幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第二章 洞窟探検

第6話 死者と話せるサービス……? なんじゃそりゃ。

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 よし! 料理も売り終わったことだし、こんどは、海のほうを、見てみよう。
 この島では、街がある場所は、海の近くの一か所にまとまってるの。

 島の、それ以外のところは、森や山がたくさんあって、人は住んでないんだ。
 海岸の辺りでは、船が入ってきたり、魚を取ったりするんだ。 漁師の人たちは、ここで仕事をしてるよ。
 私の友達にも、漁師の人がいてね。 ミツバっていう、体の大きな男の子なんだけど。 ミツバも、ここでふだん魚をとって、はたらいてるの。

 そこから陸に上がっていくと、『市場』ってところがあってね。 誰でも出入りできる、色んなものを売り買いする場所なんだ。 食材も、ここで売ってるよ。 山でぶっ殺したイノシシなんかも、ここに持ってきて売るわけだねっ!
 船で島の外から来た人たちも、この市場で商売するよ。 色んな珍しいものが並んでて、好奇心をそそられて、ワクワクするっ!!

 そして! 市場のいちばん大きな特徴は、売るものが、ふつうの『物』に限らないってことなんだ。 なんと、歌やお笑いなんかの、見世物を披露したりする人も、たくさんいるの!
 色んな声が聞こえてきて、活気にあふれてて、とっても賑やかな場所なんだ!

 ほら、その辺でも、女の子が、歌ってる。 その前には、見物人が、数人立ってて、歌を聞いてるみたい。
 ……ん? あれ、この女の子、見たことあるな。 あっ! 私の友達の、すっごく元気な幽霊ゆうれいの女の子の、ちょっと空回りしてる、小春こはるじゃん!
 小春は、ふだんは市場で歌を歌って、お金を稼いでるみたいなんだ。 正直、そんなに稼げないらしいけど、他にやることなくて暇だから、やってるみたい。

 ……あ、そろそろ歌い終わったみたいだ。 ぱちぱちと拍手が鳴って、そこにいた人たちが、立ち去っていく。

「よかったよ、ひとつ」

 10円ぐらい、もらえたみたいだ。 やったね、小春っ!
 小春は、もう別の方向を見て、その場から動きだしていた。 昼時になったことだし、もう歌うのをやめるみたい。

「あぁ、はいはい。 ありがとっ!」

 小春は振り返って、笑顔で返事をしながら、その場を去っていく。


 市場の別のところでは、べつの幽霊の女の子がいた。 勉強会にいた、よくしゃべって、いつも暴走気味で、記憶力が無駄にいい、雨子あめこだ。
 市場の一角に座り込んで、うつむいて何かをしているようだ。 じっと、手元のものを見つめている。

 見るとそれは、キラキラと光っているようで、透明な、ガラスみたいなもののようだ。 だけどガラスとは違って、雲や光のように、さわれないもののようだ。

 これは、『まぼろしの物体』っていう、幽霊が作り出す、物体(?)……みたいなものなんだ。

 幽霊は、自分の頭で想像したものを、こうやって目の前に、見える形として、作り出すことができる。
 出来るようになるには、練習する必要があるらしいし、どれだけできるかは、人によって差があるみたいなんだけど。

 幽霊の人たちは、自分の服装なんかも、そんな風にして、見た目を変化させてるの。 髪の毛の色なんかも自由に変えられるから、街の中は、とってもカラフルなの!

 いま雨子は、『まぼろし』のメモ紙を、作っているみたい。 まぼろしで作ったメモ紙に、まぼろしで作った筆で、文字を書き込んでいる。
 ……あれ? でもそれって、意味あるの? だって、そんな風に作った『まぼろし』って、本人がその存在を忘れちゃうと、形が消えてしまうんじゃなかったっけ。

 だいぶ前の話なんだけどね。 記憶力が悪いのをいつも気にしてる、幽霊の女の子で、気だるげな感じの、突拍子とっぴょうしもないことを考えつく、ユメの話なんだけど。

 ユメは、幽霊だから紙をさわれなくて、メモが出来ないって最近イライラしてるんだけどね。 そのユメが、頑張って練習して、やっとまぼろしの紙を作れるようになったんだ。
 だけど、いざメモしてみても、しばらくしたら、文字がぐちゃぐちゃになって、読めなくなってたの!
 『まぼろし』は、それを作り出した本人の、想像力を反映したものなんだ。 だから、本人が内容を忘れちゃったら、しょうがないみたい。 メモに書いた文字も、ぐちゃぐちゃになったり、消えちゃったりするんだって。


 座り込んだ雨子あめこのそばには、海での仕事を終えて来たのか、大きな体をした、漁師の男の子の、ミツバもいた。 しゃがんで、雨子の手元を眺めている。

 そこへ、歌の仕事を終えた小春が、走ってきた。

「どう?」

 小春がグイっと覗き込んできて、座り込んでいる雨子の手元を見ていく。 雨子は集中しているようだ、返事をしようとしない。
 その横にしゃがんでいたミツバが、顔を上げて、代わりに答えた。

「死者と話せるってところ、また見つけたってよ」
「あら、来たわね?!」

 小春はニヤリと笑うと、挑戦者を受けつけたボクサーのように、手でこぶしを叩いた。
 『死者と話せる』系サービス……。 こういう都市伝説は、小春たちにとっては初めてではないのだ。 今までは、ぜんぶ詐欺さぎだったが。

「あ、小春」

 メモを書いていた雨子は、小春が来たのに気づいたようだ。 書くのをやめて、よっこいしょと立ち上がっていく。

「どこ? それ。 どこにあるの?」

 小春が、興味を押さえられないように、ズイズイッと聞いていく。 雨子は立ち上がると、手元の『まぼろし』のメモを眺めながら、その区画を出ていった。 3人は、市場の中を歩きながら話していく。

「第2区画の高台の辺りだって。 さっき、街歩いてたら、いきなり話しかけられてね」

 その辺りは、幽霊の人が住んでる家が多い場所だ。 その中に、死者と話せる……というサービスがあるらしい。

 しかし、考えてみれば、おかしなものだ。 この街には降霊術があって、幽霊を死者の国から呼び寄せることができる……。 そんなところなのに、死者と話せるって言われても……、そんなサービス、誰が利用するんだろうか?

 同じ事を思ったのか、小春はちょっと馬鹿にするように声を上げた。

「へえ! 今回も、本当だったのね。 ……で、いつ行くの? 今?」
「いや、明日の昼に約束してる」
「あ、そう。 ……よーし、今度は、どんな詐欺行為かしら。 とっちめてやるんだからっ!」
「詐欺確定かよ」

 賑やかに商売をしている人たちの中を歩きながら、3人は歩いていく。 ミツバが笑ったのに、ぶんぶんと腕を振るっていた小春は、ふんと鼻を鳴らした。

「当たり前じゃない。 前回も、前々回も、そうだったんだから」
「いや、でも今回は、本物かも」

 いきなり雨子が、真面目な声で言う。 小春はきょとんとした顔を浮かべて、聞き返した。

「なんで?」
「その辺りって、よく変な噂がたっててね。 ……夜、れい生身なまみか分からない女が歩いてたとか、真昼間に、地面に伏して、土のにおいをうっとりしながらいでいた人がいたとか……」
「なんだそりゃ」

 ミツバが呆れたような、馬鹿にしたような風に笑った。 そんなの、都市伝説でもなんでもねえよ。 ただの、変人だろ。

 笑うミツバの横で、小春は真面目な顔で、考える。

「ふーん、世の中、変な奴も、いるものねぇ」

 最近は、社会も複雑になってきた。 そんな、意味わかんない変人が出てきても、しょうがないのかしら……。
 ま、いっか。 とりあえず、ユメのところにでも行ってみるかしら。 おぼ? ……とか言ったかしら、なんか変な店作るらしいし。

 3人は市場を出ていき、ブラブラと歩いていく。
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