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62.謎は全て解けた―マリウス視点―
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あまりにも予想外の展開に頭の中が真っ白になる。
先程まで彼らは味方同士なのだと、そう思っていた。
少なくともジフリートはヴェルガーと味方同士のはずだったのに─────。
フィンがジフリートと共に立ち去った後、駆け寄ってきた聖者の腕の中で泣くヴェルガーの姿を見てどうして泣くのだろうと思った。
どう見ても改心しての事ではなさそうだった。
聖者から「怖かったですね」と慰められているヴェルガーはとても国家転覆を狙った悪者には見えなかったのだ。
フィンに関してもそうだ。
彼は自分を傷つける気はないと言っていたその言葉のままに、こちらには一切手を出してはこなかった。
今回の件でフィンが攻撃をしたのはただ一人────ジフリートだけだ。
理解がとても追いつかない。
振り返ってみると、魔物を従えていたのもジフリートで、自分達の前に姿を見せていたのもジフリートとフィンの二人だけ。
ヴェルガーは黒幕だからわざわざ牢にまで来ないのだと思っていたが、そういう訳ではなかったのだろうか?
先程のフィンは明らかにこちらを試している節があった。
勇者らしき男の攻撃がくる直前に敢えてジフリートを傷つけたその手腕には驚かされた。
あれはそのままなら確実にジフリートが死ぬであろう攻撃を回避するために、敢えて先に動いて傷つけにいったのだろう。
あの攻撃はどう考えてもフィンの独断。
ジフリートの意識が勇者へと向けられていなければ、フィンはジフリートをあれほど綺麗に刺し貫くことはできなかったはずだ。
それだけジフリートはヴェルガーを守るために周囲を警戒していた。
それをタイミングを見計らい、一番確実なタイミングを狙って一気に距離を詰め死角から一息にほんの僅か急所を外して刺し貫いた。
殺そうと思っていたらそもそもあのタイミングで飛び込む必要はない。
あのまま攻撃を食らわせればよかっただけの話だからだ。
けれどフィンは敢えてそれをしなかった。
それ故にフィンがジフリートの命を散らせたくなかったことが窺える。
そして自身の持つ【魅了】の魔法を使い、ジフリートを無力化した上でこちらを試したのだ。
そこにあるのはただ一つ────新たな王は自分を使うに相応しいかどうか……。
そこで間違った答えを返していたなら、彼はそのままジフリートを連れてこの国を出て自由になろうと思ったはずだ。
規定上、王の代替わり時期に自分が仕えるに値しない主であると判断すれば王の影は退職してもいいとされている。
それを踏まえた上で、こちらを試したのだろう。
自分の持つ暗殺の腕の価値、無属性魔法【魅了】の価値、そして主に対してもきちんと意見を言えるのだというその自身の価値を余すところなくあの短時間で示した。
加えてあの狂気を感じるほど時に冷淡になれる性格。必要があれば味方以外の手を借りることも辞さない柔軟性─────それら全てがフィンの等身大の姿を自分へとわからせるパフォーマンスに見えた。
あれならば諜報の腕も相当のものだと予想がつくし、どこの国で諜報活動に携わろうといくらでも重宝されやっていけることだろう。
先程はそこまで深くは考えてはいなかったが、フィンがジフリートを欲しているのだけは分かったのでその身柄を任せる判断を下した。
きっとこちらにとって悪いようにはしないだろうというのも察せられたからだ。
それにあの目を見たらジフリートを処刑しろとはとてもではないが言えなかった。
暗に『私がわざわざ助けに入った意味をご理解くださいね?』と底冷えする目で語っていたのだから……。
(あれが王の影の実力…か)
それを御すのはやはり難しいだろうし、何よりも怖い。
けれどそれが出来ねば国を統べることなどとても出来ないのもまた事実。
それ故に聖者の導きが他の何よりも欲しいところではあった。
これから王として成長していかねばならない自分にとって聖者の存在はなくてはならない存在だ。
最大の敬意を払って優待せねば─────。
そう思いながらノーラと共にその場で佇んでいると、ミルフィスはじめ一行がこちらへとやってきた。
「マリウス様、この度は危険な目に合わせてしまい大変申し訳ございませんでした。ご無事のお帰りを一同大変嬉しく思っております」
ヴェルガーが若干怯えながらこちらを窺うように丁寧に頭を下げてくるが、どうしても疑いの目で見てしまうのは仕方がないことだと思う。
こちらはずっとこの国を転覆させようと企む元凶だと思い込んでいたのだから。
だからこそこのタイミングで実際その腹の中がどうなのかはきちんと知っておきたかった。
「……何やら私にも誤解があったようだ。落ち着いてからで構わん。今回の件について報告書を提出してほしい」
「はっ!お任せください」
「時に…父上達が身罷られてからお前が政務を回していたと聞いたが、それは確かか?」
「は…はい。現状周囲の者の協力もあり何とか回っておりますが、できれば殿下には早々に引継ぎをと考えております」
何とも殊勝な答えを返してくるが、これだけではその腹の内は分からない。
だから決定的なその問いをしてみることにした。
「では…その礼にお前には褒美を用意すべきだろうな。何が欲しい?正式な宰相の地位か?それとも何か欲しいものがあるか?それだけの働きをしたのだ。なんでも言ってみるがいい。私の権限でできるだけ叶えてやろう」
これで地位だけでなく莫大な褒章を求めるのならその為人も知れるというものだ。
そう思ったのに─────ヴェルガーの答えは斜め上の返答だった。
「もし…本当に叶えて頂けるのでしたら、出来るだけ早くカテオロスに帰らせて頂きたく」
その表情はどこか疲れ切っていて、まるで全身で早く帰りたいと言っているようだった。
そんなヴェルガーに聖者も同情的だ。
「宰相…頑張りましたもんね。早く帰りたいですよね」
正直拍子抜けしてしまったが、そういうことなら特に害もないので許可を出そうと息を吐く。
どうやら本当にこちらの勘違いだったようだ。
(いや。ジフリートに踊らされていたと言うだけの話か……)
それならそれでヴェルガーが帰りたいと言うのなら帰ればいい。
「わかった。引継ぎが終わったらカテオロスに帰るといい。今までご苦労だった」
その言葉にヴェルガーの表情がひと際パッと明るく輝き、礼を言われてしまう。
「本当ですか?!ありがとうございます!」
けれどここで思いがけない続きがあって固まってしまった。
「あ、宰相。カテオロスに帰るんですか?俺も一緒に行っていいですか?」
なんと頼りにしている聖者が同行すると言い出したのだ!
「一緒に…?」
「ええ。だって少しはマシになったとは言っても相変わらずここでの俺の扱いは底辺ですし。ヒロも日本に帰って、ハイジも領地に帰るでしょう?宰相もカテオロスに帰るなら俺がここにいる意味もないじゃないですか」
正直寝耳に水状態だ。
これは困る。非常に困る。絶対にはいそうですかと行かせるわけにはいかない。
どう見てもこれは旅行気分ではなく、そのままカテオロスに居を構えてしまいそうな勢いを感じたので必死に頭を回転させて一言足した。
「ヴェルガー、カテオロスに帰るのは最大ひと月だ。あちらのことを急に放ってこちらに来たからずっと心配だったのだろう?落ち着いたら聖者様と必ず一緒に帰ってこい。出来るだけ早い方がこちらとしては助かる。王宮の人手不足はお前が一番よく知っているだろう?頼んだぞ」
正直人手不足なのは本当だろうし、説得力はあるはず。
聖者の扱いが底辺?虐げている者がいるということか?
そんなもの裏から手を回せばいくらでも改善できるはずだ。
大方ジフリートのせいだろうが、あの男に出来て自分にできないはずがない。
聖者を王宮に引き留めるためならなんでもする。
それこそヴェルガーをここに置いておくだけで居てもらえるならばそのほうがずっといい。
ヴェルガーには精々餌になってもらおう。
しかしこれを聞いたヴェルガーは死んだ魚のような目になった。
「最大ひと月……。…詐欺だ」
そんなヴェルガーを聖者は懸命に励ます。
「宰相!大丈夫ですよ!人材も増えましたし、イシュカさん達も頑張ってくれてます。ミルフィスさんもいるし、王太子様も戻るのならあれ以上酷くなることはないですよ!」
「マナ……」
「俺に出来ることなら手伝いますから、一緒に頑張りましょう?」
「…………マナが側にいてくれるなら」
「はい。勿論です!」
「…そう言えば一息ついたら腹が減ったな」
「ああ、夕飯まだですもんね。ちょっと色々あって下ごしらえが出来なかったけど、何かパパッと作りますよ?」
「じゃあオムライスがいい」
「いいですよ。今の宰相は腹ペコ属性ですもんね。大好きなトロッとしたオムレツ乗せのオムライスにしますね」
「は、腹ペコ?!私は腹ペコ属性じゃない!」
そして楽し気に笑う聖者にくってかかるヴェルガーはもうすっかり死んだ魚のような目ではなく、生き生きとした目に変わっていた。
その姿を見てヴェルガーにとっても聖者の存在は大きいのだなと考えさせられた。
仲が良いのは結構だが、これは残留してもらえると取って良いのだろうか?
よし。良いことにしておこう。
そして久方ぶりに王宮料理人による晩餐を食べ、ノーラと一緒に何か月ぶりかの寛ぎの時間を過ごした。
あの牢での暮らしに比べたらまさに天国と言っても過言ではないだろう。
さて…明日はフィンが挨拶に来ると言っていたし、今日はゆっくりと休むとしようか。
離れていた間の状況確認ややらねばならないであろう仕事は頭に浮かんでくるけれど、柔らかな寝台は優しく体を包み込み眠りを誘ってくる。
どうかこれが夢ではありませんように────そんな思いでそっと瞼を閉じた。
先程まで彼らは味方同士なのだと、そう思っていた。
少なくともジフリートはヴェルガーと味方同士のはずだったのに─────。
フィンがジフリートと共に立ち去った後、駆け寄ってきた聖者の腕の中で泣くヴェルガーの姿を見てどうして泣くのだろうと思った。
どう見ても改心しての事ではなさそうだった。
聖者から「怖かったですね」と慰められているヴェルガーはとても国家転覆を狙った悪者には見えなかったのだ。
フィンに関してもそうだ。
彼は自分を傷つける気はないと言っていたその言葉のままに、こちらには一切手を出してはこなかった。
今回の件でフィンが攻撃をしたのはただ一人────ジフリートだけだ。
理解がとても追いつかない。
振り返ってみると、魔物を従えていたのもジフリートで、自分達の前に姿を見せていたのもジフリートとフィンの二人だけ。
ヴェルガーは黒幕だからわざわざ牢にまで来ないのだと思っていたが、そういう訳ではなかったのだろうか?
先程のフィンは明らかにこちらを試している節があった。
勇者らしき男の攻撃がくる直前に敢えてジフリートを傷つけたその手腕には驚かされた。
あれはそのままなら確実にジフリートが死ぬであろう攻撃を回避するために、敢えて先に動いて傷つけにいったのだろう。
あの攻撃はどう考えてもフィンの独断。
ジフリートの意識が勇者へと向けられていなければ、フィンはジフリートをあれほど綺麗に刺し貫くことはできなかったはずだ。
それだけジフリートはヴェルガーを守るために周囲を警戒していた。
それをタイミングを見計らい、一番確実なタイミングを狙って一気に距離を詰め死角から一息にほんの僅か急所を外して刺し貫いた。
殺そうと思っていたらそもそもあのタイミングで飛び込む必要はない。
あのまま攻撃を食らわせればよかっただけの話だからだ。
けれどフィンは敢えてそれをしなかった。
それ故にフィンがジフリートの命を散らせたくなかったことが窺える。
そして自身の持つ【魅了】の魔法を使い、ジフリートを無力化した上でこちらを試したのだ。
そこにあるのはただ一つ────新たな王は自分を使うに相応しいかどうか……。
そこで間違った答えを返していたなら、彼はそのままジフリートを連れてこの国を出て自由になろうと思ったはずだ。
規定上、王の代替わり時期に自分が仕えるに値しない主であると判断すれば王の影は退職してもいいとされている。
それを踏まえた上で、こちらを試したのだろう。
自分の持つ暗殺の腕の価値、無属性魔法【魅了】の価値、そして主に対してもきちんと意見を言えるのだというその自身の価値を余すところなくあの短時間で示した。
加えてあの狂気を感じるほど時に冷淡になれる性格。必要があれば味方以外の手を借りることも辞さない柔軟性─────それら全てがフィンの等身大の姿を自分へとわからせるパフォーマンスに見えた。
あれならば諜報の腕も相当のものだと予想がつくし、どこの国で諜報活動に携わろうといくらでも重宝されやっていけることだろう。
先程はそこまで深くは考えてはいなかったが、フィンがジフリートを欲しているのだけは分かったのでその身柄を任せる判断を下した。
きっとこちらにとって悪いようにはしないだろうというのも察せられたからだ。
それにあの目を見たらジフリートを処刑しろとはとてもではないが言えなかった。
暗に『私がわざわざ助けに入った意味をご理解くださいね?』と底冷えする目で語っていたのだから……。
(あれが王の影の実力…か)
それを御すのはやはり難しいだろうし、何よりも怖い。
けれどそれが出来ねば国を統べることなどとても出来ないのもまた事実。
それ故に聖者の導きが他の何よりも欲しいところではあった。
これから王として成長していかねばならない自分にとって聖者の存在はなくてはならない存在だ。
最大の敬意を払って優待せねば─────。
そう思いながらノーラと共にその場で佇んでいると、ミルフィスはじめ一行がこちらへとやってきた。
「マリウス様、この度は危険な目に合わせてしまい大変申し訳ございませんでした。ご無事のお帰りを一同大変嬉しく思っております」
ヴェルガーが若干怯えながらこちらを窺うように丁寧に頭を下げてくるが、どうしても疑いの目で見てしまうのは仕方がないことだと思う。
こちらはずっとこの国を転覆させようと企む元凶だと思い込んでいたのだから。
だからこそこのタイミングで実際その腹の中がどうなのかはきちんと知っておきたかった。
「……何やら私にも誤解があったようだ。落ち着いてからで構わん。今回の件について報告書を提出してほしい」
「はっ!お任せください」
「時に…父上達が身罷られてからお前が政務を回していたと聞いたが、それは確かか?」
「は…はい。現状周囲の者の協力もあり何とか回っておりますが、できれば殿下には早々に引継ぎをと考えております」
何とも殊勝な答えを返してくるが、これだけではその腹の内は分からない。
だから決定的なその問いをしてみることにした。
「では…その礼にお前には褒美を用意すべきだろうな。何が欲しい?正式な宰相の地位か?それとも何か欲しいものがあるか?それだけの働きをしたのだ。なんでも言ってみるがいい。私の権限でできるだけ叶えてやろう」
これで地位だけでなく莫大な褒章を求めるのならその為人も知れるというものだ。
そう思ったのに─────ヴェルガーの答えは斜め上の返答だった。
「もし…本当に叶えて頂けるのでしたら、出来るだけ早くカテオロスに帰らせて頂きたく」
その表情はどこか疲れ切っていて、まるで全身で早く帰りたいと言っているようだった。
そんなヴェルガーに聖者も同情的だ。
「宰相…頑張りましたもんね。早く帰りたいですよね」
正直拍子抜けしてしまったが、そういうことなら特に害もないので許可を出そうと息を吐く。
どうやら本当にこちらの勘違いだったようだ。
(いや。ジフリートに踊らされていたと言うだけの話か……)
それならそれでヴェルガーが帰りたいと言うのなら帰ればいい。
「わかった。引継ぎが終わったらカテオロスに帰るといい。今までご苦労だった」
その言葉にヴェルガーの表情がひと際パッと明るく輝き、礼を言われてしまう。
「本当ですか?!ありがとうございます!」
けれどここで思いがけない続きがあって固まってしまった。
「あ、宰相。カテオロスに帰るんですか?俺も一緒に行っていいですか?」
なんと頼りにしている聖者が同行すると言い出したのだ!
「一緒に…?」
「ええ。だって少しはマシになったとは言っても相変わらずここでの俺の扱いは底辺ですし。ヒロも日本に帰って、ハイジも領地に帰るでしょう?宰相もカテオロスに帰るなら俺がここにいる意味もないじゃないですか」
正直寝耳に水状態だ。
これは困る。非常に困る。絶対にはいそうですかと行かせるわけにはいかない。
どう見てもこれは旅行気分ではなく、そのままカテオロスに居を構えてしまいそうな勢いを感じたので必死に頭を回転させて一言足した。
「ヴェルガー、カテオロスに帰るのは最大ひと月だ。あちらのことを急に放ってこちらに来たからずっと心配だったのだろう?落ち着いたら聖者様と必ず一緒に帰ってこい。出来るだけ早い方がこちらとしては助かる。王宮の人手不足はお前が一番よく知っているだろう?頼んだぞ」
正直人手不足なのは本当だろうし、説得力はあるはず。
聖者の扱いが底辺?虐げている者がいるということか?
そんなもの裏から手を回せばいくらでも改善できるはずだ。
大方ジフリートのせいだろうが、あの男に出来て自分にできないはずがない。
聖者を王宮に引き留めるためならなんでもする。
それこそヴェルガーをここに置いておくだけで居てもらえるならばそのほうがずっといい。
ヴェルガーには精々餌になってもらおう。
しかしこれを聞いたヴェルガーは死んだ魚のような目になった。
「最大ひと月……。…詐欺だ」
そんなヴェルガーを聖者は懸命に励ます。
「宰相!大丈夫ですよ!人材も増えましたし、イシュカさん達も頑張ってくれてます。ミルフィスさんもいるし、王太子様も戻るのならあれ以上酷くなることはないですよ!」
「マナ……」
「俺に出来ることなら手伝いますから、一緒に頑張りましょう?」
「…………マナが側にいてくれるなら」
「はい。勿論です!」
「…そう言えば一息ついたら腹が減ったな」
「ああ、夕飯まだですもんね。ちょっと色々あって下ごしらえが出来なかったけど、何かパパッと作りますよ?」
「じゃあオムライスがいい」
「いいですよ。今の宰相は腹ペコ属性ですもんね。大好きなトロッとしたオムレツ乗せのオムライスにしますね」
「は、腹ペコ?!私は腹ペコ属性じゃない!」
そして楽し気に笑う聖者にくってかかるヴェルガーはもうすっかり死んだ魚のような目ではなく、生き生きとした目に変わっていた。
その姿を見てヴェルガーにとっても聖者の存在は大きいのだなと考えさせられた。
仲が良いのは結構だが、これは残留してもらえると取って良いのだろうか?
よし。良いことにしておこう。
そして久方ぶりに王宮料理人による晩餐を食べ、ノーラと一緒に何か月ぶりかの寛ぎの時間を過ごした。
あの牢での暮らしに比べたらまさに天国と言っても過言ではないだろう。
さて…明日はフィンが挨拶に来ると言っていたし、今日はゆっくりと休むとしようか。
離れていた間の状況確認ややらねばならないであろう仕事は頭に浮かんでくるけれど、柔らかな寝台は優しく体を包み込み眠りを誘ってくる。
どうかこれが夢ではありませんように────そんな思いでそっと瞼を閉じた。
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