幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第三章 死者サービス

第17話 次の日っ!

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 スズネが仲間に加入してから、新しい朝を迎えて、次の日になった。 小春たち、都市伝説を探すメンバーたちは、昼ご飯を終えたころの時間に、待ち合わせの約束をしていた。
 朝は、みんな仕事があるから、遊べないのだ。

 歌子は、仕事が忙しいから、今日は来れないらしい。 ユメも、憶え屋の仕事をがんばるらしい。 一人で考え事をするのが好きなイトも、何か調べものをしているみたいだから、来れないらしい。
 そんな中で来れるのは、小春やスズネ、雨子たちだ。

 集合の約束をした場所には、すごく大きな建物がたっていた。 石造りのその建物は、まだ建築中のようで、あちこち欠けていていびつな形をしている。 周りには、大工のような体の大きい男たちが、えっさほいさと動き回っている。
 その大きな建物は円形で、ドームのような形をしていた。 聞くところによれば、これは外国の建物で、ミツエダさんが教えてくれたものらしい。

 建物の前に、雨子が走ってやってきた。 いつものように、笑顔で元気いっぱいな感じだ。 立ち止まると、建物を見上げながら、うーんと気持ちよさそうに伸びをする。 ふっと力を抜いて腕を下ろしていくと、スズネが、別のほうからやってくるのに気づいた。

「あ、スズネちゃん!」

 スズネは、仕事終わりだからか、なんだか爽やかな、すっきりした顔をしている。 こっちに走ってきて、元気に手を振ってきた。

「来たよっ! ……うわー、大きいっ!」

 スズネはその場に来ると、その建物を見上げて、ワクワクするような声を上げる。 石造りの大きな建物に、乾いた風がひゅうひゅうと踊っているようで、昼間の爽やかな空気が気持ちいい!

「おっはよー! みんな!」

 今度は、小春の声が来る。 振り向くと向こうから、ミツバを引き連れて、元気に歩いてきた。
 スズネは建物のほうに、目を戻した。 ……大きい建物だなあ。 でもこんな建物、何に使うんだろう?

「ここ、何の建物になるの?」

 一緒に建物を見上げていた雨子は、答えた。

「なんか、まだ決まってないけど、作ってみようぜって話に、なってるみたいだよ」
「何? それ」

 スズネは笑いながら、ツッコミを入れる。 いつも思うけど、この街の人は、なんかノリが軽い。
 2人が話していると、小春が近くに来て、会話に入ってきた。

「何? 何の話? ……これのこと?」

 小春は建物をあごでしゃくって、聞いてくる。 一行は建物を眺めながら、ゆっくりと歩きだした。 先頭を歩く雨子が、頷いて答える。

「うん。 一応、候補はいくつかあるみたいだけど。 ……巨大な歌どころにするとか」

 こんなに大きな、歌どころ! 周囲から大喝采だいかっさいを浴びて、たくさんの歓声が聞こえて……うわ、それすごいっ!!
 想像したスズネは一気に満面の笑みになり、ワクワクして言う。

「へえ、そうなんだ! ……もっと大きな建物とか、たてられるのかな?」
「建てられるわよ。 こんなもの、たいしたことないじゃない」

 小春が、なぜか根拠もないのに、自信満々に言う。 小春はいつもこんな感じだ、よく分かんないのに、自信にだけはあふれている。 スズネは負けじと、対抗するように、語気を強めた。

「もっっっっと、高い建物でも?」

 小春は振り向き、当然よという感じで言う。

「そりゃそうよ! 世界は広いんだから、それぐらい、建ててる人たちぐらい、どっかにいるわよ」
「うわーっ、ワクワクするっ」

 いきなり、雨子がはしゃぎだす。 足をバタバタとさせて、スキップするようだ。 ……え、何? 大きな建物が、好きなんだろうか。

「好きなの? こういうの」

 スズネが聞くと、雨子は満面の笑みになり、頷いた。

「大好きっ! どんな今までにない建物が出来るんだろうって、想像しただけで、こう、腹の底がワクワクしてね。 わたし考えたんだけどね、海の中にある大きな建物とか、すごく高い塔を作って、音楽をみんなで楽しんでたりとか……ほら、食糧庫しょくりょうこあるじゃん? 高い床の。 あれを、ずっっっっと高くしたような建物で、辺りに霊たちが飛んで、簡単に出入りしてて……、」
「ちょっと、ちょっと!」

 止まらなくなった雨子を、小春が止める。 雨子は我に返って、一人で突っ走ってたことに気づき、頭をかいた。

「あ、ごめん」
「もー、相変わらずねえ、あんた」



 一行は景色の開けた、山の斜面を歩いていく。 斜面に沿って階段が続いていて、そこをすたすたと上り、頂上方向へ向かっていく。
 後ろを振り返ると、背後には、街の景色が見えている。 岩の建物、わらの建物、料理場……。 さらに向こうには田んぼや、その奥には海が見えて、風が吹いていて気持ちがいい。

「ところでスズネ、あなた、何か仕事してるの?」

 小春が、階段を上りながら、スズネに話しかけていく。 辺りの景色を眺めていたスズネが、振り返って答えた。

「うん。 歌どころで、働いてるよ」

 歌どころというのは、主にお笑いを楽しむところだ。 歌を歌ったりする人や、手品のようなものを披露したりする人なども、中にはいるけど……一番多いのは、お笑いなのだ。
 そこで働くというのは、この街での、結構なステータスだ。 市場で下積みをして、人気が出た人だけ、そういう大きくて立派な場所で芸を披露できる。
 小春も、市場で毎日歌っているから、その辺の事情は知っているんだろう、感心したような顔を浮かべた。

「へー! すごいじゃない。 どこの、歌どころ?」
「第2区画の、山のふもとのあたり」

 第2区画は、まさに今いる、この辺りだ。 小春は足元をちらっと見て、気づいたように言う。

「第2区画って……あれ、ここじゃないの?」
「うん。 ここのふもとのあたりだよ」

 そういいながら、スズネは後ろを振り返ってみせる。 小春は理解したように、へえと頷いた。

「ふーん。 ……今度、行ってみようかしら」
「来るの?! ちょっと、緊張するかも……」

 スズネはそういって、身を縮めるようにしり込みする。
 知ってる人の前で、あれこれ面白いこと言うなんて。 全然面白くないような顔をして、客席からじっとこっちを見つめてる小春を想像すると、ちょっと胃が痛くなってくる。

 小春はそんな気持ちも知らずに、いつもの勢いで言ってくる。

「そんなこと言って、どうするの。 つねに、堂々としてないとっ」
「しっ! ……ちょっと、待って」

 話していると、前を歩いていた雨子が、突然手で制してきた。 それにつられて、一行は立ち止まっていく。
 階段を上りきったそこは、住宅街のようだった。 岩で作られた、アパートのような建物が、たくさん並んでいる。 昼間だからか、辺りはしんと静まり返り、静かだ。
 一行は建物の陰に身を隠して、辺りの様子をうかがった。 ひょこっと建物から顔を出して、道の様子を眺めていく。

「ふーん、ここ?」

 小春が、辺りを眺めながら言う。 別に何でもない住宅街だ、特に目立ったものはない。 人は少しだけ歩いているが、不審者らしき人はいない。 前に話に聞いた、土のにおいを気持ちよさそうにいでいる変態とか、そういうのもいなさそうだ。

 一行は頭を引っ込めると、建物の陰で、コソコソと話し始めた。

「よし、じゃあ、誰が行くか決めよう」
「誰がって……雨子が約束したんじゃねえのか?」

 雨子の言葉に、ミツバが疑問を呈する。
 聞いた話では、雨子が街を歩いているときに、声をかけてきたということだった。 なら、行くのは当然、雨子じゃねえのか?

 雨子は手を横に振って、説明を加えた。

「あ、いや、私以外が来るかもって、言っといたから」

 はあ? これから行くの、死者と話せるサービスだろ? 誰が死者と話したいかも決まってないって、どういうことだよ。

 ミツバが笑った。

「どんな約束だよ、それ」
「あ! じゃあ、私行きたい!」

 スズネが先陣を切って、手を上げた。 仲間に入ったばかりだし、何か面白いことやってこないとっ! そんな顔に見える。

「あ、そう? ……よし、じゃ、行ってきなさいっ!」

 小春が賛同して、スズネの肩のあたりを、とんと触るような動作をした。 スズネは楽しそうに笑いながら、何もためらうことなく、さっと陰から出ていく。 けっこう度胸があるみたいだ、歌どころで、きたえられているんだろうか。
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