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第四章 フォルクナー帝国編Ⅱ(只今恋愛&婚約期間堪能中)
109.コーリックへ一時帰国した俺
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「母上の好み?う~ん…父上とのお揃いとかが好きだな。後は父上好みのお菓子も好き。食べさせ合うのが好きらしくて。後は…あ、ロマンティック演出の小道具も好きかも。バラの花びらとか」
夕餉の席でメイビスから質問されたからそう答えたんだけど、それを聞いたメイビスは参考にさせてもらうと言ってくれたのに、同席していた他の面々からはゲッソリした顔をされてしまった。
いいじゃないか。俺の両親ラブラブなんだし。
「じゃあバラの花束と焼き菓子を用意しておこうか」
「そうだな。父上は甘さ控えめなココア系のお菓子とかが好きって聞いたことがある」
「そうか。それなら早速手配をしておこう」
「うん」
メイビスが笑顔で請け負ってくれたから俺も安心してお肉を口に運ぶ。
うん。今日も美味しい!
******
そして日は経ち今日無事にコーリックへと出発することになった。
もちろんメイビスも一緒だ。それに何故かレターニアも。
「タニアも来るの?」
「ええ。ルマンドの育った国でしょう?こんな機会でもなければ見に行くこともできないからお父様にお願いしちゃったわ」
「そうか」
「それに、リュクス様も是非って言ってくださったの」
「そうなんだ……」
上手くいったのかな?でもまだ三日だし…違うか。
「じゃあ行こうか」
「ああ、うん。そうだな」
笑顔でエスコートされて俺は特に考えずメイビスの手を取ったんだけど、勝手に先に行かないでくださいよとケインに釘を刺された。
そして一行は揃ってコーリックへと転移したのだった。
「ルマンドちゃん!おかえりなさい!」
城に着いて早々母の出迎えがあって驚いた。
相変わらずの様子でちょっと安心。
「母上、ただいま戻りました」
「よく顔を見せてちょうだい!もう、全然帰ってきてくれないんだから!プロポーズの話とか色々聞きたかったのに!」
「それはその……成功したから婚約が成立したわけで…特にいいかなと」
「まあっ!折角ロマンチックのお手伝いをしてあげた母親に対してあんまりだわ!そういうところがルマンドちゃんのダメなところよ?」
「申し訳ありません」
「まあいいわ。それでこちらが……」
「初めてご挨拶させて頂きます。フォルクナー帝国第一王子メイビスと申します。どうぞお見知りおきを」
ニッコリ挨拶された母はメイビスを確認すると満足げにしながら側妃らしく綺麗に礼を返した。
「ルマンドの母 リモーネですわ。遠路はるばるお越し頂き恐縮です。第二の我が家と思い、どうぞお寛ぎ下さいませね」
「こちらがメイビスの妹のレターニア王女です」
「お初にお目にかかります。フォルクナー帝国第一王女レターニアと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「まあご丁寧に。貴女の事も歓迎させて頂きますわ」
ほほほと上品に笑ってるけど、母の場合結構くだけるのが早いから最初だけなんだよな。
「じゃあ早速ルマンドちゃんは貰っていくから。リュクス殿下、後は宜しくね」
「お任せを」
「え?ちょっと、待ってください!母上!メイビスも…!」
「あら、ラブラブね。じゃあメイビス王子も是非ご一緒に」
そう言われながら俺達は二人揃って母に連行されていった。
「じゃあ座って」
「はい。失礼します」
案内されたのは貴賓室の一室。
そして目の前の卓上に置かれた資料が二種類。
「こっちがコーリックのしきたり一覧、こっちがレイクウッドのしきたり一覧よ」
「え?」
どうしてここでレイクウッドが出てくるのだろうか?
「母上?レイクウッドは関係ないのでは?」
「あら、そんなことはないわ。だってルマンドちゃんはレイクウッド王家の血を引いているんですもの。お父様もよく言って聞かせるようにと仰っていたわ」
「えぇっ?!」
会ったこともないレイクウッドの王がまさかそんなことを言ってくるなんて思ってもみなかった。
「ここにある二カ国のしきたりとフォルクナーのしきたりを合わせて全て終わらせないと結婚はできないと思ってちょうだいね?」
にっこりと微笑んだ母にメイビスが頬を引き攣らせる。
早く結婚したいって言ってたもんな…なんだかこんなことになってゴメンって感じ。
「嫌なら仕方がないわ。縁がなかっただけの話ですもの。残念だけど……」
「いえ。絶対にこなさせて頂きます」
(即答!メイビスが即答してくれた…!嬉しい…)
こんな面倒臭い相手、結婚を考え直してもおかしくないのにな…。本当にいい奴。
「フォルクナーの王子にそこまで言ってもらえて光栄だわ」
「母上…」
「ルマンドちゃん。さ、しきたりチェックの前にプロポーズのお話をしてちょうだい?」
「お断りします」
「えぇっ…!酷いわ!」
「……取り敢えずこちらを」
「え?あら…まぁなんて素敵なバラの花束。美味しそうなお菓子まで…。ルマンドちゃんと違ってメイビス王子はよくわかっているのね」
「いえ。ルマンドから教えてもらいました。母君の好みをしっかり把握していて素晴らしいなと惚れ直したほどです」
「まあ…そう言ってもらえて嬉しいわ。話には聞いていたけれど、本当に見た目だけじゃなく中身も素敵なのね。でも……」
何故かそこで母が言葉を切った。
そしてちょこんと首を傾け笑顔でこう言う。
「ちょっと独占欲も強そうね」
無邪気にとんでもないことを言うから俺は慌ててフォローを入れる。
「母上…」
「だって、ルマンドちゃんと絶対別れないぞって顔に書いてあるんですもの。母親のご機嫌伺いに卒がないのもそういう気持ちが大きいからなのよ?」
「わかってて口に出すのはどうかと思いますが?」
「あら、愛されてていいわねって話なのに。わかってないわね、ルマンドちゃん」
「…父上に言いつけますよ?」
「えっ?!それは駄目よ!ダメダメ!」
「では変に火を投げ込もうとはなさらないでください」
「まあ…ドラマティックになったら結婚も盛り上がるのに…」
「必要ありません」
「まあいいわ。ルマンドちゃんたら仕方のない子ね」
そして少し膨れたようにしながらも母は気を取り直して結婚式の話へと移ってくれた。
******************
※次回から最終章で急展開です。ラストまで駆け抜けますのでよろしくお願いします。
夕餉の席でメイビスから質問されたからそう答えたんだけど、それを聞いたメイビスは参考にさせてもらうと言ってくれたのに、同席していた他の面々からはゲッソリした顔をされてしまった。
いいじゃないか。俺の両親ラブラブなんだし。
「じゃあバラの花束と焼き菓子を用意しておこうか」
「そうだな。父上は甘さ控えめなココア系のお菓子とかが好きって聞いたことがある」
「そうか。それなら早速手配をしておこう」
「うん」
メイビスが笑顔で請け負ってくれたから俺も安心してお肉を口に運ぶ。
うん。今日も美味しい!
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そして日は経ち今日無事にコーリックへと出発することになった。
もちろんメイビスも一緒だ。それに何故かレターニアも。
「タニアも来るの?」
「ええ。ルマンドの育った国でしょう?こんな機会でもなければ見に行くこともできないからお父様にお願いしちゃったわ」
「そうか」
「それに、リュクス様も是非って言ってくださったの」
「そうなんだ……」
上手くいったのかな?でもまだ三日だし…違うか。
「じゃあ行こうか」
「ああ、うん。そうだな」
笑顔でエスコートされて俺は特に考えずメイビスの手を取ったんだけど、勝手に先に行かないでくださいよとケインに釘を刺された。
そして一行は揃ってコーリックへと転移したのだった。
「ルマンドちゃん!おかえりなさい!」
城に着いて早々母の出迎えがあって驚いた。
相変わらずの様子でちょっと安心。
「母上、ただいま戻りました」
「よく顔を見せてちょうだい!もう、全然帰ってきてくれないんだから!プロポーズの話とか色々聞きたかったのに!」
「それはその……成功したから婚約が成立したわけで…特にいいかなと」
「まあっ!折角ロマンチックのお手伝いをしてあげた母親に対してあんまりだわ!そういうところがルマンドちゃんのダメなところよ?」
「申し訳ありません」
「まあいいわ。それでこちらが……」
「初めてご挨拶させて頂きます。フォルクナー帝国第一王子メイビスと申します。どうぞお見知りおきを」
ニッコリ挨拶された母はメイビスを確認すると満足げにしながら側妃らしく綺麗に礼を返した。
「ルマンドの母 リモーネですわ。遠路はるばるお越し頂き恐縮です。第二の我が家と思い、どうぞお寛ぎ下さいませね」
「こちらがメイビスの妹のレターニア王女です」
「お初にお目にかかります。フォルクナー帝国第一王女レターニアと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「まあご丁寧に。貴女の事も歓迎させて頂きますわ」
ほほほと上品に笑ってるけど、母の場合結構くだけるのが早いから最初だけなんだよな。
「じゃあ早速ルマンドちゃんは貰っていくから。リュクス殿下、後は宜しくね」
「お任せを」
「え?ちょっと、待ってください!母上!メイビスも…!」
「あら、ラブラブね。じゃあメイビス王子も是非ご一緒に」
そう言われながら俺達は二人揃って母に連行されていった。
「じゃあ座って」
「はい。失礼します」
案内されたのは貴賓室の一室。
そして目の前の卓上に置かれた資料が二種類。
「こっちがコーリックのしきたり一覧、こっちがレイクウッドのしきたり一覧よ」
「え?」
どうしてここでレイクウッドが出てくるのだろうか?
「母上?レイクウッドは関係ないのでは?」
「あら、そんなことはないわ。だってルマンドちゃんはレイクウッド王家の血を引いているんですもの。お父様もよく言って聞かせるようにと仰っていたわ」
「えぇっ?!」
会ったこともないレイクウッドの王がまさかそんなことを言ってくるなんて思ってもみなかった。
「ここにある二カ国のしきたりとフォルクナーのしきたりを合わせて全て終わらせないと結婚はできないと思ってちょうだいね?」
にっこりと微笑んだ母にメイビスが頬を引き攣らせる。
早く結婚したいって言ってたもんな…なんだかこんなことになってゴメンって感じ。
「嫌なら仕方がないわ。縁がなかっただけの話ですもの。残念だけど……」
「いえ。絶対にこなさせて頂きます」
(即答!メイビスが即答してくれた…!嬉しい…)
こんな面倒臭い相手、結婚を考え直してもおかしくないのにな…。本当にいい奴。
「フォルクナーの王子にそこまで言ってもらえて光栄だわ」
「母上…」
「ルマンドちゃん。さ、しきたりチェックの前にプロポーズのお話をしてちょうだい?」
「お断りします」
「えぇっ…!酷いわ!」
「……取り敢えずこちらを」
「え?あら…まぁなんて素敵なバラの花束。美味しそうなお菓子まで…。ルマンドちゃんと違ってメイビス王子はよくわかっているのね」
「いえ。ルマンドから教えてもらいました。母君の好みをしっかり把握していて素晴らしいなと惚れ直したほどです」
「まあ…そう言ってもらえて嬉しいわ。話には聞いていたけれど、本当に見た目だけじゃなく中身も素敵なのね。でも……」
何故かそこで母が言葉を切った。
そしてちょこんと首を傾け笑顔でこう言う。
「ちょっと独占欲も強そうね」
無邪気にとんでもないことを言うから俺は慌ててフォローを入れる。
「母上…」
「だって、ルマンドちゃんと絶対別れないぞって顔に書いてあるんですもの。母親のご機嫌伺いに卒がないのもそういう気持ちが大きいからなのよ?」
「わかってて口に出すのはどうかと思いますが?」
「あら、愛されてていいわねって話なのに。わかってないわね、ルマンドちゃん」
「…父上に言いつけますよ?」
「えっ?!それは駄目よ!ダメダメ!」
「では変に火を投げ込もうとはなさらないでください」
「まあ…ドラマティックになったら結婚も盛り上がるのに…」
「必要ありません」
「まあいいわ。ルマンドちゃんたら仕方のない子ね」
そして少し膨れたようにしながらも母は気を取り直して結婚式の話へと移ってくれた。
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※次回から最終章で急展開です。ラストまで駆け抜けますのでよろしくお願いします。
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