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第三章 商会を束ねる者
第五十五話 事態急変
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「おう、アルおかえり…頑張ったな…」
ギル兄に迎えられて、僕は下水道を後にする為に歩き出した。
薄暗い中で、ギル兄が僕に綺麗な布を差し出してくれた。僕自身、気付いていなかったけれど涙で顔が濡れていたらしい。
その布で顔を拭いて、必死に前を剥く。暗くとも進む道はある。
ギル兄の後を追って下水道から出ると、いつの間にか日は沈んで暗闇が街を覆っていた。
港の夜…薄暗い中にお店の灯りが点いているのを見ると、不思議と足を向けたくなるのは暗闇の与える不安がそうさせるのか、僕には難しい話だから少し分からない。
人の心理状態…なんて話は僕には難しい部分だけど、大人になれば分かるのかな。
…そうやって、別の部分に意識を逸らさないと、僕は先程の光景を思い出してしまいそうだった。
人の死体、凄惨な現場、それを生み出した少女、生き方を変えられない…呪いの様な。
僕はそこに、悪を感じはしなかった。
正義も、感じなかった。
ただ生きている。その事実が、生き抜こうとする事実が在り方を定めていると感じた。
そう生きる事が当然だと、モンスターという種の在り方を…。
突然、ギル兄が立ち止まった。
「アル…気付いてるか?」
…そう言われて、周囲に気を配ってみる。
だけど、何も気付けない…何かがいるのだろうか。
「気付いていないみたいだな、安心しろ、俺が守ってやる」
そうは言ってくれたけれど、僕は別の事に気付いている。ギル兄が既に疲れているという事に…。
この状態で戦闘なんて出来るのだろうか、あの空間魔法の使用はかなり疲れる物だった様だし、あまり無理はして欲しく無い。
「ううん、僕も戦える…ギル兄、敵なんだよね」
腰の剣に手を添えながら問い掛けると、ギル兄は困った様に笑いながら頷いた。
「後方に二人、前方に三人だ…前方の三人が、中々に強いみたいだな…狙われる覚えはあるか?」
そう言われて、僕は前方と後方に注意を払ったがまるで分からない、何処に居るのか気付けない。
それに、狙われる覚えなんて無い…分からない。
「こ、この前、泊った宿屋でお手洗いでおしっこした時に床に飛んじゃった位しか…」
「よーし、絶対に違うぞアル!それで狙われるなら世界中の男の命が危機に瀕する!」
振り返ってみればこの時、僕は僕自身もまた疲れているという事を忘れていた。自分よりも他人を意識するあまりに、僕は自分自身を見落としていた。
「―――来るぞ」
ギル兄の言葉が夜の闇に残響し、次いで僅かな足音が聞こえ突如として目の前に黒装束の人物が現れた。何故か、何故か僕に対して攻撃をするのではなく手を伸ばしてきた。
「っわあぁ!!」
真っ黒な手が迫って来る事が怖くて、出鱈目に剣を振るうけれど当たるハズも無い、
こちらを馬鹿にするみたいに紙一重で避けられるけれど、剣を振るう事を止めたら再びあの手が伸びてくると思うと怖くて仕方が無かった。
何故か、あの手に掴まれたら…と嫌な予感がした。
感応系の魔法は確か、遠距離から使うよりも対象に直接触れて使った方が効果が高いとアリス姉さんから教えて貰った。感応系…相手を怖がらせたり、眠らせたり、感情に作用させる物などだ。
もしかして、僕を恐慌に陥らせる為の恐怖の魔法なのだろうか。
だから、僕はあの手を見て怖いと感じた…?
…うん、冷静に分析は出来ている。だけど、体は駄目だ。体は…疲れてる。
戦い始める前に気付くべきだった。これじゃあギル兄の脚を引っ張ってしまう事になる。
僕が相手にしているのは後方の二人、ギル兄が相手にしているのは前方の三人。
ふと、ギル兄は大丈夫だろうかと見てみると、丁度ツ―ハンデッドソードで敵に切り掛かるところだった。
「ぐぁあぁあああ!!」
ギル兄も辛いのではと思ったけれど、早速敵の悲鳴が聞こえて来ている辺りギル兄の容赦の無さが窺える。
―――――――――――――――
※マニア視点
人払いの恐火のお陰で、人は近くに誰もいない、そういう風に…この私が調整したから。
「やはり恐火は便利ですね…こうして、悪を働く時には…!」
風が私の美しい髪を靡かせる。素敵な演出に一枚の絵を描きたくなるが此処は堪えましょう。
屋根の上、身を僅かに屈めて片膝立ちの姿勢で戦闘の経過を見守る。
「やはり…あの男はかなり強いですね」
蒼炎の名を持つ私でも、あの死神を相手にするのは骨が折れます。過小評価をする訳では無く私はあの男に勝つ事が出来ます…相性という面でね。あの男が影使いである以上、炎を使う私とは相性が悪いハズですからね…。
勇者の少年も型が崩れてはいますが、剣を振るい慣れていない訳では無い。
あれは長年の経験を積めばかなり強くなれる素質がありますね…宝石の原石を見付けた気分ですよ。それにあの顔、成程、あれは私のお得意様達が欲しがる訳です。良い商品になりそうですよ…。
…おや、死神め予想以上にやりますね。
これは、私も少し出る必要があるかもしれませんが…ここは一つ、配下に働いて貰いますかね。
腕に蒼い炎を灯して合図として、二人の従者が私の下に駆け付ける。
つい最近、私に勇者の存在を教えてくれた男が私に残して行った二人の骸。死霊ノ騎士。
「貴方達、死神の相手をして下さい」
骨のなる音で頷いて、二つの骸は静かに戦闘に加わりに行った。隠密性に富んだ死霊ノ騎士なんて物は初めて見ましたし、人の言う事をあそこまで理解出来るのも素晴らしい…。
嗚呼、あの男も捉えておけばよい商品が量産出来た物を…とはいえ、死霊ノ王を相手に大立ち回りをするのは利口じゃありませんからね。
………!
とはいえ、私以外が利口じゃ無い事は、むしろ喜ぶべき事ですね。
―――――――――――
※ギルバート視点
―――――強い、と思ったがそうでも無い。
ツ―ハンデッドソードで何とかなる程度の雑魚だが…いやにタフでいやがる。こういう相手が一番面倒臭い、強いか弱いかじゃ無くて面倒な相手だ。
アルの奴に相手をさせるには丁度良いかもしれないが、あいつ、混乱してるのかさっきから矢鱈めったらに剣を振りまわしているだけで攻撃にもなっちゃいない。
疲れが出ている…それも、あいつ俺より疲れてやがる。自分で戦い始めるまで気付いていなかったな?
「だけど、こいつで終わりだァ!!」
ツ―ハンデッドソードの薙ぎ払いで、手に伝わってくる感触から肋骨を砕いたと確信した。
残りは一人、やぶれかぶれな愚直突進、嫌いじゃないが良い手とは言えないな。
単純に避けて、背後から振り下ろしで地面にキスをさせて昇天だ。頭部が砕けたのか、血が溢れて来ている。馬鹿な奴らだ。もっと何か別の事に精を出せばよかったのに。
俺が三人の馬鹿を倒して、アルを助けに向かおうとした所で意味の分からん骸骨に甲冑を付けた変態が目の前に立ち塞がった。なんだこれ、センス悪過ぎるぞ。
死霊ノ騎士…なのか?なんだってこんな街中に、戦場以外でこいつらの姿を見る事になるなんて思ってもみなかったぞ。
アルを見てみると、余裕は…あまり無さそうだ。
とはいえ死霊ノ騎士なんて存在、放っておけばどんな被害を出すのか分からない上に…こいつら、俺を狙っていやがる。剣先をわざわざ俺に向けて、それをアピールしてきている辺り頭の良い死霊ノ王に創られやがったな。
「い…嫌ぁあああぁぁああ!!」
その時、夜の静けさを切り裂く声が響いた。
聞こえて来た方向に視線を走らせると―――おいおい、何がどういう事だよ。
どうして、カエラ商会の会長さんが…屋根の上で掴まってなんかいるんだ!?
ギル兄に迎えられて、僕は下水道を後にする為に歩き出した。
薄暗い中で、ギル兄が僕に綺麗な布を差し出してくれた。僕自身、気付いていなかったけれど涙で顔が濡れていたらしい。
その布で顔を拭いて、必死に前を剥く。暗くとも進む道はある。
ギル兄の後を追って下水道から出ると、いつの間にか日は沈んで暗闇が街を覆っていた。
港の夜…薄暗い中にお店の灯りが点いているのを見ると、不思議と足を向けたくなるのは暗闇の与える不安がそうさせるのか、僕には難しい話だから少し分からない。
人の心理状態…なんて話は僕には難しい部分だけど、大人になれば分かるのかな。
…そうやって、別の部分に意識を逸らさないと、僕は先程の光景を思い出してしまいそうだった。
人の死体、凄惨な現場、それを生み出した少女、生き方を変えられない…呪いの様な。
僕はそこに、悪を感じはしなかった。
正義も、感じなかった。
ただ生きている。その事実が、生き抜こうとする事実が在り方を定めていると感じた。
そう生きる事が当然だと、モンスターという種の在り方を…。
突然、ギル兄が立ち止まった。
「アル…気付いてるか?」
…そう言われて、周囲に気を配ってみる。
だけど、何も気付けない…何かがいるのだろうか。
「気付いていないみたいだな、安心しろ、俺が守ってやる」
そうは言ってくれたけれど、僕は別の事に気付いている。ギル兄が既に疲れているという事に…。
この状態で戦闘なんて出来るのだろうか、あの空間魔法の使用はかなり疲れる物だった様だし、あまり無理はして欲しく無い。
「ううん、僕も戦える…ギル兄、敵なんだよね」
腰の剣に手を添えながら問い掛けると、ギル兄は困った様に笑いながら頷いた。
「後方に二人、前方に三人だ…前方の三人が、中々に強いみたいだな…狙われる覚えはあるか?」
そう言われて、僕は前方と後方に注意を払ったがまるで分からない、何処に居るのか気付けない。
それに、狙われる覚えなんて無い…分からない。
「こ、この前、泊った宿屋でお手洗いでおしっこした時に床に飛んじゃった位しか…」
「よーし、絶対に違うぞアル!それで狙われるなら世界中の男の命が危機に瀕する!」
振り返ってみればこの時、僕は僕自身もまた疲れているという事を忘れていた。自分よりも他人を意識するあまりに、僕は自分自身を見落としていた。
「―――来るぞ」
ギル兄の言葉が夜の闇に残響し、次いで僅かな足音が聞こえ突如として目の前に黒装束の人物が現れた。何故か、何故か僕に対して攻撃をするのではなく手を伸ばしてきた。
「っわあぁ!!」
真っ黒な手が迫って来る事が怖くて、出鱈目に剣を振るうけれど当たるハズも無い、
こちらを馬鹿にするみたいに紙一重で避けられるけれど、剣を振るう事を止めたら再びあの手が伸びてくると思うと怖くて仕方が無かった。
何故か、あの手に掴まれたら…と嫌な予感がした。
感応系の魔法は確か、遠距離から使うよりも対象に直接触れて使った方が効果が高いとアリス姉さんから教えて貰った。感応系…相手を怖がらせたり、眠らせたり、感情に作用させる物などだ。
もしかして、僕を恐慌に陥らせる為の恐怖の魔法なのだろうか。
だから、僕はあの手を見て怖いと感じた…?
…うん、冷静に分析は出来ている。だけど、体は駄目だ。体は…疲れてる。
戦い始める前に気付くべきだった。これじゃあギル兄の脚を引っ張ってしまう事になる。
僕が相手にしているのは後方の二人、ギル兄が相手にしているのは前方の三人。
ふと、ギル兄は大丈夫だろうかと見てみると、丁度ツ―ハンデッドソードで敵に切り掛かるところだった。
「ぐぁあぁあああ!!」
ギル兄も辛いのではと思ったけれど、早速敵の悲鳴が聞こえて来ている辺りギル兄の容赦の無さが窺える。
―――――――――――――――
※マニア視点
人払いの恐火のお陰で、人は近くに誰もいない、そういう風に…この私が調整したから。
「やはり恐火は便利ですね…こうして、悪を働く時には…!」
風が私の美しい髪を靡かせる。素敵な演出に一枚の絵を描きたくなるが此処は堪えましょう。
屋根の上、身を僅かに屈めて片膝立ちの姿勢で戦闘の経過を見守る。
「やはり…あの男はかなり強いですね」
蒼炎の名を持つ私でも、あの死神を相手にするのは骨が折れます。過小評価をする訳では無く私はあの男に勝つ事が出来ます…相性という面でね。あの男が影使いである以上、炎を使う私とは相性が悪いハズですからね…。
勇者の少年も型が崩れてはいますが、剣を振るい慣れていない訳では無い。
あれは長年の経験を積めばかなり強くなれる素質がありますね…宝石の原石を見付けた気分ですよ。それにあの顔、成程、あれは私のお得意様達が欲しがる訳です。良い商品になりそうですよ…。
…おや、死神め予想以上にやりますね。
これは、私も少し出る必要があるかもしれませんが…ここは一つ、配下に働いて貰いますかね。
腕に蒼い炎を灯して合図として、二人の従者が私の下に駆け付ける。
つい最近、私に勇者の存在を教えてくれた男が私に残して行った二人の骸。死霊ノ騎士。
「貴方達、死神の相手をして下さい」
骨のなる音で頷いて、二つの骸は静かに戦闘に加わりに行った。隠密性に富んだ死霊ノ騎士なんて物は初めて見ましたし、人の言う事をあそこまで理解出来るのも素晴らしい…。
嗚呼、あの男も捉えておけばよい商品が量産出来た物を…とはいえ、死霊ノ王を相手に大立ち回りをするのは利口じゃありませんからね。
………!
とはいえ、私以外が利口じゃ無い事は、むしろ喜ぶべき事ですね。
―――――――――――
※ギルバート視点
―――――強い、と思ったがそうでも無い。
ツ―ハンデッドソードで何とかなる程度の雑魚だが…いやにタフでいやがる。こういう相手が一番面倒臭い、強いか弱いかじゃ無くて面倒な相手だ。
アルの奴に相手をさせるには丁度良いかもしれないが、あいつ、混乱してるのかさっきから矢鱈めったらに剣を振りまわしているだけで攻撃にもなっちゃいない。
疲れが出ている…それも、あいつ俺より疲れてやがる。自分で戦い始めるまで気付いていなかったな?
「だけど、こいつで終わりだァ!!」
ツ―ハンデッドソードの薙ぎ払いで、手に伝わってくる感触から肋骨を砕いたと確信した。
残りは一人、やぶれかぶれな愚直突進、嫌いじゃないが良い手とは言えないな。
単純に避けて、背後から振り下ろしで地面にキスをさせて昇天だ。頭部が砕けたのか、血が溢れて来ている。馬鹿な奴らだ。もっと何か別の事に精を出せばよかったのに。
俺が三人の馬鹿を倒して、アルを助けに向かおうとした所で意味の分からん骸骨に甲冑を付けた変態が目の前に立ち塞がった。なんだこれ、センス悪過ぎるぞ。
死霊ノ騎士…なのか?なんだってこんな街中に、戦場以外でこいつらの姿を見る事になるなんて思ってもみなかったぞ。
アルを見てみると、余裕は…あまり無さそうだ。
とはいえ死霊ノ騎士なんて存在、放っておけばどんな被害を出すのか分からない上に…こいつら、俺を狙っていやがる。剣先をわざわざ俺に向けて、それをアピールしてきている辺り頭の良い死霊ノ王に創られやがったな。
「い…嫌ぁあああぁぁああ!!」
その時、夜の静けさを切り裂く声が響いた。
聞こえて来た方向に視線を走らせると―――おいおい、何がどういう事だよ。
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