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第五章 混乱
第43話 雨子の部屋っ!
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洞穴の中の、広い平地の場所に戻ってきた。
「さぁ……、もっと探検しようかっ!」
「ごめん、私、ちょっと戻ってくる」
歌子は慌ててその場を離れていった。 さすがにこれ以上は遊んでいられないと思ったのだろう。 走っていく後ろ姿を見て、小春は口をとがらせる。
「ちぇー、つまんないの。 ……そうだ、雨子、あんたの昔の部屋って、どこよ」
「あぁ、向こうだよ」
雨子は50年前に、ここで修行をしている巫女だった。 社会がまさに発達し始めた頃であり、ワクワクする空気感の中でたくさんの巫女が、ここで修行をしていたと聞く。 修行中は、どんな生活をしてたんだろう……?
平地から外へと繋がる階段を、2人は逆戻りして上っていく。 階段の横には、『くぼみ』のように作られた小さな部屋が並んでいた。 部屋はどれも大きくはなく、せいぜい数人が入れる程度の大きさだ。 入り口には、木の板を組み合わせたような簡単な扉がついている。
小さな部屋の中には、真ん中に机みたいなものが置かれていて、紙などが散乱していた。 もう使われてないようだ、どれもひどく古びている。 技術の発展により、巫女たちはここで修行する必要がなくなったから、数十年間放置されているんだろう。
階段を上っていくと、雨子が振り返った。 階段全体の真ん中ぐらいで立ち止まって、ここと言って、一つの部屋を指す。
その部屋は、特に紙が多く散らかっていた。 部屋の中央にある机の上にも、紙が積まれてある。
「へー。 ……え、ここで生活してたってこと?」
「うん、そう。 修行中はね」
入り口の扉は少し開いていて、隙間が空いていた。 小春は扉が体に当たらないように器用に避けていき、するりと部屋の中へと滑り込んだ。
中に入って部屋を見回すと、暗い場所だった。 明かりが部屋の中に無いからか、余計にそう感じる。
部屋の中央には、岩で作られた低い机みたいなものがあった。 上には紙束が乱雑に散らばっていて、学習机のように使っていたみたいだ。
小春は地面にどさっと腰を下ろすと、手を机の上に置いていった。 ふうと息を吐いて、辺りを見回してみる。
……この場所は部屋というけど、よく見ると、閉じ込められているようにも見える。 さっきから思ってたけど……。
「……なんか、牢獄みたいね、ここ」
「うーん、確かに」
机のそばに立つ雨子は、部屋を改めて見回しながら笑った。
「修行って、どれぐらいすんの?」
「うーん、ある程度の期間、籠ることもあったし……降霊術をするときにも、ここにしばらく住んで、体を慣らしたりとか」
修行中のことを思い出す。 他にも巫女たちが修行をしてて、ここに一緒に住んでいたのだ。 明かりがたくさんついてて、賑やかだったなあ……。
服を自分好みに改造して、ついでに部屋も改造して。 みんなでご飯を食べたり、夜に一つの部屋に集まって話したりとか……。
……え? 遊んでばっかって? でも、そんなもんだったな。
「……ん? でも、巫女さんって、普通に外で生活してない? ……巫女さんみたいな服を着た人、街中で見かけるよ」
「あぁ、今はね。 昔は、ここで降霊する必要があったんだよ。 源に近いほど、霊力が強くなるから」
小春はふうんと、納得したように頷いた。 辺りをぼんやりと眺めていると、ふと手元の物に目がとまる。 机の上には、めくれたまま固まっている紙束があった。
「へー。 ……あれ、これ、日記?」
「え? どれ?」
雨子が身をかがめてくるのを待たずに、ウキウキしたように小春は読み上げようとする。
「えーなになに? ……あー、読んで」
でも、文字を読むのが面倒だったようだ、すぐに読むのをやめて投げてくる。 雨子は紙束の中身を覗き込んでいった。
「えーっと……『今日は、ヤミコちゃんとご飯を食べたよ。 森の高台で、おにぎり食べて、気持ち良かったー』……だって」
読みながら、昔の記憶がよみがえってくる。 ヤミコちゃんが野山を駆け回っていたとき、たまに会ったんだよな。 街でおにぎり作って、持って行ったりして。
目の前に一面に森が広がってて、風が気持ち良くって……。 可愛い形のおにぎりを作って、2人でモグモグ食べたっけ。 昨日のことみたいに思い出すなー……。 私ももう、おばさんかも。 ははっ!
横では、小春も目を閉じて想像しているようだ。 昔の様子を感じているのか、小さく笑みを浮かべている。
「なんか、楽しそうね。 ……ん?」
部屋の外で、バタバタと音がした。 階段を下りていく人たちがいるようだ、なんだか忙しそうな雰囲気だ。
「私たちも、戻ろっか」
「そうね、何か手伝いましょ。 ……はー、満足っ!」
降霊洞穴もどんな感じになってるか見たし、雨子の日記も読んだし! 変な状況だけど、いい気晴らしになったっ!
小春は笑顔で、気持ちよさそうに腕を伸ばした。
「さぁ……、もっと探検しようかっ!」
「ごめん、私、ちょっと戻ってくる」
歌子は慌ててその場を離れていった。 さすがにこれ以上は遊んでいられないと思ったのだろう。 走っていく後ろ姿を見て、小春は口をとがらせる。
「ちぇー、つまんないの。 ……そうだ、雨子、あんたの昔の部屋って、どこよ」
「あぁ、向こうだよ」
雨子は50年前に、ここで修行をしている巫女だった。 社会がまさに発達し始めた頃であり、ワクワクする空気感の中でたくさんの巫女が、ここで修行をしていたと聞く。 修行中は、どんな生活をしてたんだろう……?
平地から外へと繋がる階段を、2人は逆戻りして上っていく。 階段の横には、『くぼみ』のように作られた小さな部屋が並んでいた。 部屋はどれも大きくはなく、せいぜい数人が入れる程度の大きさだ。 入り口には、木の板を組み合わせたような簡単な扉がついている。
小さな部屋の中には、真ん中に机みたいなものが置かれていて、紙などが散乱していた。 もう使われてないようだ、どれもひどく古びている。 技術の発展により、巫女たちはここで修行する必要がなくなったから、数十年間放置されているんだろう。
階段を上っていくと、雨子が振り返った。 階段全体の真ん中ぐらいで立ち止まって、ここと言って、一つの部屋を指す。
その部屋は、特に紙が多く散らかっていた。 部屋の中央にある机の上にも、紙が積まれてある。
「へー。 ……え、ここで生活してたってこと?」
「うん、そう。 修行中はね」
入り口の扉は少し開いていて、隙間が空いていた。 小春は扉が体に当たらないように器用に避けていき、するりと部屋の中へと滑り込んだ。
中に入って部屋を見回すと、暗い場所だった。 明かりが部屋の中に無いからか、余計にそう感じる。
部屋の中央には、岩で作られた低い机みたいなものがあった。 上には紙束が乱雑に散らばっていて、学習机のように使っていたみたいだ。
小春は地面にどさっと腰を下ろすと、手を机の上に置いていった。 ふうと息を吐いて、辺りを見回してみる。
……この場所は部屋というけど、よく見ると、閉じ込められているようにも見える。 さっきから思ってたけど……。
「……なんか、牢獄みたいね、ここ」
「うーん、確かに」
机のそばに立つ雨子は、部屋を改めて見回しながら笑った。
「修行って、どれぐらいすんの?」
「うーん、ある程度の期間、籠ることもあったし……降霊術をするときにも、ここにしばらく住んで、体を慣らしたりとか」
修行中のことを思い出す。 他にも巫女たちが修行をしてて、ここに一緒に住んでいたのだ。 明かりがたくさんついてて、賑やかだったなあ……。
服を自分好みに改造して、ついでに部屋も改造して。 みんなでご飯を食べたり、夜に一つの部屋に集まって話したりとか……。
……え? 遊んでばっかって? でも、そんなもんだったな。
「……ん? でも、巫女さんって、普通に外で生活してない? ……巫女さんみたいな服を着た人、街中で見かけるよ」
「あぁ、今はね。 昔は、ここで降霊する必要があったんだよ。 源に近いほど、霊力が強くなるから」
小春はふうんと、納得したように頷いた。 辺りをぼんやりと眺めていると、ふと手元の物に目がとまる。 机の上には、めくれたまま固まっている紙束があった。
「へー。 ……あれ、これ、日記?」
「え? どれ?」
雨子が身をかがめてくるのを待たずに、ウキウキしたように小春は読み上げようとする。
「えーなになに? ……あー、読んで」
でも、文字を読むのが面倒だったようだ、すぐに読むのをやめて投げてくる。 雨子は紙束の中身を覗き込んでいった。
「えーっと……『今日は、ヤミコちゃんとご飯を食べたよ。 森の高台で、おにぎり食べて、気持ち良かったー』……だって」
読みながら、昔の記憶がよみがえってくる。 ヤミコちゃんが野山を駆け回っていたとき、たまに会ったんだよな。 街でおにぎり作って、持って行ったりして。
目の前に一面に森が広がってて、風が気持ち良くって……。 可愛い形のおにぎりを作って、2人でモグモグ食べたっけ。 昨日のことみたいに思い出すなー……。 私ももう、おばさんかも。 ははっ!
横では、小春も目を閉じて想像しているようだ。 昔の様子を感じているのか、小さく笑みを浮かべている。
「なんか、楽しそうね。 ……ん?」
部屋の外で、バタバタと音がした。 階段を下りていく人たちがいるようだ、なんだか忙しそうな雰囲気だ。
「私たちも、戻ろっか」
「そうね、何か手伝いましょ。 ……はー、満足っ!」
降霊洞穴もどんな感じになってるか見たし、雨子の日記も読んだし! 変な状況だけど、いい気晴らしになったっ!
小春は笑顔で、気持ちよさそうに腕を伸ばした。
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