魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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六性 笑顔がトレードマークの警察官

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 数分後、私はあのことについて話した。

「な、なるほど。痴漢の次はストーカーね」

 そう、一週間前から毎日のようにされているストーキングの話を。

「あの時に震えていたのはお化けじゃなくてストーカーを怖がっていたんだね」
「はい、そうなんです。だから、あの時はありがとうございました」
「そんな頭を下げなくていいよ。工口さんの役に立ててよかったよ!」

 本当に下毛さんにはお世話になってばっかりだ。

「それでストーカーに心当たりはあるの?」
「一つあります。一週間前に小学校の時に付き合っていた元カレが、この町に帰ってきていたんです」
「何でその元カレさんがストーカーだと思うの?」
「彼とは色々問題があり、私と関わらないように彼は強制的に転校したんです。けど、彼はこの町に戻ってくる前の日に私の家に手紙を送り、一週間前に帰ってきたんです。たまたま駅で会ったんですけど、あっちが『ずっと好きだった。夢に出てくるほどに』って言われたので、ストーカーされてもおかしくないと思いまして」
「なるほど。けど、決定的な証拠がない。だから、警察は動けないと思うよ」
「そ、そんな……」

 警察は事件が起きてから動くものだから、証拠もないのに動くわけがないか……。
 探偵とかの方が良かったかな?

「その子の名前と写真があるなら見せてくれないかな?」
「名前は陳川薫。写真はこれです」

 写真はこの一週間で獲得済みだ。
 ストーカーされているまま、私が何もしないわけがないじゃん。

「……普通にカッコイイ子だね。町で歩いていてもストーカーをしてるとは思えない顔だ」
「ですよね……」

 けど、何で少し写真を見て驚いたのかな?

「まぁ、警察は動かないけど、工口さんが困っているのなら僕が力になるよ、個人的にね!」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、僕もこの子について調べてみるよ!」
「あ、ありがとうございます」

 またお世話になるな。次に会う時は何かお礼の品でも持っていこうかな?
 こんなに真剣に私の問題に向き合ってくれる人は初めてだ。
 この人と出会って正解だったな。悪い人ではなさそうだし、信用もできるしね。

「私はそろそろ帰ります」
「あ、出口まで送るよ」

 私は紅茶を飲み干して椅子から立ち上がる。

「はい、先にどうぞ」
「最後までありがとうございます」
「今日はどうだった?」
「本当に来て良かったです。痴漢の件でお世話になったのに、ストーカーの件も力になってくれるとは思ってなかったです。それにオリジナル紅茶もご当地お菓子も美味しく頂きました」
「それは良かったよ! また何かあれば言ってね!」
「はい、ありがとうございました。さよなら」
「うん、さよなら」

 私は頭を深々と下げて警察署を出た。
 その日の帰り、ストーカーの足音がすることはなかった。
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