幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第二章 洞窟探検

第10話 洞窟探検!

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 海辺からすこし張り出たところに、洞窟どうくつの入り口があった。 周囲は浅い海と浜でおおわれており、ごつごつした岩がたくさんあり、洞窟の入り口が形作られている。

 ふわふわと宙に浮きながら、ホナミが先導せんどうして、洞窟の中へ入っていく。 その後ろから、他の人たちも入ってきた。 徐々に暗くなっていく地面を歩きながら、小春こはるは洞窟の様子を眺める。

「へー、こっちは、来たことなかったわ。 こんなところが、あったのね」

 洞窟の中は、暗かった。 明かりはほとんどないが、音の反響で、どれぐらい広いかは感じられる。 奥のほうには、広い空間が広がっているようだ。 一行が歩くと、ざっざっと、辺りに足音が響いた。 ……でも、生身なまみの体をもっているのは、ミツバと歌子の2人だけだ。 見た目の人数よりも、足音は変に少ないんだけど。 こういうのも、この街あるある、なんだ。

「あ、そうだ、明かり」

 くるっと振り返って、ホナミが言う。 奥に見える洞窟の中は、真っ暗だ。 それを見て、歌子が気づいたように足を止めた。

「あぁ。 ……どうしよう、何も、持ってきてないけど」
「ちょっと待っとけ」

 漁師のミツバが一言いって、立派な体をくるっと引き返していく。 洞窟の外へと戻っていくようだ。 ……お? もしかして、自前じまえ松明たいまつを作る気なのかも。 近くに森があったから、材料はそこで揃う。 ひゅー! かっこいー!
 ……とみんなが思っていたら、ミツバが目指したのは、街のほうだった。 そうして、ふつうに街に戻って、その辺の人から、火をもらってきた。
 まったく、現代人ってやつは。 ぶつくさと言う小春に、こっちの方が効率的だとか言って、ミツバは平然としていた。


 暗い中で、めらめらと、たいまつの火が燃えている。 ミツバはそれを手に持ち、改めて、洞窟の入り口に立った。

「よし、じゃあ、行ってみようっ!」

 小春の元気な掛け声とともに、洞窟の中へと進んでいく。 それに続いて一行は歩きだした。 歩きながら、新しく仲間になったスズネは、都市伝説の話が聞きたいようだ。 歌子たちに向かって、楽しそうに聞いてくる。

「他には、どんなのがあるの? 不思議なこととか、事件って」
「えっ! ? そういうのに、興味あるの?!」

 雨子が、横からぐいっと入ってきた。 雨子は、謎や都市伝説をいちばん楽しんでいるから、そういう友達がいると、すごく嬉しいのだ。
 スズネは振り向いて、楽しそうに答える。

「うん。 人から聞いて、なんか、面白そうって」
「おー! やった! また人が増えたっ!」

 腕を上げて、満面の笑みで雨子は喜ぶ。 街には、こういう話にあんまり興味を示す人がいないから、仲間が増えるのは、みんな大歓迎だ。

 ウキウキしだした雨子の横で、負けじと都市伝説が好きな歌子は、考える。 ……えーっと、どんな都市伝説があったっけ。 都市伝説がたくさん書かれてある記録帳は、今は手元にない。 じっくり考えながら、思い出していく。

「……誰も見たことが無い、幻の精神科……とか、時のはざまで起こった人殺し……とか……」
「おーっ! 面白そうっ!」

 スズネは楽しそうに、合いの手を入れていく。 前で、周りを見ながら歩いていた小春が、相槌を打った。

「あぁ、そんなのあったわね。 そっちは、どうなってるの?」

 新しく都市伝説の噂が入ると、みんなで適当に調べて、成果を確認し合うのだ。 でも、この都市伝説については、まだ分かってないことだらけだ。 ウキウキしていた雨子は、首を振って答える。

「まだ、進展はないよ。 イトも、調べてくれてるみたいだけど」

 イトという女の子も、この場にはいないけど、ふだんこういう不思議なことを、探している。 無口で、一人で考え事ばっかりしているような子だけど……。 『時のはざまの殺人』という都市伝説には、なぜかイトは興味を示して、一人で調べているみたいだ。

「どんな話?」

 スズネが興味をもって、聞いてくる。 ……でもこの話題に関しては、まだよく分かってないんだよねー……。 一応、今まで調査したことを、思い返してみながら、歌子は答える。

「うーん、まだ細かいことは、ぜんぜん分かってないんだよねー……」

 いちばん活動熱心で、記録帳の中身を全部憶えている雨子が、うんうんと思い返すように、頷いている。

「噂はあるんだけど。 ……『時のはざま』っていう場所があって、そこで殺されかけた人が、今もまだその中で、追いかけまわされてるとか……」
「ひー! こわっ」

 スズネは身を縮み上がらせて、楽しそうに声を弾ませる。 もしかして、こういうおどろおどろしい話が、好きなタイプなんだろうか。

 そんなことを話していると、一行は洞窟を進み、別の空間に出たようだ。 辺りはいちだんと闇が濃くなった。 ここも広い空間のようだ、会話する声が遠くに反響して、ほんの小さくなって返ってきている。

 先頭で、ふわふわと宙に浮いていたホナミが、ふいっと振り返った。

「ちょっと待ってて」

 ホナミは一言いうと、体を浮き上がらせていき、そのまますいーっと、上の方に飛んでいく。 ……どこに行くんだろう、もしかして、洞窟の天井を突き抜けて、地上まで上がっていって、どっちの方向に目的の場所があるか、確認するんだろうか。 なんて、便利なんだ。
 歌子がそう考える横で、小春はブラブラと退屈そうに地面を蹴りながら、さっきの『時のはざまの殺人』の話に、相槌を打つ。

「ほんとにそんなもの、あるの? いくら噂だからって、荒唐無稽すぎでしょ」
「お前、最初その話を聞いた時、めっちゃ楽しそうだったじゃねえか」

 ミツバが笑いながらツッコミを入れる。 小春は口をとがらせて、答えた。

「そりゃ、そうよ! だって、ワクワクするじゃない、一応」

 すぐに、ホナミが上から戻ってきた。 幽霊みたいな体がすいっと上から降りてきて、目線の高さまで下りてきて、腕で方向を指し示す。

「こっち」

 一行は言われるまま、先導されて歩き始めた。 小春は再び足を動かしていきながら、退屈そうに頭に腕を組む。

「大体、時のはざまって、何よ」
「うーん……」

 ……時のはざま……ずっと真っ暗なまま、すべてが止まった世界とか……? そこで起こった殺人事件……? うーん……。

 雨子が可能性を考えるように唸っていると、ぼそっと誰かが言った。

「……誰も気づかなかった、だけとか……」
「あぁ、それだわ」

 ミツバが適当に答えて、みんなが笑う。

 ……あ、紹介が、遅れたね。 いま、冗談を言った、この子は、クルミ。

 ふだん、あんまり喋らないから、全然目立たない子なんだ。 でも、いつもみんなのことを、一番に考えてくれる、とっても優しい子だよ。 私たちと一緒にいることが、結構多いんだ。
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