57 / 65
八性 終わりの始まり
56
しおりを挟む
「あれれ~? 警察官が何してるのかな?」
「ん? 警察官のコスプレでローププレイをして何が悪い?」
「え、コスプレ?」
「ああ、そうだ。だから、出て行ってくれ」
扉の方から聞き覚えのあるような声が聞える。
だが、下毛さんが丁度被っていて何も見えない。
「こ、この警察官は本物です! 襲われているんです! 助けてください!」
「へ~、警察官の人、嘘をついてたんだ」
「このガキの言葉に耳を傾けるな! 出て行けって言ってんだろ!」
「まぁ、何でもいいけど。それにしても、追い込まれた人間の表情はいいものだね。それに嘘がよく出てくるから面白い」
「「え?」」
「だから、君達二人が嘘をついていることは知っている。だから、俺に何を言おうが無駄なんだよ。ほら、取り押さえろ!」
「「イエス、ボス」」
下毛さんが立ち歩き、扉の方が見えたと思ったら二人のムキムキな黒人が寄って来る。
白いタンクトップにジーンズの短パン、それにサングラス。
見るからに強そうだが、下毛さんはさっきのように向かって行く。
「お前らみたいな鍛えているだけの筋肉バカが、僕を捕まえられるとでも?」
「メイレイ、ゼッタイ!」
「ツカマエル、ゼッタイ!」
「へ~、お前ら如きが僕を捕まえると。日本の警察官がどれだけのものか見せてやるよ!」
「「ノゾム、トコロ!」」
二対一、どう考えても下毛さんに勝ち目はない。体格差を見ても圧倒的。
だが、さっきの薫との戦いを見た感じ下毛さんは武術はかなりのもの、それに警察官という実戦経験があるプロだ。
そう考えると、この相手でもどうにかなるかもしれない。
「ボス、ツカマエタ」
って、やっぱり無理だよね。分かってたよ。
圧倒的なスピード、リーチの長さ、二人のコンビネーションにより下毛さんは手も足も出ずにあっさり捕まった。
有名なことわざの弱い犬ほどよく吠えるとはこういうことなのだろう。
「……イ、イってぇ……。お、お前らは何者だ!」
「そこの二人は誰でも一度は耳にしたことのある元アフリカ武装集団の戦闘員だよ。日本の警察官? そんな奴らとは比べものにならない。こいつらは殺し合いの実戦経験、圧倒的パワーと技術、そして知識。全てを持っている戦闘のプロだ」
「そ、そんなやつがなぜ……」
「それは俺が……買ったからな。今は俺のボディーガードさ! おい、お前ら! 女のロープを外し、服を着たのを確認できたら、ここまで連れて来い!」
「「イエス、ボス」」
その命令によって、手際よく私の手足に付けられていたロープが外される。
そんな黒人達だが、体が大きい割には手先が器用で少し見とれてしまった。
「あ、ありがとうございます」
そう言うと、二人は一歩下がり小さく会釈をした。
そして、私はやっと自由になった手でタオルで胸を隠し、シャツのボタンを付ける。
残念ながら、ビンビンの乳首はタオルの上からでもしっかり目立っていた。
この際、乳首なんかどうでもいいけどね。
だって、この短時間で何人に見られたか分からないし、ハァ……。
最後にスカートのファスナーを上まで上げて着替えは終わった。
「オンナ、コイ」
黒人の一人が私の腕を掴み、扉の方へ連れて行く。
正直、腕が痛い。握力なんぼだよ、お前はゴリラか!
って、ゴリラだったら腕の骨は粉々か。
「久しぶりだね、カスミ!」
そこに立っていたのは……
「……た、大志君!」
そう、あのマナの彼氏の大志君だ。
最近はマナとの危機とかで、話の話題になることが多かったが、大志君と実際に会うのはあの卒業させた日以来。
それにしても何故ここに?
「襲われていたみたいだけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫。それより家の用事は?」
「今、その用事でここに来てたんだよ。じゃあ、たまたまカスミを見かけてね」
「ど、どういうこと?」
大志君の言っている意味が全く分からない。
ここは貸し切りのホテル。そんな場所に家の用事で来るなどあり得ない。
あるとしたら……って、まさか!
「その表情は分かったみたいだね。そう、ここは俺の経営するホテルなんだよ」
「や、やっぱり。けど、用事は大丈夫なの?」
「大丈夫、それならもう少しだから……」
私を安心させるためなのか、満面の笑みを見せる。
「じゃあ、行くよ」
「え、あ、うん」
振り返り、歩き出す大志君に私は小走りでついて行く。
「おい、待って!」
「そうだ、かすみをどうするつもりだ!」
「ダマレ、ゴミ!」
「ペニス、フェラ、シロ!」
「や、やめ、やめろぉ~。そんな汚物を顔に向けるなぁ!」
「い、嫌だ……け、汚れたくない。た、助けてよ。助けて、かすみぃ~」
下毛さんと薫の裏返るほどの叫び声が聞えるが、私にあんなことをしたのだから自業自得だ。
それに男同士だから暴力しか……。
私の耳に片言の外国人から、発音の良い『ペニス』と『フェラ』が聞えたことはおそらく空耳だろう。
うん、絶対にそうだ。
そう思い込んだ私だが、脳内に二人が黒人の立派な物を咥えさせられている情景が浮かんでいることは今後誰にも言うことはないだろう……。
そんなことは置いといて、今からどうしようか?
このまま家に帰るのがベストだけど、ギリギリのところで助けてもらったからな。
それにまずここがどこなのかが分からない。
ホテルの廊下なのだが、部屋ばかりで窓が一切ない。
「た、大志君」
「どうかした? トイレ?」
「いや、それは大丈夫かな。それより今からどこに行くの?」
「あー言ってなかったね、屋上だよ屋上」
「な、何で屋上なの?」
「もう少しすれば、ヘリが来る。それに乗ってここから逃げるんだよ」
「どういう――」
「ほら、屋上だよ!」
私の言葉を遮るかのように、扉を開けて屋上に出る。
「ん? 警察官のコスプレでローププレイをして何が悪い?」
「え、コスプレ?」
「ああ、そうだ。だから、出て行ってくれ」
扉の方から聞き覚えのあるような声が聞える。
だが、下毛さんが丁度被っていて何も見えない。
「こ、この警察官は本物です! 襲われているんです! 助けてください!」
「へ~、警察官の人、嘘をついてたんだ」
「このガキの言葉に耳を傾けるな! 出て行けって言ってんだろ!」
「まぁ、何でもいいけど。それにしても、追い込まれた人間の表情はいいものだね。それに嘘がよく出てくるから面白い」
「「え?」」
「だから、君達二人が嘘をついていることは知っている。だから、俺に何を言おうが無駄なんだよ。ほら、取り押さえろ!」
「「イエス、ボス」」
下毛さんが立ち歩き、扉の方が見えたと思ったら二人のムキムキな黒人が寄って来る。
白いタンクトップにジーンズの短パン、それにサングラス。
見るからに強そうだが、下毛さんはさっきのように向かって行く。
「お前らみたいな鍛えているだけの筋肉バカが、僕を捕まえられるとでも?」
「メイレイ、ゼッタイ!」
「ツカマエル、ゼッタイ!」
「へ~、お前ら如きが僕を捕まえると。日本の警察官がどれだけのものか見せてやるよ!」
「「ノゾム、トコロ!」」
二対一、どう考えても下毛さんに勝ち目はない。体格差を見ても圧倒的。
だが、さっきの薫との戦いを見た感じ下毛さんは武術はかなりのもの、それに警察官という実戦経験があるプロだ。
そう考えると、この相手でもどうにかなるかもしれない。
「ボス、ツカマエタ」
って、やっぱり無理だよね。分かってたよ。
圧倒的なスピード、リーチの長さ、二人のコンビネーションにより下毛さんは手も足も出ずにあっさり捕まった。
有名なことわざの弱い犬ほどよく吠えるとはこういうことなのだろう。
「……イ、イってぇ……。お、お前らは何者だ!」
「そこの二人は誰でも一度は耳にしたことのある元アフリカ武装集団の戦闘員だよ。日本の警察官? そんな奴らとは比べものにならない。こいつらは殺し合いの実戦経験、圧倒的パワーと技術、そして知識。全てを持っている戦闘のプロだ」
「そ、そんなやつがなぜ……」
「それは俺が……買ったからな。今は俺のボディーガードさ! おい、お前ら! 女のロープを外し、服を着たのを確認できたら、ここまで連れて来い!」
「「イエス、ボス」」
その命令によって、手際よく私の手足に付けられていたロープが外される。
そんな黒人達だが、体が大きい割には手先が器用で少し見とれてしまった。
「あ、ありがとうございます」
そう言うと、二人は一歩下がり小さく会釈をした。
そして、私はやっと自由になった手でタオルで胸を隠し、シャツのボタンを付ける。
残念ながら、ビンビンの乳首はタオルの上からでもしっかり目立っていた。
この際、乳首なんかどうでもいいけどね。
だって、この短時間で何人に見られたか分からないし、ハァ……。
最後にスカートのファスナーを上まで上げて着替えは終わった。
「オンナ、コイ」
黒人の一人が私の腕を掴み、扉の方へ連れて行く。
正直、腕が痛い。握力なんぼだよ、お前はゴリラか!
って、ゴリラだったら腕の骨は粉々か。
「久しぶりだね、カスミ!」
そこに立っていたのは……
「……た、大志君!」
そう、あのマナの彼氏の大志君だ。
最近はマナとの危機とかで、話の話題になることが多かったが、大志君と実際に会うのはあの卒業させた日以来。
それにしても何故ここに?
「襲われていたみたいだけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫。それより家の用事は?」
「今、その用事でここに来てたんだよ。じゃあ、たまたまカスミを見かけてね」
「ど、どういうこと?」
大志君の言っている意味が全く分からない。
ここは貸し切りのホテル。そんな場所に家の用事で来るなどあり得ない。
あるとしたら……って、まさか!
「その表情は分かったみたいだね。そう、ここは俺の経営するホテルなんだよ」
「や、やっぱり。けど、用事は大丈夫なの?」
「大丈夫、それならもう少しだから……」
私を安心させるためなのか、満面の笑みを見せる。
「じゃあ、行くよ」
「え、あ、うん」
振り返り、歩き出す大志君に私は小走りでついて行く。
「おい、待って!」
「そうだ、かすみをどうするつもりだ!」
「ダマレ、ゴミ!」
「ペニス、フェラ、シロ!」
「や、やめ、やめろぉ~。そんな汚物を顔に向けるなぁ!」
「い、嫌だ……け、汚れたくない。た、助けてよ。助けて、かすみぃ~」
下毛さんと薫の裏返るほどの叫び声が聞えるが、私にあんなことをしたのだから自業自得だ。
それに男同士だから暴力しか……。
私の耳に片言の外国人から、発音の良い『ペニス』と『フェラ』が聞えたことはおそらく空耳だろう。
うん、絶対にそうだ。
そう思い込んだ私だが、脳内に二人が黒人の立派な物を咥えさせられている情景が浮かんでいることは今後誰にも言うことはないだろう……。
そんなことは置いといて、今からどうしようか?
このまま家に帰るのがベストだけど、ギリギリのところで助けてもらったからな。
それにまずここがどこなのかが分からない。
ホテルの廊下なのだが、部屋ばかりで窓が一切ない。
「た、大志君」
「どうかした? トイレ?」
「いや、それは大丈夫かな。それより今からどこに行くの?」
「あー言ってなかったね、屋上だよ屋上」
「な、何で屋上なの?」
「もう少しすれば、ヘリが来る。それに乗ってここから逃げるんだよ」
「どういう――」
「ほら、屋上だよ!」
私の言葉を遮るかのように、扉を開けて屋上に出る。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる