と話している。なんでぼくなんかにこんな秘密の話をするんだろうか?
「でもさ、清美、なんでぼくなんかにこんな秘密の話をするんだ?」
「明彦さん!明彦さんは中華料理だけじゃなく、『よければジャズでも聴きに行かないか?』と言ったよね?言った!明彦さんはそう言った!」
「あのね、ビールの半分以上はぼくが飲んだにせよ、清美もずいぶん飲んだよ、帰ろうよ、おうちへ?」
「え?明彦さんのおうちへ連れて行ってくれるの?明彦さんのお部屋に泊まっていいの?」酔ってるね?ぼくが実家住まいって知っているはずだけどね?
「ち、違うって。清美は清美のマンションに。ぼくはぼくの実家に帰るってことだよ、わかるかね?」
「ぜ~んぜん、わからない!ジャズ聴かせてくれるんじゃなかったの?」
「わ、わかった、わかりました。じゃあ、茶の水まで行こう、しょうがないなあ・・・」
「な、なにがしょうがないの?清美がしょうがないの?」
「清美がしょうがないわけないじゃないか?ぼくがしょうがない人間だってのがわかったってこと・・・これで許してくれるか?」
「許したくないもん!」
「そうか・・・もちろん、清美が魅力ある女の子だってのはぼくはわかるけど、でも、7時半で、これ以上飲むのは清美の許容量を知らないぼくとしては不安なんだよ。ぼくは清美と飲みたいけどね」
「だったら、飲みに行こうよ、明彦!」
おいおい、すでに明彦!になってしまった・・・
「わかりました、清美、わかりましたよ、行きましょう・・・」ぼくはマスターにお勘定して、飯田橋の駅へと清美と手をつないで歩いていった。手をつないできたのは清美だ。
御茶ノ水駅の水道橋よりの改札から出て、横断歩道を渡り、駿河台の坂をちょっとくだったところに地下に降りる階段があった。そこがジャズを聴かせるパブになっていた。時刻は8時を超えていた。
店内は暗く、客はちらほらいただけだった。ぼくらは、隅のテーブルに壁を背にして隣り合って座った。椅子ではなく壁に作り付けのソファータイプの席だった。テーブルも席も普通よりも十数センチ低く、ぼくは脚を投げ出した。彼女の向かいに座ってもよかったんだが、彼女が「明彦、壁側に一緒に座ろうよ」と言ったので、ぼくが壁側に座ると彼女がぼくの隣に座ったのだ。彼女はぴったり寄り添うようにして座った。
彼女はにじりよるようにして、ぼくの方に寄ってきた。太腿と太腿をこすり合わせるように密着させた。
「明彦?明彦は彼女がいないの?」と清美が言う。
「彼女っていってもなあ・・・」
「セックスした彼女、ということだけれども?」
「何年前までさかのぼるんだ?」
「まあ!明彦は22才じゃないの?そんなにさかのぼれるの?」
「う~ん、少なくとも5年前まではさかのぼれると思う」
「ちょ、ちょっとぉ~、17才か18才の時からしてたの?」
「清美、そういう清美はセックスしたことあるの?」
「あると言えばあるんだけど・・・」
「じゃあ、あるんじゃないか?」
「自分で選んだセックスじゃなかったから・・・」
「おいおい、それって、強姦されたってこと?」
「明彦、知りたい?」
「無理に話さなくっていいけどね。話してもよろしいが・・・」
「私の初体験の相手は・・・今まで、その初体験の相手しか経験がないのだけれど・・・」
「ふむふむ・・・」
「私の叔父、血の繋がった父の弟なのよね」
近親相姦は倫理的にも法的にも問題がある。遺伝子間の授受でも問題がある。ぼくは実家の近所の知恵たらずの姉弟が性的関係を持っているのは噂で聞いたことがあるが、実の叔父と関係を持った女の子本人からそういう関係を聞いたなどというのは生まれて初めてだった。いや、百人中一人でもいないだろうな。ぼくは驚いてしまった。
「明彦、顔がマカロニほうれん荘のトシちゃんになってるよ。口が菱形だぞ」
「なぜ、ぼくに話す?あまり親しくないだろう?ぼくらは?」
「そうだね。でも、明彦だから」
「理由になってないなあ」
「そうかしら?なんとなく信用できそうだし、お酒飲んじゃって、誰かに聞いてほしかったから。ねえ、もっと聞きたい?」
「清美が話したいならね」
「うん。あのね、叔父と父は10歳違いなの。だから、叔父というよりも年の離れたお兄さんって感じだった。実家にたびたび遊びに来ていた。1年前だったかな、私、まだ高校生だったけど、彼氏もいなくて、処女だった」
その日は家族がみんな出かけていて、家にいるのは私一人。夕方、叔父が来たの。ちょっとお酒を飲んでいた。息が酒臭かったんだ。今日はお父さんもお母さんも誰もいないよ、と言ったんだけど、別に叔父さんだから、全然警戒しなかった。
ダイニングに通したの。酒あるか?って聞かれたから、日本酒なら開けたのがあるって言って、お酒を出した。清美も飲めよって言われて私もお相伴した。二人共酔ってきてね、私も悪かったのかなあ、新しいジャズのアルバムあるよ、って言っちゃってね。私の部屋に聴きに行ったの。しばらく聴いていたら、叔父に押し倒されちゃって。
しばらく、私、泣いた。叔父は実の姪になんてことを、と謝ってくれた。だけどね、明彦、泣いてたんだけど、強姦されたという実感がわかなかった。あまり、痛くもなかった。それよりも、私、初めてなのに体の奥からジンジンしちゃって。
叔父さんに、もう1回も2回もおんなじなんだから、もっと抱いてよって言っちゃったんだ。え?血はちょっと出たよ。だけど、後でシーツ洗えばいいかな、なんて軽く思って。それで、叔父にまた抱かれた。
それから大学に入学した後も、叔父が上京するたびに抱かれたの。私、感じやすいのかな?淫乱の血でも流れているのかな?叔父が好きってわけじゃなくて、セックスが好き、逝くのが好きみたいなんだな。
でも、さすがにマズイ、これ近親相姦だよね?ということで、この前の試験が終わって、仙台に帰った時に、叔父にもうこの関係はマズイよ、別れよう、私、叔父さんに恋愛感情はないから。セックスがしたかっただけ、って言って別れてきたの。
「そういう話。どう、明彦、私のこと軽蔑する?汚れた女と思う?」
「う~ん、なんとも言えない。ぼくの姪っ子はまだ8歳だし、想像がつかない」
「例えば、明彦が後10年経ったら、明彦の姪っ子は18歳だよ。その時、思わずってなった場合、どうする?」
「わからないよ」
「この世界、エジプトの昔から、いいえ、そのずっと前のネアンデルタール人やクロマニヨン人の頃から、近親相姦ってあるんじゃないかと思う。クレオパトラだって、弟と結婚したじゃない?みんな内緒にしているけど、百人中二、三人はこの経験があるんじゃないかしら?」
「百人中二、三人?」
「そう、百人中二、三人。叔父と姪、母と息子、兄と妹、一番あるのが従兄弟と従姉妹」
「従兄弟と従姉妹は合法じゃないのか?」
「日本はそうだけど、海外ではそれも近親相姦なのよ」
「ふ~ん、だけど、手近で済ますっていう感じがする」
清美が苦笑いした。「言ってくれますね、明彦。『手近で済ます』なんてさ。もちろん、近親相姦なんて『手近で済ます』の最たるものだけどさ」なにかすごいことを平然と話している。なんでぼくなんかにこんな秘密の話をするんだろうか?
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