6 / 72
第一章 島からの旅立ち
第六話 挨拶回り
しおりを挟む☆お隣さん―生まれた時から知ってるお姉さん―
「それじゃあ、行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃい」
まるで買い物に行くみたいな挨拶で旅に出たアル君、これで彼の銀色の艶髪も見納めかぁ。
とはいえ、これで私の長年の秘密もアル君に気取られる事無く行えるわ。
アル君の生活空間の空気が吸いたくて開けた小さな穴、そこから毎日寝ているアル君を眺めたり着替えているアル君を眺めたりしていたけれど、小さい穴で満足している必要は無いわね。
恐らくは生活していた道具とかはそのままだろうし、うふふ、楽しめるわぁ。
☆四つお隣のヴァンパイア族のモチーモさん―実は真祖―
「本当に、お世話になりました!」
「うむ、帰ってきたら旅の話を聞かせてほしいのぉ」
「その時は是非、それじゃあ、行ってきます!」
「精進せよ」
また一人の少年が男への道を駆け上がり始めたか。
彼の運命をチラリと見てみたが、これはなんとも…驚天動地、その一言に尽きるのぉ。
ワシの冒険していた頃の剣を安価で売って渡したから、そこらのモンスターに苦労するとは思えんが…。
モンスター娘共と彼の相性は良いのやら悪いのやら、ともあれ、私が魔術を付与したあの剣なら何とかなるだろう。
調子に乗って麻痺と睡眠と致死毒と保生の魔法を付与したから、敵を殺す事は無くとも完全に動けなくする剣じゃからのぉ、優しい彼にはぴったりじゃが…ふむ、やり過ぎたかもしれん。
☆道具屋の兄さん―無口―
「それじゃあ、行ってきます!」
「…ん」
コイツの頭を撫でてやれるのも今日が最後かもしれないと思うと、残念で仕方無い。
俺は、言葉にすることが苦手だが、コイツの事を実の弟の様に思っていた。
そして、そういう風に接してきたつもりだ。
出来る事ならば、アルの旅に付いて行ってやりたかったがコレはアイツの旅だ。
勇者という肩書きを持ちながらも、健全で純朴な少年、アル。
頭を撫でてやった時に俺の能力の一部を譲渡したが…上手く役立ててくれよ。
譲渡前
『アレクサンド・ディナモルタ Lv.068
固有能力 譲渡 分解
能力 長剣術Stg.2 短剣術Stg.2
炎魔法Stg.1 水魔法Stg.1
雷魔法Stg.1 風魔法Stg.1
土魔法Stg.1 光魔法Stg.1
闇魔法Stg.1 影魔法Stg.1
重力魔法Stg.2 空間魔法Stg.2
撫でStg.2 道具作成Stg.2
魔力感知Stg.3 魔力操作Stg.3
魔力形成Stg.3 魔力回復Stg.3
称号 一騎当千 千魔万来
不敗 千変万化
支配者 苦難を乗り越えし者』
譲渡後
『アレクサンド・ディナモルタ Lv.068
固有能力 譲渡 分解
能力 長剣術Stg.2 短剣術Stg.2
撫でStg.2 道具作成Stg.2
魔力感知Stg.3 魔力操作Stg.3
魔力形成Stg.3 魔力回復Stg.3
称号 一騎当千 千魔万来
不敗 千変万化
支配者 苦難を乗り越えし者』』
強くなれよ、アル。
☆ツミレ先生―自他共に認める普通の女性―
「行ってらっしゃい、怪我しない様にね」
「はい、ぐすっ…これまで、お世話になりました!」
また、一人の少年が私の下から巣立って行きました。
名前はアルノート=ミュニャコス、勇者と言う宿命を背負った男の子です。
彼から聞かれた事にはどう答えた物かと焦りましたが、全てが納得いきました。
彼の習熟の速度、それは目を見張る物でした。
私が教えようとしていた十六年分の学習を三年間で全て終えてしまうのですから、それは才能もあるという物です。
学習Stg.2、それは学びの才能。
剣術や魔法は習得という能力に当たる様ですが、彼の学習の場合は勉学や兵法等を学ぶのに類を見ない降下を発揮します。
きっと、彼は多くの物をこれからも学んでいくのでしょうね。
そして、彼が持つもう一つの突出した才能、誘惑。
……………大納得です!!
彼が解けない問題がある時に見せる困った表情に何度悩まされたことか!
解けた時に見せる笑顔に何度興奮したことか!
彼が自前の料理を作って来た時なんて大変でしたよ、このままデザートを頂いてしまおうかとすら思ったのですから!
ふぅ、ともあれこれで、私が少年趣味の変態では無い事が分かりました。
あぁ、さようなら銀色のふわふわ髪の毛、少しの赤みを帯びた頬、膝小僧。
また、彼の様な未来溢れる少年と出会えることを私は待ちましょう。
願わくば、彼の未来に幸多からんことを。
☆酒場のミノタウロスのレナーシアさん―実は千魔の相棒―
「レナ姉さん、それじゃあ行ってきます!」
「あぁ、人も魔物もぶっ殺してこい!」
「そ、そんな物騒な理由で行くわけじゃないですよぉ」
「はっはっは!ともかく、私の弟分なら簡単に負けんじゃねぇぞ!」
「はい!」
走って町の外へと駆けて行く少年。
アルノート=ミュニャコス、あいつが勇者なんてのは、誰も意識していなかった。
そんな色眼鏡抜きであいつは立派な男だ。
人の為に自分の命を張れるそんな男だ。
思えば、あいつのお陰でアタシは今、ここに立っているんだからな。
私が難破船で島に漂流して来た時、見つけてくれたのはあいつだった。
それから、とんとん拍子で私がこの町に住む事が決まって、気が付けば昔の相棒がいたりして…。
アタシの事を姉さんって呼んでくれて、本当の弟みたいに可愛がった。
これで、あいつと次に会うのはずっと先か…。
あいつにさせた女装、似合ってたから最後にもう一回見たかったぜ。
あいつに着させた大陸渡来の学校指定水着、女用だってのに似合ってたなぁ。
そういえば、ブルマァってのを着させた時は涎が出たなぁ。
あぁ、両手にポンポンを持たせてヒラヒラした服で応援させた時も…いやぁ、いい思い出だ。
次にあいつと逢う時までに色々と揃えておかなくちゃな。
へっ、今から笑みが零れやがる。
町を出た時点でのアルのステータス。
『アルノート=ミュニャコス Lv 002
固有能力 精と生の呪い 勇者の祝福
能力 長剣術Stg.0 学習Stg.2
性技Stg.0 誘惑Stg.3
炎魔法Stg.1 水魔法Stg.1
雷魔法Stg.1 風魔法Stg.1
土魔法Stg.1 光魔法Stg.1
闇魔法Stg.1 影魔法Stg.1
重力魔法Stg.2 空間魔法Stg.2
称号 勇者 犯される者
譲り受けし者 千魔へ至る者
旅立ちの徒 』
装備品 防具 旅装
武器 呪万の長剣
※気付いてません
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる