魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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二性 ピンク色の日常

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 メモを終えた生徒が帰り始める。

「今日、カラオケ行こうぜ!」
「昨日も行っただろ?」
「じゃあ、ボウリングでどうだ? これなら文句ないだろ?」
「仕方ないな……お前ってやつは! ちょっとは勉強しろよな!」

 見てください。この仲のいいクラス風景を……。私はぼっちなんだよなー。
 ランクアップ制度によってクラスが変わると、また一から友達を作らなければならない。
 今回は遅刻、先生からの注意でみんなからは注目されているとは言え、一年間過ごしてきた人達の中に入るのは中々難しい。……はぁー。

「あ、あの工口――」
「カスミン! こっちこっち!」

 あら、男子が勇気を出して私に話しかけたというのに可哀相に……。
 女子の会話にはそれ以上、入り込めないよね。またの機会に。

「え? 私?」
「カスミンって呼んでるんだから、カスミンに決まってるじゃん!」
「千心ったら、カスミさん怖がってるじゃない!」
「真心の顔のせいだ! その怖い顔のせいだもん!」
「まぁまぁ、落ち着いて二人とも……」
「もうー何?」
「何ですか?」
「だから、落ち着いてって言ってるじゃない! もう私、知りませんから!」

 えー。なんか私のせいで凄い雰囲気になってるんですけど……。
 これどうしたらいいの? まさか、私がどうにかしろと?

「あの……私は怖がっていないので大丈夫ですよ」
「ほら! 真心は心配症すぎなんだぞ!」
「だって……」
「あ、ごめん! そんなに悲しまないでよ真心ってば!」
「大丈夫よ。謝るのはこっちだと言うのに」
「イイって! それよりこちらの……」
「な、何か? こっちは怒ってるのよ!」
「ゴメンってマナティ」
「ごめんなさいマナさん」
「こ、今回だけだから。し、仕方ないから許してあげる」

 なんかやっと終わったみたい。喧嘩するほど仲がいいと言うけど、今のって喧嘩するほどのことじゃないよね、まず!
 それと喧嘩を目の前で見せられる身にもなってほしい。久しぶりにどうしようか迷ったんだから。
 今のでなんか疲れたよ……。

「あ、カスミさんゴメンなさい。お見苦しいところを見せてしまって」
「いえ、喧嘩するほど仲がいいと言いますから」
「流石、カスミンだね! やっさしーーー」
「う、うわ! 元気だね」

 抱き着いてくるとか、この子は元気すぎるよ。可愛いけど!

「ゴメンなさい、千心はすぐにテンション上がってしまうの」

 最初からテンションマックスに見えたんだが、それは私の気のせいかな?

「自己紹介がまだだったわね! 私は濡田真心《ぬれたまこ》。みんなからは真心と呼ばれているわ!」

 銀髪ショートって綺麗だな。それにメガネが似合うお姉さんって感じだ。
 しかも、胸も大きい。私と変わらないか少し大きいぐらいかな?

「私、朝立千心《あさだちちこ》! 千心って呼んで! 真心とは産まれた時からの幼なじみで、可愛い妹みたいな感じなの!」
「千心が妹みたいな感じでしょ! 本当に適当なことばかり言って……」
「えへへ」

 さっきのが銀髪お姉さんだったのに対して、こっちは金髪少女だと!
 二人は幼なじみって言ってたから、かなり仲いいんだろうな~。
 実際、そのショートカットはお揃いみたいだし。まるで双子みたい。
 それにしても可愛すぎてヨダレが……。スゥー、危ない、危ない。
 可愛いは正義ってこういうことなんだよな。妹がほしい……。

「二人とも仲良くて羨ましいよ……。私は佐倉《さくら》まな。マナティでもマナでも呼び方はなんでもいいよ。私は二人とは違って去年、高校に入って二人に出会ったって感じ。二人はすぐイチャイチャするから、私にはあまり構ってくれないんだよ。私だってもっと仲良くしたいんだけど……って、別にイチャイチャしたいとかじゃないからね!」

 絶対にイチャイチャしたいでしょ! その言葉にその表情は!
 さっき思ったんだけど、この人もしかして……

「ツンデレではありませんから!」

 あ、ツンデレなんだこの子! 実際に見るのは初めてだよツンデレさんは!
 漫画やラノベでしか見たことがなかった激レアに、まさかこんなところで会えるとは思ってもいなかったよ。
 それにしてもツンツンがさっきから止まらないね。もう私はそんなマナを見てられない……わけないじゃん!
 ずっと見ときたい! ツンツンした時の表情がたまらないよ~。

「本当に? 私にはツンデレにしか――」
「違うって言ったら違うの!」

 これ、この表現が最高なの! ヤバい、ニヤけそう……。
 けど、言葉を遮ってまで否定するとは、相当気にしている感じかな?
 可愛いから余計なこと言わないでおこう。それが一番。
 それにしても、マナは凄い胸を持っているな。
 それは何を食べてたらそこまで成長するの? 同じ女として不思議に思うよ。

「何、じろじろ見てるの?」
「えっ?」
 まさか、知らないうちに胸に視線を向けていたとは……。
 けど、女子ってやっぱり他の女子の胸を見ちゃうよね~。
 男子も見るでしょ? 男子同士でチンコ!
 どれぐらいの大きさかなとか、包茎なのかなとか、毛が生え始めたときはみんなも生えてるかなって!
 それと一緒! 女子もおっぱいを見るの!

「そんなに見られたら、恥ずかしいよ……」
「あ、ごめん。見てるつもりはなかったの!」

 これは本当だ。無意識だ、無意識。男子の夢精のようなものなの!

「別にそこまで気にしてないからイイけど」

 イイのかよ。じゃあ、顔面を胸までの距離十センチぐらいまで近づけて見せてもらおう。
 これが、女子の特権。男子もやりたいだろ?
 まぁ、その話はまた今度ということで、今は仲良くならないと!

「あ、あの……女子って――」
「この四人だけだよ! 去年は三人だったから、カスミンが来てくれて嬉しいよ!」

 そう、この学校はさっき言ったように二年前までは男子校。だから、共学になってからもこの通り女子は少ない。
 クラスの人数が三十人いるのに、女子は私を含めて四人。
 けど、これが私がこの学校に来た理由の一つでもある。
 男子がかなり多い。つまり、ヤれる童貞が多いということ。
 それは金を儲けるのにも、あの可愛い喘ぎ声を聞くのにも、この学校はベストということだ。
 他の共学にも男子がいる学校はたくさんあると思うかもしれないけど、私が求めているのは童貞。
 まだ、女と触れあったことのない可愛い少年や青年。
 ここは進学校だ。ほとんどの男子が将来のために女子とは関わらず、勉強だけを毎日してきた真面目ちゃん。
 それか親が金持ちで無理矢理入れられたエリート二世。
 どちらにしても、私の「可愛い喘ぎ声を聞く」と「金儲け」という目的を満たしている。
 それに将来のために勉強しているからと言って、私にときめかない訳がない。
 だから、私はこの高校に入ったの!

「わ、私も嬉しい。前のビギナーでは私しか女子がいなかったから……」

 そう、私だけ。他の二十九人は男子だった。
 本当にみんな可愛かった。真面目だからといって性欲を抑えることは誰一人できなかったからね。
 つまり、私がクラスの男子を一年間かけて食い、童貞を滅ぼしたの!

「カスミさんだけって心細かったでしょ?」
「最初はそうだったけど、みんなが優しくしてくれたからまだ大丈夫だったよ」

 いや、最初に見た瞬間、心が高ぶったね。けど、みんなが優しくしてくれたのは本当だよ?
 みんな優しくヤってくれたしね。流石、ビギナーって感じ。

「カスミン! これからは私達がいるからね!」
「そうだよ。頼ってよね、カスミ」
「あ、ありがと! 少し安心したよ!」

 本当に安心した。それにこんなにみんな可愛いし!
 私は可愛いものには目がないから、楽園に来た気分。あ~幸せだ~。

「あ、大志がホテルを出るのにお金がないって言ってるから、そろそろ私は行くね」
「うわ~、マナティめ! あのけしからんパイ乙を使って……」
「な、何もしてないもん! それにまだ手も……」
「手?」
「な、何でもない! もう私は行くから! じゃあね!」

 ん? えっと、大志? ホテル?
 なんか、聞いたことがあるような……ないような……。

「カスミさん? カスミさん?」
「カスミン? カスミンどうしたの?」
「あ、え、ぼーっとしてた」
「今日は朝から色々あったみたいだし、疲れているのね」
「そ、そうみたい。あ、私、先生に呼ばれてるんだった。そろそろ私も行くね!」
「またね~カスミン」
「さようなら、カスミさん」
「うん、ま、また明日」

 うわ~、思い出した。
 驚いて完全に動揺しちゃったよ。何とかあの場から離れられてよかった。
 まさか、昨日ラブホで寝た大志君が、マナの彼氏だったとは流石に私も予想外だ。
 この学校は他クラスとの交流があまりないから、ビギナーはみんな独り身だと完全に思い込んでいたよ。
 それなのに、選りに選って今日友達になったマナの彼氏だなんて……。
 大志君はあんなに可愛い彼女がいるのに私と寝て、本当に情けない。
 けど、これが魔性の厄介なところなんだよね。
 彼女、嫁がいたとしても好意を持ってしまう。本当に自分でも少し引くほど、この能力は恐ろしい。
 けど、大志君ってばお金がないからって、彼女をラブホまで呼び出すなんて大胆すぎ!
 昨日ので自信を持ってしまったのかな? 悪いことじゃないけど良いことでもないよね。
 それにしても、マナはホテルと聞いて何も疑ってないとか純粋すぎ!
 彼氏から「お金がない、ホテルにいる」って言われたら、他の女と寝てお金を取られたとしか、私なら思いつかないけど。
 まぁ、その女が今回は私なんだけどね。テヘペロ!
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