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第3章 こくら物語 Ⅲ 標準語
第27話(2) 再び画伯のアトリエ
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「節子、その絵の下には、賞を取れそうな見事な写実画が描かれていたのよ。それだけで売れそうなのに、写実画の上にこのデフォルメされたミキちゃんを描いたの。まるで、表層の姿と内面の姿は違う、っていうみたいに、写実をメチャクチャにしたのよ。たった二時間でここまで描きあげたの。凄いわ。画伯と呼ぶにふさわしい。ミキちゃんと会って数分で彼女の内面を描ききったの。これがミキちゃんの真の姿とでも言わんばかりにね」
「節子お姉様、直美姐さんはそういうけど、鈴木滉一は催眠術師か心理学者よ。あれよあれよという間に、脱いでモデルをしなくちゃ、と思わせられちゃったの。ポースを取っている間も語りかけてきて、私は自分の心を見つめ直させられちゃったの」
「ミキちゃん、あなたあそこが濡れているように描かれているけど・・・」
「本当に濡れちゃったの。最初は私の家庭で姉がちやほやされて私が阻害されていることとか、元カレのDVを思い出して、悲しかったけど、最近の明彦と出会ってから直美姐さん、節子お姉様とのことを思い出したら幸せになっちゃって。で、みんなにこうゆうことしたな、されたなと思ったら濡れてしまいました、ハイ」
「なるほどぉ。で、この作品は買ったの?」
「ええ、売買契約書をかわしたわ。金額の欄を空白にして渡したの。画伯の考えるままの金額をお書き入れくださいって」
「うんうん、それで?」
「それが『金200,000万円也』なのよ!」
「これが?たったの二十万円?」
「今月の生活費と光熱費のたしだ、と言われたわ。すぐ銀行送金で支払いました。でも、お時間をお取らせしましたからと言って現金を15万円渡したの」
「でも、35万円・・・直美ならこれをいくらで売る?」
「百二十万円。売買契約書に売却時に35万円との差額利益は折半しますと書き足したの。それが正直だと思われたのかも。だから、専属契約書もすぐ署名してもらった」
「私のコレクションの鈴木滉一の作品だといくらになるの?」
「ミキちゃんの絵は二時間で早描きして書き込みが足りないけど、それが味があっていいと思う。節子の持っている作品は書き込んである油絵だから、そうねえ、少なくとも二百五十万円。節子に全部で五百万円と言った時よりも評価があがったわ。だから再見積もりします。見積もりとの差額利益は折半で、という条件ね」
「わかった。一千万円だすって言ったけど、当座二千万円に増額する!」
「気持ちはわかったわ。でも、しばらく様子見しましょう。それで必要なら節子に相談する」
「了解!」
ミキちゃんがお腹が減ったよ、というので食事になった。反り返ったハム用のナイフでプロシュートを切る。色が艶めかしい。画伯を思い出す。ミキちゃんの絵の陰部にも似ている色使い・・・って食べている時に変なことを思ってしまった。
ワインを飲んで、節子が出してくれたつまみをぱくついていたミキちゃんが「しっかし、あの吉沢さんにもぶったまげたわ」と言う。
「吉沢さん?」
「画伯には少なくても二人、モデルがいてね、一人は高校の美術教師の上野さん、25歳で、もう一人が近所の農家の未亡人の吉沢さんなの。画伯が電話するとすっ飛んできて、私との絡みを画伯がポーズさせて・・・」
ミキちゃんが今日あったことを一部始終節子に説明した。画伯は上野さん、吉沢さんと肉体関係があると思うよ、とミキちゃんが言う。『おお、悪の業が善の業を深みに落とそうとしているのがわかるぞ。シンクロニシティを感じる』なんて画伯の言ったことを説明した。
「シンクロニシティ?・・・鈴木画伯は、私にシンクロニシティを感じてくれるかしらねえ?」と節子。おいおい、目が変だよ、節子。欲情している目だよ、それ。「鈴木滉一に会ってみたいな。是非会いたい。ねえ、直美、彼のアトリエに連れて行ってよ」
「節子、それは止めたほうが・・・何が起こるかわかんないよ」
「私、行く!アポ取ってよ!」このワガママ女医め!
いまぁ~!と言うので、しぶしぶ画伯に電話した。もう10時。失礼じゃないかしら。
画伯はまだ寝ていなかった。あ~、木村さん、今日は生活費ありがとう、とかのんびり言う。私の投資家が画伯のアトリエを訪問したと言っているのですが、私と岡野と投資家三人でまたお邪魔してよろしいでしょうか?と聞いた。
「おお、シンクロニシティだ!ちょうど今度の土日に泊りがけで上野さんが来ることになってるんだ。彼女をモデルに描こうとおもってな。土曜でかなり描けると思うから、日曜日の午後二時ごろに来てくれ。新作を見せられると思う」
「わかりました。日曜日の午後二時に三人でお伺いいたします。夜分遅くすみませんでした。失礼いたします」
スマホをスピーカーフォンにしていたので、節子もミキちゃんも話を聞いていた。
「また共時性を感じちゃったんだね、画伯は。毎日共時性を感じられるもんなのかな?」とミキちゃんが言って「でもさ、私は耐性ができたみたいだから、大丈夫だろうけど、節子お姉様なんてあっぶないと思わない?直美姐さん?」
「大丈夫でしょ?三人で行くんだから」
「大丈夫とか何の話?」
「だってさ、私、画伯に犯されちゃうのかな?なんて今日思ったよ。彼の共時性、シンクロニシティ、凄いんだって」
「ああ、ルノアールがモデルと肉体関係を持ったような・・・」おい、節子、目が泳いでるぞ!「鈴木滉一、直美にネットの写真を見せられたけど、イケメンだったよね?香港と日本のハーフだったね」
「節子!変な妄想しないの。第一、日曜日には上野さんがモデルでいるでしょ?私たちも三人。変なことが起こるわけないじゃないの」
「起こるかもね・・・」とミキちゃんが変なことをボソッと言う。
「節子お姉様、直美姐さんはそういうけど、鈴木滉一は催眠術師か心理学者よ。あれよあれよという間に、脱いでモデルをしなくちゃ、と思わせられちゃったの。ポースを取っている間も語りかけてきて、私は自分の心を見つめ直させられちゃったの」
「ミキちゃん、あなたあそこが濡れているように描かれているけど・・・」
「本当に濡れちゃったの。最初は私の家庭で姉がちやほやされて私が阻害されていることとか、元カレのDVを思い出して、悲しかったけど、最近の明彦と出会ってから直美姐さん、節子お姉様とのことを思い出したら幸せになっちゃって。で、みんなにこうゆうことしたな、されたなと思ったら濡れてしまいました、ハイ」
「なるほどぉ。で、この作品は買ったの?」
「ええ、売買契約書をかわしたわ。金額の欄を空白にして渡したの。画伯の考えるままの金額をお書き入れくださいって」
「うんうん、それで?」
「それが『金200,000万円也』なのよ!」
「これが?たったの二十万円?」
「今月の生活費と光熱費のたしだ、と言われたわ。すぐ銀行送金で支払いました。でも、お時間をお取らせしましたからと言って現金を15万円渡したの」
「でも、35万円・・・直美ならこれをいくらで売る?」
「百二十万円。売買契約書に売却時に35万円との差額利益は折半しますと書き足したの。それが正直だと思われたのかも。だから、専属契約書もすぐ署名してもらった」
「私のコレクションの鈴木滉一の作品だといくらになるの?」
「ミキちゃんの絵は二時間で早描きして書き込みが足りないけど、それが味があっていいと思う。節子の持っている作品は書き込んである油絵だから、そうねえ、少なくとも二百五十万円。節子に全部で五百万円と言った時よりも評価があがったわ。だから再見積もりします。見積もりとの差額利益は折半で、という条件ね」
「わかった。一千万円だすって言ったけど、当座二千万円に増額する!」
「気持ちはわかったわ。でも、しばらく様子見しましょう。それで必要なら節子に相談する」
「了解!」
ミキちゃんがお腹が減ったよ、というので食事になった。反り返ったハム用のナイフでプロシュートを切る。色が艶めかしい。画伯を思い出す。ミキちゃんの絵の陰部にも似ている色使い・・・って食べている時に変なことを思ってしまった。
ワインを飲んで、節子が出してくれたつまみをぱくついていたミキちゃんが「しっかし、あの吉沢さんにもぶったまげたわ」と言う。
「吉沢さん?」
「画伯には少なくても二人、モデルがいてね、一人は高校の美術教師の上野さん、25歳で、もう一人が近所の農家の未亡人の吉沢さんなの。画伯が電話するとすっ飛んできて、私との絡みを画伯がポーズさせて・・・」
ミキちゃんが今日あったことを一部始終節子に説明した。画伯は上野さん、吉沢さんと肉体関係があると思うよ、とミキちゃんが言う。『おお、悪の業が善の業を深みに落とそうとしているのがわかるぞ。シンクロニシティを感じる』なんて画伯の言ったことを説明した。
「シンクロニシティ?・・・鈴木画伯は、私にシンクロニシティを感じてくれるかしらねえ?」と節子。おいおい、目が変だよ、節子。欲情している目だよ、それ。「鈴木滉一に会ってみたいな。是非会いたい。ねえ、直美、彼のアトリエに連れて行ってよ」
「節子、それは止めたほうが・・・何が起こるかわかんないよ」
「私、行く!アポ取ってよ!」このワガママ女医め!
いまぁ~!と言うので、しぶしぶ画伯に電話した。もう10時。失礼じゃないかしら。
画伯はまだ寝ていなかった。あ~、木村さん、今日は生活費ありがとう、とかのんびり言う。私の投資家が画伯のアトリエを訪問したと言っているのですが、私と岡野と投資家三人でまたお邪魔してよろしいでしょうか?と聞いた。
「おお、シンクロニシティだ!ちょうど今度の土日に泊りがけで上野さんが来ることになってるんだ。彼女をモデルに描こうとおもってな。土曜でかなり描けると思うから、日曜日の午後二時ごろに来てくれ。新作を見せられると思う」
「わかりました。日曜日の午後二時に三人でお伺いいたします。夜分遅くすみませんでした。失礼いたします」
スマホをスピーカーフォンにしていたので、節子もミキちゃんも話を聞いていた。
「また共時性を感じちゃったんだね、画伯は。毎日共時性を感じられるもんなのかな?」とミキちゃんが言って「でもさ、私は耐性ができたみたいだから、大丈夫だろうけど、節子お姉様なんてあっぶないと思わない?直美姐さん?」
「大丈夫でしょ?三人で行くんだから」
「大丈夫とか何の話?」
「だってさ、私、画伯に犯されちゃうのかな?なんて今日思ったよ。彼の共時性、シンクロニシティ、凄いんだって」
「ああ、ルノアールがモデルと肉体関係を持ったような・・・」おい、節子、目が泳いでるぞ!「鈴木滉一、直美にネットの写真を見せられたけど、イケメンだったよね?香港と日本のハーフだったね」
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