魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

文字の大きさ
10 / 65
二性 ピンク色の日常

9

しおりを挟む
「やめろって言ってるだろ!」
「おとなしくしろ! しつこいぞ!」

 部屋に入ると、そこには駅員と警備員らしき男性三人が痴漢男性を抑えていた。
 それから数分後、男性警察官と女性警察官の二名が部屋に入ってきた。
 痴漢という女性が傷つく行為なので、女性警察官もいるのだろう。簡単に言うと同感役的な感じかな?
 男性だけだと分からない気持ちとか多いからね。

「まずはここで話を聞かせてもらうよ!」

 男性は抑えられながら、事情聴取が始まった。

「君は何でこんなことをしたの?」
「俺はしてねぇ! こいつが急に訳の分からねぇことを叫び出したんだ! クソが!」

 クソが? は? こっちがクソがじゃ! このゴミが!

「けど、この子はこんな嫌そうな、いや、泣き出しそうな顔をしているけど?」
「知らねぇーって言ってるだろ? 泣けば済むとでも思ってんだろ!」

 済むと思っているし、この私が泣いて済まなかったことがまずない。
 てか、お前は叫べば済むと思いすぎだね、可哀相に。

「止めなさい! この子は今、あなたに怯えているのよ! あなたはもう少し状況を考えなさい!」

 そうだー、そうだぞー、この女性警察官の言う通りだ!

「黙れブス! お前はそんな体と顔だからされたことねぇーだろ!」
「……」

 おい、黙り込むなよ。心折れすぎだろ。けど、こいつの言う通りだしな、仕方ないか。

「あなたはどこまでされたの?」
「……わ、私はおおお、お尻を激しく……揉まれて……」
「それで?」
「……前の方も触れました……」

 そしてここで涙をっと! よし、完璧だね。

「え、嘘でしょ……」

 みんな驚きすぎだよ。もう開いた口が塞がらないねー。
 てか、女性警察官どうしたの? その顔は違うことで驚いてるよね?
 男性に触られたことがないのは分かるけど、痴漢された女子高生が触られたからって悔しがり過ぎだから。
 もうそんな絶望的な顔やめて! 吹きそうだから……ププ~。

「俺はそこまでしてねぇ!」
「あ? そこまで? じゃあ、尻は揉んだのか! おい、舐めてんじゃねぇ―ぞ?」

 えー、何そのキャラの変わりようは。
 駅員の人、驚いて目が飛び出ちゃってるよ? 駅員さん大丈夫? 救急車呼ぼうか?
 それで、警察官の男性はなぜ頭を抱えているの? まさかこの人はいつもはこのキャラなの?
 もう出ちゃったって顔してるけど? 大丈夫?

「違う、違うって!」
「あんコラ? 何が違うねん? 言ってみ、ほら早く!」

 胸倉掴むの止めてあげて。完全に服で首が締め付けられてるって!
 ほら、顔が真っ赤になってきたじゃん。血が止まってるぽいし。それにしても面白い顔してるなー。

「……あ、あのパ、パンツにも手を……入れられて、そのグチャグチャにされたっていうか……」

 あら、つい嘘を言ってしまった。口が滑ったよ。テヘペロ!

「ほんまかいな? 聞いてんのか? おいコラ? 早よ答えんかいな!」
「……」

 あーあ、泡吹いてるじゃないですか。これではさっきまでの面白い顔が、さらに面白くなってしまったじゃないですか。素晴らしいね。

「あれ? やりすぎたかな?」

 おいー、今さら可愛くしても遅いよ。かなり遅い。うん、無理がある。
 しかも、その顔だしね。逆効果だよ! 吐き気だよ!

「おいコラ、起きろ!」

 何で急にビンタなの! もうめちゃくちゃだよ!
 二重人格すぎて怖いって! もう演じるならどっちかにして。本当に怖いから。

「え? ここは?」

 お前もそこで起きるんかい! 寝とけば良かったのに……。

「じゃあ、署まで行くか! 早よ立てや!」
「待ってって! 俺は何もしてないって!」
「黙れ! 署まで行ったら私と楽しいことしような! 楽しみにしとけ!」

 あらー、何をされるのだろうか……。もうそれはそれは地獄のような仕打ちをされるんだろうな~。
 ダメだ、想像するだけで笑いが止まらな~い!

「止めて、本当に悪かった! 金ならなんぼでも払う。だから、この女から助けてくれー」
「認めるのはいいが、私から逃げられないわよ。もう私は我慢が……ンン~」

 あのクソ野郎を引きずって行くなんて、女性警察官のバカ力は恐ろしいな。
 握力どれぐらいあるんだろう?

「悪かったね、僕の上司が身勝手なことをしてしまって……」
「いえ、こんな私を助けてくださったので感謝しています」
「君は偉いね、本当に偉いよ」

 そんな輝いた笑顔を見せてるけど、鼻の下伸び過ぎだから。また私の魔性によって男性が虜になってしまったよ。
 本当に私ってみんなのアイドルみたいだね。
 それにしても下心丸出しだな、この人。さっきの「偉い」が「エロい」にしか聞こえないよ。
 本当に男という生き物は……。

「や、優しいですね。本当に警察官の男の人ってカッコイイです」

 上目使いで言ってみたけど、どうかな? 可愛い? 可愛いよね!
 私ってマジ天使! もう可愛いの極みね!

「え、そう言われると嬉しいな、へへへ」

 おい、照れすぎだろ! 相手は女子高生だよ。デレデレですね。少し引きます。

「では、私は学校がありますので!」
「ちょ、ちょっと待って! 電話番号だけ、電話番号だけでも教えてくれないかな?」

 マジ? 大胆なナンパだな!

「え、それは……」
「待って、疾しい気持ちなんてないって! ほら、あれ! 痴漢って慰謝料を請求できるからその手続きのために、それに君がやられたことはレイプと差ほど変わらないし、かなりの額を請求できるよ!」

 その手できたか。てか、これ疾しい気持ちあるだろ。
 けど、慰謝料の請求って確か面倒だったよね。けど、慰謝料って弁護士に頼むはずじゃなかった?
 あれ? そうだよね!

「慰謝料は弁護士じゃ……」
「僕は弁護士資格も持っているから、やってあげられるんだよ!」

 なんてハイスペックなのこの人。どんなけ頭いいんだよ。
 マジで痴漢の対応のスペシャリストって言っても過言ではない。
 でも、この下心丸出しがそんなことないか。おそらく、痴漢された女の連絡先を聞いて仲良くなり、寝る気だな。
 これは女の勘だけど。意外と当たるよね、女の勘!

「じゃあ、お願いします。これ、私の電話番号です。慰謝料の件はお願いしますね」
「はい! じゃあ、また連絡するね!」

 何でそんな笑顔をしながら鼻の下を伸ばせるんだ。履歴書にそのこと特技っ書いただろ!
 まぁ、これで一件落着って感じかな? ってこんな時間! 急がないと!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...