勇者として生きる道の上で(R-18)

ちゃめしごと

文字の大きさ
30 / 72
第二章 船上の証明

第二十七話 二師

しおりを挟む


 ギル兄とアリス姉さんは…どうやら知り合いみたいだ。

 アリス姉さんにキスをして貰っちゃった事、ギル兄には黙っておいた方がいいかもしれない…。だけど、キスをして貰って、イメージを伝えて貰うまでに何をしていたのかが思い出せない…。

 だけど、何か変な事をされてはいないようだし、アリス姉さんを疑うのも嫌だから飲み込んで朝ごはんと一緒に消化しちゃおう。

 あれから夜が明けて朝、ギル兄は今日も僕の魔法の修行を見てくれているんだけれど…その隣、アリス姉さんが同じベッドに腰掛けて、僕の魔法の修行を同じ様に見てくれている。

 …なんで二人とも、会話もせずにずっと僕を見てるんだろう。

 アリス姉さんが部屋に入って来てから、一言もギル兄は喋って無い…。

 アリス姉さんが僕の頭を撫でてくれようとした時だけ、手を伸ばしてアリス姉さんの細い腕を掴んでいたけれど…アリス姉さんが腕に炎を纏ってすぐに手を放していた。

 こ…怖いよ、何だか二人から変な圧力を感じる。

 しゅ、集中出来ない!

 ―――いや、待つんだアルノート!もしかしてこれは二人が実戦の場に置いて圧力に耐えながらも魔法が使えるようにと整えてくれたんじゃないか?

 だとしたら、集中しないと失礼に当たる。

 集中だ。

 自分の中の魔力を感じて、それを全身に行き渡らせるんだ。

☆ギル視点

 何故かアルの修行を見ていたら、昔戦場で見た時の魔法使い然りな格好をしたアリサスが部屋に入って来た。

 この女との忌まわしい記憶が甦る…あれは俺がまだ大陸で傭兵をやっていた頃、戦場の中でこの女は…この女は俺達の軍の男とセックスをしていやがった!

 分かるか、戦場だぞ!?

 キャンプじゃない、戦いの中でだ!狂ってやがるだろそんなの!?

 それも、誰も咎めようとしない、確かにその光景の異常さに敵軍さえ脚を止めていたが、普通はしないだろそんなこと!?

 だから俺は注意をした。

『ここは戦場だぞ、なにやってんだクソ年増』

 その言葉に対するアリサスの言葉は、

『煩いわね…何?女なら自分で男を捕まえなさいな?そんな鎌まで持って、後ろ専門だってアピールしてるならお尻の布が無い服でも貸してあげましょうか?』

 …今思い出しても腹立たしい、この女は俺を女性と見間違えたんだ。

 当時の俺はまだ少し幼さが残っていて、長い黒髪で顔の半分を隠しているのもあって女性に見えたそうだ。

 とはいえ会話の中だ。俺の声は当時から聞けば弾性と分かる声をしていた…それなのに間違えたんだ。

 こいつは根っから腐ってる。絶対にアルに近づけちゃならねぇ奴だ。

 部屋に入れたのはアルが警戒をしていないから、アル自身が嫌がっていないからだ。

 だがもしもアルに何かしてみろ、すぐに切り裂いてやる…。


☆アリス視点

 水平線の向こう側から朝日がこんにちはをした様な時間帯。

 こんな朝早くに起きてアルの魔力を追って部屋に来てみたら、アルは既に修行を始めていた。

 自分の内側にある魔力を感じる為の修行だというのは、アルの内にある魔力が自分の存在を気付いて欲しそうに炎の様に燃えていることから分かった。

 そしてそれをベッドに座ってじっと観察しているイケすかない男、ギルバート。

 この男だけは許さない、あれは私が傭兵として戦場に行っていた頃…。

 私は戦場における魔法として、魅了と存在主張、つまりは人目を集める事で敵に隙を作る役を買って出た。その為に女性フェロモンをより多く放出する必要があり、私は軍の弾性とセックスをした。

 確かに戦場の戦闘中のど真ん中、だけどそれが起因して確かに敵足は乱れていた。

 確かな成果があったのだ。

 だけどどうだ。このギルバートという男、当時はまだ幼い外見で可愛らしかったけれど口調は乱雑、私に言った言葉は、

『ここは戦場だぞ、娼婦は宿に帰って腰でも振ってなブチ殺すぞ』

 あぁ腹立たしい、私は優雅に返したわ、

『あらいやね、私のこれは作戦よ、鎌なんて持って物騒だわ、女の子なのに鎌なんて危ないわ、剣を使いなさい』

 そのアドバイスも聞かぬ存ぜぬ、ギルバートは私の近くでわざと戦い出した。お陰でエッチに全然集中出来なかったのだから嫌になるわ。

 こいつがアルの魔法の師匠…?こんな鎌振ってるだけの馬鹿に何ができるってのよ…。

 よーく見ていてあげるわ、どんな先生をしているのか。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...