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第一章 島からの旅立ち
第十七話 誘惑 ③
しおりを挟む「こんばんは、クレア姉さん」
風を受けて髪を抑えるクレア姉さんが目の前に居る。
また、あんな行為をされてしまうのだろうかと、期待と不安が入り乱れる。
「ふぅん…お風呂?アルから良い匂いがするわ」
すっと近付いてきたクレア姉さんに、僕は何の警戒も抱かずに自分の身体に鼻を近づけて匂いを嗅いでみようとした。
ところが、僕の視界が急に夜空を映し出した。
「うわぁ!?」
いきなりクレア姉さんに押し倒されて、僕は背中に強い衝撃を感じた。
これまで急な接近はあったけれど、ここまで強引な行為は無かった。
「外でこんな風に押し倒す事になるなんて考えたことも無かったけど…」
そう言いながらクレア姉さんは僕の股間を膝で刺激してきた。
僕の頭の両側に手を置いて四つん這いの姿勢で上から見下ろしてきている。
「今日は人気も無いし、じっくりとアルに私と一緒に居たいって…思わせてあげる」
頬に手を添えながらそう言われて、僕の身体は緊張から硬直してしまった。
過去の体験から、既に期待が高まり僕のおちんちんが大きくなってしまっている。
膝でぐりぐりとされているのに大きくなってしまい、気持ち良さと一緒に恥ずかしさが湧いてくる。
「服を脱がすのは寒いと思うから、手を中に入れて触ってあげるわ」
お腹の方から手を入れて、指先でなぞる様にしておへその周りをくるくると弄られる。
寒さが感覚を鋭くさせている為、僕はその小さな動きにさえも過敏に反応してしまう。
「や、やめてよクレア姉さん!は、話し合いじゃ駄目なの?」
「でもそれって、ここから出て行こうとするアルと、ここに留まって欲しい私の話し合いでしょ?それならどちらかが譲るしかない、なら、私は譲る気は無いから…こうするしか」
より強く膝をおちんちんに押し付けられ、僕は地面に背中を擦りつけて気持ち良さに耐える。
「ないでしょ?」
片手でお腹を、もう片手で僕の太股をさするクレア姉さんの目は決意の固まった目をしていた。
「そ、それでも、僕はクレア姉さんと話したい!」
「へぇ…」
すっと目を細めるたクレア姉さんは僕の太股をさすっていた手を僕のおちんちんへと運んだ。
「っ…!」
「こんなことされても話し合えるの?」
まだ手は動かされていない、気持ち良さは感じていない、だけれども、これまでの経験がこの後で気持ちよsだが襲ってくる事が分かっているから…あぅ。
思わず腰が上下する。
知っている気持ち良さを求めて無意識に動いてしまう。
それが恥ずかしくて、顔を隠そうとするけれどクレア姉さんの身体が邪魔して顔を隠せない。
「ほら、何も言えなくなっちゃった…気持ち良くなりたいんでしょ?」
内心では気持ち良くなりたいという欲求が湧いて来ている。
それどころか先程の腰の動きに現れている様に最早隠す事が出来ていない。
僕が気持ち良くなりたい事を知っているのに、クレア姉さんはこういう質問をしてきているんだ。
恥ずかしくて、屈辱的で、なのに気持ち良くなりたいという気持ちは収まらなくて、その収まらない気持ちがおちんちんに現れている。
「直接…おちんちん触ってあげる」
「ん、にゃ…!」
思わず「待って」と言おうとしたのに、僕の口は上手く動いてくれなかった。
肌の上を滑り僕のズボンの中、パンツの中に侵入してきたクレア姉さんの細い指が僕のおちんちんに触れる。
「あったかい…それに、かたいわ」
見下ろされながら僕はおちんちんに走った気持ち良さに身を捩った。
この数日、服の上から触られる事はあっても直接は触られていなかった所為で感覚が鋭敏になっている。
全体を包むようにして触れているクレア姉さんの掌の柔らかさが心地よくて、抵抗する気持ちが薄れ始める。
「うぁ…にゅ…」
「アル、お勉強しようか…」
掌が先端を包む、今の僕には感覚的にしか分からないけれど、他の部分よりも表層的な気持ち良さがある。
「ここ…おちんちんの先端は亀頭って言うんだよ」
先端…亀頭を掌の中心でぐりぐりとされて、言葉が身体に刻み込まれたみたいにすんなりと入ってきた。
「アルは亀頭好き?」
亀頭全体を包んで少しだけ力を込められ、僕は必死に頷くことしか出来なかった。
「亀頭から少し下がっていくと傘になってる部分があるでしょ?ここを…カリって言うのよ」
指で輪を作ったクレア姉さんはカリに引っ掛ける形で何度も指を上下させた。
短い間隔で襲い来る熱、それが気持ち良さだということに気付くのに時間が掛かった。
「やめっ…クレアねぇさ…」
何かが出ちゃいそうで、口から出たのは静止を促す言葉だった。
本当は心で「止めないでほしい」「もっとして欲しい」と思っていたけれど、それを言ってしまったら何でも言ってしまいそうで、僕は何とか言葉を飲みこんだ。
だけど、僕は期待していた。
さっき「待って」と言おうとした僕に構わずおちんちんを触ったクレア姉さんだから、そのまま続けてくれるんじゃないかって思ったんだ。
きっと、気持ち良さの波に流されちゃう。
流されたい…そう思ったのに、
「うん、じゃあ、やめる」
クレア姉さんはすんなりと動きを止めた。
僕のおちんちんがもっとして欲しいと訴えかけるかのようにピクピクとしているけれど、クレア姉さんはまるで無関心だ。
いや、無関心というよりも、『気が付いているけれどあえてそうしている』といった方が的確だろう。
だって、クレア姉さんが僕に向ける表情はとても楽しげだったから、見下す訳じゃ無いけれど、同等にも見ていない、楽しそうに、玩具を見る様な目線だった。
「本当は、カリから続くこの部分…サオも扱いてあげようと思ったんだけどね…」
亀頭に置いた指先を下へ、カリの部分を通って、サオと呼んだ場所を一本の指で弄ぶ。
たった一本の指なのに、気持ち良さを求めている僕のおちんちんは嬉しそうに跳ねて反応を示す。
「はっ…うぁ、やぁ…ねぇさ、ん…」
僕も同じ、もっと触って欲しくて、自然と声が甘える風になってしまう。
おちんちんに伸ばされている手とは逆、僕のお腹を触るクレア姉さんの手をぎゅっと握るけれど、クレア姉さんは笑みを深めるだけだった。
「気持ち良いの?快楽…感じてる?」
「かい…らく?」
「そう、気持ち良さの事よ、快楽に素直になれば、このサオの部分も扱いてあげるけど?」
一拍を置いて、僕は飲みこんだはずの言葉を吐きだした。
「扱いてぇ…おねぇちゃん…気持ち良くしてぇ…」
脳までとろけそうな気持ち良さに、僕の思考はドロドロになっていた。
自分の考えをそのまま吐露する事が当然になっていた。
思わず口から出た『おねぇちゃん』という呼称に、クレア姉さんは「あっ…は」と小さく声を漏らすと四つん這いの体勢から身体を僕に密着させてきた。
柔らかくて、良い香りがして、人の体温が僕を安らがせる。
同時に、密着した事で感じた重みが不思議と僕を興奮させた。
「これからはそう呼んで、アル、いい?」
「うん、おねぇちゃん…しゅっしゅしてぇ…」
まるで牛の乳しぼりの様に、クレア姉さんは指を順々に僕のおちんちんに触れさせていった。
「あっ…んぁ…ふぁぁああ…」
指が一本増えるごとに、サオの部分で感じる気持ち良さが増大していく。
亀頭に感じる快楽が身体の表面に感じる熱だとしたら、サオに感じる快楽は腰から背骨へ段々と昇ってくる水の様な快楽だった。
五本、全ての指が僕のサオに触れたかと思えば、次にはサオを包むようにして僕を襲った。
「んっ、はぁあぁ…おねぇちゃん、おねぇちゃん…んっ」
「アル…可愛い、好きよ、好きよアル…んっ、ちゅ、じゅ…ちゅぱっ…ちゅっ…」
唇を奪われ、入り込んできた舌が僕をさらにとろけさせる。
粘膜で感じるクレア姉さんは暖かくて、それが間違った行為だとは思えなくて、僕は受け入れて自らの舌を絡ませた。
唾がクレア姉さんに吸われたかと思えば、僕の口の中にクレア姉さんの唾が入ってくる。
飲みこもうと一度口を離せば、角度を変えてより深く僕の口の中に舌が入ってくる。
「ふぐっ…ふっ…んぷぁ…はっ…あぁ、んはぁ…んん…ちゅる…んぁ…はっ…」
「ちゅぱっ…ちゅっ、じゅるっ、ずずっ…はぁぁああぁ…ちゅっ…れろっ…・ずちゅ…ちゅっ…」
動きに遠慮も躊躇も容赦も無い、こちらの息継ぎを考えずに快楽を求めてクレア姉さんの舌は僕の口の中を暴れまわる。
とろりと唾が口の端から垂れるけれど、気にする様子も無くただただ僕の口を遊び尽くす。
「ぷはぁっ…はぁ…はぁ…あはっ、アル、もう我慢汁でドロドロじゃないの」
その言葉通り、僕のおちんちんはクレア姉さんの指も巻き込んでドロドロの液体が溢れていた。
気持ち良かったし、何度も身体が跳ねて驚きから快楽を何処かに逃がす事も出来なかった。
だけど、神様とシた時に出たアレは出なかった。
出させてもらえなかった。
「うぇ…ぐすっ…」
「どうしたの?涙が出ちゃうの?射精出来なかったから?」
「な、泣いてないもんっ…!」
「はぁ……可愛い…」
一度行為が止まった事で、元々自身が話し合いを要求していた事を思い出した。
そうだ、快楽に流されちゃ駄目だ…!
心ではそう思うけれど、僕の腰は心を無視してクレア姉さんの指におちんちんを擦りつけようと動いてしまう。
「アルが…やめてって言ったよね?」
「そ、そうだけど…」
「止めて欲しいんでしょ?」
「うぅ…うぅ~」
単なる質問、そのハズなのに、その言葉は何故か僕の心をくすぐる。
自分の本当の気持ちが見透かされていて、何を言えばいいのか分からされている様で、それが何故か、気持ちが良い。
心臓が小さくなったり大きくなったり、熱に浮かされたように頭がぽーっとする。
このまま全部、クレア姉さんに身を任せれば、どれだけ気持ちが良いだろうか。
心が考える事が、身体が求める事に浸食される。
内側に思っている事が、外側から塗り固められていく。
「ねぇ、アル?」
クレア姉さんは身体を密着させたまま、何かごそごそと動いた。
何をしているのか分からないけれど、肌に触れるクレア姉さん自身の肌の面積が増えているのが分かった。
「んっ…あはっ、私もビショビショだ…」
ぬちゅ…と粘液質な水音がして、僕の顔に何かが置かれた。
サラリとしていて、布…である事が分かった。
不思議と興奮する香りがするその布は、少しだけ湿っていて寒空もあってかひんやりとした。
「ほら、見て?こっちを、見るの」
僕を真上から見下ろしていたクレア姉さんは僕に馬乗りになっていて、お腹の所に座っていた。
「見える?私、今パンツ履いてないんだよ?」
僕のお腹に座るクレア姉さんは、自分のスカートをたくし上げておまんこが見えるように、いや、僕に魅せていた。
僕のお腹に服越しに伝わる暖かさ、柔らかさ、そして濡れている事が分かるぬめぬめとした水の感触。
「分かるよね…おまんこ、だよ」
その響きが僕の下腹部を震わせる。
ぎゅっと抑えつけられるような、それでいて疼きを感じさせる不思議な感覚。
それは神様との行為を思い出したから、あの気持ち良さを、溺れる様な快楽を思い出したから。
おまんこに僕のおちんちんを挿れれば、神様の様にクレア姉さんも気持ち良くなってくれるんだろうか。
もしもそうなら、僕はクレア姉さんにも気持ち良くなって欲しい。
だけど、きっとそこに挿れる事は気持ち良くしたいという願望以上に、気持ち良くなりたいという願望が大きい。
だから、その願いは叶えちゃいけない。
僕が叶えたい願いは、もっと別にあるんだから。
そうだよ、それを伝えなきゃ。
そう、思うのに…!
「ここに、挿れたくない?」
クレア姉さんの魔性の言葉が僕を惑わせる。
ただ目の前にある快楽を享受したいと身体が心を動かそうとする。
「ねぇ、私と子供を作ろう?それでこの島で一緒に育てるの、ね?気持ち良くて、幸せで、笑顔いっぱいの毎日を過ごそう?」
夢の様な生活を語るクレア姉さんは、とても必死な顔をしていた。
その顔を見れば分かるよ、クレア姉さんが本心から言っていない事は…。
本当に島で生きて行きたいのなら、初日にギル兄に『世外の通り道』について聞いたりしない。
将来、僕に連れて行ってもらう…その為にも僕と一緒に居たくて、僕が好きという言葉も嘘じゃ無くて、それで、僕に島に居て欲しいって言ってくれたんだ。
その気持ちは凄くうれしい、だから涙が出る。
その想いを断らなければいけない、だって僕が叶えたい夢はクレア姉さんの物だけじゃないから。
「ぐすっ…うっ…うぅ…」
「どうしたの…アル?なんで泣いてるの?」
先程までの何処か意地悪なクレア姉さんはいなくなっていて、僕を心から心配するクレア姉さんがそこには居た。
「ごめんね、ごめんねクレア姉さん」
「…なんで、アルが謝るの?」
「だって、僕は、僕は残れないから、行かなくちゃいけないから」
「どうして…どうしてアルが謝るのよぉ…」
僕に跨るクレア姉さんもまた、その瞳に涙を浮かべた。
「だって、止めなきゃ…僕は、人魔戦争を止めなきゃだから…」
「知ってるよ!そんなこと…ずっと知ってる…」
見下ろされながら、僕は涙を流す。
クレア姉さんの背後で輝く月が涙を照らして、雪も照らして、何処か幻想的な光景だった。
「アルは行かなきゃだから…だから、私はこの想いを諦めたかったの…!」
「諦め…たかった?」
「私はアルが好き、それは嘘じゃ無い、アルと一緒に居たい、それも嘘じゃ無い、『世外の通り道』に行きたい、それも嘘じゃ無い、だけど…全部叶えようとしたら、アルにこの島に居て貰うしか無いじゃない!
だからアルに嫌われようとして強引に迫ったの、叶わない夢なら、いっそガラスみたいに粉々にしてしまいたいと思ったの!」
クレア姉さんは涙を流し、震えながら言葉を続けた。
「なのに…なのにアルは私を強く拒絶しなかった…だから、希望を持っちゃったの…一緒に居てくれるのかもって」
「そんなの…そんなの当たり前じゃないか!」
僕は身体を起こして、クレア姉さんの肩を掴んで想いをぶつける。
「クレア姉さんと一緒に居たくない訳無いじゃないか!クレア姉さんの事を嫌いになれるわけ無いじゃないか!だからこそ、だからこそ僕は人魔戦争を止めるんだ!」
「死んじゃうかもしれないんだよ!?戻ってこれないかもしれない…だからこの島に居てほしいの、いなくならないで居て欲しいの!」
「僕は死なない!『かもしれない』なんて必要ない!」
「でも!」
「全部叶えるから!」
僕が人魔戦争を止める理由は、僕が勇者だからというのも勿論ある。
父さんが、ギル兄が頑張ってくれているからだっていうのも勿論ある。
だけどそこには、
「人魔戦争を止めて、『世外の通り道』にクレア姉さんを連れて行くから!」
クレア姉さんだって、僕が人魔戦争を止めたい理由の中に入ってるんだ。
それに、クレア姉さんの願いで気が付いたんだ。
きっと世界中に、何処かに行きたいけれど、世界が危険で行けない人がいるって事に。
自分の住んでいた町を出て港町で水平線を見て僕は感動した。
そういう、美しい景色とか、遠くに住んでいる会いたい人とか、色んな願望が人魔戦争で叶えられなくなっているって、僕は考えた。
だから、そういう願いの為にも僕は止める。
人魔戦争を止めてみせる。
「だから…だから待っていて欲しいんだ、この場所で」
波が音を立てて引いていく。
一時の静寂をさざ波の音が際立たせる。
「アル…」
静寂を切り裂いたのはクレア姉さんだった。
発せられるのは肯定か、否定か、僕は何を言われるのか恐ろしかった。
「約束…違えたら、怒るからね」
「うん、約束」
笑顔で返した僕に、クレア姉さんは抱きついて、子供の様に泣きだした。
抱きしめ返して、良かったと思う一方で僕は考えていた。
「(流石に…寒い…)」
二人して下半身丸出しで雪の中抱き合って泣いている姿は、幻想的というよりかは幻滅される類の光景だった。
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