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第七章 鬼退治とお泊りパーティー
第73話 『時のはざま』と『2人の白骨』、in城の廊下!
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城の中で、ユメが一人で歩いていた。 城に沿って長く続いている廊下を、ゆっくりと歩いている。 外側には穴がたくさんあいていて、窓のようになっていて外の景色が見える。
あぁ、夜風が気持ちいい。 今日は散々な一日だったな。 街にいて息苦しくなって山に行ったのに、草木を見ても崖を眺めても、大して自然を感じることが出来なかったし。
悩みを打ち明けたかと思えば、小春たちに笑われるし。 鬼退治に行ったかと思えば、じつは私が鬼だったし。
……でも、まあいっか。 一人で抱え込んでても、苦しいだけだ。 みんなに馬鹿にされて笑われたけど、それぐらいでよかったのかもしれない。
憶えが悪いおかげで、明日になったらすっぱり忘れてるしね。 やったっ!!!ww ヤッホーーゥッッ!!!w
私は一日を思い返しながら歩いていると、向こうから人が歩いてきた。
おかっぱの髪に、暗い顔の……あれ、イトだ。 こっちに歩いてきて、呼びかけてくる。
「ユメ!」
なんだかイトが、元気に歩いているように見える。 いつもはすうーっと滑って幽霊みたいに歩いているのに、今日はズンズン足が動いていて、生き生きした感じだ。
あ! もしかしたら、300年前の『時のはざま』の話に何か進展があったのかな。
時間が止まったように真っ暗で誰もいなかった、夜の話……。
祭りの途中で人が消えたみたいになってて、誰もいなくて……。 かと思ったら、コガネさんの母親とハナさんの父親が、誰かから逃げて走っていて……。 そこで、ぷっつりと止まっていたんだ。 その後どうなったかは、まだ表現されていない。
私が思うに、それは間違いなく夢見酒の効果だと思うんだけど、どれだけ力説しても、誰も信じてくれないんだよね。 イトも『あぁ、うん』みたいな感じで適当にあしらってくるし。 なんでだろう?
私は廊下の途中で立ち止まりながら、聞いていく。
「イト。 ……後半は、投稿された?」
どうやらコガネさんは前半部分を投稿したきり、音沙汰なしらしい。
誰も聞いていないのに自分の日常生活までつらつらと話していったかと思えば、今度はだんまりだ。
まったく、しょうがないやつね。 ユメは一人でキレていると、イトは立ち止まっていきながら答える。
「いや。 でも、ちょっと分かったことがあってさ」
うん、分かったこと? ……なるほど、ついに夢見酒が発見されたのかな。
あぁ、ここまで長かったっ……!
掲示板で聞いてもみんなに馬鹿にされて、苦しい胸を押さえながらバタッと布団に倒れこんで……。 一人で枕を涙で濡らしながら眠ってたわけたけど、ようやくこんな生活とはおさらばだ。
無意味なポジティブさを発揮しながら、私は聞いていく。
「何?」
「例の骨の話、あったじゃん? ほら、2人分の……コガネたちの、親かもしれないっていう……」
降霊洞穴で見つかったという、あの2人分の骨のことか。 惨殺されたというのに、首が吹っ飛んだり、腕がもげたりしてなかった、平穏なアレか。
それも夢見酒の効果として考えれば、説明がつくと思うよ。 ふんっ!っと念じたら殺せる魔法でもあったんじゃないかな。 知らないけど。
「あぁ、うん」
「それ言ったの、コガネさんじゃ、ないみたい」
……え? 骨の話をしたのは、コガネさんじゃないの?
その話が最初に出たのは、たしか新しい幽霊がたくさん降ろされた例の騒動の時だった。
私が憶え屋の業務で忙殺されているときに、小春や歌子たちが楽しくルンルン♪と地下に潜って探検したのを後から聞いて、はらわたが煮えくり返りそうになったのを憶えてるよ。
あの時にコガネさんが掲示板に現れて、混乱してる最中だって言うのに、マイペースに時のはざまの殺人のことをペチャクチャと言ったんじゃないの?
「え? どういうこと?」
「同じ掲示板で、同じ時に投稿されたから、たまたまそういう風に見えただけなんだって。 ……骨のことを言ったのは別の人で、コガネさんは、ただ『時のはざま』っていうのを、知ってただけみたいなの」
『時のはざまの話』と、『誰かの2人分の骨が洞穴にある話』が、同時に同じ掲示板に書き込まれたってこと? そもそも殺人とは誰も言ってなくて、それを見た人が、勝手に『時のはざまの殺人』だと勘違いしたってことか。
なんじゃ、そりゃっっ!!!!ww ……でも、なるほど。 感じていた違和感が、ちょっと消えた気分だ。
元々流布していた噂には、殺人を思わせるようなおどろおどろしい話がついていた。
『時のはざまの中で殺されかけた人が、いまだに中で追いかけ回されてる』とか……。 そういうのもあって、余計に殺人だと思い込んでしまっただけってことかな。
私は頭の中で情報を整理していると、ふと別の疑問が浮かんだ。
「ふーん。 ……あれ? じゃあ、その2人の骨って、何なの?」
時のはざまとは、関係ないってこと? じつは全く別の話だったりするんだろうか。
イトは分からないというように首を振った。
「それは、まだ調べてる途中だから、分からない。 でも、何かが、おかしい感じがしててさ」
「おかしい?」
「うん。 ……何がっていうと、私もよく分からないんだけど。 ……変な、違和感があるの」
ふーん、そうなんだ。 まあイトはその時代に実際に村で生活してたわけだし、勘も働くのかも。
いずれにせよ、『時のはざま』の話に関しては、まだ分からないことだらけだ。 人が忽然といなくなった世界が広がっていて、2人が逃げていて……。 それぐらいしか分かってない。
犯人の特徴も分からないし、2人が逃げた後に何が起こったかも分からないままだ。
「……私さ、なんか、視野が狭いみたいで」
「……え? あぁ、うん」
いきなり自分の話をされて、私は反応が遅れてしまった。
何の話かと思えば、そういう話か。 ……うーん、割と最初のほうから、私はそう思ってたけど。
目の前のイトは、機械に話すみたいに一人で話し続ける。
「うん。 なんか、頭の中だけで色々考えちゃうんだよね」
たしかにイトは、頭でっかちなところがある。 色んなことに興味を持って、つねに物事を考えてるのは分かるけど。 考えることに集中しすぎて、周りが見えてないって感じだ。
前回の混乱のとき、自分の知らない景色があったからって幽世だって大騒ぎしたらしい。 それを聞いたとき、内心噴き出して笑ってしまった。 ぶはは、イトwwww だってそんなことある?ww ホホハっっ!!wwwww ブホハっwwwww
それどころか困ったことに、思考が突っ走ってて現実が伴ってない時もあるんだよねえ。 ……え、私もそうだって? いやあ、私が考えてるのは妄想じゃないよ。 じっさい現実なんだよ、うん。
そんなことを思いながら、私はあーとかふーんとか適当な返事をする。 イトは相変わらず一人で話し続ける。
「今回も、人に話を聞いたりはしたけど、探そうとした範囲が狭かったんだ」
「ふーん、そうなんだ」
「ユメー!」
話をしていると、違う声がして振り返った。 見ると、城の廊下をナツミが歩いてきていた。 手を大きく振って、こっちに向かってくる。 またあなたなの? まったく、私をいじめるのが好きね。
目の前のイトは自分の話を締めくくった。
「うん。 だから、もっと、色んなものを見なきゃいけないと思って。 違う角度からも、調べてみる」
「ふーん」
言いたいことを言い終えると、イトは身をひるがえしてその場を立ち去っていった。
結局、300年前の話は、進展があったのか微妙な感じだ。 今回分かったのは、2人の骨は、時のはざまとは別だったってことだけだ。 うーん、謎は深まるばかりだなあ……。
私はぼんやりと考えていると、その場に入れ替わりになるようにナツミが来た。 近づいて来たかと思うと、いきなり目の前に来る。
「ユメ、からかいすぎて、ごめん!」
そういって、真面目な顔で言ってくる。 普段は軽い調子で笑っているナツミの顔は、ほんの少しこわばっていた。
もう……まあ、いいけどさ。 人に馬鹿にされるのは、慣れてるし。
「あぁ、いいよ」
そういって、私は適当に許してやる。 ナツミは固い表情をしたまま、目をパチパチさせて何か言いたそうだったが、言葉を飲み込むように黙って何度か頷いた。
このナツミのことは、私はまだよく分からない。 じつは、まともに話したのは今日が初めてなんだよね。
一見やりたい放題な人に見えるけど、でも、私はそんなに悪い人じゃないような気がする。 人を振り回す質なのは間違いないけど……。
例えば夢見酒のことを話しても、『馬鹿だなーw』とか言わずに、意外と真面目に聞いてくれると思うんだ。 ……え? あれだけ笑われたのに、ポジティブだなって? そうなんだよ、意外と私はポジティブなんだよ。
私たちは動きだし、城の廊下を歩いていく。 この城は部屋がたくさんあって、色々なものを受け入れてくれる気がする。 今日は人が多いはずなのに、そんなに声が聞こえてこない。
夜の静かな廊下を歩きながら、横のナツミは黙ったまま喋らない。 ペタペタと、私たちの足音だけが響いている。
こういうのを、気まずい空気って言うのかな。
でも、私はこういうのは嫌いじゃない。 嘘ついて仲よくするよりかは、ずっといい。 表面だけの笑顔を向けられても、私はちっとも嬉しくない。 みんなは気づかれてないって思ってるんだろうけど、嘘の顔だってことぐらい、私にだって分かるんだよ。
黙ったまま2人で歩いていると、隣に騒がしい部屋が見えてきた。
中を見ると、なんだか盛り上がっている人たちがいるみたいだ。 おちゃらけた軽い感じのススキが、裸でふざけて踊っているのが見える。 ウェーイwwwとか言って、なんか変なゲームでもしているみたいだ。
「みんな、寝なくていいの?」
私は、わざとナツミに聞こえるように呟いた。 ナツミは振り向いて、一緒に部屋の中を眺める。 少しほぐれたように、ナツミは笑った。
「ほんとにね。 ……でもなんか、こういうの楽しいじゃん? あそうだ、なんか、みんなユメのこと、探してるみたいだよ。 服を新しく、作るんだって」
あぁ、そうだっけ。 私も、そっちに行こうかな。
あぁ、夜風が気持ちいい。 今日は散々な一日だったな。 街にいて息苦しくなって山に行ったのに、草木を見ても崖を眺めても、大して自然を感じることが出来なかったし。
悩みを打ち明けたかと思えば、小春たちに笑われるし。 鬼退治に行ったかと思えば、じつは私が鬼だったし。
……でも、まあいっか。 一人で抱え込んでても、苦しいだけだ。 みんなに馬鹿にされて笑われたけど、それぐらいでよかったのかもしれない。
憶えが悪いおかげで、明日になったらすっぱり忘れてるしね。 やったっ!!!ww ヤッホーーゥッッ!!!w
私は一日を思い返しながら歩いていると、向こうから人が歩いてきた。
おかっぱの髪に、暗い顔の……あれ、イトだ。 こっちに歩いてきて、呼びかけてくる。
「ユメ!」
なんだかイトが、元気に歩いているように見える。 いつもはすうーっと滑って幽霊みたいに歩いているのに、今日はズンズン足が動いていて、生き生きした感じだ。
あ! もしかしたら、300年前の『時のはざま』の話に何か進展があったのかな。
時間が止まったように真っ暗で誰もいなかった、夜の話……。
祭りの途中で人が消えたみたいになってて、誰もいなくて……。 かと思ったら、コガネさんの母親とハナさんの父親が、誰かから逃げて走っていて……。 そこで、ぷっつりと止まっていたんだ。 その後どうなったかは、まだ表現されていない。
私が思うに、それは間違いなく夢見酒の効果だと思うんだけど、どれだけ力説しても、誰も信じてくれないんだよね。 イトも『あぁ、うん』みたいな感じで適当にあしらってくるし。 なんでだろう?
私は廊下の途中で立ち止まりながら、聞いていく。
「イト。 ……後半は、投稿された?」
どうやらコガネさんは前半部分を投稿したきり、音沙汰なしらしい。
誰も聞いていないのに自分の日常生活までつらつらと話していったかと思えば、今度はだんまりだ。
まったく、しょうがないやつね。 ユメは一人でキレていると、イトは立ち止まっていきながら答える。
「いや。 でも、ちょっと分かったことがあってさ」
うん、分かったこと? ……なるほど、ついに夢見酒が発見されたのかな。
あぁ、ここまで長かったっ……!
掲示板で聞いてもみんなに馬鹿にされて、苦しい胸を押さえながらバタッと布団に倒れこんで……。 一人で枕を涙で濡らしながら眠ってたわけたけど、ようやくこんな生活とはおさらばだ。
無意味なポジティブさを発揮しながら、私は聞いていく。
「何?」
「例の骨の話、あったじゃん? ほら、2人分の……コガネたちの、親かもしれないっていう……」
降霊洞穴で見つかったという、あの2人分の骨のことか。 惨殺されたというのに、首が吹っ飛んだり、腕がもげたりしてなかった、平穏なアレか。
それも夢見酒の効果として考えれば、説明がつくと思うよ。 ふんっ!っと念じたら殺せる魔法でもあったんじゃないかな。 知らないけど。
「あぁ、うん」
「それ言ったの、コガネさんじゃ、ないみたい」
……え? 骨の話をしたのは、コガネさんじゃないの?
その話が最初に出たのは、たしか新しい幽霊がたくさん降ろされた例の騒動の時だった。
私が憶え屋の業務で忙殺されているときに、小春や歌子たちが楽しくルンルン♪と地下に潜って探検したのを後から聞いて、はらわたが煮えくり返りそうになったのを憶えてるよ。
あの時にコガネさんが掲示板に現れて、混乱してる最中だって言うのに、マイペースに時のはざまの殺人のことをペチャクチャと言ったんじゃないの?
「え? どういうこと?」
「同じ掲示板で、同じ時に投稿されたから、たまたまそういう風に見えただけなんだって。 ……骨のことを言ったのは別の人で、コガネさんは、ただ『時のはざま』っていうのを、知ってただけみたいなの」
『時のはざまの話』と、『誰かの2人分の骨が洞穴にある話』が、同時に同じ掲示板に書き込まれたってこと? そもそも殺人とは誰も言ってなくて、それを見た人が、勝手に『時のはざまの殺人』だと勘違いしたってことか。
なんじゃ、そりゃっっ!!!!ww ……でも、なるほど。 感じていた違和感が、ちょっと消えた気分だ。
元々流布していた噂には、殺人を思わせるようなおどろおどろしい話がついていた。
『時のはざまの中で殺されかけた人が、いまだに中で追いかけ回されてる』とか……。 そういうのもあって、余計に殺人だと思い込んでしまっただけってことかな。
私は頭の中で情報を整理していると、ふと別の疑問が浮かんだ。
「ふーん。 ……あれ? じゃあ、その2人の骨って、何なの?」
時のはざまとは、関係ないってこと? じつは全く別の話だったりするんだろうか。
イトは分からないというように首を振った。
「それは、まだ調べてる途中だから、分からない。 でも、何かが、おかしい感じがしててさ」
「おかしい?」
「うん。 ……何がっていうと、私もよく分からないんだけど。 ……変な、違和感があるの」
ふーん、そうなんだ。 まあイトはその時代に実際に村で生活してたわけだし、勘も働くのかも。
いずれにせよ、『時のはざま』の話に関しては、まだ分からないことだらけだ。 人が忽然といなくなった世界が広がっていて、2人が逃げていて……。 それぐらいしか分かってない。
犯人の特徴も分からないし、2人が逃げた後に何が起こったかも分からないままだ。
「……私さ、なんか、視野が狭いみたいで」
「……え? あぁ、うん」
いきなり自分の話をされて、私は反応が遅れてしまった。
何の話かと思えば、そういう話か。 ……うーん、割と最初のほうから、私はそう思ってたけど。
目の前のイトは、機械に話すみたいに一人で話し続ける。
「うん。 なんか、頭の中だけで色々考えちゃうんだよね」
たしかにイトは、頭でっかちなところがある。 色んなことに興味を持って、つねに物事を考えてるのは分かるけど。 考えることに集中しすぎて、周りが見えてないって感じだ。
前回の混乱のとき、自分の知らない景色があったからって幽世だって大騒ぎしたらしい。 それを聞いたとき、内心噴き出して笑ってしまった。 ぶはは、イトwwww だってそんなことある?ww ホホハっっ!!wwwww ブホハっwwwww
それどころか困ったことに、思考が突っ走ってて現実が伴ってない時もあるんだよねえ。 ……え、私もそうだって? いやあ、私が考えてるのは妄想じゃないよ。 じっさい現実なんだよ、うん。
そんなことを思いながら、私はあーとかふーんとか適当な返事をする。 イトは相変わらず一人で話し続ける。
「今回も、人に話を聞いたりはしたけど、探そうとした範囲が狭かったんだ」
「ふーん、そうなんだ」
「ユメー!」
話をしていると、違う声がして振り返った。 見ると、城の廊下をナツミが歩いてきていた。 手を大きく振って、こっちに向かってくる。 またあなたなの? まったく、私をいじめるのが好きね。
目の前のイトは自分の話を締めくくった。
「うん。 だから、もっと、色んなものを見なきゃいけないと思って。 違う角度からも、調べてみる」
「ふーん」
言いたいことを言い終えると、イトは身をひるがえしてその場を立ち去っていった。
結局、300年前の話は、進展があったのか微妙な感じだ。 今回分かったのは、2人の骨は、時のはざまとは別だったってことだけだ。 うーん、謎は深まるばかりだなあ……。
私はぼんやりと考えていると、その場に入れ替わりになるようにナツミが来た。 近づいて来たかと思うと、いきなり目の前に来る。
「ユメ、からかいすぎて、ごめん!」
そういって、真面目な顔で言ってくる。 普段は軽い調子で笑っているナツミの顔は、ほんの少しこわばっていた。
もう……まあ、いいけどさ。 人に馬鹿にされるのは、慣れてるし。
「あぁ、いいよ」
そういって、私は適当に許してやる。 ナツミは固い表情をしたまま、目をパチパチさせて何か言いたそうだったが、言葉を飲み込むように黙って何度か頷いた。
このナツミのことは、私はまだよく分からない。 じつは、まともに話したのは今日が初めてなんだよね。
一見やりたい放題な人に見えるけど、でも、私はそんなに悪い人じゃないような気がする。 人を振り回す質なのは間違いないけど……。
例えば夢見酒のことを話しても、『馬鹿だなーw』とか言わずに、意外と真面目に聞いてくれると思うんだ。 ……え? あれだけ笑われたのに、ポジティブだなって? そうなんだよ、意外と私はポジティブなんだよ。
私たちは動きだし、城の廊下を歩いていく。 この城は部屋がたくさんあって、色々なものを受け入れてくれる気がする。 今日は人が多いはずなのに、そんなに声が聞こえてこない。
夜の静かな廊下を歩きながら、横のナツミは黙ったまま喋らない。 ペタペタと、私たちの足音だけが響いている。
こういうのを、気まずい空気って言うのかな。
でも、私はこういうのは嫌いじゃない。 嘘ついて仲よくするよりかは、ずっといい。 表面だけの笑顔を向けられても、私はちっとも嬉しくない。 みんなは気づかれてないって思ってるんだろうけど、嘘の顔だってことぐらい、私にだって分かるんだよ。
黙ったまま2人で歩いていると、隣に騒がしい部屋が見えてきた。
中を見ると、なんだか盛り上がっている人たちがいるみたいだ。 おちゃらけた軽い感じのススキが、裸でふざけて踊っているのが見える。 ウェーイwwwとか言って、なんか変なゲームでもしているみたいだ。
「みんな、寝なくていいの?」
私は、わざとナツミに聞こえるように呟いた。 ナツミは振り向いて、一緒に部屋の中を眺める。 少しほぐれたように、ナツミは笑った。
「ほんとにね。 ……でもなんか、こういうの楽しいじゃん? あそうだ、なんか、みんなユメのこと、探してるみたいだよ。 服を新しく、作るんだって」
あぁ、そうだっけ。 私も、そっちに行こうかな。
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