魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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二性 ピンク色の日常

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「あ、あの……遅刻してすみません」
「気にするな。話は聞いている。あそこの空いているところが君の席だからすぐに座って」

 ふぅー、間に合った。遅刻のことも大丈夫そうだし、よかった。
 けど、遅刻するとみんなの目線がこっちに来るからかなり恥ずかしいよね。

「そうだ、自己紹介が君だけできてないからしてくれる?」
「は、はい……分かりました」

 みんなの自己紹介は終わったみたいだけど、自分のはできるみたいだし、セーフ!

「……わ、私は工口翔朱未《こうくちかすみ》って言います。皆さんは一年生から同じクラスだったと思いますが、私はランクアップ制度によりビギナーからスタンダードのクラスに入ることになりました。少しでも早く皆さんと仲良くなれたら嬉しいです! よろしくお願いします!」

 んー、少し硬すぎたかな? けど、私のキャラってこんなんだよね?
 うん、これが私だ。 
 てか、これが私のフルネームだったの。カスミって名前らしきものは出てきていたと思うけど、何のことって思っていた人も多かったんじゃないかな?
 まぁ、改めて紹介しとくね。

 私の名前は工口翔朱未。みんなからはカスミって呼ばれてるかな?
 え? 違う呼び方で呼びたいって? 何て呼ぶつもり?
 おいおい、それはひどいな~。けど、仕方ないよね。
 この苗字を見たら、そう呼びたくなるよね。
 工場の「工」に「口」で「工口」って一見、普通の苗字に見えるかもしれないが、これをカタカナ読みすると「エロ」になる。そう、あのエロに……。
 そしてみんなよく間違える。本当に間違える。
 私の名前を「エロ翔朱未」って言い間違えるのだ。エロ翔朱未だよ? 
 信じられる? 私がエロって? あ……信じられるか! 私の生活見てたら……。
 でも、私は表では清楚なおっとり系の女子を演じて……じゃなくてそういう系の女子なの!
 それなのに、それなのに、それなのに! 苗字がエロって何なんだよ!
 病院で間違えられる時の気持ち分かる? 先生に間違えられる気持ち分かる?
 ハァー、この話はやめよう。うん、やめよう……。
 けどね、この苗字が私に当てはまっているか?
 と言われると当てはまっている。そう、最初に言った通り私は魔性持ちの女の子。
 昨日の夜から今までの出来事で、それはみんなも理解していると思う。
 そしてその魔性の力も理解したはずだ。
 私に好意を持たない男などいない。
 どんなお年寄り、幼児でも心が動く。残念ながら、これは事実。
 ん? 残念ではないか。嬉しいことだね。
 けど、デメリットも多々ある。うん、多々あるの。
 それはこれから分かるはず。
 あ、そうだ。この学校のことは何も言ってなかったね。私の苗字のせいで……。

 ここSM高等学校は学年の他にビギナー、スタンダード、トップと三つのクラスに別れている。トップにいくほど上のクラスになる。
 これは受験の時に決められ、ほとんどの人が変わることなく、高校を卒業することになるが、各クラス一人だけ、進級する時にクラスを上がることができる。
 これがさっき言っていたランクアップ制度ってやつだ。
 まぁ、それに私が選ばれたってわけ。凄いでしょ! 
 ここかなりの進学校だからね。ここ重要、かなりの進学校!
 成績優秀な人かお金持ちの子供しか来れないんだから!

「工口! メモしてたか?」
「え、あ、ごめんなさい……すぐにします」

 ぼーっとしてたら怒られたよ。ハァー、気にしてないけど。
 筆記用具、筆記用具っと! あれ? うわー忘れちゃったよ。
 けど、これを機会に隣の人に話しかけよっと! お、男子じゃん!
 って、カバン大きすぎじゃない? 何持ってきたらそうなるの?
 それより筆記用具だ。早くメモしないと!

「あ、あの……」
「何ですか?」

 さ、流石メガネ男子。冷静すぎる対応だ。こんな私を目の前にやるな。
 絶対にガリ勉じゃん。けど、こんなガリ勉でもいつかは私に……フフ。

「筆箱を忘れて。それで貸してくれないかなって! ダメかな?」

 この上目使いにはイチコロだよね。目がハートに……

「うん、分かりました。こ、こんなんでいいですか?」

 ん? ならないだと……。メガネが私の魔性を邪魔したのかな?
 まぁ、隣だからすぐにときめくだろうけど。問題なし! ノープロブレム!

「あ、ありがと!」

 えっと、明日の予定っと! うわー、始業式だよ。最悪だ。
 今日、入学式だったんだから同時にやっとけよ。本当に面倒くさい。
 ○○式っていう行事は本当に嫌い。ずっと話を聞くだけなのに体育館に全校生徒を集めて、体育座りさせるなんて……。誰がお前らの話を聞きたいんだよ。
 みんなお尻が痛いんだぞ? 地面をクッション性にしろ!
 それに私の美尻が痛んだら、どうしてくれるんだ。どれだけの童貞ちゃん、痴漢のおっさんが悲しむか分かっているのか?
 少しは私の美尻を考えてほしいものだ。いや、考えていたら事件だな。
 そういえば、○○式を行うと時々だけど、受賞式があるよね。
 もしかしたら、明日、大志君の童貞卒業も……。
 あ、言い忘れてたけど、大志君も同じ学校だよ。

「チャイムもなったし、メモしたやつから帰っていいぞ! 工口は放課後、職員室に!」

 一日目から呼び出しか。さっきも言ったけど、ここは進学校だ。
 遅刻した場合は一応、書類を書かなければならない。もちろん、それは理由があってもだ。
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