52 / 105
第三章 戴冠式は波乱含み
49.サプライズ発表 Side.レオナルド皇王
しおりを挟む
「本日は息子ディオの戴冠祝いにお集まりいただき、ありがとうございます。少々トラブルはありましたが、無事に譲位することができ感無量です。そんなめでたい席で今日は皆様へ発表したいことがあります」
そう言ってロキは二人の名を呼んだ。
言わずもがな、その相手はヴィオレッタ王女とルーセウス王子だ。
特におかしなことはない。
誰もがそう思ったはずだ。
だって壇上にはディア王女の姿もあるし、ここで婚約者のお披露目があるんだな程度にしか思わないだろう。普通。
でも彼らが壇上に立ったところで、ロキは満面の笑みでこう言い放った。
「本日王位に就いたディオの王配を紹介します」
「え?!」
「ゴッドハルトの王太子、ルーセウス王子です!」
その言葉に誰もが驚きすぎて場がシンと静まり返る。
でもロキは全く動じることなく笑顔で既に二人は一年以上前にガヴァム式で結婚済みだと発表。
その衝撃たるやかなりのものだった。
「二人は遠距離婚になるので、それぞれ側妃を迎える予定です」
そう言って今度はディア王女とヴィオレッタ王女を紹介。
既に合意済みとばかりの笑みでそれぞれ笑顔で挨拶を行なっていく。
これは完全に予想外だ。
誰が王太子同士で既に結婚済みだと予想できただろう?
つまりニッヒガングの件は、ディオ陛下がゴッドハルトの王太子妃の立場で対処した、ということらしい。
(か、完全に盲点だった…)
通りで婚約発表ではないとルーセウス王子が言うはずだ。
婚約発表じゃなくて、婚姻発表だったんだから嘘はついていない。
とは言えカリン陛下でさえこの件は把握していなかったんじゃないだろうか?
思わずそう思ってしまうくらいに、ガヴァム側も動揺が広がっていて、カリン陛下はじめ顔色が悪い者もチラホラ見受けられた。
「無事に退位もできたことですし、これからはフォルティエンヌに移住して兄と仲良く暮らす予定です。どうか皆様、新王ディオをよろしくお願いします」
そんな風に挨拶を終えたロキは清々しい笑みだけど、俺からしたらビックリだ。
「ロキぃいい?!」
後はディオ陛下に丸投げしてフォルティエンヌに行っちゃうからよろしくねって、本当に酷すぎる。
ここまで爆弾発言をしておいて、あっさり『さよなら』はいくらなんでもないだろう。
鬼畜仕様のトラブルメーカーにも程がある。
「ロキ!聞いてないぞ?!どういうことだ?!」
ほら。カリン陛下も問い詰めにかかった。
「え?フォルティエンヌに行くのはずっと言っていたじゃありませんか。兄上も承知してくれて、いつでも向こうに行けるよう準備もしっかりしましたよね?」
キョトンとしたように言い放つロキに、カリン陛下が叫ぶ。
「問題はそこじゃない!どうしてディオが勝手に結婚してるんだ?!俺は何も聞いてないぞ?!」
「言ってませんからね。だって兄上に言ったらややこしくなるじゃありませんか。退位できなくなったら困るので、黙ってました。すみません」
「すみませんじゃない!」
な、なるほど?
ロキにとっては問題なく退位するのが第一だったから黙っていたと。
それならわからなくはない。
寧ろ納得だ。
「ロキ!俺も聞いてないぞ?!」
そこでアンシャンテのシャイナー陛下が割り込んでくる。
「俺の時はお互い王だから結婚できないって言ってたくせに!どうしてディオ王子とルーセウス王子の結婚は認めたんだ!おかしいだろう?!」
(そこ?!)
まさかの言葉に思わずシャイナー陛下を見つめてしまう。
ケチをつけるならヴィオレッタ王女が正妃じゃなかった点かと思ったのに。
予想外過ぎる。
「え?だってシャイナーのことは別に好きでもなんでもなかったし」
「酷い!!」
「どうとでも。ディオとルーセウス王子はちゃんと相思相愛だから、ケチはつけないであげてほしいな」
「ロキ…」
(うわぁ…シャイナー陛下、ロキにドSな目で見られてメチャクチャ興奮してる)
あれではきっとこれ以上文句も言わないだろう。
もっと虐めてくれと言わんばかりだ。
「兎に角俺は認めん!」
そんなシャイナー陛下を横目にカリン陛下だけは頑張ってるけど、これは無理だろうな。
だって…。
「残念。今のガヴァムの最高権力者は俺じゃなくディオですよ?そして王配はルーセウス王子です。二人が別れるって言わない限り、兄上が認めようと認めなかろうと何も変わりません。ついでに言うと婚姻無効の申し立ては婚儀から一年以内だったはず。もう一年はとっくに過ぎてますし、議会に議題を上げることすら難しいでしょうね」
こういう時、ロキはもう手を打った後なんだ。
「だ、誰も認めないぞ?それでもいいのか?!苦労が目に見えている!ディオが可哀想だろう?!」
「ディオなら大丈夫ですよ。少なくともルーセウス王子がここ半年で既に行った実績があれば認められるんじゃありませんか?ガヴァムの騎士団の正常化に、有休制度の導入。ワイバーン連隊の採用に訓練協力。他にもチラホラ認めてもらえそうな案件はありますよ?」
「なっ…何だと?!アレはゴッドハルトの暗部育成協力のお返しだとか、ディオがルーセウス王子とツンナガールで話してたらなんとなく話がまとまったとか、軽く言っていたじゃないか!」
「お互い内政に介入しまくってるのに、誰もツッコまなかったからすごく面白かったですよね。アハハッ!」
「お前のせいだろう?!」
うん。気持ちはわかる。
冷静に考えたらわかるんだけど、ロキが間に入るとどうしても『普通』を見誤る羽目になるんだ。
これまで何度驚かされてきたことか。
そしてそんなロキを殊の外気に入っているのが────。
「ロキ。お前は本当に最後の最後まで楽しませてくれるな。実に面白い余興だった」
「セドリック王子」
そう。大国ブルーグレイのセドリック王子はロキと非常に親しいのだ。
そしてブルーグレイは、ロキにとって大きな後ろ盾でもある。
「ディオ陛下。さっきルーセウスにも言ったが、お前達の結婚を心から祝おう。ゴッドハルトからなら海を渡ればすぐブルーグレイだ。いつでも遊びに来るといい」
「ありがとうございます。ではまた是非、腕試しでお邪魔させていただきます」
にこやかにそう言い放つディオ陛下。
(腕試しって、え?まさか違うよね?!)
ディオ陛下には警備体制チェックに随分協力してもらったけど、まさか鉄壁のブルーグレイに潜入を試みたりはいくらなんでもしないはず。
「ハハハッ!国王自ら単身やってくる気か?いいだろう。無事に俺のところまで来れたなら、引き続きこの俺自らがお前達の後ろ盾になってやる。どうだ?」
「光栄です。若輩者ですが、全力で挑ませていただきます」
その言葉はセドリック王子を楽しませることに一役買ったらしく、とっても機嫌が良くなった。
ブルーグレイももうそろそろ代替わりが近いと言われているけど、現状国王の仕事はほぼ全部セドリック王子がやっているとは言え、王位はルカ王子にと公言して憚らない。
けれどルカ王子が王位に就いたとしても、セドリック王子の権力が衰えるとは誰も思っていない。
彼の影響力は絶大だ。
だから今のセリフが持つ威力は、相当のものと言えるだろう。
これならディオ陛下とルーセウス王子の結婚に口出しする輩もそうは出てこないはず。
そもそもセドリック王子を苦手とするカリン陛下がその筆頭だから。
そしてそんなセドリック王子のお陰でパーティーは無事に始まり、ディオ陛下の乾杯の合図と共にグラスを傾けて、皆思い思いの相手と話しながら今後の付き合いや身の振り方などを考え始めた。
それは自分も例外ではない。
だから────うっかりしてたんだ。
ディア王女が正妃じゃなく、側妃となると聞いたブランがどう思うかとか、どう動くかなんて完全に失念していたのは俺の落ち度でしかなかった。
そう言ってロキは二人の名を呼んだ。
言わずもがな、その相手はヴィオレッタ王女とルーセウス王子だ。
特におかしなことはない。
誰もがそう思ったはずだ。
だって壇上にはディア王女の姿もあるし、ここで婚約者のお披露目があるんだな程度にしか思わないだろう。普通。
でも彼らが壇上に立ったところで、ロキは満面の笑みでこう言い放った。
「本日王位に就いたディオの王配を紹介します」
「え?!」
「ゴッドハルトの王太子、ルーセウス王子です!」
その言葉に誰もが驚きすぎて場がシンと静まり返る。
でもロキは全く動じることなく笑顔で既に二人は一年以上前にガヴァム式で結婚済みだと発表。
その衝撃たるやかなりのものだった。
「二人は遠距離婚になるので、それぞれ側妃を迎える予定です」
そう言って今度はディア王女とヴィオレッタ王女を紹介。
既に合意済みとばかりの笑みでそれぞれ笑顔で挨拶を行なっていく。
これは完全に予想外だ。
誰が王太子同士で既に結婚済みだと予想できただろう?
つまりニッヒガングの件は、ディオ陛下がゴッドハルトの王太子妃の立場で対処した、ということらしい。
(か、完全に盲点だった…)
通りで婚約発表ではないとルーセウス王子が言うはずだ。
婚約発表じゃなくて、婚姻発表だったんだから嘘はついていない。
とは言えカリン陛下でさえこの件は把握していなかったんじゃないだろうか?
思わずそう思ってしまうくらいに、ガヴァム側も動揺が広がっていて、カリン陛下はじめ顔色が悪い者もチラホラ見受けられた。
「無事に退位もできたことですし、これからはフォルティエンヌに移住して兄と仲良く暮らす予定です。どうか皆様、新王ディオをよろしくお願いします」
そんな風に挨拶を終えたロキは清々しい笑みだけど、俺からしたらビックリだ。
「ロキぃいい?!」
後はディオ陛下に丸投げしてフォルティエンヌに行っちゃうからよろしくねって、本当に酷すぎる。
ここまで爆弾発言をしておいて、あっさり『さよなら』はいくらなんでもないだろう。
鬼畜仕様のトラブルメーカーにも程がある。
「ロキ!聞いてないぞ?!どういうことだ?!」
ほら。カリン陛下も問い詰めにかかった。
「え?フォルティエンヌに行くのはずっと言っていたじゃありませんか。兄上も承知してくれて、いつでも向こうに行けるよう準備もしっかりしましたよね?」
キョトンとしたように言い放つロキに、カリン陛下が叫ぶ。
「問題はそこじゃない!どうしてディオが勝手に結婚してるんだ?!俺は何も聞いてないぞ?!」
「言ってませんからね。だって兄上に言ったらややこしくなるじゃありませんか。退位できなくなったら困るので、黙ってました。すみません」
「すみませんじゃない!」
な、なるほど?
ロキにとっては問題なく退位するのが第一だったから黙っていたと。
それならわからなくはない。
寧ろ納得だ。
「ロキ!俺も聞いてないぞ?!」
そこでアンシャンテのシャイナー陛下が割り込んでくる。
「俺の時はお互い王だから結婚できないって言ってたくせに!どうしてディオ王子とルーセウス王子の結婚は認めたんだ!おかしいだろう?!」
(そこ?!)
まさかの言葉に思わずシャイナー陛下を見つめてしまう。
ケチをつけるならヴィオレッタ王女が正妃じゃなかった点かと思ったのに。
予想外過ぎる。
「え?だってシャイナーのことは別に好きでもなんでもなかったし」
「酷い!!」
「どうとでも。ディオとルーセウス王子はちゃんと相思相愛だから、ケチはつけないであげてほしいな」
「ロキ…」
(うわぁ…シャイナー陛下、ロキにドSな目で見られてメチャクチャ興奮してる)
あれではきっとこれ以上文句も言わないだろう。
もっと虐めてくれと言わんばかりだ。
「兎に角俺は認めん!」
そんなシャイナー陛下を横目にカリン陛下だけは頑張ってるけど、これは無理だろうな。
だって…。
「残念。今のガヴァムの最高権力者は俺じゃなくディオですよ?そして王配はルーセウス王子です。二人が別れるって言わない限り、兄上が認めようと認めなかろうと何も変わりません。ついでに言うと婚姻無効の申し立ては婚儀から一年以内だったはず。もう一年はとっくに過ぎてますし、議会に議題を上げることすら難しいでしょうね」
こういう時、ロキはもう手を打った後なんだ。
「だ、誰も認めないぞ?それでもいいのか?!苦労が目に見えている!ディオが可哀想だろう?!」
「ディオなら大丈夫ですよ。少なくともルーセウス王子がここ半年で既に行った実績があれば認められるんじゃありませんか?ガヴァムの騎士団の正常化に、有休制度の導入。ワイバーン連隊の採用に訓練協力。他にもチラホラ認めてもらえそうな案件はありますよ?」
「なっ…何だと?!アレはゴッドハルトの暗部育成協力のお返しだとか、ディオがルーセウス王子とツンナガールで話してたらなんとなく話がまとまったとか、軽く言っていたじゃないか!」
「お互い内政に介入しまくってるのに、誰もツッコまなかったからすごく面白かったですよね。アハハッ!」
「お前のせいだろう?!」
うん。気持ちはわかる。
冷静に考えたらわかるんだけど、ロキが間に入るとどうしても『普通』を見誤る羽目になるんだ。
これまで何度驚かされてきたことか。
そしてそんなロキを殊の外気に入っているのが────。
「ロキ。お前は本当に最後の最後まで楽しませてくれるな。実に面白い余興だった」
「セドリック王子」
そう。大国ブルーグレイのセドリック王子はロキと非常に親しいのだ。
そしてブルーグレイは、ロキにとって大きな後ろ盾でもある。
「ディオ陛下。さっきルーセウスにも言ったが、お前達の結婚を心から祝おう。ゴッドハルトからなら海を渡ればすぐブルーグレイだ。いつでも遊びに来るといい」
「ありがとうございます。ではまた是非、腕試しでお邪魔させていただきます」
にこやかにそう言い放つディオ陛下。
(腕試しって、え?まさか違うよね?!)
ディオ陛下には警備体制チェックに随分協力してもらったけど、まさか鉄壁のブルーグレイに潜入を試みたりはいくらなんでもしないはず。
「ハハハッ!国王自ら単身やってくる気か?いいだろう。無事に俺のところまで来れたなら、引き続きこの俺自らがお前達の後ろ盾になってやる。どうだ?」
「光栄です。若輩者ですが、全力で挑ませていただきます」
その言葉はセドリック王子を楽しませることに一役買ったらしく、とっても機嫌が良くなった。
ブルーグレイももうそろそろ代替わりが近いと言われているけど、現状国王の仕事はほぼ全部セドリック王子がやっているとは言え、王位はルカ王子にと公言して憚らない。
けれどルカ王子が王位に就いたとしても、セドリック王子の権力が衰えるとは誰も思っていない。
彼の影響力は絶大だ。
だから今のセリフが持つ威力は、相当のものと言えるだろう。
これならディオ陛下とルーセウス王子の結婚に口出しする輩もそうは出てこないはず。
そもそもセドリック王子を苦手とするカリン陛下がその筆頭だから。
そしてそんなセドリック王子のお陰でパーティーは無事に始まり、ディオ陛下の乾杯の合図と共にグラスを傾けて、皆思い思いの相手と話しながら今後の付き合いや身の振り方などを考え始めた。
それは自分も例外ではない。
だから────うっかりしてたんだ。
ディア王女が正妃じゃなく、側妃となると聞いたブランがどう思うかとか、どう動くかなんて完全に失念していたのは俺の落ち度でしかなかった。
22
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる