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第十七話 柚葉視点
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18歳 言葉にして伝える
「俺、推薦貰えた!だから柚葉も一緒に同じ大学行こう!」
柚葉はまず晴人くんに、おめでとうを伝えた。そっか、晴人くんはインターハイでも種目上位者で目立っていたし、推薦貰えたんだ。
しかも有名大学なんて凄いなぁ。晴人くんも東京に進学するんだ。柚葉はもう一度、自分の進路調査書を見た。
この有名大学には柚葉の志望している薬学部も設けている。少し柚葉にはハードルが高いが目指してみようと思う。晴人くんが書いた進路調査書を柚葉はそのまま提出した。
柚葉の志望した大学には指定校推薦があり、担任から、科学、英語、数学をとにかく頑張るように指示される。それから、事故によるリハビリ生活を送ったこと、水泳部のマネージャーをして基礎代謝や筋肉増加の勉強をしたことなどを詳細に書けるように小論文の練習もした。
晴れて柚葉も茜先輩や晴人くんの行く大学へ合格出来たのだった。これから東京に進学する。柚葉は決意した。
卒業式は両親も見に来てくれた。このまま両親と一緒に柚葉は寮を退室する予定だ。晴人くんやキラリちゃんも東京に進学する。東京で集まろうと固い約束をした。
柚葉は最後に高校を振り返る。楽しい思い出しかない。柚葉はここで強くなったのだ、皆んなの助けを借りながら。ありがとうございました、柚葉は一礼して高校を後にした。
大学の入学式には晴人くんと一緒に行った。晴人くんが大学の水泳部に誘ってくれたけど柚葉はバイトや勉強が忙しくなるので辞退した。入学式が終わりオリエンテーションが学部ごとに分かれて行う。晴人くんとは学部が異なるため大学内で分かれた。
当たり前だけど全員知らない人だ。柚葉は緊張しながら講義室に入っていく。大体100人ぐらいの講堂で後ろの席に柚葉は座る。
前を向いた瞬間、見知った顔をみて柚葉の時が止まる。
どうしているの?ずっと見たかった顔がそこにある。他人の空似でも幻を見ている訳でもない。
同じ学部に、そこには奏がいた。
柚葉の耳にはオリエンテーションの説明が聞こえて来ない。柚葉にはまるで他の皆んながモノクロに写り、奏だけがカラーに鮮明に見えた。
柚葉はずっと目が離せないでいた。
オリエンテーションが終わった後、柚葉は奏の元に向かった。講堂には既に学生が帰ったあとで柚葉と奏だけだ。
「どうしてここにいるの?」
たまたまなんて言い訳は聞かない。柚葉が思っていると、奏は一瞬目を伏せてそしてはっきり柚葉の目を見て言った。
「柚葉が行くって聞いたから、ここに来たんだよ。」
柚葉に向ける奏の目は切なく真剣そのものだ。
柚葉の意志は固まった。もう逃げないって。
「奏。ずっと会いたかった……。」
柚葉の目に涙が溜まる。堪えられず一粒涙が溢れ落ちる。泣いちゃダメ、柚葉が涙を拭こうとした瞬間、奏が近づく。
そして柚葉を抱きしめる。
「俺も会いたかった。」
柚葉の心に奏の暖かい温もりが伝わる。
「私、一度は奏のこと諦めたんだよ。
でも、まだ好きだって、忘れられなかった……」
柚葉はとうとう言い終わる前に号泣してしまった。
そんな柚葉を抱きしめたまま
「俺だってずっと柚葉が好きだった。」
奏の声は鼻声になっていて、柚葉は奏の顔を見ると泣いていて。なんだか可笑しいねと柚葉ははにかんだ。そして願いを込めて聞いた。
「今日、一緒に帰れる?」
「俺もずっと一緒に帰りたいって思っていたよ。」
今度は奏がはにかんで柚葉に答えた。
「俺、推薦貰えた!だから柚葉も一緒に同じ大学行こう!」
柚葉はまず晴人くんに、おめでとうを伝えた。そっか、晴人くんはインターハイでも種目上位者で目立っていたし、推薦貰えたんだ。
しかも有名大学なんて凄いなぁ。晴人くんも東京に進学するんだ。柚葉はもう一度、自分の進路調査書を見た。
この有名大学には柚葉の志望している薬学部も設けている。少し柚葉にはハードルが高いが目指してみようと思う。晴人くんが書いた進路調査書を柚葉はそのまま提出した。
柚葉の志望した大学には指定校推薦があり、担任から、科学、英語、数学をとにかく頑張るように指示される。それから、事故によるリハビリ生活を送ったこと、水泳部のマネージャーをして基礎代謝や筋肉増加の勉強をしたことなどを詳細に書けるように小論文の練習もした。
晴れて柚葉も茜先輩や晴人くんの行く大学へ合格出来たのだった。これから東京に進学する。柚葉は決意した。
卒業式は両親も見に来てくれた。このまま両親と一緒に柚葉は寮を退室する予定だ。晴人くんやキラリちゃんも東京に進学する。東京で集まろうと固い約束をした。
柚葉は最後に高校を振り返る。楽しい思い出しかない。柚葉はここで強くなったのだ、皆んなの助けを借りながら。ありがとうございました、柚葉は一礼して高校を後にした。
大学の入学式には晴人くんと一緒に行った。晴人くんが大学の水泳部に誘ってくれたけど柚葉はバイトや勉強が忙しくなるので辞退した。入学式が終わりオリエンテーションが学部ごとに分かれて行う。晴人くんとは学部が異なるため大学内で分かれた。
当たり前だけど全員知らない人だ。柚葉は緊張しながら講義室に入っていく。大体100人ぐらいの講堂で後ろの席に柚葉は座る。
前を向いた瞬間、見知った顔をみて柚葉の時が止まる。
どうしているの?ずっと見たかった顔がそこにある。他人の空似でも幻を見ている訳でもない。
同じ学部に、そこには奏がいた。
柚葉の耳にはオリエンテーションの説明が聞こえて来ない。柚葉にはまるで他の皆んながモノクロに写り、奏だけがカラーに鮮明に見えた。
柚葉はずっと目が離せないでいた。
オリエンテーションが終わった後、柚葉は奏の元に向かった。講堂には既に学生が帰ったあとで柚葉と奏だけだ。
「どうしてここにいるの?」
たまたまなんて言い訳は聞かない。柚葉が思っていると、奏は一瞬目を伏せてそしてはっきり柚葉の目を見て言った。
「柚葉が行くって聞いたから、ここに来たんだよ。」
柚葉に向ける奏の目は切なく真剣そのものだ。
柚葉の意志は固まった。もう逃げないって。
「奏。ずっと会いたかった……。」
柚葉の目に涙が溜まる。堪えられず一粒涙が溢れ落ちる。泣いちゃダメ、柚葉が涙を拭こうとした瞬間、奏が近づく。
そして柚葉を抱きしめる。
「俺も会いたかった。」
柚葉の心に奏の暖かい温もりが伝わる。
「私、一度は奏のこと諦めたんだよ。
でも、まだ好きだって、忘れられなかった……」
柚葉はとうとう言い終わる前に号泣してしまった。
そんな柚葉を抱きしめたまま
「俺だってずっと柚葉が好きだった。」
奏の声は鼻声になっていて、柚葉は奏の顔を見ると泣いていて。なんだか可笑しいねと柚葉ははにかんだ。そして願いを込めて聞いた。
「今日、一緒に帰れる?」
「俺もずっと一緒に帰りたいって思っていたよ。」
今度は奏がはにかんで柚葉に答えた。
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