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第三章 商会を束ねる者
第五十七話 伸ばしたその手
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☆アニマ視点
ギルバートの所にやった死霊ノ騎士とまだギルバートは戦えている様ですね…あの男からは魔力の炎を微弱にしか感じないので、かなり弱っていると思ったんですがね…魔力無しでも相当な剣技、化物め。
そんな事よりも、今はこの馬鹿なエルフの女ですよ。
まさか、わざわざ勇者を助けようとやってくるとは…本当に馬鹿ですね。
馬鹿だからこそ、ヒロイン成り得る素質を秘めている…!
「や、やめぇや!あ、アル君の事をどうにかする気なんやろ、そんなことさせへんで!!」
「あっはっはっはっは!勇猛果敢で正義感に溢れるのは結構ですが、私が何故商会の会館で貴女を拉致出来なかったのか、考え無かったのですか?この様な展開になってくれる事を望んでいたのもありますが…風切のジュネ、あの男がいたから私は手を出せなかったというのに!」
風切のジュネ、あいつは本当に厄介ですからね…風を操るだけなら別に大きな脅威にもなりません、ですがあの男は、無手、そして敵意を見せないポーカーフェイスでそれをやってのける。
あの男から自分から離れてくれるなんて本当に助かりましたよ、いやはや風と炎は相性が悪いですからね、さて、ギルバートは安心、勇者はどんな感じですかね…。
…!?
いない?いや、既に二人の刺客が倒されている。
一体いつの間に、さっき見た時は剣を振るうのも一苦労と言った具合に疲れていたのに、どうして僅かな間眼を離していた間に…!?
どちらにせよ…やはり強い、強い、彼は強くなれる存在であり、この戦いの間に進化したという事ですね。
たまらない…!最高の素材ですね…!
逃がしてしまったのだとしたら、後日、宿屋に遣いを出す必要がありそうですね―――?
気配?
慌てて周囲を見渡してみますが、誰も居りませんね…ですが、確かな気配がします。
「その手を――――放せぇえぇえ!!」
聞こえて来た声に、宙を見上げましたらば…そこに、居たのですか!!
二つの月を背にして、剣を上段に振りかぶり夜闇を切り裂く輝きを反射し、怒りを垣間見せる表情をしている―――最高の素材!
勇者アルノート!!
☆アル視点
脚が痺れる。腰が痛い、無理やりにカチ上げてもらった所為で節々に負担が掛かったみたいだ。
だけど、届いた。
振り下ろした剣の一撃を避けられて、僕は屋根の上に着地した。
そこにいるのは、誰か知らない見た事も無いエルフの男性。切れ長の眼に、勝ち気な笑顔…勝ち気だけど、カエラさんの様な快活さは無くて、勝利を確信している冷笑。
「あかん…あかんよアル君!こいつは化物みたいに強い奴や、君じゃ勝てへん!」
「そんな事は関係無いですよカエラさん、勝てるかどうかはどうでもいい、貴女がその人に掴まって嫌だと叫んだ。だから僕はその手を放させる。それだけです」
エルフの男性は、何故か身震いをして僕を値踏みする様な眼で見て来た。
嫌な眼だ。こちらを…見下している様な…。
左手に掴んだカエラさんの腕を放そうとはしない、何が目的なんだ?
「勇者…勇者アルノート…私は感動していますよ、まさしく勇者たる行動を取る貴方の気高さに…!」
荒い息で僕を称賛しているけれど、何処か狂気染みた物を感じる。
褒められているのに、全く嬉しく無い…。
「アル君、逃げるんや!こいつの目的は君や」
「煩いですが…まぁ、良いでしょう。この場の演出としては良い物です…勇者アルノートは救いの為に空から舞い降りた…なんと劇的な…!」
右手を前に出して来たエルフの男性は、一瞬だけ眼を見開くと次の瞬間にはその右手に炎を纏っていた。暑く無いのかな…。
「そしてヒロインに相応しい行動を取った貴女にも感動しているんですよカエラ嬢…!まさか、父親の情報と貴女の身の安全を捨ててでも好ましく思っている勇者の下に駆け付けるとは…天晴ですよ…本当に」
話の繋がりは見えてこないけれど、このエルフの男性がカエラさんの父親の事を何か知っているというのは分かった。そして、それを捨ててでも僕の所にカエラさんが来てくれたという事も。
カエラさんは腕の痛みからなのか涙を眼に浮かべていた。
そんな光景に、頭に血が上る。
「カエラさんの手を放せよ…!」
「ふふは…温厚だと報告書にはありましたが、これは…カエラ嬢が大事ですかな?」
大事なのかと聞かれたら、僕は僕と関わってくれた人、全員を大切にしたい。
僕みたいな駆け出したばかりの勇者の背を、皆、支えてくれているから。
「ああ…大事だ!」
叫び、踏み込んで剣を振るう。
だが、その一撃は奴の炎の腕で受け止められてしまった。慌てて離れて剣を見てみたが、溶かされたり形が変わったりはしていなかった。
「っ…ふぅ…ははは…あはははははは!!」
自分の額に燃える右の掌を当てて、高笑いをし始めた。
意味が在るとは思えない行動に、苛立ちが募る。
「あかん!ウチの事は放っておいていいから!」
「無理です!諦めて下さい!」
助けたいから、剣を振るう。
だけど、その剣は届かない、男の腕から溢れる炎がまるで形を持っているかのように僕の剣を防ぐ。
こんな魔法があるなんて…!だけど…それでも…!
「僕が絶対に、その手を放して見せるから!」
その言葉を受けて、エルフの男は顔から手を離して炎の残る顔で僕とカエラさんを交互に見た。
その視線に気付かず、カエラさんはただ僕の瞳を見て、頷いた。
「分かった…信じるわ」
エルフの男はそれを見て、笑みを深める。再び、僕の方に向き直った。
カエラさんは信じてくれた。
それなら、助ける事に全力を注げば良いだけ―――。
「ふ」
不気味な笑いをして、眼を細めた。
そして、最後にギル兄の方も見て、眼を…細めた。
「ふひ」
そうだ。
見えてこないのは、この男のエルフが何者かという所、僕に何の用があるのかという所。
―――一体何を。
「気が変わりました…私は劇が大好きでしてね、最初は勇者アルノート、貴方とこのカエラ嬢を交換で済ませようと思っていたのですが、興が乗りました…」
炎が勢いを増す。陽炎のように歪み始めた景色に、僕は思わず手を伸ばした。
カエラさんも、男に掴まれていない手を伸ばすけれど、エルフの男はそれを見ると首の骨をコキンと鳴らして、わざとらしく首を傾げた。
「場を設けましょう!!」
叫びと共に吹き荒れた炎が、視界を埋め尽くす。
熱さは無い、どういう炎だろうか、そんな疑問を乗せて剣を振る。
「わっ…ぷ…ま、待て!!」
剣で払って開けた視界に、奴の姿は無かった。そして、カエラさんも…。
ただ。屋根の上に炎で刻まれた文字だけが残されていた。
『明日 宿屋で待っていて下さい マニア』
…マニア、それがあの男の名前。
カエラさんを…助けられなかった。
「…あの人はあんなに、嫌だって叫んでいたのに」
力強く握った拳が、その手の内に何も存在しない事実を空虚さという形で教えてくれる。
一撃もまともに入らなかった。圧倒的な実力の差を見せつけられた気分だった。
地下下水道で疲れていた?その前に戦闘があったから疲れていた?魔法を使って魔力も消費していた?
関係無い、そういう言い訳で大切な物を守れなければ守れ無かったという事実だけが残されるのみだ。
…僕は、まだ弱い!
弱い、弱いんだ!
何かを成す為に剣を振るっても、強さが伴っていなければ成し得る事は出来ない…!
空に浮かぶ二つの月を見上げて…僕は静かに、涙を零した。
「伸ばしてくれた手が、あんなに…近くにあったのに…」
届かなかった。
その事実を受け止めるしかない時間が、僕を苦しめた。
あの男は場を設けると言った。
それは、きっとマニアという男が楽しむ為の場なのだろう。
それでも、それが助ける機会になり得るのなら…明日を待つ。
明日を…待とう。
初めてだった。
ここまで、誰かがいなければ良いと考えてしまうドス黒い思考は…。
ギルバートの所にやった死霊ノ騎士とまだギルバートは戦えている様ですね…あの男からは魔力の炎を微弱にしか感じないので、かなり弱っていると思ったんですがね…魔力無しでも相当な剣技、化物め。
そんな事よりも、今はこの馬鹿なエルフの女ですよ。
まさか、わざわざ勇者を助けようとやってくるとは…本当に馬鹿ですね。
馬鹿だからこそ、ヒロイン成り得る素質を秘めている…!
「や、やめぇや!あ、アル君の事をどうにかする気なんやろ、そんなことさせへんで!!」
「あっはっはっはっは!勇猛果敢で正義感に溢れるのは結構ですが、私が何故商会の会館で貴女を拉致出来なかったのか、考え無かったのですか?この様な展開になってくれる事を望んでいたのもありますが…風切のジュネ、あの男がいたから私は手を出せなかったというのに!」
風切のジュネ、あいつは本当に厄介ですからね…風を操るだけなら別に大きな脅威にもなりません、ですがあの男は、無手、そして敵意を見せないポーカーフェイスでそれをやってのける。
あの男から自分から離れてくれるなんて本当に助かりましたよ、いやはや風と炎は相性が悪いですからね、さて、ギルバートは安心、勇者はどんな感じですかね…。
…!?
いない?いや、既に二人の刺客が倒されている。
一体いつの間に、さっき見た時は剣を振るうのも一苦労と言った具合に疲れていたのに、どうして僅かな間眼を離していた間に…!?
どちらにせよ…やはり強い、強い、彼は強くなれる存在であり、この戦いの間に進化したという事ですね。
たまらない…!最高の素材ですね…!
逃がしてしまったのだとしたら、後日、宿屋に遣いを出す必要がありそうですね―――?
気配?
慌てて周囲を見渡してみますが、誰も居りませんね…ですが、確かな気配がします。
「その手を――――放せぇえぇえ!!」
聞こえて来た声に、宙を見上げましたらば…そこに、居たのですか!!
二つの月を背にして、剣を上段に振りかぶり夜闇を切り裂く輝きを反射し、怒りを垣間見せる表情をしている―――最高の素材!
勇者アルノート!!
☆アル視点
脚が痺れる。腰が痛い、無理やりにカチ上げてもらった所為で節々に負担が掛かったみたいだ。
だけど、届いた。
振り下ろした剣の一撃を避けられて、僕は屋根の上に着地した。
そこにいるのは、誰か知らない見た事も無いエルフの男性。切れ長の眼に、勝ち気な笑顔…勝ち気だけど、カエラさんの様な快活さは無くて、勝利を確信している冷笑。
「あかん…あかんよアル君!こいつは化物みたいに強い奴や、君じゃ勝てへん!」
「そんな事は関係無いですよカエラさん、勝てるかどうかはどうでもいい、貴女がその人に掴まって嫌だと叫んだ。だから僕はその手を放させる。それだけです」
エルフの男性は、何故か身震いをして僕を値踏みする様な眼で見て来た。
嫌な眼だ。こちらを…見下している様な…。
左手に掴んだカエラさんの腕を放そうとはしない、何が目的なんだ?
「勇者…勇者アルノート…私は感動していますよ、まさしく勇者たる行動を取る貴方の気高さに…!」
荒い息で僕を称賛しているけれど、何処か狂気染みた物を感じる。
褒められているのに、全く嬉しく無い…。
「アル君、逃げるんや!こいつの目的は君や」
「煩いですが…まぁ、良いでしょう。この場の演出としては良い物です…勇者アルノートは救いの為に空から舞い降りた…なんと劇的な…!」
右手を前に出して来たエルフの男性は、一瞬だけ眼を見開くと次の瞬間にはその右手に炎を纏っていた。暑く無いのかな…。
「そしてヒロインに相応しい行動を取った貴女にも感動しているんですよカエラ嬢…!まさか、父親の情報と貴女の身の安全を捨ててでも好ましく思っている勇者の下に駆け付けるとは…天晴ですよ…本当に」
話の繋がりは見えてこないけれど、このエルフの男性がカエラさんの父親の事を何か知っているというのは分かった。そして、それを捨ててでも僕の所にカエラさんが来てくれたという事も。
カエラさんは腕の痛みからなのか涙を眼に浮かべていた。
そんな光景に、頭に血が上る。
「カエラさんの手を放せよ…!」
「ふふは…温厚だと報告書にはありましたが、これは…カエラ嬢が大事ですかな?」
大事なのかと聞かれたら、僕は僕と関わってくれた人、全員を大切にしたい。
僕みたいな駆け出したばかりの勇者の背を、皆、支えてくれているから。
「ああ…大事だ!」
叫び、踏み込んで剣を振るう。
だが、その一撃は奴の炎の腕で受け止められてしまった。慌てて離れて剣を見てみたが、溶かされたり形が変わったりはしていなかった。
「っ…ふぅ…ははは…あはははははは!!」
自分の額に燃える右の掌を当てて、高笑いをし始めた。
意味が在るとは思えない行動に、苛立ちが募る。
「あかん!ウチの事は放っておいていいから!」
「無理です!諦めて下さい!」
助けたいから、剣を振るう。
だけど、その剣は届かない、男の腕から溢れる炎がまるで形を持っているかのように僕の剣を防ぐ。
こんな魔法があるなんて…!だけど…それでも…!
「僕が絶対に、その手を放して見せるから!」
その言葉を受けて、エルフの男は顔から手を離して炎の残る顔で僕とカエラさんを交互に見た。
その視線に気付かず、カエラさんはただ僕の瞳を見て、頷いた。
「分かった…信じるわ」
エルフの男はそれを見て、笑みを深める。再び、僕の方に向き直った。
カエラさんは信じてくれた。
それなら、助ける事に全力を注げば良いだけ―――。
「ふ」
不気味な笑いをして、眼を細めた。
そして、最後にギル兄の方も見て、眼を…細めた。
「ふひ」
そうだ。
見えてこないのは、この男のエルフが何者かという所、僕に何の用があるのかという所。
―――一体何を。
「気が変わりました…私は劇が大好きでしてね、最初は勇者アルノート、貴方とこのカエラ嬢を交換で済ませようと思っていたのですが、興が乗りました…」
炎が勢いを増す。陽炎のように歪み始めた景色に、僕は思わず手を伸ばした。
カエラさんも、男に掴まれていない手を伸ばすけれど、エルフの男はそれを見ると首の骨をコキンと鳴らして、わざとらしく首を傾げた。
「場を設けましょう!!」
叫びと共に吹き荒れた炎が、視界を埋め尽くす。
熱さは無い、どういう炎だろうか、そんな疑問を乗せて剣を振る。
「わっ…ぷ…ま、待て!!」
剣で払って開けた視界に、奴の姿は無かった。そして、カエラさんも…。
ただ。屋根の上に炎で刻まれた文字だけが残されていた。
『明日 宿屋で待っていて下さい マニア』
…マニア、それがあの男の名前。
カエラさんを…助けられなかった。
「…あの人はあんなに、嫌だって叫んでいたのに」
力強く握った拳が、その手の内に何も存在しない事実を空虚さという形で教えてくれる。
一撃もまともに入らなかった。圧倒的な実力の差を見せつけられた気分だった。
地下下水道で疲れていた?その前に戦闘があったから疲れていた?魔法を使って魔力も消費していた?
関係無い、そういう言い訳で大切な物を守れなければ守れ無かったという事実だけが残されるのみだ。
…僕は、まだ弱い!
弱い、弱いんだ!
何かを成す為に剣を振るっても、強さが伴っていなければ成し得る事は出来ない…!
空に浮かぶ二つの月を見上げて…僕は静かに、涙を零した。
「伸ばしてくれた手が、あんなに…近くにあったのに…」
届かなかった。
その事実を受け止めるしかない時間が、僕を苦しめた。
あの男は場を設けると言った。
それは、きっとマニアという男が楽しむ為の場なのだろう。
それでも、それが助ける機会になり得るのなら…明日を待つ。
明日を…待とう。
初めてだった。
ここまで、誰かがいなければ良いと考えてしまうドス黒い思考は…。
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