幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第二章 洞窟探検

第16話 アマネっ!

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 そんなことを話していると、ユメの家に着いた。 アパートのように、数人が一緒になって暮らす住居だ。 大きな岩を組み合わせて作られている、その2階に、ユメは住んでいるのだ。
 岩の建物は、3回目だけど、絵をもう一回出しとくね。 ネット小説の連載だしね、どうせ誰も憶えてないし、何回出してもいいよね……よいしょ。

 岩で作られた大きな建物に、階段を上っていく。 上に上がっていくと、ほとんど壁など無いに等しい、岩で組まれた部屋があった。
 この街では、どの建物もこんなもんだ。 現代日本では、家などとは呼べないようなもので、音も風も、すきま風なんてレベルじゃなく、ぼかぼかと通り抜けていく。

 部屋には、妙な声がこだましていた。 真ん中には焚き木が作られ、火が燃えている。 その前には、生身の小さな女の子が一人おり、何かお経のようなものを唱えていた。 この子が、アマネ。

 ものすごく元気な子で、よく野山を駆け回ってるんだ。 変なことをすることもあるけど、明るくて、素直な子だよ。
 いまは棒切れを振り回しながら、目をつむって、一心不乱に呪文を唱えてるけど……。 え、それ、未来人の降霊をしてるってこと?!
 じつはアマネは、本物の巫女で、すごく強い霊力を持ってるんだ。 この街でも、指折りなぐらいでね。 ……ねえ、アマネ、それ本当に、大丈夫っ?

 部屋には、家主であるユメの姿は見当たらない。 代わりに、別の幽霊の女の子がいた。 私たちの友達の、イトだ。
 イトは、一人で考え事をするのが好きな子でね。 実験をしたり、勉強したりするのが好きみたい。 いつも壁に向かって独り言をブツブツ言うような……いや、分かんないけど、そんなイメージの子なんだ。
 ……あっ、イトは最初に出たっきりだから、こっちももう一回絵を出しとくね。 よいせ。

 ユメは気だるげで大人しいって感じだけど、イトは暗いって感じだね。 ユメとは違って、記憶力は良いらしんだ。 だからユメが作ってる『憶え屋』には、あんまり興味ないみたい。 一応、憶え屋について話したんだけど、ふーんとかずっと言ってて、たぶん別のことを考えてたんじゃないかな。 ……ユメ、私は応援してるよっ!!

 イトは、アマネのそばにしゃがんで、その様子をじっと見つめていた。 入ってきた雨子たちに気づいて、こっちを見る。

「アマネー、……あ、イト」

 イトは、初めて目にするスズネの姿に気づいたようだ。 入り口から入ってきたスズネに目を止めて、じっと興味深そうに見つめた。 でもスズネはその視線に気づくと、すっと下へ目をそらして、挨拶もせずにやり過ごしていく。 イトもなんだか下にうつむいて、もじもじしだすし……もしかしてこの2人は、人見知りなんだろうか?

 アマネは、みんなが入ってきたのには、全く動じていないようだ。 よく分からない呪文を、唱え続けていた。 お経のようなものを唱えながら、棒をブワンブワンと振り回している。

「これを、三日三晩続けるんだって」

 さらっと、雨子が笑顔で言う。 ……え? 三日三晩、棒を振って変な呪文を唱えるのを、続ける? 何やってんのよ、馬鹿じゃないの? 小春は呆れた顔になり、ため息をついた。

「はぁー。 ほんとにぃ? ……未来? 今を生きないと、だめでしょ」

 いつもの調子で、自信にあふれた声で、小春はよく分からないことを言う。

「おい、飯は食ったのか?」

 火の近くに行ったミツバが、心配するように聞いていく。 アマネは一心不乱に呪文を唱え続けて、まったく聞く気がないみたいだ。 そばの雨子が、うきうきと答えた。

「いや。 朝からずっと、これやってるけど」
「お前さ。 それぐらいは、考えてやれよ」
「だって、そうしないとだめらしいし。 一応、いつでもご飯は調達できるように、歌子のお母さんには、言っといたから、そこは大丈夫だよっ☆」

 そういって、雨子はぐっと腕を振るって、ポーズを決める。

「え?! お母さんに、言ったの?!」

 歌子がびっくりして、声を上げる。 そんなことをしたら、研究所に連絡がいって、降霊術を勝手に使っているのが、見つかるかもしれない。 降霊は、許可なく勝手にやってはいけないのだ。
 でも、そんなの雨子には関係ないようだ。 まったく気にする様子はなく、あっけらかんとして頷く。

「うん。 じゃないと、いきなり倒れるかもしれないし。 あっ! 弟くんたちも、知ってるよ。 さっきまで、ここにいてね」

 歌子はそれを聞いて、肩から力が抜け落ちていった。 弟たちまで、知ってるのか。 そうなると、もはやどこから情報が漏れても、おかしくない。 ぼうっとした表情を浮かべて、歌子はしょうがないというように、力なく呟いた。

「あー……まあいっか……言っちゃったもんは、しょうがないし……」

 みんなが話すのをよそに、スズネは部屋の奥の方に行っていた。 窓の外を見て、外の景色を眺めているみたいだ。 スズネはふと振り返って、気づいたように言う。

「ここ、大丈夫? ……結構うるさいけど、文句言われないかな」

 あ、そうか。 騒音問題は、この街にもある。 住居は密接しているし、壁はほぼ無いから、ある程度静かにしなければ、周りに迷惑なのだ。
 小春もそれに気づいたようだ、慌てたようにしゃがんで、アマネへと近づいていった。

「あ、ほんとよ。 アマネ! ちょっと静かにっ!」

 小春はそういって、ぽんぽんと肩のあたりを叩く仕草をして、注意を引こうとする。 しかし、アマネは一向に気にしない。 呪文を唱え続けながら、ブンブンと振り回していた棒切れが、小春の顔をかすめた。 小春は顔をしかめる。

「! ……ちょっと、聞きなさいよ、あんた!」
「まあ、いいじゃん。 多分、一日だけだし」

 ぽつんと、雨子が言う。 一日? ……三日三晩じゃないの? 意味が分からず、歌子が聞き返した。

「え、なんで?」
「いやー、邪魔が入りそうな気がして、ならないんだよね」

 そういいながら、雨子は気持ちよさそうに、うーんと伸びをする。 ちょっと、雨子っ! やり方が雑で穴だらけなのを、自分でも、分かってるんじゃない。 歌子は呆然と、雨子を眺める。 相変わらず、適当というかなんというか……。

「……まあいいや、とりあえず、明日、昼な」

 ため息をつきながら、疲れたようにミツバが言った。 雨子は振り向いて、元気いっぱいに答える。

「あっ、そうだね! 明日、来れる人は、集合ね!!」

 まだまだ元気な雨子とは対照的に、小春も、さすがに一日走り回って疲れたようだ。 小さく頷くと、ゆっくりとした足取りで、入り口に戻っていく。
 入り口では、先に、スズネが一人で部屋を出ようとしていた。 ……ん? スズネはどうしたんだろう、さっきからあんまり喋ってないし、もしかしたら仲間内の会話に入りづらくて、遠慮してたのかも。 今も、真っ先に家を出て行こうとしている。
 そんなことを知ってか知らずか、小春はいつもの調子で、その背中に声をかけた。

「スズネ、あんたもよ! もう、私たちの仲間なんだから」

 部屋を出ていきかけたスズネは、振り返った。 でも、なぜかちょっと寂しそうな顔だ。 笑顔を浮かべて、分かったと答えている。

 一行は解散して、その日の活動は終了していった。
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