幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第三章 死者サービス

第22話 みんなで一緒に食べよう! ついでに憶え屋の詳細を聞くぜっ!

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 小春たちは、言われた場所にやって来た。 歌子とアマネはもう一緒にいて、座って食事をしていた。 辺りの景色は、ふつうのわらぶきの広い住居で、人が話したり、くつろいだりしている。
 ここは、いつもみんなで集まって話す場所だ。 別にメンバーの誰かが、ここに住んでるわけではないが、なんとなく、ここに集まることになっているのだ。

「歌子ー!」

 小春が呼びかけながら、歩いていく。 素手すででモソモソと料理を食べていた歌子が、こっちに気づいて手を上げた。

「小春。 ……あっ、どうだった?」
「うーん、やっぱり、詐欺さぎよ」

 小春はぞんざいに言いながら、どかっと腰を下ろしていく。 それを聞いた歌子は、そっかと言って笑った。 まあ、今までもそうだったし、そんなに期待はしてなかったのだ。

 歌子の隣には、超強い霊力れいりょくを持っている、現役の巫女みこのアマネが座っていた。 いつもは元気いっぱいなのに、今日はそうでもないようだ。 なんだか悲しそうに、しゅんとして、黙々と料理を食べている。
 ……そうだ、未来人の降霊こうれいは、うまくいったかなっ!! 昨日からずっと徹夜でやってたみたいだし、ちょっとは成果があったのかも?! 雨子は思い出したように言った。

「あ! アマネ、未来人の降霊は、どうなった?」

 どう見ても、失敗してるだろ。 どさっと座って一緒に食べ始めながら、ミツバは心の中で呟く。
 案の定、アマネはうつむいたまま、ぼそっと呟いた。

「……怒られた」
「え?」

 小春はひざを腕で抱えて、ゆらゆら揺れながら聞き返す。

「研究所の人たちが来て、やめなさいって、すごく怒られたの」

 歌子が、代わりに説明した。 やはり歌子のお母さんが、降霊研究所に行って伝えたらしい。 ブラブラ散歩している間に、こっちでは結構なゴタゴタがあったようだ。

「あぁ、バレたの?」
「やっぱり」

 雨子が他人事のように笑う。 責任は雨子にもあるのだが、そんなのどうでもいいらしい。
 とはいえ、この街には霊力監視システムもあることだし、本当に降霊しようとしたら、いずれバレる。 未来人の降霊なんてできないのは、始めから分かっていたことだ。

 歌子は食べ終わり、なにやら手元をイジイジしていた。 目線を下に落として、熱心に手を動かしている。 ……何をしているんだろう? 隣で気づいた小春が覗き込んでいく。 どうやら、石ころに、筆で文字を書いているようだった。

「……何? それ」
「ちょっと、真似してみようと思って」

 洞窟どうくつで拾った石ころに、文字がびっしり書かれてたことだろうか。 たしかに石ころも、メモ紙として使えなくはないが。

「昨日拾ったやつの?」
「うん。 ……でも、これだと、ちょっと読みにくいかも……」

 そういいながら、歌子は石ころを掲げてみる。 灰色の石ころに、黒い文字を書いているようだ。 色が分かりにくくて、読みにくい。

「ねえ、憶え屋って、どういう風に使うの?」

 いきなり雨子が、話を変えてきた。 雨子は『まぼろし』の料理をモグモグ食べているようだ、目の前に豪華ごうかな料理をどっさりと並べて、それを食べながら聞いてくる。
 雨子はふだんから、結構料理を食べる。 こんな風にみんなで集まって食事をするときは、たいてい自分の食事を目の前に出して食べるのだ。
 『まぼろし』の料理の味は、あまりしない人が多いらしいが、人によって感じ方は異なるらしい。 小春はふわふわしてて味がしないというが、雨子にとっては、しっかり味を感じられるみたいだ。

 こんな風にガツガツ食べてるから、うんこもしっかり出るのかも。 そんなことを思いながら、歌子は憶え屋の説明に入る。

「あぁ、えっとね……例えば、毎日の生活の中で、何を買い物したかを、記録したいとするじゃん?」
「うん」
「そしたら、『歌子の毎日の買い物』みたいな名前で、記録帳をひとつ、作ってもらうの。 その中身を見たいときには、『歌子の毎日の買い物を見たいんですけど』って言えば、それを代わりに見せてくれたり、読み上げてくれたりする……ってことみたい」

 自分の名前と書きたい内容を、タイトルとしてまとめて、記録帳を一つ作ってもらう……そんな感じになっているようだ。 雨子はそれを聞き、考えながら呟く。

「はー……。 じゃあ、今度は通貨記録をつけたかったら?……同じようにして、2個以上、一人の人が作ってもいいの?」
「うん。 私は、いつも使ってた私たちの活動記録と、通貨記録と、買い物の3つぶんは、もう作ってるよ」

 それを聞いて、ミツバが理解するように言った。

「ふーん……いくつ作っても、いいのか」

 みんなが会話をする横で、スズネはぼんやりとしていた。 まだ少し、心ここにあらずといった感じで、別のほうを眺めたりしている。 しかし話は聞いていたみたいだ、ふと何かに気づいたように、会話に入ってきた。

「ん? ……あれ、私たちの活動記録には、歌子以外も入れるの?」

 今まで歌子がつけていた、都市伝説に関する活動記録は、歌子の名前で登録しているんでしょ? なら、登録してる名前以外の私たちが、勝手に見たり、書き込んだりしていいの?
 そんなスズネの疑問に、歌子は頷いた。

「うん、入れるよ」
「え? ……じゃあ、他の人が勝手に入って、中身を見たり、書き込んだりできるってこと?」
「あぁ、そういうことじゃないよ。 誰でも書き込めるようにするかは、自由に決められるんだって」

 その記録を、個人的にするか、みんなに公開するかは、自分で決められるってこと? ……なるほど、だったら、勝手に見られるってことは、ないのか。
 スズネは納得したように、頷いた。

「へー……なるほど」
「あ! じゃあ、私もさっそく、色々作ってみたいかもっ!」

 雨子が、どんな記録帳を作るかを、思いついたようだ。 ウキウキしたような顔で、体をゆすっていく。 危ない記録帳じゃなきゃ、いいけど。
 スズネはまだ憶え屋の仕組みを考えているようだ、じっと考えるようにしながら、さらに聞いてくる。

「自由に決められるのって、みんなに見せるかどうかってだけ?」
「……ん? どういうこと?」

 意味が分からず、歌子が聞き返す。 スズネは眉間みけんにしわを寄せて、考えながら言う。

「いや、よく分かんないんだけど……例えば、夜の間だけ、見たり書き込んだりできるとか、できるかなって。 ……あ! 時間ごとに、見える内容が違ったりとか」

 時間によって、内容が違う……? まだ言ってることが、よく分からないんだけど。 歌子は顔をしかめて、ふたたび聞き返した。

「え? どういうこと?」
「えっと……時間って、12個に分けてるじゃん? ……こくとかいって」

 この街では、24時間を12個に分けるやり方を、採用している。 大陸から入ってきたやり方らしい、2時間で一つの『こく』を表すのだ。
 最近はわりとみんな使ってる時間の考え方だから、この街ではよく知られてる。 歌子も歴史所で働くときに使うので、知ってるよ、というように頷いた。

「うん」
「例えば、ある刻に入ったら、お笑いの話をみんなしてて、別の刻に入ったら、歌の話をしてるとかいって……」

 ……どういうこと? 一つの記録帳のページを、12個に分けるということだろうか。 例えば1~20ページまでが1つ目の刻、21~40ページまでが2つ目の刻……みたいに。 そして、もし今が2つ目の刻にあたる時間だったら、21~40ページまでの部分にしか書き込めないし、読めないようにする……とか?

「……あぁ、一つの記録帳の中でってっこと?」

 スズネは楽しそうに頷いた。

「そう」

 ふんふん……どうせ、記録帳を開いて読み上げてくれるのは、憶え屋の職員だ。 なら、そういう決まりを作っておけば、読んでいい場所とダメな場所を、職員の人が考えながら読めばいいだけだ。 ……ちょっと、面倒かもしれないけど。

 場合によっては、そんな風に記録帳を分けるのは有効かもしれない。 朝ご飯、昼ごはん、夜ご飯を、『ごはん』ひとつの記録帳にまとめて、その中で、3つの時間帯で分けるとか。

 スズネは時間で分けると言ったけど、人で分ける方法も考えられる。
 小春が入ったら、小春用の場所……スズネが入ったら、スズネ用の場所……。 そんな風に、一つの記録帳の中でも、個人によって分けることもできる。

 もし私たち……都市伝説を探すメンバーだけで、『株式会社ウタコ』を設立したら、そんな感じにするかもしれない。 そうすれば、会社の中での連絡事項なんかを伝えるとき、従業員ごとに記録帳を作らなくてもいいから、意外と管理が楽かも。
 みんなは朝出勤するときに、憶え屋に行って、『株式会社ウタコの記録帳をお願いします』って言えばいい。
 その記録帳の中で、みんなとシフトの連絡をして、偉そうに命令したり……。 『あれして、これして』『はい、わかりましたっ!』 小春やスズネをこき使って、雨子なんかも私の命令に従って動いて……ムフフ、あぁ、それいいかもっ!!ww

 ともかく、一つの記録帳を分けるってことが、できるってことだね。 ふんふん、なるほど……。

 ……ん? 待てよ。 よく考えると、公開・非公開の話も、欠点があるかも。
 記録帳の持ち主1人だけが読めるか、全員が読めるか……いま設定できるのは、2通りだけだ。

 私がスズネと一緒に2人だけで、みんなの悪口を言いまくるような記録帳を作りたいときは、どうなるのかな。 ……いや、言わないけどね。
 その場合は、私たち2人だけが読めて、他の人は読めないようにしたい。 ……なら、登録者を2人にするとか? それぐらいだったら、対応してくれるかな。

 ……でも、今度はその悪口を、みんなに見せびらかしたくなったら、どうしよう。 お前らのここがクソなんだよ! とか言って……いや、だから、言わないけどね。
 私たち2人しか書き込めないけど、みんなが読めるようにする……。 そんなひどいことも、現状は出来ないのか。 たしかに、公開・非公開だけじゃ足りないかも。

 ふむふむと、歌子は意味深に頷く。

「あぁ、そうかもね。 ……自由にするのは、みんなに見せるかどうか、だけじゃ、意外と足りないのかも」

 一つの記録帳でも、ちょっとした工夫だけで、かなり使い方が広がる。 うーん、なるほど……勉強になったな。 私の野望のためにも、ぜひユメに改善してもらおう。
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