幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

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第二章 洞窟探検

第14話 ミツエダの部屋!

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 ミツエダの部屋は、勉強会の建物の奥に、別に作られていた。
 彼女は50年前、この小さな島から、海の遠く向こうの大陸(中国)まで渡った。 そして、さらにその奥のほう(ヨーロッパ・ローマ)まで行ったという、あまりに特殊な功績こうせきがある。 そのため、彼女の知識は重要視されており、個人的な研究室のようなものを、街の偉い人たちに特別に作ってもらったのだ。

 部屋の中には、色んなものが飾られていた。 すべて他の国の資料だ、道具や、建物の絵などが、飾られている。
 色々なものが置いてあるが、これらはほとんど、実は本物ではない。
 ミツエダは一度、大陸の向こうで死んだ後に、この街の中で降霊されている。 だから、ミツエダの死体――骨は、向こうにあるわけで、何か実物を持ち帰ったということは、ないのだ。 これらはすべて、記憶で後から再現した模造品もぞうひんだ。

 雨子やスズネたちは部屋に入ってくると、きょろきょろと辺りを眺めて、部屋に飾られたものを、物珍しそうに眺め始めた。 便利な道具なら、なんでも街中で使うようになるから、見かけたことがある物も、あるのかもしれない。

 部屋には続いて、歌子とミツバの、生身の2人が入ってきた。 網を肩に背負って、重そうによろめきながら部屋の中を歩いていく。 先に入っていたミツエダは、部屋の中央にあった一番大きなテーブルのそばにいた。 近づいてくる歌子たちを振り向いて、言う。

「えーっと、ちょっとこの辺に……これは、どけていいから」

 そのテーブルの上にも、ごちゃごちゃとしたものが、たくさん置いてあった。 置いてる物が邪魔で、石ころを置くスペースが無いみたいだ。 こういう時も、幽霊はものを動かすことが出来ないから、生身なまみの人に指示を出すしかない。

 近づいてきた歌子たちは、ふうと息をつきながら網を地面に下ろしていくと、テーブルの上の物をどかしていった。 もう歌子はだいぶ疲れているようだ、ちょっと雑な手つきでテーブルの上の物をどかしていく。
 空いたスペースに、2人は網から出した石ころを並べていった。 並べていく横で、ミツエダがのぞき込んできた。 石ころの文字を眺めながら、自分が見たことのある文字なのか、考えているようだ。

「うーん、なんやろ。 マーロの方……ではなさそうやけどなー……」
「マーロ? マーロって何ですか?」

 壁の方を見ていたスズネが、変な響きに興味を持ったのか、振り返って聞く。 ミツエダは答えた。

「そういう国があんのよ。 遠く、西の方にな」

 そういってミツエダは、遠い目をして答える。 そう……あの時、夜中にコソコソしとったら、馬車に巻き込まれて、ひき殺されて、あっけなく死んだんよなあ……。 ま、人間そんなもんやな。 ははっw
 そう思っていると、小春が聞いてくる。

「ん? 大陸とは、違うの?」
「大陸は、それとはまた違うんよ。 大陸の、さらにそのむこーうの方に、また別の、めっちゃ発展しとる国があるの。 それが、マーロなの」

 小春はふうんと、よく分かってないような声で相槌あいづちを打つ。 ……そういえば、小春はこの街のこともよく分からない……とか言っとったな。 まあ、そりゃそうか。 幽霊がいる街なんて、私も他で聞いたことないしなw
 そんなことを話していると、部屋にいきなり、声が響いた。

「新しい文字が見つかったって?!」

 何人かが、いきなり部屋に入ってくる。 全員幽霊だ、足音が全くしていないのに、声だけが大きく響いて、ちょっと変な感じだ。 ひどく興奮したような声を上げていて、新しい文字が見つかったことが、そんなに嬉しいのだろうか?

 テーブルに石ころを並べていた歌子が、振り返って答えた。

「うん、地下の洞窟にあったんだけど」
「へー! どんなの?」

 入ってきたのは、4、5人だった。 彼らは口々に声を上げて、バタバタと(音はしないけど)近寄ってくる。 テーブルのそばに来ると、並べられた石ころを覗き込み、興味深そうに眺め始めた。

「……確かに、見たことないですね」
「へー、何だろう!」

 彼らは口々に、ワクワクするように話している。
 その横で、石ころを並べ終わった歌子は立ち上がっていった。
 ……この人たちは、『言語研究会』の人たちなんだ。 勉強会の人たちって、こういう研究会を、いくつも作っててね。 みんなの世界で言うところの、部活みたいなものかな。 他にも植物研究会とか、天候研究会とか、色々あるんだ。
 私も、歴史所につとめてるし、歴史に興味があるから、一応、『歴史研究会』に入ってるよ。 ……でも、そんなに活動してないんだけど。 ふだん歴史所につとめてるから、あんまり意味が感じられないんだよね。

 あ、そんなこと考えてたら、言語研究会の一人の女の子が、私に話しかけてくる。

「歌子ちゃん、ユメがおぼっていうの、作ったらしいね」
「あ、うん」

 ユメが、憶え屋を作ってたっていう話かあ……。 昼ごろだったかな、あの作りかけの憶え屋に行ったのは。 ……あぁ、あれから随分ずいぶん歩いたなあ……。
 歌子は疲れたような表情を浮かべていると、向こうからミツエダが、その話に反応してきた。

「あぁ! それ、さっき話題になってたんやけどな。 この勉強会の内容も、そういう風に記録した方がいいんやないかって、話しとったんよ」

 勉強会で話す内容を、教科書みたいにまとめとけば、いちいち私らが話をせんでも、好きな時に勉強できるしな。 私ら幽霊はものをさわれんから、みんなが使ってるような教科書とか、作ってもしょうがないやん? だから、こんな形で勉強会とか、やっとったんやけどな。 でも、憶え屋に教科書を置いといて、そこで働く人に代わりに読み上げてもらえば、みんな教科書持っとるようなもんやろ。

 言語研究会の人たちも、ミツエダの言葉に頷いている。 どうやら、勉強会の中で、そんな話になってるらしい。 一人が言う。

「だって、歴史所はあるんだしね。 他のだって、あぁいう風にしても、いいわけで」

 歴史所は、石板に書いて見せる方法をとっている。 こうすれば、ページをめくらなくてもいいから、幽霊の人でも内容がわかるというわけだ。 ただし、そのためには、すべての情報を表に掲げておく必要があるから、場所の広さがすごく必要になるけど。

「あ、それ、私ずっと思ってたのよ」

 同じ事を思ったのか、小春が、横から口をはさんできた。

「大体、なんで、こんな形で、やってんの? 文字があるんだから、記録すればいいじゃない」

 ミツエダは頷きながら、納得するように言う。

「あー、まあ、なんか、伝統みたいなもんで、意味は無いんやけどな」
「50年前からの、ですよね」

 歌子が、どこかで聞いた話を、思い出すように言った。 ミツエダは頷く。

「そう。 昔は知識が少なくて、常に新しいことが増えていってたから、一回記録しても、すぐにまた書き直さなきゃ、いけなかったわけよ。 それに、字が読めん人も、今より多かったしな」

 昔は、冒険隊が、たくさん海外に行っとったからな。 冒険隊が次々に帰ってきて、新しい知識を持ってきて……、いちいち知識を整理してまとめるのも、面倒くさいやろ。

 それに、降霊されたばかりの人は、大抵みんな字が読めんからな。 文字が発達し始めたのなんて、めっちゃ最近やし。 話して知識を伝えるって形なら、誰でも気軽に参加できるやろ? 降霊されたてホヤホヤの人でも、勉強しやすいってことよ。

「……でもまあ、さすがに、効率悪い所あるしな。 いずれにせよ、なんか考えた方がいいんかもな」

 なるほどねえと、小春も納得したように頷いている。 ミツエダは腕を上げて、伸びを一つした。 とりあえず、この謎の文字は、いったん解読してみようか。 本当にどっか別の国の文字なんやったら、めっちゃワクワクするけど。

「ま、ちょっと待っといて、解読するから」

 その言葉に、歌子は頷いて了解を示した。 小春たち、他のみんなのほうを見て、帰ろうと、入り口のほうに促していく。

「分かりましたー……じゃあ、いこっか」

 腕を組んで、話を聞いていた小春は、頷いて身をひるがえした。 手を頭の後ろに当てて、かったるそうに、部屋の入口へと歩き始める。

「そうね。 ……どーせ、誰かの悪戯いたずらだろうけど、 ははっw」

 最後に一言、余計に大声でぼやきながら、小春は楽しそうに出ていく。
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