魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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五性 女子会

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 翌日の日曜日。

「ふぁーあ」

 目が覚めた私は大きな欠伸を一つ。
 時計を見ると時刻は午前五時三十分。いつもより三十分早い起床だ。
 カーテンをパーっと開けて外を見ると、まだ日の出前なのか暗い。カラスの鳴き声だけが私の耳に入ってくる。
 太陽の光を浴びていない私はゆっくりとした足取りで、目を擦りながら一階にあるお風呂場へ向かう。
 昨日は誰かさんのせいで、お風呂に入る気力も残ってなかったからね。
 服を脱ぎ、シミの付いた下着を脱ぎ、お風呂場に入る。

「あぁー、気持ちぃ~。体が温まるぅ~」

 今日は朝風呂なのに珍しく家だから少し新鮮。
 朝風呂と言えば、いつもはブクブクと綺麗な色がお風呂場を包むのだが、今日はそれがない。
 あるのは透き通る綺麗なお湯と目に見える湯気、それと水が落ちる音。
 これはこれで自然を感じられてリラックスできてイイ。
 ラブホの朝風呂が体を癒すお風呂なら、家の朝風呂は心を癒すお風呂なのだろう。
 いつもの朝風呂ならラブホの方が私に合っているが、今日に限っては家の方が合っている気がする。
 あまり私に似合わないがこういう日もいいだろう。
 それにしても高校二年が始まった次の日から私は何をしているのだろうか……。
 刹那輝琉という男子と出会ってからというもの私の脳内のどこかには、その名が存在している。
 いや、半分以上はその名かもしれない。

「あー、くっーそ!」

 そんなことを考えている私は思わず浴槽の水に拳をぶつけた。
 何でそんなことをしたのかは自分でも分からない。本当に分からないのだ。
 いや、分かっている。本当は分かっている。
 それは単なる私に惚れないというイラつき。だが、それは九割。
 残りの一割は……

「な、何なのよ。このモヤモヤってした感情は!」

 そう、これが私が分からないって言った理由。
 分かっているけど、分からない。それが今の輝琉への感情。

「けど……」

 昨日、輝琉ことを知って私と少し似ていると思った。
 隠し事があること、自分を偽っていること、それと金に興味があるというところ。
 まぁ、『エロ』と『殺し』は違ったけどね。
 そこは置いといてもやはり共通点が多い。
 ってことは惚れる可能性も高いということ……フフ!
 そう、そうなの。異性は共通点が多いと惚れるのよ。
 もうね、これが頭の中を過った時は勝ったと思ったね。笑いが込み上げてきたもん。
 だって、だって、だって、三つも共通点があるんだよ。分かる?
 話す話題も見つけやすいんだよ? かなりデカいよね。本当にデカい。
 みんなは異性と話が合うとどう思う?
 え、なんかこの人イイな~って思うでしょ!
 だから、月曜日からはその三つで話題を作って輝琉を落としてやる。

「そろそろ朝ご飯の準備をしないと!」

 私は鼻歌をお風呂場に響かせながら、髪と体を丁寧に洗う。
 そしてお風呂から上がり、いつも通り体を拭いて髪をドライヤーで乾かし、化粧水を塗って綺麗な下着、服を着る。
 これで完璧っと! 今日も一日頑張るぞ~。
 数分経ち、午前七時。

「ふぁーあ、かーか大丈夫なの?」
「おはよう、そうちゃん。もう元気満々だよ!」
「よかった。顔洗って来るね、ふぁーあ」

 今日のそうちゃんは眠たそうだ。
 おそらく、私が早く寝たから好きな勉強を夜遅くまでしていたのだろう。
 まったく、勉強好きでも限度があると思うんだけどな。
 まぁ、童貞を狩るのに限度がない私が言っても説得力ないんだけどね。

「かーか、今日もどこか行くの?」
「あ、うん。今日はクラスの友達と遊ぶから賢くお留守番しといてね!」
「そうなんだ。今日は僕も出掛けるんだけど……」

 ん? まさかあの魔女か! いや、まだ決めつけるのは早い! 落ち着けー。

「そ、そうなの。誰とどこに何時に帰って来るの?」

 あ、なんか親バカみたいな質問してごめんなさい。けど、これぐらい普通だよね。
 だって、こんなに可愛い弟だよ。心配しないほうがおかしい。

「友達と本を見に行くんだ! 帰る時は連絡するから心配しないで!」

 おっと、言うことはそれだけなの? それでは情報不足だよ、そうちゃん!
 友達って? それに本ってエロ本かな? いや、流石に勉強の本か!

「友達はこの前言っていた女の子?」
「その子も一応いるけど、他もいるよ!」

 やっぱりあの魔女はいるのね。じゃあ、エロ本の可能性もなくはないか。
 それと帰る時間もはっきり言ってくれないし……。
 もしかして、エロ本でヤり方を学んでみんなで乱交パーティする気じゃ……。
 あーなんて不純なの……私の脳が!
 中学生でそれはないね。私が言っても説得力ないけど……。

「そうちゃんは友達がたくさんいるんだね!」
「うん! みんなが話しかけてくれるんだよ。毎日、楽しい!」

 流石、天然だ。自分が話しかけさせる力を持っているというのに全く気付いてない。

「それはよかったね! あ、朝ご飯ができたから食べよう!」
「うん、食べる、食べる!」

 そう言ってそうちゃんはサンドイッチを口に運んだ。
 朝ご飯を食べ終えた私は、洗い物と洗濯をして今日の家事を終わらせる。
 時刻は午前八時三十分。

「私はそろそろ行くけど、そうちゃんはまだ行かない感じ?」
「僕は昼からだから鍵は閉めておいて!」
「うん、分かった! じゃあ、気をつけてね!」
「かーかもね!」
「はーい! いってきます!」
「いってらっしゃい!」

 そうちゃんの元気な声を聞き終えた私は家から出た。
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