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第五章 混乱
第42話 源っ!
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3人は、大きな洞穴のところに戻ってきた。 外から階段で降りた先にあった、広い平地みたいな場所だ、ここから他の場所にもつながっているようだ。
「とりあえず、源のほう、行ってみよう!」
3人は冒険するようにワクワクと歩いていく。 源へと向かう入口に入っていき、別の奥の部分へと進んでいく。
歩いていると、小春がふと疑問を呟いた。
「……なんで、50年前まで、こういう社会を作らなかったの?」
降霊術は、創始者のアキカゼが生きていた500年前からあった。 その時にたくさんの人を降霊して、今のような街を作ることは出来たはずだ。
しかし、実際にはそうなっていない。 500年前だけでなく、300年前や200年前も、幽霊が村の中を歩いているわけではなかったのだ。 生きていて生身の体を持っている人だけで、他の地方と変わらないごく普通の街の様子が広がっていた。
雨子は、振り返りながら答える。
「今は、能力が無い人でも、道具を使えば出来るようになったけど、昔はそうじゃなかったから」
昔は、ごく一部の強い霊力を持った人しか、降霊術を使えなかった。 激しい修行をして、体力をたくさん使って、1人の幽霊を、ほんの少しだけ降霊する程度だったのだ。
最近では道具を使って、霊力を全く持たない人すら降霊術を行えるようになった。 技術の進歩によって、街全体の降霊能力が大きく上がったのだ。
「でも、やろうと思えば、出来なかったの?」
小春は納得できないというように、首をかしげている。 歩きながら、雨子は答える。
「うーん、ふつうは一人の人を降ろすのでも、ものすごく集中がいるし、体力もいるんだよ。 そして、この世にとどめておくのにもね」
「へー、そんなもんなの」
「うん。 ……ヤミコちゃんみたいに、大量の霊を下ろして、集中せずにとどめておくなんて、普通は無理だから」
話を聞きながら、歌子は歴史を思い出してみる。 最初は、ヤミコさまが悪戯で幽霊を降ろしまくったんだったっけ。
ヤミコは悪戯で、大量の幽霊をこの世に降霊していった。
悪戯をした理由は、今でも不明らしい。 その時を生きていた人の話によると、『元々そういう性格だからじゃない?』ということだ。 ……って、それだけかーいっっ!!!ww
村には次々に新たに降霊された幽霊が現れて、人口が急激に増えていって……。 やめさせようと村人たちは必死にヤミコを探したが、当の本人は山を駆け回っていて、他の人が見つけるのが困難だったらしい。
村に降霊された幽霊たちは、最初は何もやることがなかった。 ヤミコを探すのを手伝ったり、その辺で寝そべってブラブラしていた。
生の体を持ってないから、魚を取ることもできないし、米を収穫することもできない。 どうせ手伝えないしww ははっ!w って感じで、鼻くそほじりながら米を収穫するのを眺めていたようだ。
しかし徐々に、幽霊にも手伝えることがあると気づいてくる。
漁をするなら、どこに魚や貝があるかを探してくることは出来る。 米を収穫することは出来ないが、研究することは出来る。
幽霊たちも徐々に生活を手伝うようになっていって、一緒に暮らすようになったのだ。
悪戯によって降霊された幽霊は、さらに増えていく。
幽霊たちはヤケクソになったのか、『幽霊ばっかの街を作ろうぜ!』みたいなノリになっていったらしい。
逆にヤミコを応援して、逃げるのを手伝う人が現れるなど、どんどん変な方向に事態は進んでいったようだ。
最初は、幽霊たちはお気楽な気分でいたらしい。 自分たち幽霊の存在が、そこまで必要とされるようになるとは思っていなかったからだ。
生身と幽霊で役割分担を続けていけば、お互いの存在を前提にしたような社会が出来上がる……。 現代では当然の考えだが、当初はそこまで考えなかったらしい。
問題が起これば自分たちが消えてしまえばいい、ぐらいの軽い気持ちだったようだ。
幽霊が当たり前の社会が、色んな問題を抱えていると気づいていくのは、ずいぶん後の時代になってからなのだ。
時間がたっていくと、今度は降ろされた幽霊たちが中心となって、降霊術を研究していく。 ヤミコ以外でも強い力を発揮できるようになり、さらに降霊を繰り返して、今の社会になったという。
「……へー、すごいわね、そのヤミコって人」
小春は感心したように、驚いたような顔で言う。 雨子は笑って、うんと頷いた。
3人は『源』へ来た。 地下にある、巨大な湖みたいな感じだ。 ものすごく広い空間に、遠く向こうの方まで水が張っている。 水面は青く光っていて、幻想的な光に包まれている。
辺りには岩があり、その上には人魚のように巫女たちが座っている。 簡素な服を着て、水でじっとりと濡れているみたいだ。 近くでは水の中にトポンと入っていったり、向こうでは水面に上がってきたり……。 『源』に異常がないか、調査しているんだろう。
「へー、ここね……」
小春が、興味深そうに周囲を眺めながら入っていく。
入り口の近くには、この街の長の姿があった。 調査の様子を確認しに来たのか、巫女の人と話している。
「じゃあ、まだ原因は分からないのね?」
「はい。 ……人災かどうかも、まだ分からないです」
悪戯かどうかも、まだ分かってないらしい。 アマネが見つからないから、確定できないのかもww フフッw
長はもどかしさを押し殺すような顔で、静かに頷いた。
「分かったわ、あと、頼みます」
「はい」
話を終えた長は、その人と分かれていった。 こっちへ歩きだすと、近づく私たち3人に気づいて声をかけてくる。
「あら、あなたたち」
「こんにちはーっ! 原因って、分かったんですか?」
小春が元気よく、挨拶していく。 ここに入っていいかも分からないらしいから、元気さで誤魔化しているのかもしれない。
長は首を振って、答えた。
「いいえ、まだ分からないわ。 ……多分、自然発生的なものだと思うけど」
「え、どうしてそう思うんですか?」
雨子が興味を持ったようだ、身を乗り出して聞いていく。 自然発生的? ……それって、自然災害ってこと? 自然災害としてこんなことが起きるなんて、聞いたことないけど。
長は振り返り、源のほうへと目をやりながら答えた。
「ここが、こんなに脈打ってるのを見るのは、始めてだから」
長はそう言いながら、うっとりとした表情で源を眺めている。 ……あれ? 長、どうしたんだろう? 目を潤ませながら青く光る水を眺めて……。 変な性癖でも、あるのかしら。
話を聞きながら、3人も源のほうへと目を向けていった。 雨子はふむうと顎に手を当てて、探偵のように源を睨みながら唸る。
「うーん、確かに。 すごい、活発ですね」
「雨子、ほんとに分かってんの? ……適当なこと、言ってたりして」
「分かってるよ! 私も、一応、巫女だったんだから」
いちゃいちゃしながら、小春は水の淵に近寄ってみる。 恐る恐る水の下を覗くと、ひどく深い水の底が遠くに見えた。 表面の水は薄くて青いけど、奥のほうは真っ暗だ。 ひーっ!こわっ。
楽しそうにはしゃぐ3人を見て、長が促すように言ってくる。
「あなたたちも、霊を探すのを手伝ってくれる? 今、すごく忙しくてね」
こんな時にお前ら何してんだよと、やんわりと言われた気がしないでもない。 歴史所勤めの、生身の歌子までいるのだ。 こんなところで油を売っている暇はないはずだ。
歌子は痛いところを突かれて、ギクッとして思わず目をそらした。 ……本当に、何やってるんだろう、私。
その横で、小春は元気に答えた。
「はい、分かりました! 任せといてっ!」
気にしてないだけのか、元気なフリなのか、小春はポーズをビシッと決めて見せる。 長は微笑をたたえて、小さく頷いた。
……いま長は、どんなことを思ってるんだろう? あの笑顔が、ちょっと怖い。
そう思いながら3人は引き返し、その場を後にした。
「とりあえず、源のほう、行ってみよう!」
3人は冒険するようにワクワクと歩いていく。 源へと向かう入口に入っていき、別の奥の部分へと進んでいく。
歩いていると、小春がふと疑問を呟いた。
「……なんで、50年前まで、こういう社会を作らなかったの?」
降霊術は、創始者のアキカゼが生きていた500年前からあった。 その時にたくさんの人を降霊して、今のような街を作ることは出来たはずだ。
しかし、実際にはそうなっていない。 500年前だけでなく、300年前や200年前も、幽霊が村の中を歩いているわけではなかったのだ。 生きていて生身の体を持っている人だけで、他の地方と変わらないごく普通の街の様子が広がっていた。
雨子は、振り返りながら答える。
「今は、能力が無い人でも、道具を使えば出来るようになったけど、昔はそうじゃなかったから」
昔は、ごく一部の強い霊力を持った人しか、降霊術を使えなかった。 激しい修行をして、体力をたくさん使って、1人の幽霊を、ほんの少しだけ降霊する程度だったのだ。
最近では道具を使って、霊力を全く持たない人すら降霊術を行えるようになった。 技術の進歩によって、街全体の降霊能力が大きく上がったのだ。
「でも、やろうと思えば、出来なかったの?」
小春は納得できないというように、首をかしげている。 歩きながら、雨子は答える。
「うーん、ふつうは一人の人を降ろすのでも、ものすごく集中がいるし、体力もいるんだよ。 そして、この世にとどめておくのにもね」
「へー、そんなもんなの」
「うん。 ……ヤミコちゃんみたいに、大量の霊を下ろして、集中せずにとどめておくなんて、普通は無理だから」
話を聞きながら、歌子は歴史を思い出してみる。 最初は、ヤミコさまが悪戯で幽霊を降ろしまくったんだったっけ。
ヤミコは悪戯で、大量の幽霊をこの世に降霊していった。
悪戯をした理由は、今でも不明らしい。 その時を生きていた人の話によると、『元々そういう性格だからじゃない?』ということだ。 ……って、それだけかーいっっ!!!ww
村には次々に新たに降霊された幽霊が現れて、人口が急激に増えていって……。 やめさせようと村人たちは必死にヤミコを探したが、当の本人は山を駆け回っていて、他の人が見つけるのが困難だったらしい。
村に降霊された幽霊たちは、最初は何もやることがなかった。 ヤミコを探すのを手伝ったり、その辺で寝そべってブラブラしていた。
生の体を持ってないから、魚を取ることもできないし、米を収穫することもできない。 どうせ手伝えないしww ははっ!w って感じで、鼻くそほじりながら米を収穫するのを眺めていたようだ。
しかし徐々に、幽霊にも手伝えることがあると気づいてくる。
漁をするなら、どこに魚や貝があるかを探してくることは出来る。 米を収穫することは出来ないが、研究することは出来る。
幽霊たちも徐々に生活を手伝うようになっていって、一緒に暮らすようになったのだ。
悪戯によって降霊された幽霊は、さらに増えていく。
幽霊たちはヤケクソになったのか、『幽霊ばっかの街を作ろうぜ!』みたいなノリになっていったらしい。
逆にヤミコを応援して、逃げるのを手伝う人が現れるなど、どんどん変な方向に事態は進んでいったようだ。
最初は、幽霊たちはお気楽な気分でいたらしい。 自分たち幽霊の存在が、そこまで必要とされるようになるとは思っていなかったからだ。
生身と幽霊で役割分担を続けていけば、お互いの存在を前提にしたような社会が出来上がる……。 現代では当然の考えだが、当初はそこまで考えなかったらしい。
問題が起これば自分たちが消えてしまえばいい、ぐらいの軽い気持ちだったようだ。
幽霊が当たり前の社会が、色んな問題を抱えていると気づいていくのは、ずいぶん後の時代になってからなのだ。
時間がたっていくと、今度は降ろされた幽霊たちが中心となって、降霊術を研究していく。 ヤミコ以外でも強い力を発揮できるようになり、さらに降霊を繰り返して、今の社会になったという。
「……へー、すごいわね、そのヤミコって人」
小春は感心したように、驚いたような顔で言う。 雨子は笑って、うんと頷いた。
3人は『源』へ来た。 地下にある、巨大な湖みたいな感じだ。 ものすごく広い空間に、遠く向こうの方まで水が張っている。 水面は青く光っていて、幻想的な光に包まれている。
辺りには岩があり、その上には人魚のように巫女たちが座っている。 簡素な服を着て、水でじっとりと濡れているみたいだ。 近くでは水の中にトポンと入っていったり、向こうでは水面に上がってきたり……。 『源』に異常がないか、調査しているんだろう。
「へー、ここね……」
小春が、興味深そうに周囲を眺めながら入っていく。
入り口の近くには、この街の長の姿があった。 調査の様子を確認しに来たのか、巫女の人と話している。
「じゃあ、まだ原因は分からないのね?」
「はい。 ……人災かどうかも、まだ分からないです」
悪戯かどうかも、まだ分かってないらしい。 アマネが見つからないから、確定できないのかもww フフッw
長はもどかしさを押し殺すような顔で、静かに頷いた。
「分かったわ、あと、頼みます」
「はい」
話を終えた長は、その人と分かれていった。 こっちへ歩きだすと、近づく私たち3人に気づいて声をかけてくる。
「あら、あなたたち」
「こんにちはーっ! 原因って、分かったんですか?」
小春が元気よく、挨拶していく。 ここに入っていいかも分からないらしいから、元気さで誤魔化しているのかもしれない。
長は首を振って、答えた。
「いいえ、まだ分からないわ。 ……多分、自然発生的なものだと思うけど」
「え、どうしてそう思うんですか?」
雨子が興味を持ったようだ、身を乗り出して聞いていく。 自然発生的? ……それって、自然災害ってこと? 自然災害としてこんなことが起きるなんて、聞いたことないけど。
長は振り返り、源のほうへと目をやりながら答えた。
「ここが、こんなに脈打ってるのを見るのは、始めてだから」
長はそう言いながら、うっとりとした表情で源を眺めている。 ……あれ? 長、どうしたんだろう? 目を潤ませながら青く光る水を眺めて……。 変な性癖でも、あるのかしら。
話を聞きながら、3人も源のほうへと目を向けていった。 雨子はふむうと顎に手を当てて、探偵のように源を睨みながら唸る。
「うーん、確かに。 すごい、活発ですね」
「雨子、ほんとに分かってんの? ……適当なこと、言ってたりして」
「分かってるよ! 私も、一応、巫女だったんだから」
いちゃいちゃしながら、小春は水の淵に近寄ってみる。 恐る恐る水の下を覗くと、ひどく深い水の底が遠くに見えた。 表面の水は薄くて青いけど、奥のほうは真っ暗だ。 ひーっ!こわっ。
楽しそうにはしゃぐ3人を見て、長が促すように言ってくる。
「あなたたちも、霊を探すのを手伝ってくれる? 今、すごく忙しくてね」
こんな時にお前ら何してんだよと、やんわりと言われた気がしないでもない。 歴史所勤めの、生身の歌子までいるのだ。 こんなところで油を売っている暇はないはずだ。
歌子は痛いところを突かれて、ギクッとして思わず目をそらした。 ……本当に、何やってるんだろう、私。
その横で、小春は元気に答えた。
「はい、分かりました! 任せといてっ!」
気にしてないだけのか、元気なフリなのか、小春はポーズをビシッと決めて見せる。 長は微笑をたたえて、小さく頷いた。
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