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二性 ピンク色の日常
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ラブホテルを出た私は現在、駅に向かっている。
さっき言った通り今から学校。つまり、一般的に言う朝帰りってやつだ。いや、朝帰りでもないか。朝登校か。
これでは一般的な学生がする登校と同じになるな。
もうこれには名前はありません。誰かが考えてください、暇なときに!
まぁ、そんな感じで登校するのだが、今日は高校二年の一学期スタート日。
いつもなら家から徒歩で登校するが、今日はラブホテルからの登校ということで電車である。
朝の電車というと思いつくのはやはり「痴漢」じゃなくて、学生の登校や社会人の通勤ラッシュ。
朝の地獄の戦場と言っても過言ではない。いつもの電車に乗れるか乗れないかで、かなり一日が変わってくる。
だが、それに乗れたとしても暑苦しく、息がしにくい。
そんな戦場が私は嫌いだ。
アレを毎日している人の気持ちを考えるだけで、正直吐き気がする。うぇーってなるね。
けど、今日はそれを我慢して電車に乗らなければならない……ハァー。
思わず心の中でため息がこぼれた。
「ハァ……」
あ、実際でもため息でちゃってたよ。仕方ないよね。だって、目の前に広がるこの光景を見ればみんなこうなる。
改札口で体をぶつけ合いながら行き交う人、所々で忙しそうに電話する社会人、頭を下げる駅員、空を飛び交う鳩、そして香水や汗の臭い、人間から出る熱気。
そんな残酷な光景を目にしながら、定期を持たない私は切符売り場に並ぶ。動かぬ列は並ぶ人間の足をバタバタとさせ、怒りの感情を生み出していく。そして周りからイラつきの独り言が耳に入ってくる。
その時、「チャリン」という音を響かせて、前の老人が小銭を地面に豪快にバラ撒いた。
「おい、邪魔だじじぃ! 早く拾って消えろ」
「足に触らないで汚らわしい!」
「ブッ……す、すみません、すみません……」
若いサラリーマンにゴミを見るような目で暴言を吐かれ、老人は四十代の女性に顔を蹴られて鼻血を出して尻をつく。
「だ、大丈夫ですか?」
私はポケットから花柄のハンカチを取り出し、老人に渡して小銭を拾う。
なんて優しいのかしら私! どんな時でも人を助ける心を持ってるなんて素晴らしい!
ほら、なんか「パチパチ」と周りで見ていた大人達も思わず、拍手をし始めたよ。
それにさっきの二人はその雰囲気が気まずくて走って逃げてるじゃん。大人のくせにあんなに必死に、本当に笑える。
「あ、ありがとうございます。こんなわしを助けてくださるなんて、あなた様は天使のようです」
「い、いえ。当たり前のことをしただけですよ。私には天使という言葉は似合いませんよ」
嘘だよー。私はこの世界に舞い降りた天使。口には出せないだけだもんね。
私は軽く笑みを浮かべて小銭を渡す。
「ありがとうございました」
老人は礼儀正しく頭を下げてその場を後にした。
そんな優しさを大衆に見せている間に、乗るつもりの電車の時刻がせまる。
私は急いで切符を買って、人混みに押されながら改札口を通り抜ける。そして流れる人に乗って私は体を縮め、少しずつ足を前に出して自分の乗る電車のホームを目指す。
時折、お尻に手や鞄が当たるが気にしない。この状況で意図的に女子高生を触る人などいないだろう。もし、いたならそれは相当の努力家だ。
だって、痛いぐらい押される中、それでもお尻を触ろうとするとか普通できないしね。
体も心も疲れるのに触ろうとするなど、普通に考えて凄い。褒めるべきだよ。
「間もなく、一番線に電車が参ります。黄色い線までお下がりください」
駅では当たり前の言葉を耳にして最後の階段を上る。
その瞬間、顔を上げると私のすぐ横を電車が物凄い速さで横切る。そのせいでホームには強い風が吹き、私のスカートは舞い上がると思いきや、人が多すぎで一切舞い上がることなく、ただ私の足元を冷やすだけ。
おそらく、階段を上っている男達は思わず期待して見ちゃったと思うけど、現実はそう甘くない。
女子高生のパンツを無料で見られると思うな、バーカ!
さっき言った通り今から学校。つまり、一般的に言う朝帰りってやつだ。いや、朝帰りでもないか。朝登校か。
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まぁ、そんな感じで登校するのだが、今日は高校二年の一学期スタート日。
いつもなら家から徒歩で登校するが、今日はラブホテルからの登校ということで電車である。
朝の電車というと思いつくのはやはり「痴漢」じゃなくて、学生の登校や社会人の通勤ラッシュ。
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だが、それに乗れたとしても暑苦しく、息がしにくい。
そんな戦場が私は嫌いだ。
アレを毎日している人の気持ちを考えるだけで、正直吐き気がする。うぇーってなるね。
けど、今日はそれを我慢して電車に乗らなければならない……ハァー。
思わず心の中でため息がこぼれた。
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そんな残酷な光景を目にしながら、定期を持たない私は切符売り場に並ぶ。動かぬ列は並ぶ人間の足をバタバタとさせ、怒りの感情を生み出していく。そして周りからイラつきの独り言が耳に入ってくる。
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「い、いえ。当たり前のことをしただけですよ。私には天使という言葉は似合いませんよ」
嘘だよー。私はこの世界に舞い降りた天使。口には出せないだけだもんね。
私は軽く笑みを浮かべて小銭を渡す。
「ありがとうございました」
老人は礼儀正しく頭を下げてその場を後にした。
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時折、お尻に手や鞄が当たるが気にしない。この状況で意図的に女子高生を触る人などいないだろう。もし、いたならそれは相当の努力家だ。
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その瞬間、顔を上げると私のすぐ横を電車が物凄い速さで横切る。そのせいでホームには強い風が吹き、私のスカートは舞い上がると思いきや、人が多すぎで一切舞い上がることなく、ただ私の足元を冷やすだけ。
おそらく、階段を上っている男達は思わず期待して見ちゃったと思うけど、現実はそう甘くない。
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