幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第五章 混乱

第45話 第2病院っ!

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 小春たちは歩いて、街の病院に来た。

「ここね」

 建物を見上げながら、近づいていく。 病院と思われる建物は、大きくて存在感があった。 街の中にこんな建物があったなんて、普段は意識しないから気づきもしなかったわ。

「病院って、いくつか種類があるんじゃなかったか?」
「へえ、そうなの。 来たことないから、分かんないけど」

 生身のミツバの問いかけに、幽霊の小春は適当に答える。 生身の人と幽霊の人で、病院への関心は度合いが違うみたいだ。

 病院は、症状の重さで3つの段階に分けられており、第1病院から第3病院まである。 最も症状が重いのが、第3病院だ。
 病院の仕組みなんて、多くの人は知らない。 この街は幽霊ばっかりだから、そんなことには興味ないのだ。
 スズネは、その病院の仕組みは知っていた。 笑いのネタを探して、街を歩いたときに知ったのだ。 ……お笑いの仕事をしてなかったら、知らずにいたかもしれない。
 スズネは思い出しながら言う。

「確か、そうだったよね。 ……ここは? なに病院?」

 歩きながら見上げてみるが、建物には看板などは無かった。 建物は簡素かんそなつくりで、そもそも病院なのかも分からない。 ま、いっか。 適当にスタスタと歩いて、一行は入り口らしき部分へと向かっていく。
 入り口に近づくと、中から人が出てきた。 病院の関係者たちのようだ、仕事中なのか数人が建物から出てくる。 幽霊の女の子と、生身の女の人がいて、もう一人具合の悪そうな人を背負っているようだ。

「あ! こんにちはーっ! なんか、手伝うことないーっ?」

 小春が、手を上げながら元気に歩いていく。 幽霊の女の子はこっちを見ると、慌てたように大声を出してきた。

「あっだめっ! 近寄らないで!」

 こっちに向かって、手で遮るようなしぐさをする。 4人はびっくりして、その場に立ち止まった。 あら、何かまずいことでもあるのかしら。
 幽霊の女の子は、横で背負われてる病人を指して言う。

「この人の病気、うつるかもしれないから。 ……あ、生身の人はね。 霊の人はいいけど」

 よく見るとここは建物の裏側のようで、入り口だと思ったのは裏口らしい。 逆側の方に看板があるのが、ちらっと見える。
 裏にも看板が立ててあり、『第2病院』と書いてあった。
 背負われている人は病気のようで、体に包帯を巻いていた。 うつるかもしれないから、生身の人は近寄っちゃダメらしい。
 下で支えて背負っている生身の女の人も病院のスタッフなんだろう、声をかけてくる。

「あなたたち、手あいてるの?」
「はい、何か手伝うこと、ありますか? 人手不足って、聞いたんですけど」

 病院なんだから、生身の人のほうが手伝えることは多そうだ。 幽霊には何かできることがあれば、手伝うぜっ!!
 生身の女の人は、背中の人を支えながら、考えるようにして答えた。

「人手不足……多分それ、第1病院のことね。 不足してるのは生身だろうから、生身の人は、そっちに行って」

 病院によって、不足しているものが違うらしい。 今の状況では、山の中を歩き回って軽い怪我をする人なんかが多いのかも。 軽い怪我を扱ってるだろう、第1病院に行けってことかな。
 指示されたミツバは、分かりましたと返事をして、背を向けていった。

 小春たちは突っ立ったまま考える。 ……えーっと、じゃあ私たちは、何をしようかしら? 勢いだけで来たけど、確かに病院なんだから、生身の人のほうが必要よね。
 向こうでは病院の関係者2人が、同じことを考えているのか、近づきあってごにょごにょと話しだした。
 幽霊の女の子が、こっちを見ながら何かを提案するように話している。 生身の女の人は聞きながら、うんうんと同意するように頷いている。

「……あ、そうね、それがいいかも」

 うん、そうですよね、ごにょごにょ……。

 ……ちょっと、何話してんのよ、早く言いなさいよっ!
 小春がキレていると、ようやく話が終わったようだ。 幽霊の女の子はこっちを見る。

「ちょっと、待って!」

 一言残してその場を離れていき、ふたたび第2病院の中へと入っていった。 ……ん? 別の仕事でも、割り当てられるのかしら。 小春とスズネは顔を見合わせると、裏口のほうへ近づいていく。

 裏口から中を覗いていくと、病院内は声であふれていた。 病院なんだから静かだろうと思ったが、意外とにぎやかで明るい感じだ。
 中は広いが仕切りは少なく、向こうの方まで見渡せる。 地面には病人と思われる人たちが、そこら中に寝ていた。 地面に敷物をしいて、その上で横になっている。
 第2病院というぐらいだから、ちょっとぐらい重い症状の人がいるのかも? そう思いながら眺めていくが、病人たちは明るい様子だ。 隣同士で楽しそうに話している様子が見える。 病人たちが横になっている横では、看護師が行き来して仕事をしている。
 それを裏口で見ながら、小春たちがブツブツと話す。

「はー、病院って、こんなところなのね。 ……なんか、立派ね」
「へー。 ……私も、入ったことは、なかったな」

 聞くところによると、立派な建物が出来たのは最近のことらしい。 昔の時代には普通は病院なんて無かったし、医者のような人の存在すらも、この島の歴史上では珍しい。
 それに小春もスズネも、物静かすぎるクルミも、生きていた頃は健康だった。 現代に生まれていたとしても、お世話になってないかもしれない。

 病院の関係者らしき幽霊の女の子は、向こうのほうにいた。 別のスタッフっぽい人と話しているようだ。 その人も、体が透けていて幽霊だった。 幽霊の人も、病院で働くんだなぁ。 患者は当たり前だが生身の人しかいないので、ちょっと不思議な気分になる。
 ……あ、幽霊の女の子が戻ってきた。 話していた人も後ろについて来ているみたいだ、裏口まで走ってきて話しかけてくる。 状況は分かっているようだ、その病院のスタッフらしき幽霊の人は、頼みごとをしてきた。

「すみません、じゃあ人探しを、手伝ってほしいんですけど」

 ……え、人を探すの? 病院の外で、誰か別の人を探すってことだろうか。
 ヤバい手術をやってて、患者が逃げだしたとか? ふーん、大変ねえ。
 適当に思いながら、小春は細かく聞いていく。

「人探し? 誰?」
「えーっと……髪が長くて、後ろでしばってて、黄色いの花の模様の服を着てる、女の人を、探してほしいんです」

 小春は頷きながら、情報を整理していく。 ……ふんふん。 髪の毛が長くて、……。

「……ん、それ、霊?」
「あ、そうです」

 ……え? 探してほしい人は、幽霊なの?
 というかなんで私、幽霊だって思ったんだろう。 病院なんだから、ふつうは生身でしょ。 ……まあ、いっか。
 小春は変な気分になりながらも、頷きながら答えていった。

「ふーん。 ……分かった、じゃあ行きましょう」

 なんかよく分からない感じだけど、とりあえず仕事があるなら、それをしましょう。
 首をかしげながら小春は病院を背にしていくと、幽霊の女の子が呼び止めてくる。

「あ、ちょっと待って。 1人、こっちに来てくれない? 手伝ってほしいことがあって」

 幽霊でも手伝える、べつの仕事があるってことだろうか。 よし、じゃあ私が行くぜっ!!w 応えるようにして、横でスズネが手を上げて名乗り出る。
 病院にはちょっと興味あったし、何かやってみたいな。

「じゃあ、私が行く」

 なんかよく分かんないけど、どんどん手伝うぜっ!! それを見て、小春は同意するように頷いた。

「分かった。 ほらクルミ、行くわよ」

 まだ建物の中を覗いていたクルミを呼んで、小春は別のほうへ歩いていく。 2手に分かれて、病院の仕事をすることになった!
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