幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

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第五章 混乱

第37話 幽世ですっっ☆!!!www

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「すいません! ここって、どこですか? ……東の山?」

 来たーっっ!!!w 今度こそ新しい人だろう、恰好かっこうが大分古い。 さあ、本当に新しい人が降霊されたのか、試してみようぜっっ!!!!ww
 テンション爆上がりのスズネの横で、小春が前に進み出ていった。 不自然な笑顔を作ってニコニコ笑いながら、再び例の問答もんどうを開始する。

「ねえあなた、ちょっといい? ……名前、教えてくれる?」
「……へ?」

 立ち止まった男は、脈絡みゃくらくも無く名前を聞かれて、きょとんとした表情を浮かべる。 まあ、そりゃそうだよね。 ……あっそうだっ!!ww この話に私も乗っかっていかないとっ!!w
 ノリに乗ってきたスズネは、同じように話しかけていく。

「私たち、幽世かくりよの管理人で。 ちょっと、お名前教えてもらってもいいですか?」

 おっと私、幽世ってなんだよww そんなのあるわけないじゃんっ! ははっ!!www
 まあいっか、理由なんて何でもいいんだから、とにかくまずは名前を聞こう。
 そう思っていると、小春が横から余計な茶々を入れてくる。

「ちょっと、何よ、幽世って。 私、まだ死んでないわよ!」
「いいから! ちょっと黙ってて! ……お名前、何ですか?」

 スズネもにっこりと笑顔を浮かべてみる。 まだこっちの方が自然な笑顔だ。 どうだっ!! これが毎日うたどころで商売してるスキルじゃっっ!!ww
 男は釈然しゃくぜんとしない様子ながらも、名前を答えた。

「……え、スギだけど」
「スギさん。 ……あぁ……」

 ……えーっと、次、なに言えばいいんだっけ? 見切り発車で話しだしたはいいものの、次の言葉が見つからない。
 スズネはぽかんと口を開けていると、横から小春が腕で突っついてきた。

「ちょっと! 何ぼうっとしてんのよ」

 体を引っ張るようにして、小春は後ろに向かせてくる。 男に背を向けて、2人は隠れるようにしながら、ごにょごにょと話した。

「ごめん、あと、何だっけ?」
「あとは、時代聞かなきゃ。 出身の時代」

 2人は再び前を向いていき、男に向かい合った。
 ……よし、まずはにっこりと笑ってみよう。 2人は笑みを作って笑いかけた。

 シーン……。

 静かに、ただ2人が笑顔になっているだけの時間が流れる。
 横のタンポポちゃんも状況を理解したのか、並んで笑顔を作りはじめた。 でも、こっちはぎこちなくて、油の差されてないロボットみたいな笑顔になってるけど。

「えーっと……」

 言葉を言いかけて、スズネの口が再び止まる。 ……あれ? 出身の時代を聞きたいんだけど、どうやって聞けばいいんだろう。 『あなた、何年前から来た?』じゃおかしいよね……だって本人は、その時代で死んだ直後にここに来てるんだから、現代までに何年たったかなんて知るわけがない。

 グルグルと考えるスズネの横で、タンポポちゃんは何かを思いついたようだ。 前に進み出て、男に話しかけていく。

「……村って、どんなところでしたか?」
「村? ……君ら、何の話してんの?」

 男はいきなり変な話題を振られて、不審そうだ。 名前を聞かれたかと思ったら、村がどんなところだったか聞いてくる……?
 スズネは相変わらずぽかんと口を開けているだけだし、小春はひたすら眉をひそめているだけだ。 幽世の役人……? どう見ても、近所の集会場に集まった子供を適当に引っ張り出して作ったようなグループにしか見えない。
 役に立たない2人を放っておいて、タンポポちゃんが言葉をつむいでいく。

「えっと……ここって幽世なので、色んな時代の人が入り混じってるんです。 ……だから、どの時代の人か確認しなくちゃいけなくて」

 なるほど、そんな説明の仕方があるのかぁ……。 スズネがのんきに感心していると、横の小春もパンと手を叩いて、いま思いついたわっ! みたいな感じで言う。

「あっ、そう。 そうなのよ! ほら、ここ見て、すけすけでしょ?」

 小春は、そばのスズネの腕を、指でさわるようにして通り抜けて見せる。 ちょこちょこっと貫通かんつうするように触られて、スズネは腕を飛びのかせた。

「ちょっと、やめてよ!」

 こういうことをされると、幽霊でも気持ち悪いのだ。 分かってるわよ、と言わんばかりに、小春はチュウーッと口をとがらせる。

「しょうがないじゃない、やらないと、分からないんだから」
「自分の体で、やってよ」
「……ほら、慣れてないのよ、結局」

 2人がごちゃごちゃと遊んでいる横で、タンポポちゃんは真面目に仕事を続けているようだ。 幽世の役人っぽい感じになりきって……ちょっとすました振る舞いをしてみせた。

「あなたも、霊になってるんです。 ……ほら」

 そういって男の体を示して見せる。 男は自分の体を見下ろして、うわっと声を上げた。 自分が幽霊になっていることには気づかなかったらしい。

「……なんだ、これ?」

 男はいぶかしむような顔で、まじまじと自分の腕を見つめている。

「だから、霊になったの。 で、えーっと? ……あそう、ここ幽世なの。 分かった?」
「……マジ?」

 男は、まだ信じられないといった感じだ。 変な笑いが出ながら、自分の体を確かめている。 よーっしっ、この勢いで一気に行っちゃえっ!! タンポポちゃんは流れに乗って、ずいっと前に進んでいった。

「あ、それで、……えっと……」
「あっ! ……村は、3つに分かれてましたか?」

 ようやく質問を思いついて、スズネが聞く。 こんな風に時代を特定できるような質問を、遠回しにすればいいんだ!
 男は不思議そうな顔をして、聞き返してくる。

「村? ……3つじゃないのか」

 3人は再び男に背を向けて、内緒話ないしょばなしを始めた。 今度はタンポポちゃんも一緒だ、ごにょごにょと話していく。

「え、どういうこと、それ」
「500年前からは、村は1つに統合されたんだよ。 だから、あの人は、500年以上前ってわけ」
「あぁ、そういうこと」

 円陣えんじんを組むみたいな感じで、3人はコソコソと話す。 友達で遊んでるみたいで、ずいぶん楽しそうだ。
 ……500年以上前ってことは、古い話だな。 えーっと、村が3つあって……?

「他には? えー……あそうだ、小春、800年前じゃん。 なんか考えてよ!」

 必死に頭を回転させながら、スズネが言う。 私は200年前なんだから、そんな昔のことは分からないんだよっ!
 小春は自分に話が振られると思ってなかったのか、びっくりして声を上げた。

「え?! なに。 私、何も知らないわよ。 ……あっそうだ!」

 何かを思いついたようだ、小春はくるっと前を向いていった。 男に向き直ると、いきなり歌を歌いだす。

「あんた、歌知らない? ♪♪♪~っていうの」
「え、何そのダサい歌」

 反射的に、スズネが言ってしまう。 小春は憤慨ふんがいした。

「ダサいって、失礼ね! これ、私が作ったのよ。 なんか、100年ぐらいは歌われてたらしくてね」

 2人は大声でペチャクチャと喋る。 もう色々隠す気は無いように見える、幽世の役人という設定はどこかへ吹っ飛んだようだ。
 タンポポちゃんが、男に聞いていく。

「……知ってますか?」
「いやー、知らんな、そんなダサい歌」
「ちょっと! あんたねえ」

 苛立いらだつように小春がツッコミを入れていく。 男は笑いながら、分からないというように頭をかいた。

「えー、俺がいた時? ……」
「なんか他に、ないの? 手がかり」

 適当な感じで、スズネが小春に聞いていく。 小春はうーんとうなりながら、腕を組んで考えている。 目の前の男もうーんと腕を組んで考えていて……謎の結束感が生まれているし、これは一体何の集団なんだろう。

 500年以上前ねえ……。 何か、あったっけ? スズネも一応考えてみようと腕を組む。

「うーん。 ……あっ! コメ!」
「……コメ?」

 なんの話?って顔で、小春が見てくる。

「コメって、小春のとき、なかったんでしょ? たしか、歌子が600年前って言ってたよ」

 眉をひそめてパチパチと瞬きしていた小春だったが、やがて気づいたように、ぽんと手を叩いた。

「あっ! そうよ。 そう、私の時、なかったの」

 聞くところによると、600年前にこの島にコメが入ってきたらしい。 そこから人口が急激に増えて、人口を維持するために、食料を求めて争いが起きるようになったという。

 実際、その100年後に、この島でも大規模な争いが起こったらしい。 それをしずめようと、3つの村から古いことにとらわれない若者たちが出てきて奔走ほんそうするなど、ドラマチックなストーリーがあるとかないとか。 その結果として、もう争わないように3つの村が1つに統合された。 それが、500年前なのだ。

 降霊術の創始そうし者のアキカゼさんも、その時代の人らしい。 降霊術を行って、先祖の知恵のある人を呼び寄せたりするなど、政治とは別の方向から、争いを鎮めるのに貢献こうけんしたとか。

 その話を思い出したスズネが、男に聞いていく。

「あ、コメって、知ってます? ……食べる……やつ」

 雑な説明をしながら、スズネは手を動かし、ごはんを食べるような動作をする。 男は、当然だという感じで頷いた。

「あぁ、知ってるよ。 いねだろ?」
「あ、じゃあ……!」

 タンポポちゃんが、理解したような明るい声を上げた。 スズネは腕を組み、情報を整理していく。
 ……えーっと、この人は500年以上前だけど、でも600年前のコメは知ってる……。 ふんふん。

「じゃあ、500と600の間ぐらいってことか」
「あ、そうね! ふーん、なるほど。 ……ふーーん……」

 小春は深く納得しているようだ。 腕を組んで長く唸りながら、理解するように頷いている。 やはり、とても役人には見えない。
 男が頭をかきながら言った。

「えーっとじゃあ? ……俺は、どうすりゃいいの?」
「向こうのほうに行ったら、街があるから。 街に着いたら高い所に上っていって。 歴史所ってところがあるから、そこで自分のことを話してきて」

 小春は、今度はサクサクと説明する。 さっきアキカゼがそうやっているのを、横で見てたのだろう。
 説明を聞いた男は、首をかしげながら頷いた。

「はー。 ……あぁ、分かった」

 分かってないような足取りで、また首をかしげながら、その場を離れていく。
 男が去ると、残された3人の間に、ゆるんだ空気が流れた。 小春は気が抜けたように汗をぬぐい、再び歩きだす。

「ふー。 何とかなったっ。 よし、この調子で、どんどん行きましょっ!」

 ……え、でもこれでいいの? 男の人が逃げ出したりとか……そんなことは考えなくても、いいんだろうか?
 スズネは後を追いながら、疑問を口にする。

「え、今のでいいの?」
「いいじゃない。 何も問題ナッシングよ」

 振り返った小春はいつもの調子で、平然と答える。

「だって、途中で逃げたりとか、……あ、ほら、顔変えちゃったりとか……」
「あなた、そんなこと考えるの?」

 信じられないといった顔で、小春が言ってくる。

「え?! いやだって、ありえるじゃん、普通に」
「んー……。 まあ、そうね。 ……あれ、じゃあ、追いかけなきゃダメじゃない!」

 小春は納得したかと思いきや、いきなりくるっと向きを変えて、さっきの男のほうへ走りだした。

「小春! ……え、どうすんの?」

 スズネたちも慌ててついていき、一緒になって走りだす。 横のタンポポちゃんも、首をひねっている。 ……追いかけてどうするの? 一緒に街まで、ついていくってこと?

「小春っ! 待って!」
「ちょっと、男ーっ!! 待ってー! ……あれ、名前なんだっけ、あんたー?」

 適当なことを叫びながら、3人は山の中を走っていく。
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