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20話 複雑
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「…」
ラビア宰相がシリスの拠点に来る間、ユーミアはシリスの拠点である城に居た。暫く、国から離れた場所に居たかったので匿って貰っていたのだ。
ユーミアは王妃教育で培ったものを、シリスの城で教室を開き教えていた。
「シリス様の場合3度目の仏はありませんから!」
と、あの兵士はシリスに怒られてしまった事を悔み、ユーミアを追いかけて、政務の事を教えてくれ!と頼み込み、必死に勉強した。すると、現在は王都に戻り、試験を受けている。
その間、ユーミアは複雑な胸中を胸に抱いていた。
バルコニー王とラビア宰相、ミセスが失踪した事を、ユーミアは知った。
「…私が王妃を辞めなければ二人は失踪することはなかった」
ミセスはまだ何も分からない無垢な人間だから、間違った失敗をするのは当たり前である。ユーミアだって、昔は何度も失敗をした。だから、ミセスを気に掛けるのは当たり前だろう。
でも、だからってユーミア自身にもプライドというものはある。愛する夫を奪い、王妃の座を狙うような恋敵に教育を施し、自分の代わりに王妃を勤めさせるなんて、そんなことはしたくない。というか、そんな事をする馬鹿な人間なんて普通はいない。
(じゃあ、又王妃になりたいの?)
王妃というのは何なのか?と、ユーミアは考えていた。王と王妃が失踪し、国が放置状態にあるのは分かってはいたが、しかし、
(暫くゆっくりしたい)
と、ユーミアは思った。
(…私だって国を捨てたようなものだし)
…と、ユーミアは思った。
「ユーミア」
「シリス様」
すると、シリスがユーミアの部屋に訪れた。そして、
「ユーミア!迎えに来たぞ」
「お父様!?」
と、ユーミアの父が、ユーミアを迎えに来た。
「まあ、自分で帰ると言ったではありませんか?」
「早く実家や孤児院に帰りたいだろうと思ってな。私が居ると、説得やらなんやらがスムーズに進みそうだろう?」
「お父様ったら…。元気ですわね」
「ふふふ。70まではまだまだ現役レベルで動く為元気でいるぞ!しかし、まだシリス君の拠点にいたいか?」
と、ユーミアの父は言った。
「…そんなんじゃありませんわ」
「でも、ユーミアは居たそうにしてるぞ」
「だから、そういうのではありません」
と、ユーミアはからかう父に対して、つっけんどんな態度をとった。
「…だそうだ。シリス君」
「………ショックだ」
「あ、い、いえ。シリス様が嫌いと言うわけではありません…」
「…その言葉を信じるが、俺はまだ居てほしいんだが?」
「うーん…私としては孤児院の子供達に一度会いたいですわ」
「そうだな…」
すると、ユーミアはふと気になったので聞いてみる。
「…バルコニー王やラビア宰相、ミセス様は何処にいったのでしょうか?」
「先王は捜索中だと言っている」
「そうですか…」
と、ユーミアは言った。すると、ユーミア父はユーミアに肩を置くと、
「…孤児院の子供がユーミアに会いたがっているぞ?」
と言った。
「…そうね。では、シリス様。又孤児院に遊びに入らしてね」
「ああ」
そうして、ユーミアは王都に行き、孤児院に戻っていった。
ラビア宰相がシリスの拠点に来る間、ユーミアはシリスの拠点である城に居た。暫く、国から離れた場所に居たかったので匿って貰っていたのだ。
ユーミアは王妃教育で培ったものを、シリスの城で教室を開き教えていた。
「シリス様の場合3度目の仏はありませんから!」
と、あの兵士はシリスに怒られてしまった事を悔み、ユーミアを追いかけて、政務の事を教えてくれ!と頼み込み、必死に勉強した。すると、現在は王都に戻り、試験を受けている。
その間、ユーミアは複雑な胸中を胸に抱いていた。
バルコニー王とラビア宰相、ミセスが失踪した事を、ユーミアは知った。
「…私が王妃を辞めなければ二人は失踪することはなかった」
ミセスはまだ何も分からない無垢な人間だから、間違った失敗をするのは当たり前である。ユーミアだって、昔は何度も失敗をした。だから、ミセスを気に掛けるのは当たり前だろう。
でも、だからってユーミア自身にもプライドというものはある。愛する夫を奪い、王妃の座を狙うような恋敵に教育を施し、自分の代わりに王妃を勤めさせるなんて、そんなことはしたくない。というか、そんな事をする馬鹿な人間なんて普通はいない。
(じゃあ、又王妃になりたいの?)
王妃というのは何なのか?と、ユーミアは考えていた。王と王妃が失踪し、国が放置状態にあるのは分かってはいたが、しかし、
(暫くゆっくりしたい)
と、ユーミアは思った。
(…私だって国を捨てたようなものだし)
…と、ユーミアは思った。
「ユーミア」
「シリス様」
すると、シリスがユーミアの部屋に訪れた。そして、
「ユーミア!迎えに来たぞ」
「お父様!?」
と、ユーミアの父が、ユーミアを迎えに来た。
「まあ、自分で帰ると言ったではありませんか?」
「早く実家や孤児院に帰りたいだろうと思ってな。私が居ると、説得やらなんやらがスムーズに進みそうだろう?」
「お父様ったら…。元気ですわね」
「ふふふ。70まではまだまだ現役レベルで動く為元気でいるぞ!しかし、まだシリス君の拠点にいたいか?」
と、ユーミアの父は言った。
「…そんなんじゃありませんわ」
「でも、ユーミアは居たそうにしてるぞ」
「だから、そういうのではありません」
と、ユーミアはからかう父に対して、つっけんどんな態度をとった。
「…だそうだ。シリス君」
「………ショックだ」
「あ、い、いえ。シリス様が嫌いと言うわけではありません…」
「…その言葉を信じるが、俺はまだ居てほしいんだが?」
「うーん…私としては孤児院の子供達に一度会いたいですわ」
「そうだな…」
すると、ユーミアはふと気になったので聞いてみる。
「…バルコニー王やラビア宰相、ミセス様は何処にいったのでしょうか?」
「先王は捜索中だと言っている」
「そうですか…」
と、ユーミアは言った。すると、ユーミア父はユーミアに肩を置くと、
「…孤児院の子供がユーミアに会いたがっているぞ?」
と言った。
「…そうね。では、シリス様。又孤児院に遊びに入らしてね」
「ああ」
そうして、ユーミアは王都に行き、孤児院に戻っていった。
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