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三者三様
しおりを挟む俺は冒険者ギルドから少し離れた位置に建っている冒険者御用達の魔道具店のドアを開けた。
「こんちわー、よお秋也」
「おっナユト、いいとこに来たな」
秋也はこの魔道具店の息子で、俺が冒険者になる前から付き合いがある。
「ん?何?」
「今新しい魔道具の試作品が届いたんだよ。転移の魔道具なんだけど、ほらコレ」
秋也が手に持つ魔道具を見せてくれた。
「へー転移の魔道具か!変わった形だな?今までのとどう・・「よー!二人共~!!おっはよ~ん♪朝貴クンの登場ですYO☆」・・・違うんだ?」
俺は後ろから聞こえる声をまるっと無視して秋也と話を続けた。
「・・・ナユト、スルーしたい気持ちは分かるけどな、あいつをほっとく時間が長いほど疲れる事になるぞ」
「ハァ、そうだな」
「ヘイヘ~イ!何してんのぉ?二人して何のぞきこんじゃってんのさ!もしかして秘密の話~?俺を抜いて??仲間外れなんて朝貴クンいっじけちゃうZO~!」
朝貴がこのこの~と言いながら俺の頬を指でグリグリしてきた。その指を掴んで折ってやろうと力を込めたら慌てて指が引き抜かれた。
「あぶなーい!朝貴クンの指が折れるとこだったよ??」
「折ろうとしたんだよ!」
「まぁまぁ二人共落ち着けって。朝貴、今ナユトに見せてた所なんだけどさ、これ転移の魔道具の試作品なんだ。冒険者の意見が聞きたいと思ってさ、ちょっと二人で見てくれないか?」
そう言って秋也が手のひらに収まるサイズの魔道具を俺に渡してきた。
「この部分に————————があって、——————」
*************
***********
********
*****
俺は朝から数が少なくなってきたポーション類の調合をしていた。
こういうのって気づいたら少なくなってて大丈夫だろうって思ってたらピンチになるんだよな。よく痛い目を見た。
さすがに俺も冒険者歴2年にもなればそこら辺の配分は見極められるようになった。
よし、体力回復のポーションは必要な量できたから次は毒消しポーションを作るか、と調合作業をしているといきなり家のドアがバーン!!と大きな音をたてて開いた。
「朝貴クン登場~!!」
入り口の方を見ると満面の笑顔で腰に手を当てた朝貴がいた。
「えっ朝貴?何だよいきなり、ドアが壊れるだろーが!」
「ナユちゃ~ん一日ぶりの朝貴クンだよ~♪しゃみしかった?しゃみしかった??」
「うわ気持ち悪!何だよその呼び方と口調!勝手に家に入ってくんなよ!」
「うわ~ん!ナユちゃんがツンツンしてるよ~!朝貴クン悲しいZO☆でもナユちゃんは本当は朝貴クンの事大好きだって分かってるからねー!」
「・・・は?何言ってんの?」
こいつノックもせずに壊れそうな勢いで勝手に人んちのドア開けてきたと思ったら意味わからん事言ってるし、マジでキモいな。調合に必要な道具が外の納屋にあるから行き来する為に鍵を閉めていなかったのが悪かったようだ。変なテンションの朝貴が不法侵入してきやがった、最悪だ。
「アレ~??いつもよりナユちゃんが冷たいよぉ~!でもその分デレた時の破壊力がヤヴァス!想像するだけで鼻血が出そうだZO!」
・・・てかさっきから何言ってんだ?コイツ。マジで本格的に狂ったのか?
「あれ?ナユちゃ~ん!」
昨日は普通だったのに・・普通のただのバカだったのに・・・
「ナユちゃ~ん!」
今日はなんかすげえキモい事言ってんだけど。とりあえず秋也に連絡しとくか。
「ン~~~!」
俺がピアス型通信機で秋也にメッセージを送っている間に、気づいたら朝貴のドアップの顔が眼前に迫ってきていた。
「ぅわ!!」
慌てて後ろに下がったらドンっと壁に背がぶつかった。体制を崩しずるずると下に下がって俺は尻もちをついた。
朝貴は俺の上から覆いかぶさるように壁に手をついて顔をのぞき込んできた。
「どうしたのかな?今日のナユちゃんはご機嫌斜めかな?」
壁と自分の間に俺を閉じ込めた朝貴が、目を細めて甘く微笑えみながら俺に顔を近づけチュッと音をたてて俺の鼻に口付けた。
「ギ、ギャァアアア!!?」
何だこいつ!俺は咄嗟に朝貴の体を押しのけ立ち上がろうとしたが、力をいれても俺より体格のいい朝貴の体は少し俺から離れたぐらいでほとんどこいつの体制は変わらなかった。
「っわ!ナユちゃんどうしたの?」
逃げようにも壁と朝貴に閉じ込められてどこにも逃げ場がない俺は手で朝貴の体をグイグイと押し足をバタバタと暴れさせていた。
「お、お、お前!何を・・・!」
「落ち着いてナユちゃん!どうしたの~??あ!もしかしてチッスをお口にしなかったから怒っちゃったのかな?ダイジョーブ!今からちゃんとお口にもしてあげるからね~!ン~~~!」
「ドワァア!やめろ!やめろぉぉ!」
「ン~~~~~!」
俺は唇を突き出して迫ってくる朝貴の顔を鷲掴んで必死に押しのけていた。今すぐこいつの唇の感触が残る鼻をこすって感触を消したかったのに、それどころじゃない事態に完璧にパニックになっていた。とそこに聞きなれた第三者の声がした。
「ナユト開けるぞ~?外まですごい声が聞こえてるけどどうした?あと朝貴がヤバイって・・・お前ら何してんだ?」
俺が送ったメッセージを呼んで来てくれたらしい秋也は俺と朝貴の顔を見比べて首を傾げた。
「秋也~~~!」
秋也の登場で朝貴の力が緩んだ隙をついて俺は朝貴の囲いから脱出して涙目で秋也に抱きついた。
「うわっナユト?!え、どうした?」
「ナ、ナユちゃん??」
いきなり俺に飛びつかれて秋也が驚いた声をあげた。
後ろからは呆然と俺の名を呼ぶ朝貴の声が聞えた。
「ナユちゃん!どうして秋也に抱きつくの?ナユちゃんの彼氏は朝貴クンだよ!ナユちゃんの収まるところは朝貴クンの腕の中オンリーだよ!こっちだよこっち!」
両腕を広げて必死の形相で朝貴が喚いてる。は?誰が誰の彼氏だって?
朝貴の様子を見てなるほど朝貴がヤバイって意味はこの事か、と俺の頭の上から秋也のつぶやく声がした。
「お前いきなりなんなんだ!何が俺の彼氏だ、俺の彼氏は秋也だけだ!」
「え!?俺ぇ??」
秋也に抱きつきながら顔だけ朝貴に向かって宣言するとなぜか秋也から驚きの声があがった。
「秋也ぁ!あいつおかしいんだよ!助けてぇ、ぅぅ~」
甘えた声で目に涙をためながら秋也にすがりつくと秋也が「ナユトもおかしくなってる?!」と驚く声をあげていた。
「おい秋也、俺のナユトに手出したのか!ああ゛?!」
すると呆然とこちらを見ていた朝貴がいきなり聞いた事もない低い声で怒声を発した。
「あ、朝貴?」
「朝貴、怒ってる・・のか?」
朝貴は秋也をもの凄い形相で睨みつけていた。俺も秋也もそんな朝貴の姿は初めて見たため驚いておずおずと朝貴に問いかけると、
「ナユちゃんには怒ってないYO~☆だから秋也じゃなくてナユちゃんのダーリンの腕の中においで!」
また朝貴がふざけた事をぬかしてきた。
「誰がダーリンだ!俺の彼氏は秋也だって言ってるだろ!」
俺はぎゅっと力を入れて秋也の服を掴みながら朝貴に向かって言った。
すると、ガーン!とショックを受けている朝貴と秋也から1ミリも離れないようにくっつく俺を交互に見た秋也が深いため息をついた。
「ふぅー、二人共落ち着けよ。とりあえず一旦整理しないか?」
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