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序章 気がつけば簡雍
思わぬ来訪者
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俺たちが洛陽から帰ってきて、1年ほどが経った。
言うまでもないだろうけど、帰り道も地獄だった。
あれから世の中はどんどん暗くなっているみたいだけど、俺たちの周りにそこまで変化はない。
俺はいつものように肉屋の軒先で長椅子に寝そべってゴロゴロし、張飛は萌え絵を描いている。
劉備はときどき旦那連中に呼ばれてなにかしているみたいで、張飛が手伝うこともあった。
この日は珍しく、劉備も肉屋の軒先にいて、3人でだらだらと喋っていた。
「たのもう」
そこへ、ひとりの男が現れた。
日に焼けた赤銅色の肌に、長い髭が印象的な大男だった。
「やぁ、久しぶりだね」
どうやら劉備の知り合いらしい。
ただ、劉備の言葉に、男は驚いているようだった。
「ほう、この岩を持ち上げると、肉を半額にしてもらえるのか」
看板に気付いた男が、張飛に尋ねる。
「おう。やってみな」
「では」
男はふんっ! と気合いを入れると、大岩を軽々と持ち上げた。
「やるじゃねぇか。じゃあ次はおれとひと勝負しねぇか? 勝ったら肉をタダでやる」
「おもしろい」
男と張飛が向き合う。
「素手でいいのか?」
「お前ぇがいいんなら、棒で打ち合ってもいいぜぇ?」
「ふふ、そのほうが面白そうだ」
いったん店の奥に姿を消した張飛が、農具の柄みたいな棒を2本持って現れ、片方を男に投げてよこした。
そしてふたりは棒を構えた。
「……」
「……」
棒を構えてにらみ合う、男と張飛。
見ているだけで緊張する。
自分がどんな顔で見ているのか知らないが、劉備はなぜか平然としていた。
微動だにしていないにもかかわらず、ふたりの額には汗が浮かんでいる。
額から流れた汗が、頬を伝い落ちていく。
それが何度も続き、髭の先にできた汗のしずくが、少しずつ大きくなる。
張飛のごわごわとした短い髭の先から、ぽたりと汗が地面に落ちた瞬間、ふたりは同時に動いた。
張飛の繰り出した突きを、男は棒を振り上げて払う。
それ予備動作となり、男は張飛の肩をめがけて棒を振り下ろした。
身体をひねりながらそれをかわした張飛は、男の胴をめがけて棒を薙ぐ。
そんな激しい攻防が何度も繰り返された。
「なにもんだよ……」
そう呟いた俺だが、なんとなく予想はついていた。
赤ら顔に長い髭を持ち、張飛に匹敵する力の持ち主と言えば、ひとりしか思い浮かばない。
意外なのは、劉備が彼を以前から知っているらしいってことだ。
――バキィッ!
打ち合ったふたりの棒が、ほぼ同時に折れる。
「そこまで!」
劉備の号令で、張飛はもちろん、男のほうも構えをといた。
「あいかわらずいい腕だね、長生さん」
「えっ!?」
思わず、声が漏れる。
「待ってくれ、長生って、あの、洛陽の……?」
「へへ、やっぱそうだったかぁ。ナリは随分変わっちまったが、打ち合ってみてわかったぜぇ」
気付いていないのは俺だけで、どうやら張飛も彼の正体を長生だと見抜いていたみたいだ。
いやいやいやいや、全然別人なんですけど?
「その名は捨てました。いまは関雲長と名乗っています」
「はぁっ!?」
――関羽、字を雲長。
三国志でも有名な、劉備の腹心だ。
いや、ひと目見たときから、関羽じゃねぇかなぁって……ビッグイベントキター! って密かに思ってたんだけど、あのとき洛陽で、俺らより先に役人の鄧を討った管長生が、実は関羽だったってことかよ!
いや、びっくりだな、ほんと。
「なるほど……。で、その雲長さんが、一体ここへなんの用で? まさか肉を買いにわざわざ来たわけではないでしょう」
「ええ、肉は目についたのでついでですな。実はあれから縁あって塩の商いを始めまして」
「ほう……」
劉備の視線が鋭くなる。
塩を売る、というのはこの国では特別なことだ。
というのも、塩は専売、つまり国が独占して販売しているので、普通の商人扱えるものじゃあない。
それこそ代々続いた有力者でもなければ。
洛陽で殺人事件を起こし、名前を変えるような人間が、塩を扱うとなると、関羽の素性はおのずとあきらかになる。
――塩賊。
国に無断で塩を商う者の総称である。
彼らの罪は、反逆に匹敵するほど、重い。
「商いの途中、近くに来ましたので、ごあいさつを、と」
「それはわざわざどうも」
「塩以外にもいろいろと扱っておりますので、いつでもお声がけください。玄徳殿の頼みとあらば、この雲長、いかようにも応えますので」
関羽はそう言うと、深々と頭を下げた。
「それは心強い。せっかくきたのですから、どうです、いまから一献」
そして劉備は、塩賊と知ってなお、関羽とのつながりを求めたようだ。
いや、塩賊だからこそ、か。
「ええ、ぜひ。だがその前に……簡憲和どの、でしたかな」
「え? あ、はい」
関羽は劉備との会話を中断し、俺のほうを向いた。
あの関羽が目の前にいるんだ、と思うと、なんだか緊張するな。
まぁ、劉備と張飛も大人物ではあるんだが、俺が簡雍になる前から知り合いだっただけに、申し訳ないけどありがたみが少ないんだよ。
「これを」
関羽は俺に一歩近づくと、懐から短剣を取り出して、俺に差し出した。
「これに、何度か命を救われました」
洛陽で菅長生と名乗っていた彼が逃げる際、俺が貸した短剣だ。
この1年でかなり使い込んだのか、結構傷だらけだな。
「お役に立てたのならなにより」
手を伸ばし、短剣を受け取る。
「先生、それ習の旦那に借りたやつだろ? 返さなくていいのか?」
「なくしたって報告して、1年だぜ? いまさら返されても旦那だって困るさ」
もともとその場しのぎで借りたもので、なんの愛着もなかったけど、関羽の窮地を救ったってことなら、なんか御利益がありそうだ。
いまはただの青年だけど、遠い未来には神様になる男だからな。
こいつはお守り代わりにいただくことにする。
「そういえば、肉のほうはどうなるのかな?」
張飛に向き直った関羽が、冗談めかして言う。
「引き分けだったから、タダではやれねぇな。半額でいいなら売ってやるけど」
「ケチくさいことを言うな、益徳。私が酒を出すから、お前はその肉を出せ」
「へへ、それだったら喜んで!」
「ならばオレは塩を提供しましょう。それこそ売るほどありますからな」
「しょうがない、じゃあオレはとっておきの話をしてやろう」
「いよっ! 待ってましたぜ先生!!」
俺に提供できる物はないので、日本で見たアニメやマンガをアレンジした話をすることにした。
いままでもいくつか披露してて、結構好評なんだぜ?
「よし、今日は法で裁けぬ悪を討つ、街の掃除人の話をしてやる。その掃除人に依頼を出すときは、街角の布告板に『十丁乙』と合い言葉を書いてだな……」
ついに劉備、関羽、張飛の3人がそろった。
その現場に居合わせることができた俺は、なんと幸せ者だろう。
彼ら3人だけではなく、曹操や袁紹との出会い、それに、習の旦那のような有力者とのつながりが、いったいこれからどんな物語を紡いでいくんだろうか。
そしてまだ見ぬ大人物たちとの新たな出会いも、大いに楽しみだ。
これから時代はどんどん加速していく。
俺がこの先、簡雍としてどう時代に関わっていくのか、怖くもあるが、それ以上に楽しみだ。
序章 気がつけば簡雍 ―完―
言うまでもないだろうけど、帰り道も地獄だった。
あれから世の中はどんどん暗くなっているみたいだけど、俺たちの周りにそこまで変化はない。
俺はいつものように肉屋の軒先で長椅子に寝そべってゴロゴロし、張飛は萌え絵を描いている。
劉備はときどき旦那連中に呼ばれてなにかしているみたいで、張飛が手伝うこともあった。
この日は珍しく、劉備も肉屋の軒先にいて、3人でだらだらと喋っていた。
「たのもう」
そこへ、ひとりの男が現れた。
日に焼けた赤銅色の肌に、長い髭が印象的な大男だった。
「やぁ、久しぶりだね」
どうやら劉備の知り合いらしい。
ただ、劉備の言葉に、男は驚いているようだった。
「ほう、この岩を持ち上げると、肉を半額にしてもらえるのか」
看板に気付いた男が、張飛に尋ねる。
「おう。やってみな」
「では」
男はふんっ! と気合いを入れると、大岩を軽々と持ち上げた。
「やるじゃねぇか。じゃあ次はおれとひと勝負しねぇか? 勝ったら肉をタダでやる」
「おもしろい」
男と張飛が向き合う。
「素手でいいのか?」
「お前ぇがいいんなら、棒で打ち合ってもいいぜぇ?」
「ふふ、そのほうが面白そうだ」
いったん店の奥に姿を消した張飛が、農具の柄みたいな棒を2本持って現れ、片方を男に投げてよこした。
そしてふたりは棒を構えた。
「……」
「……」
棒を構えてにらみ合う、男と張飛。
見ているだけで緊張する。
自分がどんな顔で見ているのか知らないが、劉備はなぜか平然としていた。
微動だにしていないにもかかわらず、ふたりの額には汗が浮かんでいる。
額から流れた汗が、頬を伝い落ちていく。
それが何度も続き、髭の先にできた汗のしずくが、少しずつ大きくなる。
張飛のごわごわとした短い髭の先から、ぽたりと汗が地面に落ちた瞬間、ふたりは同時に動いた。
張飛の繰り出した突きを、男は棒を振り上げて払う。
それ予備動作となり、男は張飛の肩をめがけて棒を振り下ろした。
身体をひねりながらそれをかわした張飛は、男の胴をめがけて棒を薙ぐ。
そんな激しい攻防が何度も繰り返された。
「なにもんだよ……」
そう呟いた俺だが、なんとなく予想はついていた。
赤ら顔に長い髭を持ち、張飛に匹敵する力の持ち主と言えば、ひとりしか思い浮かばない。
意外なのは、劉備が彼を以前から知っているらしいってことだ。
――バキィッ!
打ち合ったふたりの棒が、ほぼ同時に折れる。
「そこまで!」
劉備の号令で、張飛はもちろん、男のほうも構えをといた。
「あいかわらずいい腕だね、長生さん」
「えっ!?」
思わず、声が漏れる。
「待ってくれ、長生って、あの、洛陽の……?」
「へへ、やっぱそうだったかぁ。ナリは随分変わっちまったが、打ち合ってみてわかったぜぇ」
気付いていないのは俺だけで、どうやら張飛も彼の正体を長生だと見抜いていたみたいだ。
いやいやいやいや、全然別人なんですけど?
「その名は捨てました。いまは関雲長と名乗っています」
「はぁっ!?」
――関羽、字を雲長。
三国志でも有名な、劉備の腹心だ。
いや、ひと目見たときから、関羽じゃねぇかなぁって……ビッグイベントキター! って密かに思ってたんだけど、あのとき洛陽で、俺らより先に役人の鄧を討った管長生が、実は関羽だったってことかよ!
いや、びっくりだな、ほんと。
「なるほど……。で、その雲長さんが、一体ここへなんの用で? まさか肉を買いにわざわざ来たわけではないでしょう」
「ええ、肉は目についたのでついでですな。実はあれから縁あって塩の商いを始めまして」
「ほう……」
劉備の視線が鋭くなる。
塩を売る、というのはこの国では特別なことだ。
というのも、塩は専売、つまり国が独占して販売しているので、普通の商人扱えるものじゃあない。
それこそ代々続いた有力者でもなければ。
洛陽で殺人事件を起こし、名前を変えるような人間が、塩を扱うとなると、関羽の素性はおのずとあきらかになる。
――塩賊。
国に無断で塩を商う者の総称である。
彼らの罪は、反逆に匹敵するほど、重い。
「商いの途中、近くに来ましたので、ごあいさつを、と」
「それはわざわざどうも」
「塩以外にもいろいろと扱っておりますので、いつでもお声がけください。玄徳殿の頼みとあらば、この雲長、いかようにも応えますので」
関羽はそう言うと、深々と頭を下げた。
「それは心強い。せっかくきたのですから、どうです、いまから一献」
そして劉備は、塩賊と知ってなお、関羽とのつながりを求めたようだ。
いや、塩賊だからこそ、か。
「ええ、ぜひ。だがその前に……簡憲和どの、でしたかな」
「え? あ、はい」
関羽は劉備との会話を中断し、俺のほうを向いた。
あの関羽が目の前にいるんだ、と思うと、なんだか緊張するな。
まぁ、劉備と張飛も大人物ではあるんだが、俺が簡雍になる前から知り合いだっただけに、申し訳ないけどありがたみが少ないんだよ。
「これを」
関羽は俺に一歩近づくと、懐から短剣を取り出して、俺に差し出した。
「これに、何度か命を救われました」
洛陽で菅長生と名乗っていた彼が逃げる際、俺が貸した短剣だ。
この1年でかなり使い込んだのか、結構傷だらけだな。
「お役に立てたのならなにより」
手を伸ばし、短剣を受け取る。
「先生、それ習の旦那に借りたやつだろ? 返さなくていいのか?」
「なくしたって報告して、1年だぜ? いまさら返されても旦那だって困るさ」
もともとその場しのぎで借りたもので、なんの愛着もなかったけど、関羽の窮地を救ったってことなら、なんか御利益がありそうだ。
いまはただの青年だけど、遠い未来には神様になる男だからな。
こいつはお守り代わりにいただくことにする。
「そういえば、肉のほうはどうなるのかな?」
張飛に向き直った関羽が、冗談めかして言う。
「引き分けだったから、タダではやれねぇな。半額でいいなら売ってやるけど」
「ケチくさいことを言うな、益徳。私が酒を出すから、お前はその肉を出せ」
「へへ、それだったら喜んで!」
「ならばオレは塩を提供しましょう。それこそ売るほどありますからな」
「しょうがない、じゃあオレはとっておきの話をしてやろう」
「いよっ! 待ってましたぜ先生!!」
俺に提供できる物はないので、日本で見たアニメやマンガをアレンジした話をすることにした。
いままでもいくつか披露してて、結構好評なんだぜ?
「よし、今日は法で裁けぬ悪を討つ、街の掃除人の話をしてやる。その掃除人に依頼を出すときは、街角の布告板に『十丁乙』と合い言葉を書いてだな……」
ついに劉備、関羽、張飛の3人がそろった。
その現場に居合わせることができた俺は、なんと幸せ者だろう。
彼ら3人だけではなく、曹操や袁紹との出会い、それに、習の旦那のような有力者とのつながりが、いったいこれからどんな物語を紡いでいくんだろうか。
そしてまだ見ぬ大人物たちとの新たな出会いも、大いに楽しみだ。
これから時代はどんどん加速していく。
俺がこの先、簡雍としてどう時代に関わっていくのか、怖くもあるが、それ以上に楽しみだ。
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