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第3章 こくら物語 Ⅲ 標準語
第27話(1) 再び画伯のアトリエ
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福智町の画伯のアトリエから小倉のマンションに戻ったのが夜の八時だった。福智町、ド田舎だ。しかし、夢魔の住むアトリエから現実世界の自宅に戻ってホッとした。画伯と吉沢さんはまだ製作活動に余念がないのだろうか?どの製作活動をしているんだろうか?・・・いやいや、見事な作品さえ出来上がれば私はそれでいいのだ。
ミキちゃんもかなり疲れたみたいだ。長時間の移動もそうだが、画伯のモデルを二時間も勤めたのだ。そりゃあ、疲れる。彼女はベッドに倒れ込んだ。
原田先生にご報告しないといけないと思った。彼女は私の投資家だもの。まだ、八時だから大丈夫よね?早速スマホで連絡してみた。
「原田先生、直美です。こんばんわ」
「直美、鈴木滉一はどうだったの?今日行ったんでしょ?」
「夜分遅くとは思いましたが、その件でご報告しないといけないと思いまして」
「うんうん、それで」
「我が社と鈴木画伯との専属契約、無事締結いたしました。これも原田先生のコレクションを見て鈴木画伯の存在を知れたおかげです。ありがとうございます」
「よかったじゃない!」
「それで、流れで、ミキちゃんがモデルになって、彼女のアクリル画の作品もゲットしました」
「ミキちゃんのアクリル画?みたい、みたい、みたい!」
「じゃあ、明日にでも・・・」
「直美、今晩じゃダメなの?ミキちゃんのアクリル画、すぐみたいの!」女医はワガママだ。
「いま、ですか?」
「うん。ダメ?いいでしょ?今日ね、ちょうどイタリアの生ハムとトスカーナの赤ワインが届いたのよ」
「生ハムとトスカーナの赤ワイン、ですか・・・」
死んだようにベッドにうつ伏せになっていたミキちゃんの体がビクッと動いた。顔を上げて私をジッと見た。おい!疲れているんでしょ?食い物と酒で反応するんじゃない!私だけでお邪魔しても良いんだ。ミキちゃんが行くとまた面倒なことに・・・
「節子お姉様!ミキ行きます!ミキのアクリル画をお姉様にお見せしたい!」とベッドから大声で叫ぶ。あ~。
「聞こえたわ。ミキちゃんも来るのね?」あ~、疲れているし、やることが貯まっているんだけどなあ・・・
「わかりました。すぐお伺いします」
「待ってるわ」
原田先生のマンションは北九州小倉市南区から北区を流れる紫川沿いの高層マンションで、私のバーから歩いてもちょっと、私のマンションからも数分の距離だ。F12号のアクリル画の入ったアートバッグを抱えて、ミキちゃんと先生のマンションに向かった。二人ともビジネススーツのままだ。え~、着替えないんですか?とミキちゃんが言うが、サッと絵を見せてワインをサクッと飲んでハムをバクっと食べたらさっさと帰るのよ!お泊りなんかしないのよ!
ドアチャイムを鳴らした。中から節子が開いてるわよぉ~と返事した。ドアを開けると、玄関から窓まで間仕切りがなく遮るものがない彼女の部屋は、壁の間接照明だけで、ダイニングテーブルの上に蝋燭が灯されていた。悪い予感がする。
「さあさあ、座って座って」と節子に促される。しかし、テーブルの上には・・・
生ハムというから、スライスしてあってお皿にキレイに盛り付けてあるものだと思っていた。しかし、ダイニングテーブルの上には、生ハム専用の木製のホルダースタンドがでんと乗っていた。生ハムのカッティングのデモンストレーションをするのにホテルやレストランにあるのを見たことが、個人の自宅で見たのは初めてだ。パーティーなどでも使うかもしれない。
スタンドにはプロシュートの豚の腿肉がそのまま鎮座している。3~4キロくらいありそうだ。表面は乾燥と熟成によって生まれた深みのある赤褐色の層で、脂肪の白と赤身のコントラストが美しい。いや、艶めかしい。熟成による独特の香りがほのかに漂っている。え~、彼女一人で食べるためにこれを注文したの?!
これをナイフで削いで食せというのか!テーブルクロスは深い群青色で腿肉との補色のコントラストを考えている・・・って、そういう話じゃない!
節子の格好は、黒のベルト付きミニニットワンピース。膝丈だ。テーブルにワイングラスが三個。ドイツのマイセンのお皿、銀のカトラリー。ワインは既に開けてあって、エアレーター付きの栓がされてワインスタンドに斜めに立てかけてある。こんな短時間でよく準備したものだ。女医ってそうなのか?しかし、お金持ちは違う!
そして、テーブルから1.5メートルくらい離して空のイーゼルまで準備してある。これにミキちゃんのアクリル画をかけて鑑賞しましょ、ということなのね?
「早く、早くミキちゃんの絵を見せてよ」と節子。私はアートバッグからミキちゃんのアクリル画を取り出した。まだ、アクリル絵の具の匂いがした。イーゼルに立てかけた。
節子がイーゼルに近寄って絵に見入っている。「全裸じゃない!」
ミキちゃんもかなり疲れたみたいだ。長時間の移動もそうだが、画伯のモデルを二時間も勤めたのだ。そりゃあ、疲れる。彼女はベッドに倒れ込んだ。
原田先生にご報告しないといけないと思った。彼女は私の投資家だもの。まだ、八時だから大丈夫よね?早速スマホで連絡してみた。
「原田先生、直美です。こんばんわ」
「直美、鈴木滉一はどうだったの?今日行ったんでしょ?」
「夜分遅くとは思いましたが、その件でご報告しないといけないと思いまして」
「うんうん、それで」
「我が社と鈴木画伯との専属契約、無事締結いたしました。これも原田先生のコレクションを見て鈴木画伯の存在を知れたおかげです。ありがとうございます」
「よかったじゃない!」
「それで、流れで、ミキちゃんがモデルになって、彼女のアクリル画の作品もゲットしました」
「ミキちゃんのアクリル画?みたい、みたい、みたい!」
「じゃあ、明日にでも・・・」
「直美、今晩じゃダメなの?ミキちゃんのアクリル画、すぐみたいの!」女医はワガママだ。
「いま、ですか?」
「うん。ダメ?いいでしょ?今日ね、ちょうどイタリアの生ハムとトスカーナの赤ワインが届いたのよ」
「生ハムとトスカーナの赤ワイン、ですか・・・」
死んだようにベッドにうつ伏せになっていたミキちゃんの体がビクッと動いた。顔を上げて私をジッと見た。おい!疲れているんでしょ?食い物と酒で反応するんじゃない!私だけでお邪魔しても良いんだ。ミキちゃんが行くとまた面倒なことに・・・
「節子お姉様!ミキ行きます!ミキのアクリル画をお姉様にお見せしたい!」とベッドから大声で叫ぶ。あ~。
「聞こえたわ。ミキちゃんも来るのね?」あ~、疲れているし、やることが貯まっているんだけどなあ・・・
「わかりました。すぐお伺いします」
「待ってるわ」
原田先生のマンションは北九州小倉市南区から北区を流れる紫川沿いの高層マンションで、私のバーから歩いてもちょっと、私のマンションからも数分の距離だ。F12号のアクリル画の入ったアートバッグを抱えて、ミキちゃんと先生のマンションに向かった。二人ともビジネススーツのままだ。え~、着替えないんですか?とミキちゃんが言うが、サッと絵を見せてワインをサクッと飲んでハムをバクっと食べたらさっさと帰るのよ!お泊りなんかしないのよ!
ドアチャイムを鳴らした。中から節子が開いてるわよぉ~と返事した。ドアを開けると、玄関から窓まで間仕切りがなく遮るものがない彼女の部屋は、壁の間接照明だけで、ダイニングテーブルの上に蝋燭が灯されていた。悪い予感がする。
「さあさあ、座って座って」と節子に促される。しかし、テーブルの上には・・・
生ハムというから、スライスしてあってお皿にキレイに盛り付けてあるものだと思っていた。しかし、ダイニングテーブルの上には、生ハム専用の木製のホルダースタンドがでんと乗っていた。生ハムのカッティングのデモンストレーションをするのにホテルやレストランにあるのを見たことが、個人の自宅で見たのは初めてだ。パーティーなどでも使うかもしれない。
スタンドにはプロシュートの豚の腿肉がそのまま鎮座している。3~4キロくらいありそうだ。表面は乾燥と熟成によって生まれた深みのある赤褐色の層で、脂肪の白と赤身のコントラストが美しい。いや、艶めかしい。熟成による独特の香りがほのかに漂っている。え~、彼女一人で食べるためにこれを注文したの?!
これをナイフで削いで食せというのか!テーブルクロスは深い群青色で腿肉との補色のコントラストを考えている・・・って、そういう話じゃない!
節子の格好は、黒のベルト付きミニニットワンピース。膝丈だ。テーブルにワイングラスが三個。ドイツのマイセンのお皿、銀のカトラリー。ワインは既に開けてあって、エアレーター付きの栓がされてワインスタンドに斜めに立てかけてある。こんな短時間でよく準備したものだ。女医ってそうなのか?しかし、お金持ちは違う!
そして、テーブルから1.5メートルくらい離して空のイーゼルまで準備してある。これにミキちゃんのアクリル画をかけて鑑賞しましょ、ということなのね?
「早く、早くミキちゃんの絵を見せてよ」と節子。私はアートバッグからミキちゃんのアクリル画を取り出した。まだ、アクリル絵の具の匂いがした。イーゼルに立てかけた。
節子がイーゼルに近寄って絵に見入っている。「全裸じゃない!」
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