魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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四性 刹那君の正体

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 手を引かれて歩くこと数分。

「ここって……」

 そこにあったのは……

「そう、俺の家だ」

 私は刹那君の家に来てしまったようだ。
 家って言っても一軒家とかじゃないよ? よくあるボロアパート。
 てか、絶対にヤるきだよね? あんなこと言っておいて絶対にヤる気だよ?

「早く入れ」
「うん。お邪魔します」

 そろり、そろり! 狂言のモノマネはこういう時に使うのだ。

「奥の部屋でゆっくりしといてくれ」

 中は予想通り狭いけど、物は片付いていて男子らしくない部屋だ。
 広さは一Kぐらいかな? 私の部屋が二個って感じ。

「えっと、刹那君は?」
「俺はお茶を入れるから」

 親切にもお茶を入れてくれているようだ。
 丁寧に持て成してくれるとか、友達の親かよ。
 でも、睡眠薬を入れられて、襲われる可能性もある。警戒しなければ。

「丁寧にありがとね」

 よし、私は座る……わけないじゃん!
 男子の部屋だよ。入るの人生で二回目なんだよ。
 ってことで男子の部屋と言えば恒例のアレよねアレ。宝探し!
 まずはベッドの下を確認しますか。
 拳二個分ぐらいの高さがあるから、期待度は大だよ大。
 恐る恐る視線をベッドの下に向けると……

「え!」
「なんかしたのか?」
「い、いや何もしてないよ。む、虫がいただけ」
「あー、虫か。ここ古いから我慢してくれ」

 ふぅー、危ない、危ない。額に冷や汗をかいてしまったよ。拭き拭き!
 だって、ベッドの下にあったのは『虫』じゃなくて『お宝の山』。
 男性が一人でヤる時に使う『テンガ』っていう円柱形のアダルトグッズ。
 しかも、ベッドの下が埋まるほどだよ? 一年分はあるんじゃないかな?
 いきなりお宝が大漁だな。まだまだ期待ができるぞ、この部屋。
 次は机の引き出しを確認しようと思う。
 なんかトレジャーハンターになった気分だ。
 今日は探偵に忍者に狂言にトレジャーハンターって役が多いな~。
 鍵をかけていないみたいだから、音が出ないようにゆっくりっと……

「へ!」
「また虫か?」
「……」
「おい、無視かよ」

 だって、開けたら黒人の露出度が半端ない女性が表紙をしている雑誌みたいなんが出てきたんだもん。
 銃を胸元に当てるとか、絶対にエロ本じゃん!
 まさか、こんな黒人兵隊系女子が好みだったなんて……。
 たくさん男子の好みを聞いてきたがこれは初めてだよ。新種だから図鑑に登録っと!

「っておい! 何、勝手に触ってるんだ」
「お宝探しを……」
「宝? そんな物はここにはない」

 はい? 二個もあったよね?
 テンガとエロ本っていうれっきとしたお宝が! 
 ま、まさか、この程度ではお宝ではないと! もっと私が思っている以上のお宝がこの部屋に眠っているのか! 
 あの二つがおとりだったとは……。

「なるほどね。あの二つはお宝の価値もないと! 日常道具ということね!」
「何のことだ?」
「ベッドの下の物とこれ!」

 私はさっきのテンガとエロ本を持って差し出す。

「その二つがどうしたっていうんだ?」
「だ・か・ら! テンガとエロ本!」

 私の口からなんていうことを言わすのだ、この男子は!
 とぼけるのもほどほどにしてほしいものだ。
 男らしく『そうです、テンガとエロ本です』って言えないのか。

「……テ、テンガ? 何それ?」
「え? ベッドの下の円柱形のやつ!」

 迫真の演技だが、もう逃げられんぞ! 諦めろ!

「お前らはこれをテンガって言うのか。俺らはこれを手榴弾って言うんだ。それとその雑誌はエロ本じゃなくて銃のカタログ本だ。変な誤解をするな」
「そ、そう。手榴弾ね。私の知っているのとは違ったわ。後、銃カタログ本なんか見ないから……ゴメンね」

 えー、えー、え~って手榴弾とか知らないよ。
 何で手榴弾みたいな危ない物が普通にあるの? それに銃カタログ本ってなんだよ!
 てか、銃カタログ本の写真がエロすぎなんだよな。
 はぁー、完全に動揺してしまった。
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