こくら物語 (物語シリーズ③ )

✿モンテ✣クリスト✿

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第2章 こくら物語 Ⅱ 標準語

第22話 直美のマンション

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 一人暮らしも気楽でいいけど、誰かいるのって、寂しくなくていい。その夜はミキちゃんと二人で料理した。彼女は和食を作るのがうまい。たまに、私の部屋に泊まっていたが、煮物とか家庭料理が得意だ。

 でも、今晩はイタリアンにしよう。ありあわせの材料しかないのだ。私は洋食の方が得意なのよ。

 冷蔵庫を漁る。バジルとパセリ、トマトが有る。オイルサーディンとカッペリーニがあった。カッペリーニはイタリアそうめん。直径が 0.9 ミリなので茹で過ぎ注意。茹で過ぎるとベトベトになる。だから、最近は茹でない。ソースパンに水を入れて沸騰させたら火を止める。そこにカッペリーニを投入。本来の茹で時間が2分だから、茹でない場合は3分半から4分。時々アルデンテになっているかどうか噛んでみる。うん、3分半だ。茹でないので時間が立ってもべとつかない。表面が乳化しないからかしら?麺を取り出したら氷水でよく冷やす。

「へぇ~、直美さん、茹でないの?」
「普通の麺は直径 1.6 ミリから 1.9 ミリで、茹で時間が12分とかでアルデンテ。カッペリーニは 0.9 ミリでしょ?茹でても2分なの。ちょっと過ぎると茹ですぎになる。沸騰したお湯に投入すれば徐々に温度が下がるから、分量によって3分半から4分。時間的な余裕があるのね。それに、ベタベタしないのよ。温度が低い分、乳化が止まるからかしらね」
「そぉか! 0.9 ミリで3分半から4分なんだ。じゃあさ、直美さん、0.01 ミリは何秒?」
「・・・あなた、まだ言ってるのね、それ」
「0.01 ミリ、次、いつ使うんだろうね?」と言う。
「おい、思い出すから、止めて!」
「あら?思い出したの?そうよね、まだ、最後やってから、16時間くらいしか経ってないもんね?」
「ミキちゃん、止めて!変なことを言ってないで、お皿を出してよ」ちょっとまた、ジンジンした。

 ニンニクとオイルサーディン、パセリ、バジルのみじん切りをかるく炒める。冷やしたカッペリーニに八等分したトマト、ちぎったパセリとバジルを散らし、炒めたオイルサーディンをかける。ペッパーを少々。ミキちゃんの出したお皿に盛り付ける。冷製カッペリーニ。ワインがあったので、それも一緒に。

「お!おいしい!」と彼女。パスタをフォークでクルクル回して口に放り込む。
「まあ、お手軽料理だから、こんなものよ。今度はあなたの和食を食べさせてね」
「うん、和食は目をつぶっていてもできちゃうからね」
「私も習おう」

 寝場所を決める。私のソファーはソファーベッドにもなるので、彼女はそこで寝ることにした。自分のベッドに潜り込んで、一昨日から起きたことを反芻した。彼が私のお店に来て、ミキちゃんがとんでもないことを言い出して、二人がフェリーで大阪に行っちゃって、私は・・・

 あれ?ミキちゃんが羨ましかったのかしら?何か起これと念じたのかなあ?でも、私がストーカーよろしく追いかけなかったら、美術の話にもならなかったと思う。それで、ミキちゃんは彼とエッチィして、大阪で別れて、こっちに帰ってきて、また、プーに戻ったのかも。そう考えると、私のとった行動は、結果的にみんなハッピーになったのかも。なんて考えながらウトウトしていた。

 ゴソゴソとベッドに潜り込むヤツがいる!おい!

「直美さん、あれこれ考えて眠れない。ちょっと添い寝して良い?」
「添い寝だけですからね!あっちの方向に目覚めないでね!」
「あっちってどっち?」
「レズ!」
「え?直美さん、したいの?」
「しません!」

「あのさあ、直美さんが大阪まで私と明彦を追いかけてこなかったら、どうなっていたかな?って考えちゃって。国立国際美術館にも行かなかっただろうし、私と明彦だけだったら、美術の話なんかしなかったよね?そうしたら、私は彼とエッチィをリーガロイヤルホテルでいっぱいして、一人で新幹線で小倉に帰ってきて、今頃は漫画喫茶で寝てるんじゃないかと思ったの。それが直美さんが来てくれたおかげで、カイロス神の前髪を掴めて良かったなあって。もしかしたら、直美さんがカイロス神だったのかもね?」

「私はつるっぱげじゃないわよ。でも、そうね。私がストーカーしなかったら、ミキちゃんの言う通りで、ミキちゃんは彼に抱かれて、まあ、満足、ちょっと寂しいけど、一期一会で、サヨウナラ、ということになったでしょうね?って、あなた!添い寝でしょう?なに、抱きしめてんの!脚を絡ませないで!」
「これも添い寝だよ」
「いやいや、そういうつもりでここに住めばって、言ったわけじゃないわ」
「でもさあ、昨日から今日のことを思い出しちゃったんだよ。彼とだけじゃなくて、直美さんともいっぱいエッチィ、したじゃない?」
「ああ、ミキちゃん、ダメだって・・・」
「今、キスしたら、カッペリーニとワイン味だね?」

 あ~、ダメ!体が勝手に動く・・・私もミキちゃんを抱きしめた・・・あ~あ。
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