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第五章 混乱
第48話 洞窟のナツミっ!
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みんなで再び手分けして、精神科の患者を探すことにした!
歌子は歴史所のほうが忙しいから、街に戻った方がよかったのかもしれない。
でも、もう乗り掛かった舟だ。 患者を見つけてしまわないと、どうにも気分が落ち着かない。 ついでにアマネも連れまわして、よーっし、もういっちょ探そうっ!!
もう太陽は沈んでいて、辺りはうっすらと青色に包まれている。
海の近くを、スズネが歩いていた。 急な足場のようだ、崖のように不安定な足場が続いている。 すぐ横には海があり、ちょっとしたら落ちそうだ。
「おっとっと……」
器用に足を動かしながら、海に切り立った場所を進んでいく。 もう死ぬことはないとはいえ、下に海が見えてたらさすがに怖い。 落ちたらって考えたら……。 ひいっ! 痛みは少ないかもしれないけど、身震いする。
歩いていく先には、洞窟の入り口のようなものが見えていた。 さっき、ここに人が入っていくのが遠くから見えたんだよね。 声のデカい男の子のヒノキくん……だっけ。 他のところは探し終わったし、私も入ってみようと思ってさ。
洞窟の入り口にたどり着き、中へと足を踏み入れていく。 日の光も落ちていることだし、中は暗く、見通しが悪かった。 かなり大きい洞窟のようだ、向こうの壁は遠くて見えない。
周りの岩肌を眺めながら入っていくと、ふと気づいたことがあった。
「……あれ、ここって……?」
この場所は見たことがある気がする。 こんなところ、来たことがないはずなんだけど……。
最初に歌子と会った日の、地下探検のことを思い出す。 あの時通った地下道に、雰囲気がなんか似てるような……?
辺りを眺めて歩いていると、いきなり目の前に何かが現れた。 影のような、布のようなものが視界に入ってくる。
「うわっ!」
「ギャーッっっ!!! …………あ、あなたね」
けろっとした声が、聞こえてきた。 ナツミだった。 向こうから歩いてきて、ぶつかりそうになったみたいだ。
幽霊は足音がしないから、街中でもこういうことはよくあるんだよね。 慣れてるはずなんだけど、暗い洞窟の中だから、まったく心の準備が出来てなかった。
普段の調子に戻ったナツミが、精神科の患者の捜索の進捗を聞いてくる。
「どう? いた?」
「ううん」
否定するように首を振ると、ナツミは困ったように腕を組んで口をとがらせた。 口をちゅうーっとさせて……可愛いけど、癖なんだろうか。
ふと疑問を感じて、聞いてみる。
「……あれ? 向こうからも、ここに入れるの?」
ナツミは、さっきは森の中で人探しをしていた。 私も近くで一緒に探してたんだけど、変なことでも聞かれたら嫌だから、ビクビクして近寄らないようにしてたんだ。
まだナツミは森にいると思ってた。 この洞窟は別のところにも入り口があるのかな?
疑問に感じて聞くと、ナツミは振り返って、洞窟の奥のほうを指した。
「向こうにも、入り口あったよ。 森のほうだったけど……色んなところに、繋がってんじゃない?」
どうやら結構複雑な洞窟らしい。 あちこち色んなところに繋がっていて……今度、ここも探検してみたいな。
せっかく幽霊の体なんだから、危ない場所も探検しとかないと。
今日、こんな状況になって島の中を歩き回って分かったけど、私は自然のことを知らない。 元々200年前に生きてた時も、村からあんまり出なかったんだよね。
これからはもうちょっと、自然の中を散歩しようかな。 街でばかり生活してたら、健康に悪いしね。
小春やユメなんかは、800年前だって言ってたなー……。 大自然の中で、走り回りながら育ったんだろうか。
一体どんな生活をしてたんだろう? 石をぶん投げて、マンモスとか倒してたりしてたんだろうか? 帰ってきたらユメが簡素な服を着て、あさっての方向を向いて変なことを妄想してたりして。 『ユメ、帰ったわよ! 今日はマンモス上等よっ!!』『あぁ、うん』。 そんな感じだったんだろうか。 ……あぁいや、確か2人は生きた時間は被ってなかったって言ってたな。 その時はまだ、お互いの存在さえ知らないじゃんw ウケるwww
どうでもいいことを妄想してると、さっきのことを思い出した。
「……あ、ヒノキさんが、奥のほうに入っていったんだ。 見た?」
先に洞窟に入っていったヒノキくんを思い出して、聞いてみる。 どこに行ったんだろう、洞窟の奥の方まで、入っていったのかな。
ナツミは知らなかったようだ、意外そうな顔をした。
「あ、そうなの? ヒノキー! いるのー?!」
奥に向かって大声で叫ぶと、意外と近くにいたのか、声がすぐに返ってくる。
「いないぞーっ!」
「……あぁ、そう」
ナツミはだるそうに、地面を蹴った。
その場で待つことにして、2人は辺りを眺め始めた。
結構広い洞穴だ、暗いけどごつごつした岩肌が広がっているのが分かる。
……うーん、なんか見てると、ここは秘密基地にしたくなってくる。 ちょうどいい広さだし、みんなでワイワイできそうだし。 街からも離れてるから、誰も来ないだろう。 ……隠れて何かをしたいなら、もってこいの場所だ。
スズネはそんなことを考えながら辺りを見ていると、ナツミがこっちを見ていることに気づいた。 すぐそばで立ったまま、じっと見つめてきている。
……え、何? 薄暗い中で、何も音を発さずに、ピクリともせずに見つめてくるから、思わずドキッとする。
……もしかして、私のことバレたとか? 200年前で、同じ時代に生きてた人だって……。
いやいや、そんなことは無いはずw だって思い返しても、ナツミたちの記憶なんてやっぱりないしw ははっww
楽観的に思っていると、ナツミが呟くように聞いてくる。
「……ねえ、あなた、もしかして、私と同じ時代にいた人?」
ドッッッシャァァァーーーっっっ!!! ズバババババッッッ!!!!wwwww
今度は日本刀を胸にドサッと打ち込まれた感じだぜ!!! 来た来た来たぁぁーーっ!!、人生こうでなくっちゃっっっ!!!!!wwwwwwwwww
私は完全に平静を装いきって、クールに決めてみせる。
「あぁうん、そうだよ☆」
キラッとにこやかに、爽やかに答えてみる。 白くない歯を見せちゃって、わたし決まってるぅぅぅっっ!!ww
ふぅ! また乗り切ったぜ。 ふだん歌どころに勤めてるスキルを、なめんなよ。
私の心の動揺など知らず、ナツミはいつもの調子で続ける。
「あ、そうでしょ? なんか、見たことあったかもって。 ……海側のほう?」
……え、海側のほうだって、なんで知ってんの?
っていうか、見たことあるって?? こわーーっっっ!!!!!www やめてやめてっっwww
私は心臓がブルブルに震え上がりながらも、涼しい顔を完璧に決める。
「うん、そう☆」
「やっぱり! 私は、山側のほうなの。 ……あれ? ……」
明るい声で話していたナツミは、ふと何かに気づいたように顔をしかめた。 『……あれ? 妙なことを忘れてるような。 なんだっけ、この子、何か変なことがあったような……』 そんな顔をして、こっちを見てくる。
やめてっ!! 怖い怖い、うそでしょ?! なんで、まったく別のところに住んでた人が、私のことそんなに知ってんだよ? 私が自殺したことまで、知ってんの?! 助けて、誰かっっ!!!
そんな悲痛な願いが届いたのか、おーいと別の声が聞こえてきた。
ヒノキだ!! 声がデカい系男子のヒノキが、こっちに戻ってきたっ!!!!!
「おーい! そっちは、どうだった?」
ヒノキがこっちに向かってくるのに、考えていたナツミは思考が中断されて振り返っている。
私の中で、歓声が上がったっっっ!!!!! 来たっ!! 大勢の人の歓声と拍手が、私の頭の中だけで巻き起こる。 心の中でこぶしを掲げて、ガッツポーズを決めた。
ヒノキくんっっっ!!! ありがとうっ!!!ww スズネは心からの笑顔を浮かべて、手を振って応える。
「いや、いない☆」
「そうかー……」
合流すると、3人は洞窟の入り口へと引き返していった。 何もないなら、こんなところに用は無い。 さっさと帰ろう。 撤収っっ!!!
歩きながら、ナツミのほうをちらっと見てみる。 ナツミはいつものようにテンポよく歩きながら、周りの様子を眺めているみたいだ。
さっきのことを考えてるのかな……。 あぁ、こわいこわい。 そう思っていると、また振り返ってこっちを見た。 ぎゃーっ!!怖いっっ!!ww
「あ! ねえ、さっきから思ってたんだけど、ここの人って、みんなお洒落だね。 ……それ、どうやるの?」
え? ……なあんだ、そんな話かよ。 フゥゥウーッッ危ねえっ!!www
服のことなんていくらでも答えてやるぜ。 スズネは自分の服を見下ろして、答えていく。
「こうなりたいって形を、強く自分の中に想像するの。 ……最初は形が崩れちゃったりするんだけど、慣れてきたら、維持できるようになるんだ」
歩きながら、ナツミは真剣に聞いている。 朝から色んな人たちの格好を見てきただろうから、気になってたのかも。 200年前は古い格好が普通だったから、現代に来ると気になるのは分かる。
「ふーん、それだけなんだ」
ナツミは呟くように言うと、その場に立ち止まっていった。
ナツミは目を閉じて、集中しているようだった。 すぐに、ナツミの服がふっと変わる。 ……はやっ!
「えっ? すごいね!」
「……うーん、でもなんか、微妙かも……」
そう言いながらナツミは自分の姿を見下ろし、ぱたぱたと服を触って、感触を確かめている。
気づけば、もう現代風の姿になっている。 こんなに早く適応した人なんて、私は知らない。
ヒノキも関心が出てきたようだ、楽しそうに声を上げる。
「おお! ……なんだ、俺もやってみるか」
そういって同じように、目を閉じる。 ……が、待っても何も起こらない。
「……何にもならんけど」
「うん、普通そうだよw」
普通はいくらか練習を積む必要があるんだ。 自分の服装ぐらいだったら、難しくはないんだけど。 想像力で服を自由にできるなんて経験が無いからか、最初は出来ない人が多いんだよね。
3人は服装を変えたり喋ったりしていると、その場に別の声が聞こえてきた。 おーいと、洞窟の入り口のほうから聞こえてくる。 振り向くと、入り口のところに古風な青年がいた。
「あ、マツちゃーん!」
ナツミはもう名刺交換を済ませているようだ。 親しげに呼んで、手を振っちゃったりしている。
「見つかったぞー!」
「……見つかったってw」
ナツミはちゃっかりしたように笑って、こっちを見た。 軽やかな性格だ、ナツミはいつも楽しそうに笑っている。
3人はふたたび歩きだし、洞窟の外へ出ていった。
歌子は歴史所のほうが忙しいから、街に戻った方がよかったのかもしれない。
でも、もう乗り掛かった舟だ。 患者を見つけてしまわないと、どうにも気分が落ち着かない。 ついでにアマネも連れまわして、よーっし、もういっちょ探そうっ!!
もう太陽は沈んでいて、辺りはうっすらと青色に包まれている。
海の近くを、スズネが歩いていた。 急な足場のようだ、崖のように不安定な足場が続いている。 すぐ横には海があり、ちょっとしたら落ちそうだ。
「おっとっと……」
器用に足を動かしながら、海に切り立った場所を進んでいく。 もう死ぬことはないとはいえ、下に海が見えてたらさすがに怖い。 落ちたらって考えたら……。 ひいっ! 痛みは少ないかもしれないけど、身震いする。
歩いていく先には、洞窟の入り口のようなものが見えていた。 さっき、ここに人が入っていくのが遠くから見えたんだよね。 声のデカい男の子のヒノキくん……だっけ。 他のところは探し終わったし、私も入ってみようと思ってさ。
洞窟の入り口にたどり着き、中へと足を踏み入れていく。 日の光も落ちていることだし、中は暗く、見通しが悪かった。 かなり大きい洞窟のようだ、向こうの壁は遠くて見えない。
周りの岩肌を眺めながら入っていくと、ふと気づいたことがあった。
「……あれ、ここって……?」
この場所は見たことがある気がする。 こんなところ、来たことがないはずなんだけど……。
最初に歌子と会った日の、地下探検のことを思い出す。 あの時通った地下道に、雰囲気がなんか似てるような……?
辺りを眺めて歩いていると、いきなり目の前に何かが現れた。 影のような、布のようなものが視界に入ってくる。
「うわっ!」
「ギャーッっっ!!! …………あ、あなたね」
けろっとした声が、聞こえてきた。 ナツミだった。 向こうから歩いてきて、ぶつかりそうになったみたいだ。
幽霊は足音がしないから、街中でもこういうことはよくあるんだよね。 慣れてるはずなんだけど、暗い洞窟の中だから、まったく心の準備が出来てなかった。
普段の調子に戻ったナツミが、精神科の患者の捜索の進捗を聞いてくる。
「どう? いた?」
「ううん」
否定するように首を振ると、ナツミは困ったように腕を組んで口をとがらせた。 口をちゅうーっとさせて……可愛いけど、癖なんだろうか。
ふと疑問を感じて、聞いてみる。
「……あれ? 向こうからも、ここに入れるの?」
ナツミは、さっきは森の中で人探しをしていた。 私も近くで一緒に探してたんだけど、変なことでも聞かれたら嫌だから、ビクビクして近寄らないようにしてたんだ。
まだナツミは森にいると思ってた。 この洞窟は別のところにも入り口があるのかな?
疑問に感じて聞くと、ナツミは振り返って、洞窟の奥のほうを指した。
「向こうにも、入り口あったよ。 森のほうだったけど……色んなところに、繋がってんじゃない?」
どうやら結構複雑な洞窟らしい。 あちこち色んなところに繋がっていて……今度、ここも探検してみたいな。
せっかく幽霊の体なんだから、危ない場所も探検しとかないと。
今日、こんな状況になって島の中を歩き回って分かったけど、私は自然のことを知らない。 元々200年前に生きてた時も、村からあんまり出なかったんだよね。
これからはもうちょっと、自然の中を散歩しようかな。 街でばかり生活してたら、健康に悪いしね。
小春やユメなんかは、800年前だって言ってたなー……。 大自然の中で、走り回りながら育ったんだろうか。
一体どんな生活をしてたんだろう? 石をぶん投げて、マンモスとか倒してたりしてたんだろうか? 帰ってきたらユメが簡素な服を着て、あさっての方向を向いて変なことを妄想してたりして。 『ユメ、帰ったわよ! 今日はマンモス上等よっ!!』『あぁ、うん』。 そんな感じだったんだろうか。 ……あぁいや、確か2人は生きた時間は被ってなかったって言ってたな。 その時はまだ、お互いの存在さえ知らないじゃんw ウケるwww
どうでもいいことを妄想してると、さっきのことを思い出した。
「……あ、ヒノキさんが、奥のほうに入っていったんだ。 見た?」
先に洞窟に入っていったヒノキくんを思い出して、聞いてみる。 どこに行ったんだろう、洞窟の奥の方まで、入っていったのかな。
ナツミは知らなかったようだ、意外そうな顔をした。
「あ、そうなの? ヒノキー! いるのー?!」
奥に向かって大声で叫ぶと、意外と近くにいたのか、声がすぐに返ってくる。
「いないぞーっ!」
「……あぁ、そう」
ナツミはだるそうに、地面を蹴った。
その場で待つことにして、2人は辺りを眺め始めた。
結構広い洞穴だ、暗いけどごつごつした岩肌が広がっているのが分かる。
……うーん、なんか見てると、ここは秘密基地にしたくなってくる。 ちょうどいい広さだし、みんなでワイワイできそうだし。 街からも離れてるから、誰も来ないだろう。 ……隠れて何かをしたいなら、もってこいの場所だ。
スズネはそんなことを考えながら辺りを見ていると、ナツミがこっちを見ていることに気づいた。 すぐそばで立ったまま、じっと見つめてきている。
……え、何? 薄暗い中で、何も音を発さずに、ピクリともせずに見つめてくるから、思わずドキッとする。
……もしかして、私のことバレたとか? 200年前で、同じ時代に生きてた人だって……。
いやいや、そんなことは無いはずw だって思い返しても、ナツミたちの記憶なんてやっぱりないしw ははっww
楽観的に思っていると、ナツミが呟くように聞いてくる。
「……ねえ、あなた、もしかして、私と同じ時代にいた人?」
ドッッッシャァァァーーーっっっ!!! ズバババババッッッ!!!!wwwww
今度は日本刀を胸にドサッと打ち込まれた感じだぜ!!! 来た来た来たぁぁーーっ!!、人生こうでなくっちゃっっっ!!!!!wwwwwwwwww
私は完全に平静を装いきって、クールに決めてみせる。
「あぁうん、そうだよ☆」
キラッとにこやかに、爽やかに答えてみる。 白くない歯を見せちゃって、わたし決まってるぅぅぅっっ!!ww
ふぅ! また乗り切ったぜ。 ふだん歌どころに勤めてるスキルを、なめんなよ。
私の心の動揺など知らず、ナツミはいつもの調子で続ける。
「あ、そうでしょ? なんか、見たことあったかもって。 ……海側のほう?」
……え、海側のほうだって、なんで知ってんの?
っていうか、見たことあるって?? こわーーっっっ!!!!!www やめてやめてっっwww
私は心臓がブルブルに震え上がりながらも、涼しい顔を完璧に決める。
「うん、そう☆」
「やっぱり! 私は、山側のほうなの。 ……あれ? ……」
明るい声で話していたナツミは、ふと何かに気づいたように顔をしかめた。 『……あれ? 妙なことを忘れてるような。 なんだっけ、この子、何か変なことがあったような……』 そんな顔をして、こっちを見てくる。
やめてっ!! 怖い怖い、うそでしょ?! なんで、まったく別のところに住んでた人が、私のことそんなに知ってんだよ? 私が自殺したことまで、知ってんの?! 助けて、誰かっっ!!!
そんな悲痛な願いが届いたのか、おーいと別の声が聞こえてきた。
ヒノキだ!! 声がデカい系男子のヒノキが、こっちに戻ってきたっ!!!!!
「おーい! そっちは、どうだった?」
ヒノキがこっちに向かってくるのに、考えていたナツミは思考が中断されて振り返っている。
私の中で、歓声が上がったっっっ!!!!! 来たっ!! 大勢の人の歓声と拍手が、私の頭の中だけで巻き起こる。 心の中でこぶしを掲げて、ガッツポーズを決めた。
ヒノキくんっっっ!!! ありがとうっ!!!ww スズネは心からの笑顔を浮かべて、手を振って応える。
「いや、いない☆」
「そうかー……」
合流すると、3人は洞窟の入り口へと引き返していった。 何もないなら、こんなところに用は無い。 さっさと帰ろう。 撤収っっ!!!
歩きながら、ナツミのほうをちらっと見てみる。 ナツミはいつものようにテンポよく歩きながら、周りの様子を眺めているみたいだ。
さっきのことを考えてるのかな……。 あぁ、こわいこわい。 そう思っていると、また振り返ってこっちを見た。 ぎゃーっ!!怖いっっ!!ww
「あ! ねえ、さっきから思ってたんだけど、ここの人って、みんなお洒落だね。 ……それ、どうやるの?」
え? ……なあんだ、そんな話かよ。 フゥゥウーッッ危ねえっ!!www
服のことなんていくらでも答えてやるぜ。 スズネは自分の服を見下ろして、答えていく。
「こうなりたいって形を、強く自分の中に想像するの。 ……最初は形が崩れちゃったりするんだけど、慣れてきたら、維持できるようになるんだ」
歩きながら、ナツミは真剣に聞いている。 朝から色んな人たちの格好を見てきただろうから、気になってたのかも。 200年前は古い格好が普通だったから、現代に来ると気になるのは分かる。
「ふーん、それだけなんだ」
ナツミは呟くように言うと、その場に立ち止まっていった。
ナツミは目を閉じて、集中しているようだった。 すぐに、ナツミの服がふっと変わる。 ……はやっ!
「えっ? すごいね!」
「……うーん、でもなんか、微妙かも……」
そう言いながらナツミは自分の姿を見下ろし、ぱたぱたと服を触って、感触を確かめている。
気づけば、もう現代風の姿になっている。 こんなに早く適応した人なんて、私は知らない。
ヒノキも関心が出てきたようだ、楽しそうに声を上げる。
「おお! ……なんだ、俺もやってみるか」
そういって同じように、目を閉じる。 ……が、待っても何も起こらない。
「……何にもならんけど」
「うん、普通そうだよw」
普通はいくらか練習を積む必要があるんだ。 自分の服装ぐらいだったら、難しくはないんだけど。 想像力で服を自由にできるなんて経験が無いからか、最初は出来ない人が多いんだよね。
3人は服装を変えたり喋ったりしていると、その場に別の声が聞こえてきた。 おーいと、洞窟の入り口のほうから聞こえてくる。 振り向くと、入り口のところに古風な青年がいた。
「あ、マツちゃーん!」
ナツミはもう名刺交換を済ませているようだ。 親しげに呼んで、手を振っちゃったりしている。
「見つかったぞー!」
「……見つかったってw」
ナツミはちゃっかりしたように笑って、こっちを見た。 軽やかな性格だ、ナツミはいつも楽しそうに笑っている。
3人はふたたび歩きだし、洞窟の外へ出ていった。
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