こくら物語 (物語シリーズ③ )

✿モンテ✣クリスト✿

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第1章 こくら物語 Ⅰ 標準語

第20話 季節外れのサンタクロース

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※この物語、一人称の語り手がクルクル変わります。
 前回の話の続きの聞き手もクルクル変わります。混乱されないように。
-∞- -∞- -∞- -∞- -∞- -∞-
 目が覚めた。何時だろう?ありゃ、まだ5時ちょっと過ぎだ。直美さんは私の隣でスヤスヤ寝ている。明彦はって言うと、部屋にあった革の表紙の本を見ている。私が体にタオルと巻き付けて「明彦、おはようございます」と彼の後ろから挨拶して、本を覗き込む。ホテルの案内だった。

「ミキちゃん、オハヨウ。ちょうどいい。朝食はビュッフェでいいかな?」とレストラン&バーのページを指差す。
「うん、お腹がすいたよ」
「ビュッフェは7時に開くから、まだ時間がある。私の飛行機の便の出発時間は11時だから、8時過ぎにホテルを出ればいい。7時までシャワーを浴びてパッキングすれば余裕だ」
「まだ、2時間ぐらいあるね?」
「ああ、カイロス神の前髪を掴むほど焦らなくていい」
「ふ~ん、もう1回しようか?」
「ミキちゃん、もう無理とか言ってたよね?」
「回復しました!」
「やれやれ」

 ベッドのブランケットがもこもこして、直美さんが毛布の下から顔を出した。「聞いたよ、ミキちゃん、抜け駆けはよくない!」と寝ぼけ顔で言う。なんだ、直美さん、起きてたの。

「直美さん、寝てたから」
「私が寝てたら、横のベッドでアンアンしてたの?ミキちゃん、声が大きいから寝てても起きるわよ」
「でもさ、直美さん、ずいぶん攻められてたから、もう十分でしょ?」
「回復しました!」
「私の体は考慮対象外なんだね?」と明彦。
「今回は、これで最後の機会よ!もったいないと思わない?」と私。

 今回はこれで最後の言葉が効いたわ。二人ともやる気になった。もちろん私も。たっぷりと絡み合った。お~、35才の二人も元気だわ。私相手よりも直美さん相手の方がじっくり攻められている。ちょっと嫉妬した。

 バスタブにお湯をためて、私と直美さんは二人で入浴。その間、彼は荷物をパッキング。バスルームから出ると、明彦は下着と着替えの服だけを残して、スーツケースに詰め込んでいた。私と直美さんはたいして荷物がないからね。明彦はウィスキーを飲んでいた。

「朝酒ですか?」と直美さん。
「荷物になるから、飲んじゃわないとね」
「私もいただけます?」と直美さん。濡れた髪の毛が艶っぽい。明彦がグラスに酒を注ごうとすると「口移しで」って言う。ちょっとぉ、それも抜け駆けだろう?まったりキスしだしたので、「直美さん、ずるいよ。私も」と直美さんを横に押して、私もキスしてやった。あれ?朝酒、おいしいじゃん。

 明彦もシャワーを浴びてさっぱりした。直美さんが部屋にあるサービスのコーヒーを淹れてくれた。なんか、大人の雰囲気。これは良いわあ。見習います。

 明彦が関空から小倉までどうやって帰るの?と聞いた。う~ん?

「フェリーは大阪南港まで戻らないといけない。乗り換えがあまりないルートだと、JR関西空港線で新大阪まで行って、新幹線で小倉駅まで行くのが一番カンタンで楽だよ」と言う。
「あ!それにします」と私と直美さん。
「私のシンガ行きの便のDepatureが11時だから・・・12:14分発の特急はるか22号で新大阪まで行って、13:05分新大阪着になる。13:18分の山陽新幹線さくら583号で博多駅着が15:57分。これが最短だね」とiPadの画面を見せた。あら?結構早いのね?

 彼が部屋の電話でフロントに連絡して、チケットをホテルに取ってもらった。直美さんが「明彦、おいくらですか?」と聞いた。「ホテルの支払いと一緒にしたよ」

「悪いわ。私、払います。ミキちゃんの分も」
「私たちのビジネスが成功したら数倍にして返してもらおうね」
「え~」
「出世払いということで」
「あ!私、今、私の体で払います!」と私。直美さんに頭をポカリされた。「乗り遅れるでしょ?体で払うのは、また今度よ」と言われた。確かに、仰るとおりです。

 7時にラウンジに行くとビュッフェの用意が出来ていた。小倉の漫画喫茶の近くで食べるファストフードとは違うね?お寿司も天ぷらもお稲荷さんも朝からあるのは感激だ。私がバクバク食べるのを直美さんが呆れてみている。あら?普段は直美さんだって同じでしょ?

 チェックアウトして、大阪駅(梅田)まではリーガロイヤルホテルのシャトルバスで向かった。駅から関空まではリムジンバスで1時間ちょっとだった。梅田から空港まで阪神高速湾岸線を通る。

 第一ターミナルのチェックインカウンターで明彦がボーディングパスを受け取った。成田や羽田、福岡と違って、丸屋根がまっすぐの関空の本館ビルには展望台がない。チェッ。キョロキョロしていると、おおお!あの柱の陰なら人から見えないぞ!私は、二人の手を引っ張った。「どこ行くのよ」と直美さんが言う。「いいから、いいから」

「ほら、この柱の陰ならひと目につかないわ。キスしよ!直美さん、先にしていいよ」と言う。照れるな、二人とも。私も!ネットリ舌を絡めてやった。へへへ。

 時間になって、明彦が本館三階の出国審査場に行った。振り返って手を振る。バイバイ。あ~、なんて3日間だったんだろう?

「行っちゃったね・・・」と直美さんがポツリと言う。
「うん」と私。
「季節外れのサンタクロース」
「彼、そうだったかもしれない」

「さあ、小倉に戻ろうか?」
「うん・・・なんか、寂しいね」
「いいえ、私たち、やることがあるじゃない?」
「そうだよね・・・ねえ、直美さん?」
「なに?」
「彼がいない間、寂しくなっても、私がいるから、なぐさめてあげる」
「あなた、レズじゃないって言ったでしょ?」
「レズって、対象は女性全般でしょ?私は、直美さん限定の同性愛だよ。目覚めちゃった」
「やれやれ」

「あ!そうだ!小倉に帰ったらまず一番にすること!」
「何?」
「一番に、私もそうだけど、産婦人科に行って、アフターピルを処方してもらわないと!ねえ、0.01ミリ、余っちゃたよ!」
「あ!そうだった!ミキちゃんは安全日って言ってたね?私、超危険日じゃない!!」
「直美さん、ビジネス始めるのに妊娠したら困るでしょ?」
「ハハハ、そりゃそうだ・・・ねえ、でも、妊娠してたら、彼、責任取ってくれると思う?」
「ダメ!子供で第一夫人の座を奪おうとしても!」
「どっかの政党のおばさんが言っていたじゃない?二番じゃダメなんですかって。年上に譲りなさい!」
「そういう問題?」
「そうです!」

「ところでさ、彼の会社ってなんなの?」
「あれ?名刺、もらったわね。よく見なかったわよ。電話番号書いてくれたし、私のスマホに電話したんで、変な人じゃないと信じちゃったの」
「ちゃんとした会社員って言ってたじゃない?」
「だって、スリランカからの出張だって聞いたし、てっきり一部上場かなにかの会社員と思いこんでいたけど・・・」
「もらった名刺、持ってる?」
「お財布にしまった。ちょっと待ってね・・・え~っと、これだな・・・え?え?え?」

「何なの?見せてよ」
「・・・うん、これ」
「え?」
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