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第一章 島からの旅立ち
第二話 カミ様じゃなくて神様だった
しおりを挟む一人暮らしの僕の家、ふかふかベッドのふかふか毛布にくるまって僕は眠りに就いていた。
気持ちくて、すぐに寝れてしまう。
「おやすみなさい…」
それは毎日同じ、今日も同じ、誰に言うでも無くて、誰かが聞いてて返してくれたら嬉しいなと思いながら、僕は呟いて瞼を閉じた。明日、明日は僕が勇者になるという日だ。
早く寝て、何かに備えよう。
『起きてください、起きてくださいアル』
まどろみの中、眩い光と綺麗な声が僕の覚醒を促す。
だけど僕の体内時計は言ってるよ、まだ四時頃だよって、寝かせてほしいな。
『起きてください、困ります』
う…困られるのは嫌だなぁ。
でもまだ眠たいよ、お布団のぬくぬくの中で生きていたいんだ。
『むー、です』
布団越しに感じる誰かの手が、僕を揺らす。
何故だか懐かしさを感じる声と、布団を通じても伝わる暖かさ、そして眠りを阻害しない程度の揺れが僕を眠りに誘う。
『起きてくださいー』
布団が剥ぎ取られた!
内側で胎児の様に丸くなっていた僕は、寝惚け眼でその人物を仰ぎ見た。
まず最初に映ったのは大きな瞳だ。
アクアマリンって宝石があるんだけど、それが目の前にいきなり出てきたんじゃないかって程に綺麗だった。
お鼻が小さくて口も小さい、その小さなお口の端を少しだけ上げて二コリと微笑んでいる。
金色の髪の毛にウェーブが掛かっていて艶がより際立っていた。
『おはよう、ございます』
両手を合わせて挨拶をされたけど、この綺麗な人はどちら様だろう。
おぼろげに覚えている僕のお母さんとは似ていないのに、どうしてか懐かしい気持ちを覚えるんだ。
『アル、お久しぶりです』
僕の名前を知っているの?
僕は知らないのに、どうして?
『疑問が、尽きませんね』
まるで心の内を読まれたかのような言葉だった。
だけど、不快感は一切ない、むしろ理解されている事が当然で、それが嬉しかった。
『私ばかりが、あなたの名前を知っているのも、変な話ですね』
少し言葉を区切る所がおかしいと感じながらも、言っている事はおかしくなかった。
僕は未だにぽーっとする頭を働かせて、上体だけを起こしてその女性に向き直った。
『私は、神です』
神様らしい、神様と名乗った。
神様って何だっけ、神様、神様っていうと…
「か、かみさま?」
本当に神様なのかな、もしかしたらカミっていう名前の人かもしれない。
『はい、神様です』
どうしよう、神様だった。
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