魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

文字の大きさ
23 / 65
三性 新学期の恒例行事

22

しおりを挟む
 ふー、セーフ! 何とか間に合った。
今日は始業式だったから間に合ったけど、普通の授業ならギリギリだったな。
 明日からは先に用意させてもらおっと!
 始業式が始まり、いきなり恒例の校長先生のながーい話が始まった。
 特に興味ないからスルーっと! 
 みんなも真剣に聞いたことないよね。こういう系の話って、大体の人が『長い』とか『面白くない』とか『お尻痛い』とかしか考えてないよね。
 ということで、始業式はこれにて終了にしようと思ったけど、校長先生が最後に言ったこれだけは聞いてほしい。
 それは学校目標。
 それがこれ……『ヤれば! できる子!』だ!
 確かに高校生ぐらい体が発達すると、ヤれば子供はできる。
 おそらくだが、どんどんセックスして子供を作りましょーって意味を込めたのだろう。
 この学校を卒業した人はほとんど独り身だからね。
 まぁ、始業式はそれだけ。それ以外はお尻が痛いという記憶しかない。てへ!
 あ、それと残念ながら大志君の童貞卒業を祝う授賞式はありませんでした。
 みんなが一番気になってたと思うけど、彼女の前では無理みたい。
 ってそういう問題じゃないか!

 チャイムが鳴り、二時間目が始まった。
 午前の国語って絶対に眠たくなるよね。文章を読んでいるのを聞くと子守歌に聞こえてウトウトしてくる。
 本当に少しテンション高めに読めないかな?
 ほら、もうあそこの男子達が睡眠体勢に入ってるよ。てか、最初からアレは寝る気だったな。
 まぁ、国語なんか日本人だから適当にやればできるしね。
 大体、日本人が国語を習うのがおかしいの。
 例えば、古典って絶対に使わないよね。タイムスリップができるようになった時に備えて教えているのかな?
 他にもなんか物語を読んで気持ちを読み取ったりとか、アレって三次元の人間が二次元のキャラクターの心を読み取って何がしたいのかな?
 もしかして二次元と三次元が繋がる時に備えてってこと?
 どんなけ国語は将来の技術を期待してるんだよ。バカなのか。
 まぁ、本を楽しむのは趣味だけで十分。勉強する必要なんてない。
 あ、そんなことはどうでも良くて、昨日の借り物を隣の人に返さないと!

「え、えっと、その昨日、借りていた筆記用具……」
「あ、忘れてました」
「私も昨日忘れていて。遅くなってゴメンね」
「気にしないでください。工口さん」

 え、なぜ私の名前を? 教えたかな?
 てか、この人の名前を知らないんだけど……。

「僕の名前なんか知りませんよね……」

 あ、読まれた。完全に表情だけで心を読まれたよ。天才なのか。

「ごめん。自己紹介を聞けてなかったから」
「そうでしたね。僕は刹那輝琉《せつなきる》っていいます。あまり友達がいないから話しかけられた時はお、驚きました」

 刹那輝琉ね。覚えた覚えた。私は男子の名前は絶対に忘れないから。
 友達がいないとか言ってたけど、そらその性格では誰も寄って来ないだろうな。
 一言で言うなら『陰キャ』だもん。陰キャのプロの方ですか?

「わ、私も友達が少ないから友達にならない? 刹那君?」
「え、いいんですか? こんな僕と。でも、みんなから変な目で……」
「私は気にしてないよ? だから、どうかな?」

 いける。この上目使いなら必ず……

「え、こういう時はどうしたらいいのでしょうか?」

 何で私にそれを聞くのかな? 聞かれた私がその言葉を返したいわ!
 てか、陰キャはやっぱり凄いな。友達の作り方も知らないなんて。

「わ、私は友達になりたいかな?」

 だって、刹那君の可愛い喘ぎ声を聞きたいもん。た、楽しみ~。

「けど、僕は――」
「大丈夫だよ! 君の初めての友達になりたい!」

 もう逃げ道はあげない。絶対に!

「わ、分かりました。僕、友達はいないからその……接し方などは分かりませんが、よろしくお願いします」

 礼儀正しいな。面目すぎて引くわ!
 それにさっきは『あまり友達がいない』って言っていたのに、今の発言で一人も友達がいないこと認めちゃったよ、この男子!
 それより私に惚れないって珍しい人だな? 
 普通なら男子から『友達になって』と言われるのに今日は私から頼んじゃったよ。
 もしかして、人生初かもしれない。初めてがこんなところで……なんか悲しい。

「こちらこそよろしくね!」
「うん」

 そう言った刹那君はすぐに顔を逸らしてノートにペンを走らせた。
 なるほど。刹那君は私と話すのに緊張していたのね。
 すぐに顔を逸らしちゃって可愛いんだから! やっぱりいいね、男子は!

「……じゃあ、工口さんはボインですね」
「え?」

 この女性教師は何を言っているのだろうか?
 女性教師は貧乳で工口はボインってこと? 正解だが、なぜこのタイミング?
 てか、私は普段は胸が大きく見えないようにしてるんだけど、何でこの女性教師はそれが分かったの?
 怖いな~、長年生きていたら分かるものなの?

「だから、工口さんボインです!」

 断言されちゃった。完全にボイン認定をされちゃったよ!
 嬉しいような嬉しくないようなって嬉しくないし、そもそも授業中に何の話をしてるんだよ。

「なぜ下を向くんですか?」

 私の胸はボインなのか、もう一度確認しようと思いまして、下を見ました。
 ってそんなこと言えないわ!

「ボ、ボインがどうしたんですか?」
「教科書を見てないんですか?」

 いや、そうだけど、そもそも問題がおかしいのよ。

「ゴ、ゴメンなさい……」
「えっと、十九ページのボインの問題のところ」

 あ、やっぱりボインの問題なのね。
 答えは多分、『ボインになると肩がこります』かな? 一応、問題を読むけどね。
 えーっと、イクページのボイン、ボイン。イクページは十九ページを省略した言い方ね。
 あ、あった! え、母音の数を答えろっていう問題か!
 ボインってこっちの母音ね。そもそも女性教師の言い方がややこしいんだよ。
 いや、おそらく私の脳がおかしいだけか。

「母音は五個です」
「はい、正解です。ちゃんと教科書を見てくださいよ」
「は、はい……」

 国語の問題に引っ掛け問題があるなんて……。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...