魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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八性 終わりの始まり

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「おい、君は工口さんが好きなんだよね! いや、違うか。大、大、大、だ~い好きか!」

 ビリっという音が部屋に響く。おそらく、薫の口に張り付けていたガムテープを外したのだろう。

「……ハァ、邪魔者がいないからって僕のかすみに何してんだ! 警察官のくせに未成年を襲うとか何考えてるんだよ!」
「君も襲ってホテルに連れ込んで、好き放題していたじゃないか。君がしていたことは僕のしている事と同じだよ?」
「僕はかすみを愛し、愛されている! だから、僕は悪くない!」
「悪くないわけないじゃん。君、工口さんからストーカー扱いされていたんだよ? そんな君を工口さんが愛しているとでも?」
「そ、それは……」

 反発していた薫は痛いところをつかれ、言葉を失う。

「せっかくあの時、見逃してあげたのに」
「……何のことだよ」

 え、この二人は面識があるの?
 でも、それじゃ何で写真を見せた時に何も言わなかったの?
 急に思い出したとか?
 あのハイスペックで真面目な下毛さんが忘れることはないか。

「『何のこと』ってあのトンネルのこと忘れたのかい? 君は工口さんをストーキングしていたよね?」
「あ、あの時の警察官ってあなただったのか!」
「ああ、そうだよ」

 トンネルの時、足音が二つだったのは聞き間違えじゃなかったんだ。
 じゃあ、何であの時、誰も見てないっていう嘘を……。

「あの時、本当はストーキングしている君を現行犯で逮捕してもよかった。けど、天から降りてきたんだよ、この計画が!」

 け、計画?
 って、ことはトンネルの日から私と薫は今日まで操られていたってこと?

「どういうことだ!」
「僕は若い女性が大好きなんだ! けど、未成年を襲うなんてほぼ不可能。ってことで君を利用したのさ! 君にストーカーを続けさせて襲う日を待っていたんだ!」
「お、おい。嘘だろ……僕の計画を利用しただと……」

 ストーカーの計画を利用する計画。そんなことを思いつく方が凄い。

「一つ、問題点があったとすれば、工口さんが君のストーカー被害を助けてほしいと頼まれて、写真と名前を聞いた時かな? だって、腹を抱えて笑いそうだったからね!」

 あの写真を見た時、下毛さんは驚いたのではなく、笑いそうになっていたのか。
 くっそ、あの時の異変に気付けておけば対策が取れたのに。
 私が下毛さんを信じていたばかりにこんなことに……。

「何で、何で、僕の計画は完璧だったのに……。何でこのホテルに連れ込むと分かったんだよ!」
「それは見てたからかな?」
「み、見てた?」
「ああ、そうだ。君が連れ込むのも見ていたし、この部屋に入っていくのも見ていた」
「け、けど、ここは貸し切り中だぞ? フロントで止められるだろ!」

 確かに薫の言う通りだ。
 それにフロントを通らずに上に上がることはできない。
 他にあるとすれば、窓をよじ登る?
 いや、目立って近隣住民に通報されるから不可能だ。
 じゃあ、一体どうやって?

「おいおい、もう僕が何なのか忘れたのかい? 僕は国民を守る警察官だよ? 僕が警察手帳を見せれば、ある程度の場所は入れてくれるものだよ!」
「……完全にやられた。僕の、僕の愛の計画を台無しにしやがって! 絶対に許さない! 通報して牢獄にぶち込んでやる!」
「そんなことすれば、君も牢獄に入ることになるね!」
「た、確かに……」
「君はもう少し考えてから言葉を口にした方がいい」
「……」

 薫は牢獄に入るのを怯えているのか、口を閉じた。

「まぁ、そんなに怯えることはない。僕はまだ君を捕まえてはいない。それにこれからも君を捕まえる気はない」
「え?」
「だから、この件は二人の内緒ってこと! 分かったかい?」
「……う、うん」

 薫をここで先に襲わせたのはこのためだろう。
 共犯を作り、通報させないように弱みを握るため。

「よし! これで君と僕は分かりあえたし、僕はそろそろプレイを楽しむよ!」
「ま、まだやるのか!」
「何を言っている? 僕はまだ何もしていないよ? やっと今から僕と工口さんと君のプレイが始まるのさ!」
「ぼ、僕も? ってことは三人でヤるの?」

 私もまだ三人でヤる――三Pはやったことがない。
 多分、二人で今の私の体を好き放題ヤられたら、一イキでは済まないだろう。
 普通に考えて五イキは優にしてしまうはずだ。

「急に参加しようとするなよ、君は観客! 僕と工口さんがしているところを見る役だ!」
「それは三人でプレイしていることには――」
「なる! 君の役は重要だ。ヤっている人は見られると恥ずかしさによって興奮する。ましてや、工口さんは知り合いの君に他の男性とヤっているところを見られるんだ。感じたこともない恥ずかしさを味わうはずさ!」
「で、でも……」
「それだけでは納得できないのは分かっている。もちろん理由はもう一つある!」
「そ、それって?」
「僕が君の好きな人を目の前で犯している時の、君の表情を楽しむためさ!」
「て、てめぇ! ふざけやがって!」
「あー怖い、怖い。けど、それでいいよ! 良い顔だよ、薫ちゃん!」

 この男はヤりたいだけの童貞ちゃん達、痴漢をする変態達より何百倍も最低だ。
 人の不幸な姿を見ながら、自分は気持ちいい思いをする。
 どこまで人を見下し、裏切る。自分さえ良ければそれでいい。
 クソがつくほどの自己中最低野郎だ。

「見て、ほら見てよ、薫ちゃん! 僕の指先が工口さんの乳首に触れて感じているよ!」
「や、やめてくれ! 頼むからやめろ!」
「やめろ? 僕の方が年上なんだから言葉使いには気をつけてよね! それにその言い方は人に頼むような言い方じゃないよね? ほら、人に頼む時は?」
「……や、やめ……」
「やめ?」
「やめて、やめてください。お願いします」
「おー偉い! 手を叩く代わりに乳首ボヨンボヨン! ほら、ビンビンだね!」
「だから、かすみは痛がっていますからやめてください」
「あれれ? 痛さも受け止めるから気持ちいいんでしょ? 薫ちゃん!」
「……クッ」

 薫は自分が言った言葉を言われて反発する言葉も出ない。
 てか、本当に乳首痛かったよ。引っ張り過ぎ!

「そろそろタオルを外すか。キスもまだだもんね!」
「ハァ、ハァ……」

 やっと、タオルが外されて息が楽になり、目に光が戻った。

「ンッ、ハァ……ンッ、チュ、ハァ……チュ、ンッ、ハァ……唾液を流し込むなんてノリノリだね! とても美味しいよ!」
「ハァ、ち、違う! 今のはいきなりするから飲み込めずに……」
「薫ちゃん! 工口さんの唾液を飲んじゃった! ……ペロッ!」

 薫の気持ちを嘲笑うかのように、薫に見えるように舌で私の頬を舐める。
 おそらくだが今の下毛さんは私とヤりたいという気持ちよりも、薫の悲しそうな無残な泣き顔の方を楽しんでいる。
 そんな私は下毛さんにとって、その引き立て役の性奴隷のおもちゃみたいなものなのだろう。
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